あかね - みる会図書館


検索対象: 若おかみは小学生!
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1. 若おかみは小学生!

( でも、お菓子のことなんて、ぜんぜん知らないのに : かんが まっき かしせんもんか うちけす自分もあったが、考えてみれば真月だって、お菓子の専門家じゃない 「あたしも ! 」 気がついたら、さけんでいた。 「あたしもそれ、出る ! どこで申しこんだらいいの ! 」 じしん 「へえ。あなたってつくづく負けずぎらいなのねえ。自信あるの ? まっき あきれたように、真月が言った。 じしん 「じ、自信はないけど、やってみなくちやわからないもの。がんばるもの。がんばって、 わか みと 若おかみとして、認められたいもの。」 やくそく それに、あかねとの約束もある。 おっこが、これでがんばったあかしをみせれば、あかねだって、学校に行くようになる かもしれない。 ほんと、つ ぼしゅうお 「ふうん : おもしろいわね。本当はもう募集は終わってるんだけど : はるや しゆっじようみと じいちゃんに言って、春の屋さんの出場、認めてもらってあげるわ。」 かし じぶん も、つ ・かっこ、フ しいわ。お 137

2. 若おかみは小学生!

おとこ しいえ。あかねさんが、なんか、すごくかわいい小さな男の子みたいに見えたから。 あか かお こんど おっこが笑うと、今度はあかねの顔がばわっと赤くなった。 「 : : : なんだよ。それ。 ちぢ こえ めずらしくいせいかよかったあかねの声が、たちまち小さく縮んだ。 「ありかと一つ」ざいます。 あたま おっこは頭を下げた。 こんど 「な、なんだよ。今度はなんのお礼だよ。」 「だって、今、がんばってるから、ほめてやろうとして来てくださったんでしょ ? 先に おも お礼言っておこうと思って。ありがとうございます。 かお あたま いちど もう一度おっこが頭を下げると、あかねが気のぬけたような顔になって、 「あっ、ああ。」 へんじ とだけ返事した。 きやくさま 「お客様にね、お礼を言われたりほめられたりするのって、すつごいうれしいんだ。 せつめい むね にわ おっこは、庭ばうきをぎゅっと胸にだいて今の気持ちを説明した。 わら れい ちい ちい さき 123

3. 若おかみは小学生!

あたまて 幸水先生は、あかねの頭に手を置いて、くしやっと髪をなでた。 た 二人が春の屋を発っと言ってきたのは、きのうの夜のことだった。 て お 「ありがとう。きみが手にやけどまで負ったのに、さいごまでがんばって、賞までもらっ しげ・き すこみ じぶん たことに、あかねも刺激されたらしい。きみを少し見ならって、自分もがんばってみると 言いだしてくれたんだ。 やくそくまも 「じゃあ、約束守ってくれるんですね。 むなお おっこはあかねに向き直った。 みと 。かっこ、つ 「あたしががんばって認められたら、あかねさんもがんばって学校に行くって約束。」 「ああ。」 め あかねがまぶしそうに、目をしばたたかせた じぶんす たの 「それで、きみみたいに、なにか自分の好きなこと、やって楽しいことを見つけるよ。 「それがいいわ , て おっこは手を打った。 ろてんぶろ 「露天風呂プリンのアイデアだって、あかねさんのアドバイスのおかげでまとまったんだ こうすいせんせい はるや ふたり お よる かみ み しよう やくそく 200

4. 若おかみは小学生!

あかねが、首をかしげて、目をふせた。 みと しん 「信じられない ? じゃあ、あたしが、がんばって、若おかみとして、みんなに認められ たら、あかねさん、がんばること、こわくなくなる ? 」 しん ほんと、つ 「そりや、本当にきみがそこまでやりとげられたら、信じられるかもしれないけど。」 「わかった。じゃあ、あたし、またまたがんばっちゃうから。若おかみとして、みんなに がっこう みと 認められるようになったら、あかねさんも、学校に行くって約束してくれる ? 」 「 : : : 約束か。 あかねは、じいっと考えていたが、 と、一 = ロった。 あかねが、やまぶきの間にもどるのを見送って、庭そうじのつづきをしようとしたら、 「よう ! 」 こえ あたまうえ 頭の上から声がふってきた。 きえだ 見上げると、槙の木の枝に、ウリ坊がでつかい鳥みたいにとまっていた。 やくそく まき かんが みおく とり にわ わか わか やくそく 127

5. 若おかみは小学生!

ーりよア」、つで げんき て、それ以来、あかねが元気をなくしてしまって。それで旅行に出ることにしたんです ことば こうすいせんせい 幸水先生がさらっと言ったけれど、おっこはその言葉にびくん、と背すじをのばした。 ( そうか。あかねさんも、お母さんを亡くしたんだ : ・ : ・。 ) おも : 。たいへんな思いをなさったのですね。おかわいそうに。 「それはそれは : わら おばあちゃんの言葉にあかねが、ふっとうす笑いをうかべた。 」、フ・け・き かあ 「ほら、すぐそれだ。母さんが死んだって言ったらどいつもこいつも、かわいそう攻撃 くちょう ひにく とっぜん、皮肉な口調になったあかねに、おっこはおどろいた。 がっこうい 「学校行くのも、どこ行くのもいやなんだよな。なにすんのもめんどくさいんだよ。それ りよヤ」、つ むり ねっ なのに無理して旅行なんかに出て、熱まで出ちゃって、あーあ、来なけりやよかったって かん 感じ。」 あかねは、ほうり投げるように言いはなっと、ばたん、とふとんにあおむけにたおれ かあ

6. 若おかみは小学生!

