こえ 「そんなものはいらないわ。」ケアリイが、つんつんした声でいいました。「木に立て かけておおきなさい。」 「だけど、プライスさんのだよ。」 「どういうこと ? プライスさんの 0 て ? それ、ばうきよ。」 かお ポールは、おこった顔をしました。 「うちのしゃない。プライスさんのだ。。 フライスさんは、それからおちたんだよ。プ ライスさんは、それに乗るんだよ。 「プライスさんがそれに乗るって ? 「そう。そうしゃない ? プライスさん。」 あお プライスさんは、ますます青くなりました。プライスさんは、子どもたちにつぎつ ぎと目を、フっしていきました。口をあけ、それからまた、ロをとしました。ことばは なにもでてきませんでした。 くち くち
おも フライスさんは、わらいました。 ( 「よかった。と、ケアリイは思いました。「プラ イスさんは、い らいらしてないわ。」 ) ましない師は、プライスさんをにらみつけました。プライスさんは、じいっとす おも わっています。おかしなくらいしっとしてる、と、ケアリイは思いましたーーーーでも、 なにごとかか、おこりかけていたのです。 じめん プライスさんと地面のあいだに、すきまができました。すきまは、大きくなってい くうちゅう きます。あいかわらすすわったかっこうのプライスさんは、空中に一メートルちかく のばってしまいました。 ごえ おどろきのささやき声があがりました。プライスさんは、うきあがったまま。ケア リイには、プライスさんが歯をくいしばり、その顔が赤くなっているのがわかりまし 「やっちゃえ、プライスさん。 , ケアリイは、ささやきました。「がんばって。 あ おお 186
「あらまあ。」プライスさんがそういうのは、これで三どめでした。「わたしは、とて も気がひけているのよ。わたしたちは、あの島にいっちゃいけなかったんだわ。でも、 おも うみくうき しすかな、いい日だと思ったし、海の空気をすうのは : フライスさんは、そこでことばをきりました。 くち 「見てよ。 , ポールが、ロをはさみました。「ピンクのキャベツだ。」 きょだい ケアリイは、下を見ました。。 こみのあいだに、プライスさんの巨大なばらのつばみ がありましたー 「ああ、プライスさん ばらを見ながら、ケアリイはさけびました。ばらは八百グラムはあるでしよ、フ。 あか プライスさんは、赤くなりました。 「わたし、きのうから、とても考えたのよ、ケアリイ。ゅうべのことと、あなたがフ ラワーショーのことでいったことを」ーー。」 したみ かんが 217
ぎゅうにゆうや 牛乳屋はおくれました。 こみち まーレた。 子どもたちが小道のわきの草の中に立っているとき、ケアリイかいい 「たぶん、ちょっと走っていって、プライスさんにさようならをいうことができるん しゃないかしら。」 「だれかひとり、のこってたほうかいしオ よ。と、チャールズがいし ) ました。「荷物の ま ぎゅうにゆうや 番をしたり、 ノ力し医なト小。 牛乳屋がくるのを待っためにね。きみとポーレゞ、 ケアリイは、ためらいました。 フライスさんにさよ、フならを ′、さ なか た にーつ 214
「いつも、さびてるんです。」 ました。 ケアリイカいし 「さあね、わたしにはわからない ようじん プライスさんは、立ちあがり、くじいた足を、たいへん用心ぶかく、ゆかにつけま した。 「もっていって、テストしなくては。」 プライスさんは、ドアのほうにむかいました。 「見ていていいですか ? プライスさんは、ゆっくりとふりかえりました。ねっしんな目が、プライスさんを おも ぐるりととりかこみ、プライスさんをつかまえてしまっているよ、つに思えました。子 どもたちは、プライスさんがためら、フのを見ました。 「おねがい、プライスさんー み あし み め
