身で弾道の低伸する砲の意味 に使われるが , 実際には欧米 言葉として使われている。第 日本でいうカノン砲は榴 弾砲の手ごろさに押されてほ とんど消滅してしまっている ので , 現実にもこの区別は意 味を持たない。 だから , 自動キヤノンとは 日本語の「機関砲」にあたる 言葉と思っていただいてよ M60A 1 の 12.7 衂機銃。アメリカ戦車の標準的副武装だが , もはや威力不足は否定てきない い。「機関銃」と「機関砲」の 9.2 ん 9 の / くズーカ型の対空ミサイルで , 高度 45 ~ 1500 , 間の一線をどこで引くかは日本では問題たが一一例えば 距離 3600 以内の航空機を攻撃できる。また別の方法と 英語ではどちらも Gun である一一一一般には口径 0.5 イン して , 主砲から X M 712 カッパーヘッドのような対空用 チ ( 12. 7mm ) あたりで区切っているようだ。いずれにし の誘導砲弾を射ち出すことも不可能ではない。 ろ本稿で言及する口径 20E 以上の自動キヤノンは , 文句 しかし , S A— 7 やアメリカのスティンガーのような なく「機関砲」の部類に入ることになる。 歩兵携行の対空ミサイルは , 射手が肉眼で目標をとら 表は , 現在実用になっている代表的な自動キヤノンを え , 体をハッチから大きく乗り出して発射しなければな らず , 乗員のうち誰かが対空警戒と攻撃に専念する必要 , が出てくる。また主砲からの対空砲弾発射も仰角などの 関係でいろいろと問題がある上 , 先ほどと同じ弾薬搭載 量の配分の問題も生ずる。 やはり対空防禦に関しては「餅は餅屋」 , 専門の対空 部隊にまかせ , 戦車の副武装は自衛用に留めておいた方 がよいだろう。 副武装には何が適当か これまで述べてきた副武装の条件をまとめると , 次の ようになる。 ( 1 ) 歩兵 , 軽車輛に対して 3000 川以上の距離から攻撃 できる 主砲と同軸の 7.62 。近接戦専用の対歩兵用武装である ( 2 ) 航空機の攻撃から身を守れる まとめたもので , 比較のために現用の戦車の副武装に使 さらにまた , 岡田氏の記事にもあったように , A T M われている小口径自動火器 ( 機関銃 ) もいくつか加えて に攻撃された場合 , 戦車は回避運動を行わなければなら ある。 ない。 この表からもわかるとおり , 自動キヤノンはすでに A すなわち , P C や M I C V の主武装として広く使われ , したがって ( 3 ) 行進間の射撃が可能である。 そのマウントや使用法なども多く開発されている。しか ことも条件のひとつになる。また , 対人用には HE , し MBT でこの種の兵器を持っているのは AMX30 ( 後 対空用には HE あるいは AP , 対軽装甲車輛用には AP 期型 ) と Pz61 のみで , しかも Pz61 は Pz68 に発展する と , 目標によって弾種を使い分けられることが望ましい さいにはこの副武装を落としてしまった。 から , これらの自動キヤノンは , かっての機関砲のイメージ ( 4 ) 複数の弾種を切り替えて射撃できる からは考えられないほどコムパクトでスマートになり , ことも必要である。 とり扱いも容易になっている。ほとんどは A P C /M I 以上のような条件を満たす兵器に , 口径 20 ~ 35 級の CV のキューボラ装備を前提とし , 車内へ突き出るレシ 自動キヤノンがある。キヤノン ( カノン砲 ) という単語 一部を極力小型化し , また打殼薬莢を車外に排出す は , 日本では榴弾砲 ( ハウィッァー ) と区別して , 長砲 るようになっているものも多い。 86
