「うちはせまくて、お客さんにはいってもらえなくてわるいねえ。こんなと こだけど、まあ、お茶をどうそ。」 「ありがとう。この花わ、 しいにおいでしよう。これを入り口にかけとくと おも きれいだよ。ちょうちよもくるし、みつばちもくるよ。いい木だなあと思っ て、はちがすをつくるかもしれないよ。」 「うん、もし、はちみつがとれたら、ウーちゃんにごちそうするね。そうだ、 ひょこが生まれたら、はちみつでおいわいしようね。」 「ほんと ? じゃ、まってるよ。」 いえかえ ゥーフは、おおよろこびで家に帰りました。 「みつばちは、うまくすをつくったかなあ。ひょこは生まれたかなあ。」 ゥーフは、まちどおしくてたまりません。毎日、ゲラの家をたずねました。 きやく まいにち ぐち
りらるらすし ゥーフのハ ーモニカをききに、ちょうちよがきます。ウ】フのあたまにと むし まります。そして、小さなてんとう虫やかみきり虫たちもやってきては、ウー せつ フのあらいたての石けんのにおいのする毛の中にからだをうずめました。 あか 赤いボタンもようのてんとう虫も、長いひげのかみきり虫も、そこでうつ とりと、さもともだちらしくゥーフのハ ーモニカをきくのでした。 けがわ そしてね、ウーフのあらいたての毛皮は、ほんとうにいざというときのや くにたったのです。 かまきりにおいかけられたばったや、いも虫まで、ウーフの毛の中にころ かりこみました。そして、ウーフは、うるさいかまきりたちを、 「こら、あっちへいけ。」 と、おつばらってやりましたからね。 むし なが なか むし むし なか
, ク に、どんどん大きくなりました。 「一、んどはぼくのばんだ。よいしよ、 よいしよ。ああ、あついや。」 ゥーフはぼうしをえいっとぬぎま した。 「よいしよ、よいしよ。 , も一つ一つ」か 「ふたりでいっしょにころがそうよ。 ちからいつばいおしたので、ゆき のたまはころがりはじめました。 そのちょうし、そのちょうし、で おお 177
雨はばらばらふりだしました。 「や、ぬれちゃう、ぬれちゃう。」 ゥーフは木の下にかけこみました。 雨は、木のはをばんばらたたきました。 「あれ、たいこがなってるみたい。」 ゥーフはうたいました。 なるなるたいこがばんばらばん あめ 雨のたいこがばんばらばん なるなるかきのみえだいつよ かきの木のえだにどっさり一、 雨のしずくがきらきらひかりながら、木のはをつたって、下へおちていき ます。 あめ あめ あめ した した 155
「おう、くまこう、なにしにきたんだ。」 かわなか 川の中からふなが、かおをつきだしました。 「おまえ、わしたちをつかまえにきたな。」 「ちがうよ、ちがうよ。」 ゥーフは、びつくりしていいました。 「ぼく、さかなになりたいの。ねえ、さかなは手も足もないくせに、どうし て泳げるの。」 すると、ふなは目だまをぎよろっとさせて、いばりました。 「わしらは生まれたときから泳げるんだ。おまえもさかなになりたけりや、 そのけむくじゃらな手と足をすてちゃいな。」 「えっ ? 」 「そいつはろくなことをしない。たたいたり、すくったり、ロへもっていっ およ およ くち
「ああ、みてると目がまわっちゃうよ。」 ゥーフは、ためいきをつきました。 こんこんこんこっこっ一、つこっ おと 林にひびく音は、もう、あの、 ころろろーん おと と、ほがらかにひびく音ではなくて、ただもう、 いそがしいそがしいそがし いってるようにひびきました。 「ゲラさんのたからものは、あのおよめさんひとりだったのに。」 かんしん と、ウーフは感心してうなりました。 「たからがふえちゃったんだー たからがふえると、どろぼうのばんもしな くちゃいけないし、いろいろといそがしくなるんだなあー」 はやし
すると、ビ。ヒはとってもうれしそうにわらいました。 「びーびーびーちゅるちゅる。 ああおかしい。あたしなんか、もうなんにもならなくていいんですよ。あ たしなんか、なりたいものになっちゃったんですからね。」 「へえー、なっちゃったってえ。」 ゥーフは目をまるくしました。 そら 「そうよ、あたしはもと、ふわふわの毛をした小さなひょこでね、空もとべ なかったのよ。でも、いまはこんなりつばな小鳥のおじようさんでしよ。 ことり・ あたし、びいびいのひょこちゃんから、小鳥になったのよ。空もとべるし、 うたもうたえるわよ。 びーびーびーちゅるる。 ゥーちゃん、。ハイバイね。」 ことり 138
もとに、あかいほたんが、ころんとおちていました。 「ほら、みつかった。」 ゥーフは、ボタンをミミにわたしました。 「ぼくなんか、目がいいんだね。すぐにみつけちゃった。」 それから、ウーフは、 の耳をながめました。 おも 「でもさ、これ、さっきはきのこかと思っちゃったよ。ねえ、 ウ 1 フは、たすねました。 「うさぎの耳って、どうしてそんなに長いの。」 おと 「それはね、なんでもよく音をきくためよ。」 と、ミミがこたえました。 「おかあさんが、教えてくれたわ。うさぎはよわい動物だから、こわい人の あしおと おと 足音や、ふつうとかわったもの音は、なんでも早くきこえなくちゃ、こま みみ みみ なが はや どうぶつ ちゃん。」 ひと
おさとうがたりないかしらっておさとうをいれて、またひとロ。」 ゥーフはごくりとのどをならしました。 「あら、おいしくなったわって、またなめるんだ。おかあさんってね、とく しちゃうね。あんなにいくどもあじをみるんだもの。」 「だから、ウーちゃんもするでしよう。」 ビビはくちばしを空へむけて、はねをばたばたさせてわらいました。 「ウーちゃんがコックさんになってもおんなしよ。はじめにどうかなってあ くち じをみて、ちゅうとでひとロたべてみて、ちょっとへんだとまたひとロ。 これでいいかなとまたたべて、うん、一、れで、 しいって、ペちやペちやペ ちゃ。でも、ほんとうにこれでいいかな。さいごにもいちどペろペろペろ。 そこでごちそうはもうなくなっちゃった。」 「だからよ、ウーフはとてもコックさんにゃなれないさ。」 くち くち 130
ふなのロの中は、まるでからつ。ほ。 どこにもしたがなかったのです。 ゥーフはあんまりびつくりしたもの たから、月からとびあがりました。び しょぬれのまま、かけてかけて、おう かえ ちへにげ帰りました。 「おかあさん。」 ゥーフはおかあさんのくびにだきっ いて、ふるえごえでいいました。 「川にへんなやつがいたよ。そのさか くちなか な、ロの中がからつ。ほなんだ。した をぬいちゃったんだ ! それからね、 かわ くちなか かわ