男 - みる会図書館


検索対象: 金しばりレストラン
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1. 金しばりレストラン

おかみさんがドアをあけると、みすばらしい身なりの男が、びしょぬ れになってたっていた。男はぶるぶるふるえながらいった。 やどや 「あのう、ひと晩とめてもらえないでしようか。このあたりには宿屋も なさそうだし : おかみさんはすっかり気のどくになった。 「そんなにぬれて、おこまりでしよう。うちにはよぶんのべッドはない みせだんろ んですけど、店の暖炉のそばでよけれは、おとめしますよ」 ゃね 「ありかとうございます。屋根のあるところなら、どこでもいいですか ら」 男は中にはいって、さっそく暖炉のまえでぬれた服をかわかした。し ばん だんろ み ふく 3 6

2. 金しばりレストラン

に目をさまさないのだ。 しよくどう まど だいどころ 女は台所へもどって、のぞき窓から食堂をみてみた。男はどこから かねめ おきもの とりだしたのか、大きなふくろに、ろうそく立てやら置物やら、金目の ものをつかんでは、つぎつぎにつめこんでいた ゅび こゅび ゅび ひと テープルの上の手をよくみると、人さし指から小指まで、四本の指か おやゅび らほのおがあがっているのに、親指だけは火がついていない。家の中に ひとりだけ、おきている人がいるしるしだ。でも、男はねうちがありそ うなものをさがすのにいそかしくて、そんなことには気づいていないよ うだった。そのうち、めばしいものかなくなったらしく、男はとなりの へや 部屋へはいっていった。

3. 金しばりレストラン

もちろんママも、いままであったことのない、人たちだったという。 「しゃあ、もうひとりの男の人は : : : 」 こえ ママの声がふるえている。わたしはママと、いちはんはじの、ひつぎ の写真をみにいった。 ゅめ やつばり、夢にでてきた、男の人だった。 よ、つふく しやしんきもの 写真は着物ではなく、洋服だったけれど。 こ、つつうじこ びようき ママがきいたところによると、女の人は交通事故で、男の人は、病気 た玉 で亡くなったということだった。 りようしん せいじんしき 女の人の両親は、むすめさんをひつぎにいれるとき、成人式できた、 せいじんしき ふりそでの着物を、きせてやったという。成人式にとった、ひつぎのま しやしん きもの 6 4

4. 金しばりレストラン

′しお 6 は よまえた 3 い、 いる人はぎよっとした。 「な、なんだって ? 」 こえ ひめい 男の人が悲鳴のような声をだした。 ころ 「おれを殺したのは、おまえだろ」 でんわ こえ かすれた声が、たしかに電話のお くからした。わかい男は、ガチャン じゅわき と受話器をおくと、にげるよ、つにで ていった。 ぎようれつ でも、行列はくすれなかった。 ぎようれつ 行列のつぎの人、それは五十すぎ

5. 金しばりレストラン

「すんだんですか」 こえ わかい男の声がして、ばくはとびあかった。 「すんだならどいてくれますかー 「はい」 ぎようれつ ばくはもうひとつ、かけたかったけど、どいた。また行列のしつば についた。 でんわ わかい男は、なにやらムニャムニヤ、電話にいっている。そのうち、 目をどこかへむけて、ばーっとした顔になった。つなかるまでの、おち じかん つかない時間だ。あの人がよびだした人も、ねてるのかな。 でんわ そのときだ。電話がキーンという、すさましい音をだした。ならんで かお 2 2

6. 金しばりレストラン

夢とちか、つじゃないカ 「気のせいかしら」 ゆみこ 由美子さんは、さっきからだれかにあとをつけられているような気が や してなりません。タバコ屋のかどをまかりなから、ちらりとふりかえっ こうもん たとき、おもわす「あっ、あの男だ . とつぶやきました。校門をでたと くろふく ころにたっていた、黒い服をきてサングラスをかけた男があるいてくる ゆみこ のが目にはいりました。なんだか、こわくなった由美子さんは、カバン ゅめ つねみつとおる 常光徹 1 1 1

7. 金しばりレストラン

いの、男の人だった。 女の人は、はなやかな、ふりそでの着物をきている。男の人は、白っ きもの てい着物だっこ。 : わたくし : : : のもので : : : はしめて : 「あの : : : こんなにおそく : ごあいさっ : こえ ばくばく口をあけて、しゃべってるのに、声かひくいせいか、よくき きとれない。、、 とうやら、おじいちゃんのしりあいのようだ。 しようこう じかん 「こんな時間に、お焼香にきたのかな : : : 」 わたしはふとんの中で、首をかしげた。 かん つやばん ふたりとも、おじいちゃんに、そぐわない感しがする。お通夜の晩に、 きもの 4

8. 金しばりレストラン

じゅわき 由美子さんはがっかりして受話器をおくと、あたりのようすをうかか くろふく すがた いました。ところが、さっきまでいた黒服の男の姿がみえません。 「やつばり、気のせいだったのかしら」 くろふく はっとして、外にでたときです。どこにかくれていたのか、黒服の男 はもの かススッとちかついてきたかとおもうと、 いきなり、刃物をふりあげて おそってきました。 「キャーツ こえ ひめい 悲鳴をあげた、その声で目かさめました。 ゅめ 「ふーっ。夢だったのか」 べッドの上で大きなため息をついたとき、 ゆみこ そと 1 1 5

9. 金しばりレストラン

くろふく ッとちかついてきた黒服の男が、ひくい声でつぶやきました。 ゅめ 「なんだ。夢とちがうしゃないか , こえ 1 1 9

10. 金しばりレストラン

「ねえ、すぐ車でむかえにきて」 「車で ? ぐあいでもわるいの」 「なんだか、へんな男の人にあと をつけられているみたいなの、 「いまどこ ? ・ でんわ はなやまこうえん 「花山公園まえの電話ポックス , 「でも、いまだめよ。たいせつな きやく お客さまがみえてるの。気をつけ てかえってらっしゃい」 でんわ そういうと電話はきれました。 1 1 4