「鶏を割くに牛刀を用いる」 と言うことわざもあるが , た とえ戦車にとって重大な脅威 ではあっても , その強力な主 砲を ATM を持った歩兵や軽 車輛ていどにふり向けるのは 浪費ではないだろうか。筆者 としては , やはり主砲は対戦 車戦闘用にとっておいて , A TM の制圧には適当な副武装 をあてる方がよいと思う。 現在の副武装では不じ ゆう : ん K 70 は , 対空射撃が可能な 20 砲を砲塔に備えていた。 戦車の副武装は , 戦後ほと んど進歩しなかったといってよい。 いる。 ATM の有効射程は 308 以上もあるので , これ 現用の MBT は , 副武装として主砲と同軸に , また多 を制圧するには 7.62 ~ 12.7" 級 MG では有効射程が不足 くは砲塔の上面にも 7.62 ~ 12.7 級の機関銃 (MG) を する。 一方軽車輛についても , これらが ATM を搭載してい 装備している。その口径 , 使用法などには各国の考え方 る今日では , やはり 3000 以上の距離で制圧できる火力 があって , 例えば砲塔の上面の MG では車長キューボラ が必要である。また APC や I FV の普及で , 戦車はこ にとりつけられるもの , 外部に露出してついているが車 内から遠隔操作で射撃が可能なもの , 射撃するには身を れらにも対応しなければならなくなった。 乗り出さなければならないもの , などがある。また操作 また航空機も ヘリコプターを含めて一一一速度はこ する乗員が車長であったり , 装填手であったりする。 れまで以上に速くなり , 装甲板は厚くなり , ミサイルや これらの副武装は , 主砲を用いるまでもない , あるい ロケット弾による攻撃距離は遠くなる傾向にある。いず は主砲を使うのに適さない目標ー一歩兵 , 軽車輛 , 航空 れを考えても , 12.7n 級以下の MG では威力も有効射程 機などに対する攻撃に使われるものであった。歩兵に対 も不足といえるだろう。 航空機の脅威に対抗する手段としては , 小型の地対空 する威力からすれば , 現在の 7.62 ~ 12.7mn 級 MG でもじ ミサイルを戦車に装備することが考えられる。戦車では ゅうぶんである。なにしろ人間の装甲 ( 皮膚 ) の厚さ は , 数十万年来変っていないのだから。 ないがソ連軍の戦闘兵車 , BMP では , 搭乗する歩兵の 標準装備の中に S A- 7 、グレイル ( ソ連名ストレラ ) 洋 しかし , 戦車にとってただ目ざわりなだけだった歩兵 が入っている。 SA ー 7 は直径 7 , 長さ 135C 加 , 重量 が , いまでは強力な ATM を持って大きな脅威となって 代表的な車載型自動火器 有効射程 全長 重量 発射率注 1 主な使用車両 ( 注 2 ) 名 ( m ) ( k9 ) (rpm) FV432 ( P ) 、ベルギーー・レオパルト (P,C) 7 . 62 125.5 10.1 600 1000 1200 FN M AG T ・ 55 ( C ) 、 T ・ 62 ( C ) 、 BMP(C) PKT 7 . 62 116 650 M60 ( C ) 、 M551 ( C ) M73 7.62 89 14 500 625 900 74 式戦車 ( C ) 74 式車載 7 .62E 機関銃 700 / 1000 7 . 62 108.5 20 .4 M41 ( P ) 、 M48 ( T ) 、 M551 ( P ) 、 M113 ( P ) プラウニング M 2 HB 12 . 7 165.5 38 . 1 450 ー 550 1000 M60 ( T ) 、 LVTP7(T) M85 400 / 1050 12 . 7 138.5 27 .9 1000 テグチャレフ DSh K T55 ( P ) 、 T62 ( P ) 、 BRDMI(P) 12 .7 158.8 35.7 575 1500 TIOM(C,P) KPVT 14 . 5 200.5 49 . 1 600 2000 M6 幻 ト切冫・ AMXIOP(T) 20 テ・ユア′レ・・、ル・ 220.5 45 . 5 300 / 700 M693 ( F2 ) AMX30 後期阜 ( C ) 20 ト切替 テ・ユア′レ・′、 , ン 260 80 700 ー 780 ラインメタル MK20Rh202 ト切替 . こ マルダー ( T ) 、フィアット 6616M ( T ) 20 デュアル・ベル 261 81 . 