部長 - みる会図書館


検索対象: 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート
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1. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

なまえ 「なんで、頭巾をかぶって、名前をかえたんですか ? ぶちょう かいわ こんらん ( ここからまた、部長とレーチとわたしの会話にもどるけど、混乱しないでね。 ) わる ぶちょう 「それは、悪いことをたくらんだからだろ ? ね、部長。 ぶちょう レーチにいわれて、部長がうなずく。 「さすがに、レーチくん。いつもわるだくみしてるから、こういうことはよくわかるみたいだ なまえ ぶちょう ぶちょうざ 「おれの名前は、レーチではなく麗一ですが : そういうカマキリ部長だって、部長の座を手 にいれるために、ずいぶんあくどいことをやったってうわさですが なまえ かたぎり 「ばくの名前は、カマキリではなく片桐だが : ぶちょう きんばく ひょうめんじよう 部長とレーチのあいだに、緊迫したムードがただよう。表面上はふたりとも笑顔なのが、よ けいこわし ふんいき ぶちょう わたしは、雰囲気をかえるために部長にいった。 むかしばなしつづ 「さあ、昔話の続きを話してください ね。 ずきん はな れいいち 0 0 えがお て

2. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

こえあい 「その声は亜衣くんだね。」 ぶちょうかお 部長は顔をあげもしない。 ぶちょう ほんかくてきじゅんぶんがく 「部長のことだから、きっと本格的な純文学なんでしようね。」 ぶちょう はんのう このプライドをくすぐるせりふに、部長はピクッと反応した。 こんご さん」う なかみおし 「今後の参考のために、ちょっと中身を教えてもらえません ? 」 「しかたないな。 ぶちょう 部長か、いすをくるっとまわして、わたしにむかいあう。 くる ぶちょう なかま やったー これで部長も、しめきりで苦しむ仲間になるわ。 こんかい こうほくちほうった れんきんじゅっしはなし 「今回、ばくがテーマにえらんだのは、この虹北地方に伝わる錬金術師の話なんだ。」 れんきんじゅっし 「錬金術師って、なんです ? 」 れんきんじゅっしし ちゅうがくねんせい 「中学二年生にもなって、おまえ、錬金術師も知らないのか ? はすかしい ! 」 ちょうかいわ わたしと部長の会話に口をはさんできたのは、レーチだ。 し 「なによ、あんたは知ってるの ? 」 やくひんまほうつか れんちゅう 「あたりまえだろ。薬品や魔法を使って、金をつくろうとした連中のことだよ。」 ぶちょう わたしは部長のほうを見る。 くち み きん

3. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

かたぎりぶちょう 片桐部長がわたしのほうをふりあおぐ よこく ぶちょうせなか しゅんかん その瞬間わたしは、なんの予告もなく、部長の背中をけりこんだ。 まえすす ぶちょう おと ひめい 「ワギャギャギャギャ ! 」という悲鳴と、はでな音をたてて、部長とその前を進んでいたレーチ かいだん カ階段をころがり落ちていく。 「だいしようぶですか ? 」 じかん ちょうたい すうびようかいだんそこ 数秒で階段の底についたレーチと部長に対して、わたしと千秋、ジュン爺は、ゆっくり時間を しんちょう かけて慎重におりた。 いわさき ほね 「あぶないじゃないか、岩崎くん。骨でも折れたら、どうするつもりだ。」 ひ もんく かたぎりぶちょう 文句をいう片桐部長に、わたしは冷ややかにいった。 「スカートのぞいたら、けりをいれるって、いってあったでしよ。」 「のぞいてない ! 」 じようきようしようこ 「さっきふりかえったでしよ。状況証拠は、それで十分です。 しんばい 部長とちがって、レーチは心配のしかたがちがう。 かいちゅうでんとう 「よかった、懐中電灯はこわれてない。 ひじよろ・ かいちゅうでんとうしんばい 自分のからだより懐中電灯の心配をしている。たいしたもんだ。ほんとうに、レーチは非常 ぶちょう じぶん お お じゅうぶん ちあき じい

4. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

だい がっしゆく 大イベントである合宿にいけない。」 ちょうしんかたぎりぶちょう めがねゅび いちじき 長身の片桐部長が、メタルフレームの眼鏡を指でなおす。一時期べっこうフレームにかえてた ひょうばんわる めがね ぎやくさんかくけいかお んだけど、評判が悪くてもとどおりにした、いわくつきの眼鏡だ。やせて逆三角形の顔と、細く ながてあし おも て長い手足は、カマキリを思わせる。 ぜったいじようけん 「つまり、きみたちには、つぎの二つが絶対条件となってくる。すなわち、一つはしめきりを守 う さくひんか ること。二つめが、売れるおもしろい作品を書くこと。」 ぶちょう 0 「おことばですが、カマキリ部長 つうしよう ねんせいぶいんなかいれいいち わたしとおなし一一年生部員の中井麗一ーー通称レーチが手をあげる。いつも寝てばかりで、ぜ げんこうか かたぎりぶちょう ぶんげいぶいん んぜん原稿を書いたりしないけど、いちおう文芸部員。それに、片桐部長のことをカマキリに似 もんだいじ ぶちょう てるからカマキリ部長ってよんだりもする問題児。 う なっとく きよねんせんだ ) しわたなべぶちょう さくひんようきゅう 「去年、先代の渡辺部長に「しめきりでせかされたうえに、売れる作品を要求されるのは納得で ちょう きない。』といったのは、カマキリ部長しゃなかったですか ? なまえ かたぎり 「ばくの名前は、カマキリではなく片桐だが : まえお ぶちょう そう前置きして、部長がつつける。 じゅんぶんがくしこうにんげん じぶんなっとく さくひんか 「たしかに、ばくのような純文学志向の人間は、じっくり自分の納得がいく作品を書きたいも菊 0 て ね ほそ に

5. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

レーチかきく。 かたぎりぶちょう 片桐部長は、しばらくうでを組んで考えてから、おもむろにくつをぬいだ。そして、そのくっ な をホイと投げた。 みぎみち ポテンとくつは落ち、つまさきが右の道をさす。 みぎみち 「よし、決まったー 右の道をいこう , こえ かがくてきほうほう 部長の決断に、わたしたちは声がなかった。できるなら、もうすこし科学的な方法で、道をえ らんでほしかった。 「さあ、だまってばくについてこい にっぽんいちむせきにんこえ ぶちょう 日本一の無責任な声で、部長がわたしたちにいう。 にん ぶちょうみ お わたしたち三人は、部長に見えないようにため息をつき、そのあとを追った。 じゅん ちかどうすす ぶちょうちあき レーチ、わたし、部長、千秋、そのあとにジュン爺の順で、わたしたちは地下道を進んだ。 「とまれ ! 」 」さく、す・るど ~ 、しオ とっぜんレーチが、ハ 「どうしたのよ、レーチ ? 」 ちょうけつだん き お かんが みち 152

6. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

かたぎりぶちょうちあき そうだん けつか わたしたちーーーわたし、レーチ、片桐部長に千秋ーーは、相談した結果、大イチョウの根もと あな に穴をあけ、地下におりることにした。 ちあき かたぎりぶちょうだい わたしと千秋、レーチは、地下におりることに反対だった。でも、片桐部長が大の乗り気で、 ) 、つこ。 なにがなんでもおりるんだとししー ぶちょう そうび 「でも部長、わたしたち、なんの装備もないんですよ。」 ちあきはんたい ちょう 千秋の反対のことばも、部長にはつうしない。 かえ 「ちょっとのぞいて、あぶなくなったら、すぐに帰ってきたらいいじゃないか。 たんけん じかん 「それに、 いまから探検している時間はありませんよ、しめきりがあるんですから。 かんしんぶんげいぶいん しめきりを気にする感心な文芸部員のわたしのことばも、 「いまだけは、しめきりをわすれようしゃないか。」 たいまくたい ちょうさ 第九幕第三の調査 き はんたい おお 138

7. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

じたい 事態に強い。 かいだん ひろ ある 階段をおりたところは、畳が二枚くらいしける広さがあった。そして、人が立って歩けるくら さき つうろ うえみ あな いの通路が、先にのびている。上を見てみると、はいってきた穴がバレーポールくらいの大きさ に見えた。 「どうする ? 」 ぶちょうある レーチがわたしたちにきいたけど、答えるよりさきに、部長は歩きだそうとしている 「ここまできて、ひきかえす手はないだろう。」 かたぎりぶちょうせいかく じゅんぶんがくじゅんぶんがく ぶちょうぶんがくたいけん 片桐部長の性格がよくわかった。ふだんは純文学、純文学といってるくせに、部長の文学体験 えどがわらんぽ しようねんたんていだん は、ぜったいに江戸川乱歩からはじまってる。いまのこの乗りは、少年探偵団だ。 しようねんたんていだん 「ほっ、ばつ、ばくらは少年探偵団ー こ′」えうた ぶちょう お 小声で歌いながら、わたしは部長のあとを追った。 みちたんちょうぽんみち かいちゅうでんとうも ぶちょうちあき 道は単調な一本道だ。懐中電灯を持ったレーチのあとに、わたし、部長、千秋、ジュン爺の じゅんばんすす 順番で進む。 ちかどう にんげんて 「これは、しぜんにできた地下道に、あとで人間が手をいれたんだろうな。」 み つよ たたみ て こた ひとた 0 おお 146

8. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

「どうしたんだい ? かたぎりぶちょうこえ わたしたちのようすを見て、片桐部長が声をかけてくる。 なかなか、ことばがでてこない。 すす ぶちょうげんこう 「部長は原稿のほう、進んでるんですか ? はなし ちょう 話をそらすように、レーチが部長にきいた。 じゅんんがく じゅんぶんがく 「純文学をあまく見てもらってはこまるね、レーチくん。純文学がそんなにかんたんにできるは ずないだろ。 そんなもんなのかな : ・ 「それに、一つ気になってることがあるんだ。 気になること ? ぶちょう 「なんです、部長 ? そうふ おうごんぶつぞう 「このあいだ、黄金の仏像をかくした宗歩の話をしただろ。」 わたしたちは、うなずく。 しりよう こうほくがくえん そうふ おうごんぶつぞう 「資料をしらべてみると、この虹北学園にも、宗歩がかくした黄金の仏像への入り口があるそう き 0 き み み 0 はなし ぐち 130

9. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

ぶちょう 「だけど、いまからクラブよ。部長に、なんて言いわけすんのよ ! 」 かたぎりぶちょう しっと そのとき部室の戸があいて、片桐部長がはいってきた。 しさく こうさいじ ぶちょう 「あっ、カマキリ部長。いまから詩作のため、虹斎寺にいってきます。」 かたぎり : 。ほう、とうとうレーチくんが、詩を書く気になったの 「ばくはカマキリしゃなく片桐だが : かね。」 しんよう かたぎりぶちょう 片桐部長は、ぜんぜん信用してない言い方だ なまえ れいいち 「おれの名前は、レーチじゃなく麗一ですが : ちあき つづいて千秋の言いわけ。 げんこうしりよう いえ 「家まで原稿の資料をとりにいってきます。 みずの 「水野くんの家は、たしか ころ・さいじ 「虹斎寺です。ー さい′」 最後は、わたしの言いわけ。 しあわ ねが こうさいじ 「虹斎寺に、みんなの幸せをお願いにいってもいいですか ? 「ダメ。 いえ 0 かた 0 まあ、楽しみにしててください たの し か き

10. 踊る夜光怪人 : 名探偵夢水清志郎事件ノート

あそ いちばん問題なのは、わたしとレーチは一年生のときからおなじクラスで、クラブもおなじっ絽 かおみ がっこう てこと。だから、学校にいるあいだ、わたしはずっとレーチの顔を見ていることになる。 じようしき じようしき きようじゅ にんげん もうすこしレーチに常識があったらいいんだけど ( 常識のない人間は、教授ひとりでたくさ もんだいじ ん ) 、問題児のレーチといっしょにいるのは、かなりつかれる。 げんこうしあ ひるね 「では、がんばって原稿を仕上げてくれたまえ。おれは、ちょっと昼寝するから。 きらく ざっし レーチはそういって、かべぎわに積まれた雑誌の上に寝ころがる。気楽なやつめー でも、こいつにかかわってるひまはない。 ぶしつみ せまい部室を見まわすと、部員みんなが ( といっても、ぜんぶで九人だけど ) 、レーチをのぞ げんこうようし いて、原稿用紙やワープロにむかっている。 がっしゆく すがた ぶちょう せきにんかん ねっしん かたぎりぶちょう いちばん熱心なのが片桐部長。わたしはその姿から、部長としての責任感より、合宿にいって かん ねつい 遊びたいという熱意を感した。 げんこうようし ぶちょう わたしは、部長のうしろにいって、原稿用紙をのぞきこんだ。 じ げんこうようし かたぎりぶちょう ェイチ 片桐部長は、二のチョンチョンにとがったえんびつで、カリカリと原稿用紙に字をきざんで かん つか ェイチ いた。 ( 二なんてかたいえんびつを使っているので、まさに〃きざむ〃って感じ。 ) ぶちょうすす 「部長、進んでますか ? もんだい っ ねんせい うえね にん