ばんゅめ その晩、夢の中に君があらわれ しんちく ました。新築したはかりのかれの家 もん の門のまえに、ばんやりとつったっ ているのです。 「君じゃないか。きみの家へどう してはいらないんだいー 「うん、せつかく一年ぶりでかえっ てきよったというのに、門かきつく しまっていて、中へはいれんのだ」 もん 門などしまっていないのに、へん エーくん エーくん もん 3 9
夢の中のおとずれ風 この話は、ほんとの話です。 ゅうじん ていねんしごと わたしの友人で、定年で仕事をやめてから、からだをこわして、ぶら し ぶらしていた < 君が、かぜをこじらせて、ばっくり死んでしまったんで し す。なんともあっけない死にかたでした。 しゅうき はやいもので、一周忌がやってきました。墓まいりをしながら、人 いのち の命のはかなさがつくづくおもいやられました。 はなし エーくん はなし よしざわかずお 吉沢和夫 2 9
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んが、ひざをそろえて、ちょこん とむねの上にすわっているんです。 あたま 頭をだんごにゆった、つぎはぎだ わたい らけの綿入れはんてんをきたおは あさんで、ギロッとこっちをにら んでいるんです。 おいはらおうとおもったんです か、手かあがらないんです。おき あかろ、つとしてもダメ。目はさめ ているんだけど、どうにもからた 5 8
る両親の家にとまったんです。 あか あがた 明け方、四時か五時ごろですか、すこし明るくなりかけたころなんで すけど、 いきなりパッとなにかがむねの上にのってきたんです。 ( また、子どもがのってきたな ) とおもいました。 当時、二歳と四歳のばうすがいて、よくそんなことがあったもんです から。 ばん でも、「まてよ、とおもったんです。その晩は、うちじゃなくて、ひ いえ とりで親の家にとまってたんですからね。 あたま それで、おそるおそる目をあけてみると、しらが頭の小さなおはあさ りよ、つしん じ おや さい さい 4 8
ゅうになってほった。すると、ひとはりごとに土の中からひかるものか とびたった。 「ホタルだー むすう はればはるだけ、無数のホタルがやみの中にきえていった。だが、ホ タルにみほれているひまはなかった。おわれるようにひっしになっては りすすむと、やがて、シャベルが石にぶちあたった。石をもちあげてみ ると、その下にすやきのなべがあった。 きんか 「ほんとだったんだ。この中に金貨がはいっているのだろう」 のうふ どきどきしながら農夫がなべのふたをあけてみると : : : 中にあったの くろすみ は、まっ黒な炭のかたまりだった。 8
ばしょ 場所がみえたような気がした。 にし 西の山だー よるのうふ つぎの夜、農夫はシャベルをも って九時に家をでた。なんとして たから あくま も悪魔がくるまえに宝を手にいれ なけれはならない からだはしぜんに山のほうにむ かった。山についたときは十時に もなっていなかっただろう。 ここだとかんじたところをむち 9 7
っしゅん、ゆうわくにまけそうになった。だが、 せわ 「大きなお世話だ、はっといてくれー ふりしばるようにさけぶと、目をさました。あせびっしよりになって のうふ 農夫はその日一日、なんども仕事の手をやすめては、かんがえこんだ。 たから 「宝なんてほんとうにあるのだろうか。たましいをうらすに手にいれ るわけにま ) 、 し力ないだろうかー よる あくま そしてその夜は、なんとか悪魔とかけひきしてみようとおもいながら、 ふとんには ) っこ。 ねつくとまもなく、 こえ 声がした。 し」と 7 7
のうふゅめ と、農夫は夢の中でこたえた。するとそれきり、なにもきこえなくなった。 よるあくまゆめ ところが、つぎの夜も悪魔は夢の中にやってきた。 とち くろう いっしよう 「こんなやせた土地にしがみついて、一生あせ水たらして苦労するな んて、ばかげたことだとおもわないかごうせいなくらしかしたくない のか。うん、と ) しいさえすればいいんだぜ . たしかにくらしはきびしかった。朝はくらいうちからおきだし、日の まいにち ′、ろ、つ くれるまで、石ころだらけの土をたがやすという毎日だ。そんなに苦労 いっか しても、一家がやっと飢え死にしないでいられるくらいのしゅうかくし じ」く かなかった。地獄のくらしとたいしてちかわないのしゃないかい てんごく きぶん この世にいるうちだけでも、天国にいる気分をあじわってみるか あさ