5 800 ー 1000 2000 工リコン KAD - 日 ( HS820 ) SPZ12-3(T) 、コマンド V150 ( T ) 20 256.5 57 1000 工リコン KAA(204GK) 20 ′く第レト 87 1000 ヒラー・ 工リコン KA 日 -0 田 (5TG) Pz61(C) 20 8 発ポックス / 50 発ドラム 109 1000 ZU-23 23 ′く′レト 255.5 75 800 ー 1000 工リコン KBA ・日 25 デュアル・ベルト切替 . こ トルナード ( T) 280.5 108 570 XM242 チェインガン 25 1 / 100 / 200 / 550 XM2/3(T) デュアル・ベルト切替え 274.5 95 .3 工リコン KCB 30 5 発クリップ X 8 個 357 136 600 ー 650 30 3 発クリッ -:rx 2 個 フォックス (T) 、シミタ—(T) 296 95.3 90 XM230 チェインガン 30 攻撃へリコプター用 ( AH -64 ) ・ヾ′レト 160 40 1 ー 800 3000 工リコン KDE 35 デュアル・ベルト切替え 4000 ピラーニャ (T) 250 ( 注 1 ) / は発射阜可変を示す ( 注 2 ) P : ピントル・マウント、 C : 主武装と同軸、 T : ターレットあるいはキューボラ 口径 弾 給 くノレト く′レト ′く′レト のくルト ニャ ( T ) 2500 200 85
多くの自動キヤノンにとり入れられている便利な機構 として , スイッチひとつで切り替えられるデュアル・べ ルトの給弾方式がある。これにより片方のベルトには H E を , もう一方には AP を用意して , 対人・対車輛・対 航空機用にと , 自由に使い分けることができる。また発 射速度が可変になっているものも多く , 対空用には高発 射率を , 対地上用には低発射率を , これもスイッチひと つで選択できる。 作動方式では反動 , あるいは発射ガス圧を利用する自 立方式が大部分だが , ヒューズ XM242 チェインガンの ような外部動力方式も今後は増えてくるだろう。チェイ ンガンは , 電気モーターによりチェインを介してポルト を前後に駆動するもので , モーターの回転速度を変える ことにより発射速度を自由に変えられる。 口径は 25m が適当 ひと口に 20 ~ 35 級自動キヤノンといっても , 口径に 15 衂もの差がある。当然キヤノンの重量や反動も異って くるし , そうするとマウントの方法も変ってくる。弾薬 のサイズもかなり違うので , 戦車への搭載量も変る。具 体的にいって , どの口径を戦車の副武装に選ぶべきだろ うか。 口径が大きいほど威力が大きく , また弾種がヴァラエ ティに富んでいることはいうまでもない。例えば , 30E 級以上では APDS も発射可能になる。もちろん有効射 程も口径により異ってくる。 有効射程は , 攻撃の目標 , 目標到達時の存速 , 命中精 便利な値でもある。 25E といえは , ブッシュマスター・キヤノンがやはり この口径であった。フ・ツシュマスターはアメリカの F V S (x M 2 / 3 ) の主武装となる自動キヤノンで , ヒュ ーズ社のチェインガンとフォード・エアロスペイス & コ ミュニケイショッズ社の製作するエリコン K B A—B が 候補になっていたが , 今年はじめにチェインガンが選ば れている。ブッシュマスターは最初 XMI の同軸火器に も装備される予定であったが , 開発の遅れから M240 ( F N MA G のアメリカ版 ) にとり代えられた。 4 種類の搭載方法 次に出てくる問題は , 副武装としての自動キヤノン を , どのような形で戦車に搭載するかである。これには 次の 4 つのやり方が考えられる。 ( 1 ) 主砲と同軸 ( 2 ) 砲塔上面にヒ。ントル・マウント ( 3 ) 車長キューボラ ( 4 ) 砲塔上の小型ターレット ( 1 ) は , 現に Pz61 や AMX30 にみられるものである。 