「ばかな一、といってないで、さ、からだをふくんです。」 おかあさんは、大きなタオルで、ウーフのからだをよくよくふいて、ブラ シをかけました。もつれた毛がひつばられて、ウーフは、 いたいよう。もっと、そっとやってよ。」 と、うなりました。 くろ ブラシをかけてしまうと、ウーフのからだはつやつやした黒い毛のそれは きれいなくまの子になりました。 「やれやれ。」 おかあさんは、まんそくそうにウーフをながめました。 「これでよしと。 ししですか、ウーフ。きようはもうどろんこになってあそ んじゃだめよ。おとなしくしてるのよ。もうもう、二どもおふろにいれる のはたいへんですからね。」 こ おお
もちろん、ウーフのほうも一日のうちに二どもおふろにいれられるのはい やでした。でも、うごかないで、からだをよごさないであそべることなんて あるでしようか。 ーモニカをあげましよう。このあいたウーフにあげ 「じゃね、ウーフ。 おも ようと思って、買ってきたのよ。」 ーモニカをくれました。 おかあさんが、ウーフに銀いろのハ くち ウ】フよ、、 ーモニカを口にあてて、でたらめにふいてみました。 り . らるらすし おと と、きれいな音がながれました。 ゥーフはうれしくなって、 】モニカをふきならしました。 きよく ほら、ウーフがあそこで、でたらめの曲をふいています。。ほか。ほかお日さ まと、きもちのよい風がウーフのぬれたからだをかわかしてくれます。 かぜ にち
足も、おっことすもんか。はさみでだって、きられるもんか。」 「だから、なんでもみられる。なんでもとれる。」 と、おかあさんがいいました。 「げんきなくまの子は、山いつばいになんでももってるのよ。きれいな花も、 おいしい木の実も、はちみつも、なんだってね。」 「うふふふふ。」 ゥーフは、すっかりうれしくなって、わらいました。 「山いつばい もってる ! すごいや。」 それから、 しいました。 むし 「あのね、こがね虫ね、おかねもちたったのに、おかねをすっかりなくし ちゃったんたって。でもね、ちっちゃな、にじを、もってたよ。とてもき れいな、にじ ! あ、そうだ、おかあさん、おやっちょうだい。」 やま こ やま
空をみて、 「あ、にじだ。」 と、ウーフがさけびました。 「おとうさん、にじだよ。」 はたけにいたおとうさんも空をみあげました。 「やあ、きれいだなあ。」 おとうさんは、まどから、おかあさんをよびました。 「おかあさん、にじだよ。それから、ぼうしをとっておくれ。」 「おとうさん、どこへ いくの。」 と、ウーフがたすねました。 「ミミちゃんのうちで、あつまりがあるんだよ。こんどから、水でこまらな ちょすいち いように、貯水池をつくろうって、そうだんするんだよ。」 みず 115
ゥーフはちょうちょをもって、外へでました。 つりがねそうのさいているそばに、ちょうちょをそっとうずめました。 「ウーちゃん、なにしてるの。」 うさきのミミかききました。 あお 「青いきれいなちょうちょだったんだ : と、ウーフがなきながらこたえました。 「かわいそうねえ。」 はおはかに、ドロップをそなえて、おがみました。 「おはか、つくったのかい。」 きつねのツネタが、きて、 ししました。 「ちょうちょのおはかよ。ゥーちゃんのちょうちよがしんだの。とてもかわ いそうなの。」 そと : 。おはかにうめたの。」
と、わめきながら、とんでいきました。 「やれやれ。」 と、おかあさんよ、 ししました。 のはら 「あのばったも、小さな虫も野原からついてきたんでしよ。まいごになって しまいましたよ。ゥーフがどろんこになって、どろで毛の中にとじこめた からよ。」 「でも、ぼくそんなつもりではなかったのに。」 と、ウーフは鼻をならしました。 「わかってます。でもね、ウーフ、くまの子は、どろんこにんぎようじゃな いんですからね。もすこし、からだをきれいにしなくちゃ。」 おかあさんは、ウ 1 フのからだに五十かいめのおゅをざぶりー した。 むし こ なか とかけま
た。よし、きつねのツネタくんにも教えてやろう。」 ゥーフは、むしやむしやとパンをたべました。はちみつも、めだまやきも ン ~ 、 きれいになめてしまいました。それから、手をばんばんとたたいて、 ずをおとしてから、 「ごちそうさま。」 といって、外へあそびにいきました。 のはら すると、きん。ほうげの野原を、めんどりがさん。ほしていました。 「めんどりさん、いつもたまごをありがとう。」 と、ウーフがあいさっしました。 「おはよう、ウーフちゃん。どこへ と、めんどりがいいました。 「あのねえ。」 そと いくの。」
「りすでもきつねでも、いつもからだをなめてきれいにしてるでしよう。り すなんか、はん日もしつ。ほのていれをしてますよ。きたないと、いざとい うとき、やくにたたないのよ。」 「いざというときって、どんなとき ? 」 「おそろしいたかや、ふくろうや、いろんなこわいどうぶつにおそわれたり えだ したとき、枝から枝へとびうつってにげるでしよう。木からとびおりると きも、りすのしつ。ほはパラシートのようにふくらんでつごうがよいの と、おかあさんがいし ました。 「・ほく、いざというとき、どろだらけじゃこまるの ? 枝から枝へとべるの。」 ゥーフはふりかえって、じぶんの小さなしつ。ほをみました。 「これ、。ハラシュートみたいになるかなあ。」 にち えだ えだ えだ
からはどこだたからららーーー , 」 おと ゥーフはたいこうちの音にあわせて、うたいながら、かけていきました。 みぎてはやし すると、どうでしよう。一、んどはすこしはなれた右手の林のおくのほうから、 こんこんこん一、ろろろーん おと と、きれいな音がひびいてきました。 「あれ、ゲラはあっちへいったのかな。」 みぎて ゥーフは、くびをかしげました。それから、右手のほうへかけだしました。 ナしこがひびきます。 すると、こんどはまた、さっきの場所から、こ、 こんこんこんころろろろーん 「やっ、へんだそ。ゲラはあっちかな。」 へつのと一、ろから、 すると、また、。 こんこんころろろーん
「うちはせまくて、お客さんにはいってもらえなくてわるいねえ。こんなと こだけど、まあ、お茶をどうそ。」 「ありがとう。この花わ、 しいにおいでしよう。これを入り口にかけとくと おも きれいだよ。ちょうちよもくるし、みつばちもくるよ。いい木だなあと思っ て、はちがすをつくるかもしれないよ。」 「うん、もし、はちみつがとれたら、ウーちゃんにごちそうするね。そうだ、 ひょこが生まれたら、はちみつでおいわいしようね。」 「ほんと ? じゃ、まってるよ。」 いえかえ ゥーフは、おおよろこびで家に帰りました。 「みつばちは、うまくすをつくったかなあ。ひょこは生まれたかなあ。」 ゥーフは、まちどおしくてたまりません。毎日、ゲラの家をたずねました。 きやく まいにち ぐち