くら そら の、暗いかげのむこうにある、白っぱい空を、べッドにねたまましっと見つめている よる と、ポールはわくわくしました。ポールが目をさまさない夜もありました。ポールが 目をさましていたのに、プライスさんがこない夜もありました。それでもポールは、 プライスさんをしよっちゅう見ましたし、プライスさんは、見るたびに、とぶのがす こしすつうまくなっていました。 さいしょのうち、プライスさんはほうきに横すわりし、ふらついてばかりいたので、 おも ポールは、なぜほうきにまたがらないんだろう、と思ったものでした。プライスさん かたほうの手でほうきにつかまり、もうかたほうの手でばうしをおさえていまし 長いくつをはいた足は、月のてる空をバックに、とてもきみように見えました。 いちど、プライスさんはおっこちました。ほ、つきは、とてもゆっくりとおりてきま した。まるで、おちょこになったこ、フもりかさの柄に、プライスさんかしがみついて じめん しんばい しるようなふうでした。ポールは、プライスさんが地面につくまで、心配そうに見て しろ よる
ケアリイは、気がすすまないでいるプライスさんの手に、ほうきをおしこみました。 みんなは、プライスさんがまどじきいをこえるのをてつだいました。 「ああ、プライスさんは、とてもしんちょうに、ほうきのはしにしがみつきながら、 しいました。「こんなふうにやるんじゃないのに。 「わかってますプライスさんをちょっとおしながら、ケアリイはささやきました。 「でも、しかたがないでしよ。 三人は、プライスさんがゆっくりとただよいおりていくのを見ていました。それか ら、プライスさんがスカートをつまみあげ、ほうきをもって、しげみの中にかくれる にんあんしん のを見ました。プライスさんのすがたが見えなくなってしまうと、三人は安心して、 ほうっと息をつき、うしろをむいてー - ーーエリザベスの目に面とむかうことになりまし うえ ぶん しました。「三十分もテープルの上 あさ 「朝ごはんが、ー戸口に立っているエリザベスはい ) とぐちた めん なか 204
一しようじき かた うに正直で、気持ちのいい方ですね。 ながはな ケアリイは、両うでをプライスさんの首にまきつけました。プライスさんの長い鼻 に、なみだが一てきながれているのが感じられました。 ひとく じんしゅ 「ありがとう、プライスさん。なにもかも、人食い人種のことだって。」 かんどうてき かお 感動的なしゅんかんでした。ポールはすこしめんくらって、むつつりした顔をして じぶん いました。自分がまだ魔法にあきてもいないのに、プライスさんが魔法をそんなふう きぶん に考えてしまうなんて、ポールはおちつかない気分がしたのです。 くるま ぎゅうにゆうや おと 牛乳屋の車がガチャガチャと音をたてて門のところへやってくると、三人ははっ としたくらいでした。プライスさんは目をふきました。 「さあ、あなたたちはいかなきゃあ。」 ぎゅう ば、フしをまっすぐになおしながら、プライスさんはい ) しました。チャールズが、牛 にゆうやくるま 乳屋の車からとびおりて、プライスさんとあくしゅしにやってきました。プライスさ かんが きも りよう まほう まほう にん 220
イスさん、ほんとうにきいたんです。 ケアリイは、プライスさんのわきの草のに、どさりとからだをなげだしました。 「たのしかった ? 」プライスさんは、すこし気がかりなようすで、ききました。「ポー ルは、ほとんど目があけていられないような顔をしてるわね。 ケアリイは、あまいかおりのするしばふのしばを、すこしひきぬきました。 「あの、正確には、たのしんだとはいえません。」 と、ケアリイはみとめ、ぬいたしばを、また、おしこもうとしました。 「たのしまなかったんですって ! 」 プライスさんがさけびました。プライスさんは、心配そうでした。 まなしくち それから、三人は、ゆうべのことをすっかり話しました。人の話に口をだしたり、 いっせいにしゃべりあったりしましたが、プライスさんには、すこしずつ、の すじがわかってきました。「法律」とのばうけんの話をすると、プライスさんは、 ほ、つりつ かお ひと 130
「わからないわねえ。 すこししてから、プライスさんがいいました。プライスさんは、ちょっと考えこみ ました。 「あれ、もってきましたか ? と、プライスさんはききました。 たま もちろん、ケアリイは、玉かざりを、こうしもようの防水布でできたふくろにいれて きんいろたま もってきていました。プライスさんは、金色の玉をとりだし、とほうにくれたように、 見つめました。 「べッドは、すこしもうごかなかったの ? 」 「ポールが上ではねたので、うごいただけです。 「下のほうが、さびているわね。 と、プライスさん。 した うえ ばうすいふ かんが