これには戦車の背の高さに影響をおよぼさず , キヤノン を固定してマウントでき , さらに主砲のスタビライズ機 構が使えるので高い命中精度が確保できるなど , 多くの 利点がある。 AMX30 の場合 , G I A T F 2 キヤノンは主砲と同 軸で十 20 。 ー 8 。の範囲で俯仰するだけでなく , 主砲と ー 6.5 。まで動かせ , 対空用にも使えると は別に十 40 。 いうフランス人らしいアイデアが盛りこまれている。し 度などの基準をどう取るかで大きく変ってくる。 って , 単純な数字の比較はできず , 表でも , ロ 径 7.62E の FN MAG が口径 12.7mm のフ・ラウ ニング M2 より長い有効射程を主張していたり する。 しかしここで問題にしている自動キヤノンで は , 大体 mm で表わした口径に 100 ( ) を掛けた 数字が , 有効射程として示されているようだ。 しかしこれは明らかにあるていどの装甲を持っ た目標を想定した射程であろう。 ATM を持っ た歩兵を制圧するのならば , 射撃の正確さはそ れほど必要はなく , HE をバラまいて歩兵に頭 によっては攻撃へリコプターの武装にも使える 口径は最近の戦闘兵車の主武装にも , また場合 当なところではないかと筆者には思える。この どのパランスを考えれば , 口径 25 衂あたりが適 威力 , 有効射程 , キヤノンの大きさと重量な と考えられる。 てもじゅうぶんな威力と命中精度を持っている 上の自動キヤノンは , 3000 以上の距離におい を上げさせなければよい。その点では 20E 級以 したが をドら、 慧第医物ゞ AMX30 の 20E 砲は主砲と独立して俯仰が可能てある
備ーーーにならったようなもの である。図はそのようなマウ たもので , レオパルト 2 の上 に搭載してあるのは単に大き さの目安をつけるためで他意 はない。 現在の技術で , この自動キ ヤノンを車長ペリスコープと 電気的に同調させて , 旋回 , 俯仰させることは容易で , ララックスの修正も可能だろ う。また主砲と同調させられ ることもいうまでもない。図 X M 2 の 25 砲。戦車の副武装としてもこのクラスが必要となったことは明らか のキヤノンは架空のものだ かし最大仰角はともかく , 旋回の方は砲塔の旋回速度で が , 25m 級の標準的な大きさで , 仰角は 60 。 , 俯角は一 制限されるので , 高速で移動する目標は追跡しきれない 7 。にとってある。このままでも全高は現実のレオパル だろう。せいぜい真正面から突っこんでくるヘリコプタ ト 2 とほとんど変らないが , 仰角の要求を減らせばさら ーと差し違えるぐらいではないだろうか。 に全高を少くできる。 ( 2 ) の方式は , 現在の MG をキヤノンにおき替えたも ので , シルエットがやや大きくなること , 給弾に問題が 生ずることなどが欠点となる。昭準 , 射撃はもちろん , 図はほんの一例であり , 筆者としてもこの方法が最良 騨種の切り替え , コッキングなどの操作もとうぜん車内 と主張するつもりはない。 25 というロ径についても , から行えることが望ましい。全高がどれくらい高くなる それが最適かどうかには別の考え方もあるだろう。 かはマウントの方法 , 最大仰角をどこまでとるかによっ とくにこれを戦闘兵車の主武装として共用化すること て決まってくる。 については , 彼らの側からの反対があるかもしれない。 ( 3 ) はアメリカの M48 / 60 の 12.7nMG を自動キヤノ 20 新級からはじまった戦闘兵車の武装もしだいに大口径 ンに変えた考え方だが , 例えいまの自動キヤノンがコン 化し , 現在では 25E よりひとまわり大きな 30 ~ 35 新級 くクトだといっても , 12.7 新 M G より大きくなることは 必要ではないかとの意見もある。戦闘兵車とは少し違う 避けられない。したがってこの方式は適当ではない。 