和菓子店 - みる会図書館


検索対象: 若おかみは小学生!
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1. 若おかみは小学生!

ね。 ) かいじようまえ しゆっじようせんしゅ それで、おっこは、会場の前のほうに、出場選手たちといっしょにならびなおした。 しんさ はっぴょう 「審査委員長から発表していただきましよう。 AJ かかりいん げんぞう 係員に言われて、源蔵がマイクを受け取った。 はっぴょう はなゅおんせんめいぶつがし 「発表します。花の湯温泉名物菓子コンテスト、優勝者は。」 かいじよう しず しいんと、会場じゅうが静まりかえった。 えだまめ いけづきわがしてん 「池月和菓子店、″枝豆バターどらやきんに決定いたしました。」 かいじよう かんせい いけづきわがしてんひと うわあっと、会場のなかほどで、歓声があがった。池月和菓子店の人たちだった。 じみ くふう 「地味な菓子ではあるが、よくエ夫されていたし、ていねいに作られているのが、よかっ こんご き はなゅおんせん しんめいっ だ た。花の湯温泉では、今後、この菓子を新名物として売り出すことに決めました。」 げんぞうことば さ ふかぶかあたま 源蔵の言葉に、としおが深々と頭を下げた。 ( やつばり : そうか。としおさん、おめでとう。 ) おっこは、せいいつばいの拍手をとしおに送った。 ・ほう ( せつかく、ウリ坊にも助けてもらったんだけど、あたしだめだったよ。でもしかたない い いんちょう 0 たす はくしゅ けってい ゅうしようしゃ 194

2. 若おかみは小学生!

力いじん まっき くいっと、あごをあげて、真月は、おっこを見た。 はるや 「あなただって、春の屋さんのあとつぎなんだから、接客ぐらいできるでしよう。 そう一一一一口われて、おっこはうぐっとつまった。 ちゃだ みおく ゝ ) っまゝ、 とてもじゃないけど、 お茶を出してごあいさっと、お見送りをするのがせしし きやくさま あいて 外人のお客様のお相手など、おっこにはできそうもない。 まっき 真月はえらそうにしているけれど、えらそうにしているだけのことはあるんだ : き ちぢ こうだい おっこは、広大なロビーのざわめきの中で、縮んで消えてしまいたくなった。 まっき そのとき、真月かふいにこんなことを言いだした。 どようめいぶつがし みせで いけづき 「池月さん。ところで土曜の名物菓子コンテスト、おたくのお店も出るの ? 」 で しゅうこうりよかん あに いけづきわがしてんだいひょう 「ええ。うちの兄が、池月和菓子店代表として出るって、はりきってるわ。秋好旅館さん りようりちょう てつだ だいひょうで 「わたしが代表で出るつもりよ。料理長にも手伝ってもらってね。 ま 「ちょ、ちょっと待って。」 はなし おっこは、あわてて、話をさえぎった。 なか み せつきやく 0 135

3. 若おかみは小学生!

あたた くろまめふうみ 「黒豆の風味はいいんだけどね。温かいのも、 き て つ、決め手にかけるなあ。」 こうすいせんせい 幸水先生も言った。 て 「決め手つて : ・・ : どういうことでしようか ? はなゅおんせん かし はなゅおんせんしんめいぶつ 「花の湯温泉の新名物になるお菓子のコンテストなんだよね ? どうも、花の湯温泉のお かん った 菓子 ! って感じが伝わってこないんだ。 はなゅおんせん 「花の湯温泉のお菓子 : : : 。」 じみ 「それに、灰色のプリンって見た目が地味じゃない ? あかねがつづけた。 った じみ おんせん ものたりない、温泉らしさが伝わってこない、地味 : おも へんじ 思いがけないきびしい言葉に、おっこは返事もできなくなってしまった。 かし し / し どうやったら、それらをクリアするお菓子ができるんだろう ? おも あたまなか 頭の中がかちんと固まってしまって、なにも思いっかないおっこ 考えようとしたが、 よ」っ」 0 き み め かた おも ししと思うんだけど、なにか、もうひと 0 149

4. 若おかみは小学生!

