「わたし、スミルノフさんにことわってきます」 レーナはそうこたえた。 てんし いくんしゃない このままおかえり。天使さまがおまえの上 「ダメー につはさをひろげて、おまえをまもってくださったんだよ」 おはあさんのことはには、うむをいわせないところかあった。レーナ かいだん あたま はびよこんと頭をさげるなり、階段をかけおり、家にかえってしまった。 あさ つぎの朝、レーナはテレビのスイッチをいれて、おどろいた。 さつじんじけん ばんち ちょうりしどお 「調理師通りⅡ番地のマンションで、殺人事件がありました。犯人は はんこうじかんゅうがた このマンションにすむスミルノフ、犯行時間は夕方の七時ごろです」 アナウンサーがよみあげるニュースをきいて、レーナはぎよっとした。 はんにん
きおく へいわにちじよう かなしいできごとは、戦争の記慮もうすれかけた平和な日常にもおこります。夏 そうなん かぞく 休みに家族でとまったホテルの「となり部屋」には、かって、遭難したお客がとまっ おもで ゅうれい たび へや ていました。その部屋にあらわれる幽霊にとって、その旅はきっと楽しい思い出だっ たのでしようね。 ・」うしつ げんだい の号室をたすねた 「引号室」は、ロシアの現代のお話です。アルバイトでアパート ひみつ レーナは、そのときだけあらわれた、秘密のとびらからでてきたおばあさんのおかげ てんし さつじんじけん で、殺人事件にまきこまれすにすみました。「天使さまがつはさをひろげてまもって てき かた くださった」といううけとり方は、いかにもヨーロッパ的ですね。 ねんがんじぶん へや 「わたし , がひっこした家には、念願の自分の部屋がありました。ところがその部屋 じ・」く ひみつ のかべには秘密のとびらがかくされていて、「かべのむこうは地獄」だったのです。 、はく“け・き ざんがい せんそうちゅう 戦争中にアメリカの爆撃をうけて、むざんにこわれた残骸がかくれていたのでした。 せんそうざんがいはつけん せんご 戦後六十年たったいまでも、日本のあちこちで、戦争の残骸が発見され、ときには毒 やくじゅうみんがい 薬が住民に害をあたえているというニュースがあとをたちません。戦争をしらない やす ごうしつ せんそう はなし たの せんそう きやく へや なっ 1 39
9 へや 部屋とは、め医らかにちか、つ。」「ア かよごれているし、げんかんにか かっているカーテンの色だって、 ちか、つ じけん へや 事件があったスミルノフの部屋 かここだとすると、あのおばあさ へや んの部屋はいったいどこなのか。 レーナはわけがわからなかった。 力し 三階のろうかを、ゆっくりつき あたりまであるいてみたが、どこ 3 5
じよしこ、つこ、つ きりつ カっこ , フ わたしのかよっていた女子高校は、規律のきびしい学校、こっこ。 じけん 生になったある日、おそろしい事件かおこった。 こうもん おおもりれいこ おなしクラスの大森礼子さんが、校門をでてしはらくしたところで、 ころ うしろから暴走してきたトラックにはねられ、ひき殺されてしまった。 かお 顔をタイヤでおしつぶされて、なんともむごたらしい死にざまだったそ 開かずの教全 ぼうそ、つ きょ一つしつ し よしざわかずお 吉沢和夫 たオ二年 ねん 6 6
1 ~ 39 巻好評発売中 ! ! 0 第一巻 幽霊屋敷レストラン 第図巻 がい骨レストラン 第 27 巻。神かくしレストラン 第 2 巻 魔界レストラン 化け猫レストラン 第巻 第 28 巻 亡霊レストラン 第 3 巻 殺人レストラン 第巻 うらめしやレストラン 第 29 巻 生まれ変わりレストラン 第 4 巻 幽霊列車レストラン 第ロ巻 第 30 巻 鬼のレストラン 七不思議レストラン 第 5 巻 媛怪レストラン 第絽巻 第引巻 ケイタイ舌レストラン 霊界通信レストラン 第 6 巻 金しばりレストラン 第四巻 闇のレストラン 第 32 巻 死神レストラン 第 7 巻 魔女のレストラン 第 20 巻 地獄レストラン 第 33 巻 魔の森レストラン 第 8 巻 鏡のうらがわレストラン 第幻巻 たたりじやレストラン 第 34 巻 人形レストラン 第 9 巻 第 22 巻 墓場レストラン 悪夢のレストラン 第 35 巻 おまじないレストラン 第田巻 第 23 巻 第 36 巻 お化け屋敷レストラン もののけレストラン 謎のメールレストラン 第Ⅱ巻 第 24 巻 占いレストラン 第 37 巻 火の玉レストラン 人食い花レストラン 第に巻 第 25 巻 百物語レストラン 第 38 巻 ぶきみな音レストラン 呪いのレストラン 第巻 第 26 巻 心霊写真レストラン あの世レストラン 第 39 巻 秘密のとびらレストラン 0
岩倉 いわさき 岩崎 いわくら 千春 きようこ 京子 ちはる 岡野久美子 おかのくみこ 剣持 斎藤 桜井 常光 新倉 けんもち さいとう さくらい つねみつ にいくら まったに 弘子 君子 信夫 徹 朗子 ひろ きみ のぶお とおる あき 松谷みよ子 みずたにしようぞう 水谷章三 もちづきしんざぶろう 望月新三郎 森下真理 よしぎわかずお 吉沢和夫 かとうくみこ もりした 執筆者紹介 ( 50 音順 ) 日英の民話を研究。共著に『世界の愚か村話』 『夢で田中にふりむくな』など。 著書に『シラサギ物語』『鯉のいる村』『花咲か』 『あかまんまとうげ』『花に暮れて』など多数。 東京・小平を中心に民話を採集。共著に『小平 ちょっと昔』『ちょっと昔』など。 日伊の民話・児童文学を研究。著書に『クリン 王』『ピノキオ』『三つのオレンジ』など。 日ロの民話を研究。著書に『かもとりごんべえ』 『シベリア民話集』『ロシアの妖怪たち』など。 著書に、絵本『子そだてゆうれい』詩集『きみが すき』長編叙事詩『ハテルマシキナ』等がある。 民俗・ロ承文芸を研究。著書に『学校の怪談』 『妖怪図鑑』など。 日仏の民話・児童文学を研究。訳書に『フラン ス民話集』『完訳ペロー童話集』など。 著書に『現代民話考』『龍の子太郎』『やまんば のにしき』「あかちゃんの本」シリーズ等多数。 著書に『たぬきからの手紙事件』『きようも星 パン』など。紙芝居も多数手がける。 著書に『よみがえった水仙』『ねすみにわとり ねこいたち』『とんちばなし』など。 著書に『月夜野に』『三人組、ふしぎの旅へ』 『三つの時計の物語』『花ものがたり』など。 著書に『民話の再発見』『民話の心と現代』、共 著に『佐渡の伝説』など民話論多数。 雑誌や書籍でイラストを手がける。作品に「う みのひきだし」 ( 「おおきなポケット」 ) 等がある。