M カ : , ティッセン・ヘンシェルネ土の′くグライトノくンツア 48 / 60 の車長キューボラにはもともと批判が多く , イス ー一直訳すれば「随伴戦車」だ ように 57E 自動キャ ラエル陸軍などではシルエットを低くするためキューポ ノンを搭載した車輛まであるのだ。 ラを低いものに変えてしまったほどである。 ただいえることは , 一部のジャーナリズムの喧伝した ( 4 ) では MBT70 / Kpz70 の例がある。これは 20E キ ように , 第 4 次中東戦争の結果 , 戦車が無用の長物とな ヤノン一一一アメリカはイスパノ H S S 820 , 西ドイツは ったわけではないことである。戦車には ATM などの新 ラインメタル R h 202 ーーを砲塔側部の独立カプセルに しい脅威に対抗する手段をとり入れることがじゅうぶん 収め , 地上の目標にはカプセルから砲身を出しただけの 可能だし , そのひとっとして自動キヤノンを副武装とす 状態で射撃し , 対空用にはカプセルの上蓋が開いてキャ るのは有効なはずである。 / ン全体が持ち上り , 広い射 試みに 25 新クラスを戦車の砲塔に 界を確保するものであった。 載せると , こんな具合になった 明らか これほど凝った に凝りすぎーーものでなくて も , 自動キヤノンをいわゆる 背負い式に装備するのも一案 であろう。スイスのモワグ社 がパテントを持つ 7.62nMG のマウンティングーーーマルダ ルクス , トルナードに装 00 88
ー 80 年代戦車のめざすもの ( 4 ) : 副武装 ・一臧にう ~ 対読する ' か ? What Type of Secondary Weapon Needed ? 了里木 ~ 意 対戦車ミサイルにとう対抗するか かっては , 戦車に対抗できるのは戦車だけという時代 があった。その時代には , 戦車の武装は敵の戦車を撃破 できる砲のことだけを考えていれば , あとは弾丸の選択 だけで他の目標にもこと足りたのである。 しかし現在では 2 つの新たな脅威ーー航空機 ( 攻撃へ リフフ。ターを含む ) と対戦車ミサイル (ATM) が 大きく立ちはだかっている。戦車は敵戦車の他に , これ らに対抗する手段をも持たなければならない。 もちろんこの問題は戦車だけで解決できることではな く , 機甲部隊全体の装備 , 編成 , 用兵などの視野で考え なければならないことである。例えば , 戦車部隊への装 甲歩兵部隊 , 対空砲・ミサイル部隊の編入などが一案で あろう。しかし戦闘兵車や対空砲車輛 , 対空ミサイル車 輛との協同運用を図っても , 戦車だけが孤立する場面 , 戦車だけが突出して使われる場面は常に考えられる。戦 車の対空・対 ATM 防禦を , 他の車輛に全面的にまかせ るわけには行かない。 ATM の防禦については , 本誌 78 年 12 月号で , 岡田光 也氏がアメリカ陸軍 TRADOC ( 訓練教義司令部 ) 0 教本を紹介している。この記事の結論 , すなわち戦車は さまざまな手段により A T M に対抗し得るということに は , 全く賛成である。 この記事に示された対抗手段のひとつに , 主砲から 0 HE 弾発射による ATM 陣地の攻撃がある。同様に主石包 からフレシェット弾を発射することも有効であろう。ア レシェット弾とは , 釘のような形をした小さな弾丸を多 数束ねた砲弾で , 砲口を出るとシャワーのように飛び故 る。いわば戦車砲のショットガン化である。 しかし岡田氏も指摘しているように , 主砲による A T M 陣地の制圧は , 敵の戦車に不意を襲われたときに対抗 する手段がなくなるという問題を生ずる。また弾薬の 載数は限られているので , この種の砲弾を積むことはそ の分対戦車用の砲弾を減少させることになる。もっとも これらの問題は対人 , 対装甲双方に使える HE SH ( (P), あるいは MP ( 多用途 ) 弾を使うことで解消で きるが 歩兵の携行する対戦車ミサイルに加えて , 戦車はヘリコプターの襲撃からも身を守らなければならなくなった