えだまめ ひょうじよう 確だ。さっきまで、にこにこしゃべっていた人とは別人のように、きびしい表情で、枝豆 と あんに取り組んでいる。 わがしゃ ( さすが、プロの和菓子屋さん : : : 。 ) きじっく み こんどはんたいがわ おっこは今度は反対側のとなりを見た。真月が、スポンジ生地を作っているのが見えた。 きっかかた あわだて器の使い方がさまになっている。 まっちゃ 「ほう、抹茶を入れるのかね。」 しんさいん まっきはな 審査員が、真月に話しかけているのが聞こえた。 わふう まっちゃふうみ おも どだい 「ええ、土台のスポンジは抹茶風味にしようと思いまして。栗のクリームも和風にしま き まっきこた はきはきと、真月が答えているのを聞いて、おっこは、ううっとうめきそうになった。 まっきさくひん 力なりこったものになりそうだ。 真月の作品は、ゝ さくひん りようりちょう ね かんが うちの料理長といっしょにじっくり練りあげて考えた作品なんだから。 まっきこと・はおも 真月の言葉が思いだされた。 さくひん わがしゃ しゅうこうりよかんりようりちょうかんが プロの和菓子屋さんや、秋好旅館の料理長が考えた作品に、おっこのプリンはたちうち 0 まっき ひと べつじん み 169

5. 若おかみは小学生!

「なかなかですな。 こう おっこと康さんは、目を見合わせた。 さむ 温かいお菓子が温泉まんじゅう 「ねえ、これ、寒いときなんか、いいかもしれない ! ばっかりじゃっまらないじゃない ? 」 よろこ だ 「なるほどねえ。お客様にお出ししたら、わりと喜ばれるかもしれないなあ。 こ、つ 康さんが、うなすいた。 た あ おっこは、立ち上がってばんざいした。 めいぶつがしかんが 「さすが康さん ! こんなに早く、名物菓子を考えつくなんて、天才じゃないの ! 作り かた とうじっ しゅうこうりよかん 方もそんなにむずかしくないし。これなら当日、秋好旅館であたし、作れるわ。」 ひとりつく 「おじようさんが一人で作るんですか ? どよ、つこ、つ し′」と はるや あきの 「だって、土曜は康さん、春の屋の仕事があるでしよ。それに、秋好旅館だって秋野さん まっき だいひょう しゆっじよう はるやだいひょう ・ : 真月さんが代表で出場するんだもの。春の屋代表として、あたしががんばらなく ちゃ。 むね おっこが、まかせてくれといわんばかりに、胸をたたいた。 きやくさま め みあ はや あたた てんさい しゅうこうりよかん かしおんせん つく つく 143

6. 若おかみは小学生!

ちょうはっきものすがた にんじゅっししよう 長髪の着物姿が、まるで忍術の師匠のようだ。 あじ 「ありきたりの味だ。 さら にがかお 苦い顔をして、どの皿もすぐにわきに押しやってしまう。 えだまめ なか かお いけづきわがしてん その中で、源蔵がおや、という顔をしたのは、池月和菓子店の″枝豆バターどらやきみ 」っ一」 0 えだまめ くふう 「これは、ちょっとした工夫だが、なかなかうまいね。枝豆あんと、フレッシュバター こうかんも あ つく が、なかなか合ってる。あんがていねいに作られているのが好感が持てるね。」 げんぞうことば 源蔵の言葉に、としおがばうしをとって、 「ありかと一つ」ざいますー さ あたま と頭を下げた。 つぎ 次は、おっこの番だ。 まえなら しんさいん おっこのプリンが、審査員たちの前に並べられた。 あっ 「ふうむ、熱いプリンか。 くち りようていじゅうもんじ 料亭十文字のオーナーが、スプーンを口に入れて、うなった。 げんぞう ばん お 189

7. 若おかみは小学生!