あかねが、おっこの目をじっと見た。 おっこは、うぐっと自 5 をのんだ。 びしようねん こうして向かい合うと、あかねは、やつばりたいへんな美少年だ。 なが ひとみ ほしち 長いまっげにふちどられた瞳が、星が散ったようにきらきらしている。 「あかねさんもがんばれるよ、きっと。 かん わる ときに感じの悪いことを言ったりもするあかねだったが、そんなきれいな目でじいっと おも 見つめられたりすると、思わずはげましたくなってしまう。 おも 「でもさ、がんばっても結果がだめだったら ? それを思うとこわくない ? 」 「こわくないっ ! 」 じぶん おっこは自分でもおどろくほどきつばり言った。 すす 「がんばらないと、なにも進まないもの。きのうのあたしは、失敗ばっかりして、お客さ さい′」 んをおこらせちゃったけど、がんばるのをあきらめなかったから、最後はお礼言ってもら えた。がんばらなかったら、なにもなかった。がんばることってこわいことじゃないよ。」 しん 「 : ・・ : そうかな。そういうの、信じられない。 きやく 126

7. 若おかみは小学生!

きらく がっこ、つ 「あんたって、 しいわよね。気楽でさ。学校にも行かなくてもいいし、好きなときにあた しのとこに来て『ようつ』って言えばいいんだから。」 きやくたい たいど 「それがお客に対する態度かなあ。 こえぬし ぼう 声の主が、ウリ坊とちかうと気かついたときは、おそかった。 こして めさんかく 目を三角にして腰に手をあてているあかねが、そこに立っていた。 おも 「なんか、すごくがんばってるみたいだから、ほめてあげようと思ったら、これだよ。だ かんわる いこい、きみ、感じ悪いよ。」 おも 「ああっ、ごめんなさい。その、あかねさんだと思わなかったんです。ごめんなさい。」 「ばくじゃなかったら、だれだっていうのさ。」 うでぐ あかねがぶうっとふくれて、腕組みした。 かお その顔がとても子どもつほい。 まおとこ たいど もくれんの間の男の子ぐらいの態度に見えて、おっこはおかしくなった。 わら 「あ、なに、笑ってんだよ。 あかねがむきになった。 こ 121

8. 若おかみは小学生!

りよう。り . かしづく もの。あかねさん、いろんなひらめきがあるのよ。料理とか、お菓子作りとか、そういう む 方面だって向いてるかもしれない てがみか 「 : : : 手紙、書いていいかな。 め あかねが、ふいにおっこの目をのぞきこんで言った。 「えつ。 むねおく どくんと胸の奥がはねた。 やくそくまも ほ、つ′」く 「あっ、ええ。ちゃんと約束守ってるかどうか、報告してもらうわ。それがいいわ。 へんじ 「返事くれる ? 」 だ 「出すわ。」 くび おっこは首をたてにはやくふった。 おとこまえ ぶんつうかいし 「男前くんと文通始おめでとう。」 あいだ まうかお おっことあかねの間にウリ坊の顔がぬっとあらわれた。 かお よわ まごみねこ 「おっこ、顔のいい のに弱いなあ。さすか孫、峰子ちゃんとそういうとこそっくりやわ。」 ぼうむし あくしゅ ウリ坊を無視して、おっこは、あかねと握手した。 ほうめん 201

9. 若おかみは小学生!

じよう そう言われてしまうと、自分がひどくだだをこねている幼児みたいな気がして、それ以 上っつばれなかった。 「・ : ・ : わかった。あやまります。 おばあちゃんのあとについて、春の屋のほうにのたのたと重い足をひきずりながら行っ こえ やまぶきの間に声をかけて、中に入った。 ぐあい ひとばんね 「やあ、おかみさん。一晩寝かせてもらったら、あかねの具合もすっかりよくなってね。 こた こうすいせんせい 幸水先生が、笑いながら答えてくれた。 かおいろ あかねの顔色はすっかりよくなり、朝食の皿は、どれもきれいにからになっていた。 きよ、つ もう もう ほんにん まごたいへんしつれい 「きのうは孫が大変失礼なことを申しまして、申しわけございませんでした。今日は本人 もう からもおわびを申しあげたいと言いますので、連れてまいりました。さ、おっこ。 まえ せいざ うながされて、おっこは、正座のまま、手を前につき、頭を下げた。 そしてあかねのほうを見ないようにして、ひと息に言った。 「あかねさん、きのうは、ごめんなさい。言いすぎました。」 わら じぶん なか はるや ちょうしよくさら ようじ あたま おもあし

10. 若おかみは小学生!

たの 「すごいなあ、おっこちゃん。ばく、おっこちゃんが、どれだけがんばるか、見るの楽し みだなあ。」 わら あかねがにやにや笑いながら、言った。 わら かた そのからかうような笑い方に、おっこはまたかちんときた。なにもかもめんどくさい とちゅうね し、がんばってるやつがきらいっていう、あかねのことだ。おっこが途中で音をあげた しつばい きたい まっき まっき り、失敗するのを期待してるにちがいない。それに真月。真月にだって負けられない。 むらむらっとやる気のほのおが立ちのばった。 わか ( ようし、あかねさんがびつくりするような、若おかみぶりを見せちゃうからね ! ) それでおっこは、おばあちゃんに言った。 しゅぎよう あした 「明日から、修業がんばります ! よろしくおねがいします ! 」