0 ルックスの乗員は 4 名 , 前後に操縦士が入リ , 砲塔は車長 ( 手前て立つ ) 。工ンジンは中央にある 直径 1250E , リングの直径 1000m , 砲塔中心部から砲ロ 砲塔レースの中心軸に対して垂直な状態で約 90 。左に回 先端までの最大半径 2600E , 砲塔全備重量 2155 ん 9 であ 転させた状態でとりつけられている。 20E 砲はガス利用 , ベルト給弾方式 , 空冷式 , 全自動 る。 機能を備えた機関砲で , DM43AP 弾と DM51A 1 HE 主武装 主武装は , マルダー M I C V と同系のラインメタル社 弾の 2 種の弾薬を交互に発射することも可能である。初 製 Mk20DM5 ( Rh202 ) 85 口径 20E 機関砲で , 地上お 速は 1080 川 / s , 最大射程 7200 川 , 有効射程は地上の軽装 よび空中にある目標を停止または走行状態においても迅 甲目標に対して 1000 川 ~ 1500 川 , 地上の軟目標に対して 速に射撃することができる。この 20mn 砲は , 工具を使用 2000 川 , 低空で侵入する航空機やヘリコプターに対して しないで砲身から主要部まで迅速に分解が可能であり , 2000 川であり , 発射速度は毎分 800 発 ~ 1000 発 , 装甲貫 徹力は弾重 859 の AP 弾で弾着角度 40 。 , 射程 100 川 ~ 1000 川の場合 35 簡 ~ サスペンションはコイル・スプリングとショック・アプソーパーの組合わせてある 20E , 弾着角度 25 。 , 射程 100 川で最大 48m で , 環境温度一 40 。 ~ + 50 。 c の範 ・菶簒 00 込 0 囀 = 0 第も 0 こ一 囲内でじゅうぶんに機能を発揮する。 20E 砲の揺架は駐退装置 , 復座装 置 , 発射装置 , 撃発装置 ( 電気機械式 と操作室からの手動油圧式の 2 種類 ) で構成され , 駐退機構は単作動式砲ロ 制退器とともに反動力を約 600 ん 9 に制 限する。また , 揺架の側部には薬莢蹴 出器っき左回転型の 2 つの給弾ベルト 装置がとりつけられている。予備弾薬 は戦闘室とエンジン室の間にある 2 コ の弾薬収納箱に貯蔵され , 自動装填機 は 20mn 砲の後座作用または閉鎖機など とは無関係に作動できる。さらに弾種 の選定は弾薬供給器の選択スイッチに よって行われ , 給弾と装填は自動的に 実施される。また発射ガスが戦闘室内 に逆流することを防止するため , べン チレーターによって新鮮な空気を導入 14
ちょっと変ったジープ イスラエルの R B Y T OW 対戦車ミサイルのランチャーをつけることもできる R BY は , イスラエル航空機会社 とりつけ , 重心を後軸においてバギ ( I A I ) の R A MT A 事業部が開 全長 4.99 川 , 全幅 2.03 , ーなどと同様に砂漠での登坂力をよ 全高 1.66 川 発した , ちょっと変った軽装甲偵察 くしてある。 車である。 武装は , 106E 無反動砲を積むタ 4 輪駆動方式で , 車体は熔接構造 自衛隊の 203 自走榴弾砲 イプのほか , TOW 対戦車ミサイル , にして防弾効果を最大にしてある。 7.62E と 12.7 の機関銃 , 20E 機関 装甲の厚さは側面が 8 mm, 床面が 10 砲などもとりつけることができ , ま 導入 1 年すれこむ ? 新と , 床の方が厚いのが特異な点。 た武装を外して救急車や指揮 , 連絡 これは , イスラエル軍のジープが , 車としても使える。 砂漠に埋められた敵の地雷でかなり の損害を出した教訓にもとづいてと このため , 全備重量は 3600 ん 9 に達 自衛隊が採用を考えている 203E られた処置である。前後の 4 輪がで するが , それでいて道路上では時速 自走榴弾砲の導入が , 1 年遅れそう 100 / h のスヒ。ードを出せ , 行動距 きるだけ前とうしろに張出してとり な気配だ。 つけられているのも , 荒地での安定 離は 550 とかなり長い。