せつめい と説明しなくても、みんながうなずいた き せき 「ねえ、関さん。ピンふりには気をつけたほうがいいわよ。」 やすじかん みみう いけづきわがしてん 休み時間に、こっそり耳打ちしてくれたのは、池月和菓子店の池月よりこだ。 「ピンふりって ? 「ピンクのふりふりよ。 さ おやゅびた きようしつなか そう言って、よりこは細い目をさらに細めて、びっと親指を立てて、教室の中ほどを指 した。 いみ そう言われれば、すぐにその意味はわかった。 き ぜんしん あかかみけ 全身わさわさのフリルのピンクのワンピースを着た、赤い髪の毛をくりんくりんにカー おんな きようしつ ルさせた女の子が、教室のまん中に座っている。その子のまわりには、やはりフリルっほ と ま おんな はな わら いかっこうをした女の子たちが取り巻いていて、なにごとかを話してはくすくす笑ってい る。 むすめ あきのまっきしゅうこうりよかん 「秋野真月。秋好旅館のひとり娘よ。 しゅうこうりよかん 「秋好旅館って ? えーっとあのでつかい ? 」 こ ほそめ なかすわ ほそ こ いけづき

8. 若おかみは小学生!

もじ たんじようび そこで、「お誕生日おめでとう。ーと、チョコレートで文字を入れてもらえるはずだ。 まえ たんじようびはるや すっと前、おっこの誕生日に春の屋に泊まりにきたとき、おばあちゃんが買ってきてく れた。 ぐら 外はもううす暗くなってきていた。 間に△日つだろ一つか なんじ ( あのケーキ屋さん、何時までだっけ。 ) おっこは、飛ぶような気持ちで走った。 ちゅう かんが ぼう こんなとき、ウリ坊だったら、びゅんと宙を飛んでいけるだろうな。などと考えた。 ぼう ウリ坊に買ってきてもらえばよかった ? ・ほ、つ だめだめ。ウリ坊かケーキを持とうとしても、するっと通りぬけちゃうよ。 ゅう そこはいいろ タやみの底に灰色のシャッターが、そこだけばこっと墨をぬったように黒く見えた。 ケーキ屋は閉まっていた。 シャッターをがんがんたたいてみたが、だれも出てきてくれるようすはなかった。 おも いけづきわがしてん 池月和菓子店のことを思い出して走ってみたが、そこも閉まっていた。 そと すみ とお 106

9. 若おかみは小学生!

きすす おっこは、気が進まなかった。 はるや せんげん まっき 真月とは、「春の屋あとつぎ宣一一一一口」をして以来、ロをきいていない っしょに一行ってあ一、けよ , つか。」 「わたし、 ) ナづき こえ いけづきわがしてんしー 声をかけてくれたのは、池月和菓子店の池月よりこだった。 ひとり 「ピンふりのとこなんて、一人で行くの、うっとうしいもんね。ついてってあげる。 ということで、ありがたく、よりこにつきそってもらって秋好旅館に行くことにした。 しゅうこうりよかんうらて まっき 真月の自宅は、秋好旅館の裏手にある。 しゅうこうりよかんげんかんむ うらまわ しかし、よりこは、裏に回らすにまっすぐ秋好旅館の玄関に向かった。 ひ がっこうやす - り・よかん あきの 「どうせ秋野さんは旅館のほうにいるわよ。学校を休んでいる日はいつもそうなの。 「いつもそうなのって : 「まあ、行けばわかるわよ。」 あし ひろ おっことよりこは、華麗な巨大シャンデリアのきらめく、広いロビ 1 に足をふみ入れた きやくさま ちゃ にわまえ ゆったりとひろがる庭を前に、ふかふかのソフアに身をしずめたお客様たちが、お茶を のんで、くつろいでいる。 じたく かれい 0 きょだい くち み しゅうこうりよかん 131

10. 若おかみは小学生!

てんこうはじ 転校は初めてではなかった。 わか がっこうあたら まえがっこうとも 前の学校の友だちと別れるのはさみしかったが、新しい学校で新しい友だちができるの すこたの は、少し楽しみでもあった。 はるやりよかんす せきおりこ 「はじめまして。関織子です。おっこ、って呼んでください。春の屋旅館に住んでます。」 はるや 「へえ、春の屋さんの子なんだ。 はなゅ や わがしやしよくどう がっこう おんせんがい 温泉街のまん中にある学校だから、旅館やみやげもの屋、和菓子屋に食堂など、花の湯 しようばい いえこ おんせんどお 温泉通りで商売している家の子たちが半数だった。 はるやりよかん 春の屋旅館といったら、 「ああ、あそこ。 3 転校そうそう てんこう なか こ りよかん はんすう よ あたら とも