またエン 陸上自衛隊では , これまでどちら 性の向上という目的以上に , 地雷が ジンはもちろん , その他の部品もで かといえばおろそかにされていた特 爆発したときに乗員をできるだけ保 きるだけ民間車のものを利用してい 科部隊を , いっきょにレベルアップ 護しようという考えからきたものに るのでコストも安い することになり , 各種口径の火砲の つまり , 砂漠の戦闘には最適の軽 ほかならない。 近代化プランを練っているが , 第 1 車輛というわけで , すでにイスラエ 工ンジンは , アメリカのダッジ・ 弾として押し出されてきたのが 203 モデル 225 ー 2 という水冷 6 気筒 120 ル陸軍用は生産中で輸出もはじめら 自走榴弾砲 , それもアメリカ製で 馬力のもので , これを車体の後部に れている。 パリバリの新型 , M110A2 である。 いまのところ , 約 100 輛を日本でラ イセンス生産し , 現在配備されてい る旧型の牽引式 203E 榴弾砲 M 2 ( 60 門 ) , 155E カノン砲 2 ( 24 門 ) と 交代させる計画で , 来年度にも第 1 次分の予算を要求する手はずになっ ていた。 ところがここにきてアメリカ側が ライセンス生産にあまりいい顔をせ ず , なかなか機密の解除をしてくれ ないため , とりあえず 1 年間調達を 遅らせようという見方が出てきたも の。また一部では , 155E 榴弾砲を 新しくすれば , 射程は 203 新とほぼ 同じだから , あまり採用を急がなく てもよい , という意見もあるらしい。 、第ゞを -3 、 トヒックス 平たいカエルのようなスタイル。前後に張出すタイヤを持つ 112
隊の実験部隊に装備されて , 技術 , 部隊実用試験が行わ で戦闘を遂行することが可能で , 車内スペースはゆとり れた。 があるから , ソ連の B R D M 1 , 2 装甲偵察車と異って 1971 年には , 第 11 機甲偵察教導大隊の実験の結果をも 身長などの大きさによる乗員の選定問題はない。 すぐれた射撃制御器材と軽火力により , 乗員は昼夜と とに , ダイムラー・べンツ社の試作車が採用されること もに近距離においてすばやく射撃目標を捕捉し , 射撃で になり , 1973 年 12 月 , 国防省は装甲偵察車 2 型として制 式化した。量産はェッセンにあるラインシュタール社が きる。また機動力は出力 , 重量 , 寸法の関係にじゅうぶ 指名された。 んな考慮を行った結果 , 路上最低速度 4 川 , 最大速度 は 90 / h , 動力装置の高出力により 20ps / t の出力重量比 ラインシュタール社は翌 74 年にアグスト・テュッセン とあいまって 0 / h ~ 80 燔 / h まで 65 秒の加速性能 , 60 % ヒュッテ社と合併し , 新しくテュッセン・ヘンシェル の登坂能力を持っている。さらに路上 0.625 を々の燃料 社となった。結局装甲偵察車ルックスは同社のカッセル 消費量で 800 と行動距離が大きく , 戦闘行動の中断や 工場で J P Z 4 ー 5 ャークト・カノーネ , マルダ --M I 技術的理由での走行の中断が少い。携行燃料の容量は CV とならんで , 408 輛の製作が行われ , 最初の生産型 50 膨である。 は 1975 年 5 月に生産ラインを離れ , 1977 年に生産が完了 ルックスのエンジン冷却装置と走行装置は , 外気温度 0 ー 30 。 ~ 十 44 。 C の間で , 常に出力 335PS / 2500rPm の持続 一般的な特徴 を可能にしている。 敵砲火からの防護能力の中心は , 大きな機動力と目標 ルックスは , 主武装として 20E 機関砲 , 副武装には となるシルエットが小さいことであり , 車高は対空用銃 7.62E 機関銃と各 4 筒からなる発煙弾発射機 2 基を装備 する。また事前に準備せずに渡河できる浮航能力を備 架まで 2840 簡 , 車体頂部まで 2056 車幅 2980E であ え , 戦場の水障害を克服できる。戦闘重量は 19 , 500 ん 9 , る。装甲は避弾経始により機銃弾の直撃と砲弾の破片に 軽火力 , 高機動力 , 良好な防護力を結合し , 将来の戦場 対してじゅうぶんな防護力を持っており , さらに対 N B における多面的な偵察行動の要求に適応することができ C 過圧空気浄化装置によって放射能 , 生物・化学剤に対 る車輛である。 しても高い防護力を備えている。 乗員は車長 , 砲手 , 操縦手 , 後方操縦手兼通信手の 4 車体後部の両側にとりつけられた 2 コのスクリューに 名であり , NBC 条件下においても完全に密閉した車内 よって水上航行速度約 10 / h が保証され , この 2 コのス 装甲偵察車ルックスは , 大戦中の 8 輪装甲車の流れをくんた強力な重偵察・戦闘車輛てある 戔にを宿をゞ
場合の自己煙幕展張用に使用する。発煙弾は距離 40 ~ 50 し , ガスをパイフ。によって外部に放出するとともに水銀 川の範囲で扇状にルックスを完全に煙でカバーできる。 柱で 30E に相当する気圧が加えられている。 この発煙筒は手動装填で砲塔内部の発射切換ポックスの 副武装 ラインメタル社の MG3A1 口径 7.62E 機関銃と 76E 発煙弾発射機が装備される。 MG 3 A 1 機銃は 20E 砲とは関係なく手動で操作され るもので , 車長用ハッチに装着された環状レール式銃架 に搭載され , 俯仰範囲は一 15 。 ~ + 55 。である。 MG 3 A 1 機銃は寒冷 , 酷暑 , ちり , ほこりなどの悪条件下にお いても操作が簡単で信頼性の高いもので , 空冷式 , 補助 ガス・反動利用 , ベルト給弾方式の全自動の機関銃であ る。 旋回砲塔側部に固定された 76E 発煙弾発射機 2 基は , 砲塔の縦軸を中心として士 45 。の角度で扇状に配置され た 4 筒からなり , 防禦準備を整えた敵に遭遇した場合の 観測 , 対戦車兵器の不意の射撃の阻止 , 方向変換を行う 砲塔をうしろからみる①車長用コントロール ・ホックス , ②砲塔リング , ③望遠照準機 ( 車 長 ) , ④同 ( 砲手 ) , ⑤スイッチ・ホード , ⑥砲 手コントロール・ホックス , ⑦⑧弾薬 3 4 ◎ 0 0 0 5 0 ◎〇・ 0 2 6 1 7 物・■・ 8 15
ツイを当 アユッセン・′、 - ンシェル社 . 内の 生産ライン。車 体の最終工程に 入リ , 左側には パワー・プラン トがならんてい 第を ボディに結合され , 左右のホイールが独立して作動する スフ。リ 介してアクスルが 4 本とりつけられ , シャシー・ ことができる構造で , ばね下重量が軽くなるので乗り心 ングを介して車輛重量を支持し , ェンジンからの動力を 地が良く , 一方のホイールが突出部に乗り上げても他の ホイールに伝達する。 ホイールに影響をおよぼさない利点を持っており , また アクスルは , 1962 年にダイムラー・べンツ社が 14t 級 この利点は主武装の俯仰にも大きな助けになっている。 の民間車用に開発した AM7 バンジョー・全浮動式の技 コイル・スプリングは 1 本の鋼棒をコイル状に巻いた 術を応用したもので , c v U ジョイント部にはラグ型ト もので , 上下から荷重を受けて緩衝作用を行うが , たわ くターンの 14.00 ー 20 の戦闘用タイヤがホイール レッド むとき摩擦がなく , 鋼棒の全長で荷重を受けるので , 衝 ドラムにとりつけられている。またアクスルの中央部に 撃を緩和する能力はリーフ・スプリングよりもすぐれ , は , 1 段減速機構と自動差動制限機構っきのディファレ ばね重量がリーフスフ。リングに比べて軽く , 容積が小さ ンシャル装置が装着されている。 いため , 懸加装置をコンパクト化している。 懸架装置 はテレスコヒ。ック型 ( 筒型 ) ショックアプソーハー である。走行中には路面からの種々の衝撃を受ける。 懸架装置は , コイル・スプリングとショック・アフ・ソ の衝撃はタイヤ , コイルスプリングなどで緩和される を組合わせた斜揺れアーム式の独立懸架方式で , が , 衝撃作用は上下振動 , ローリング , ビッチングとな 前・後部アクスル・キャンティレバーとトルクロットで 20