かっくう 飛まくをひろげて夜空を滑空するムササビ。 外敵にたちむかう武器をもたないかれらにと さいだい しゆだん って飛ぶことが最大の身をまもる手段です。 マムササビ体長 35 ~ 48 尾の長さ 28 ~ 39 力「いてき たいちょう たいらよう マエゾモモンガ体長 ~ 20 尾の長さ 9.5 ~ なが 日本にすむリス科のなかまは、大きく二つのグループ 、つしあし まえあし にわかれます。一つは、前足と後ろ足とのあいだに、滑 ′、う ・ひ 空するためのまく ( 飛まく ) があるなかまで、ムササビ、 モモンガがそうです。かれらは飛まくをひろげて、空気 ′、うちゅう にのり、グライダーのように空中を移動します。 もう一つは、飛まくのないなかま、リスです。リスは 尾をうまくつかってバランスをとり、えだからえだへ、と び、つつることもできますが、動きの特ちょ、つは、するど 、つ、えはーレ いつめをつかって木の上を走りまわることです。 りようしゃ おお 両者には、くらしかたにも大きなちかいかあります。 じゅど、つ やこうせい ひる ムササビやモモンガは夜行性で、昼は樹洞などのねぐら かつどう ゅうがた でねむっていて、夕方から活動しますが、リスのなかま もり につちゅうかつどう おな は、ぎやくに日中活動します。だから、同し森にすんで おな いて、同しようなものをえさにしていても、なわばりを あらそうことはないのです。 さて、日本にいるリスのなかまは、ニホンリス、エゾ リス、タイワンリス、シマリスの四種類です。ニホンリ - もり ぜんこく スは、北海道をのぞく全国の森にすんでいます。工ゾリ につん はつかいどう につん ひ・ ひ・ おお しゆるい どう かっ
ロ 0 ーロ ロ 0 ロロ D 、、ロロロロ 工ゾリスの既察をつづけているうちに、わたしは、ふと、 ねんかんへいきんこうどうじかん ・エゾリスの一年間の平均行動時間 したせん 、一うどうか、 うえ へいきん 下の線は行動開始の時刻の平均、上なぜだろ、つとおも、つことにしばしばであいました。 こうどう せん じこくへいきん の線は行動がおわる時刻の平均です。 へいきん 工ゾリスは、秋、ひろった木の実を、こっこっ、葉の下 平均すると、だいたい日の出とともに 、」うどう 力いーし 行動を開始しているようです。 、ヤつどうレ ) かん ふゅ みしか や土の中にかくしたり、木のまたにはさんだりします。′ 行動時間は夏ほど長く、冬ほど短い かずすく 》か・ん - け - い ことがわかります。昼の長さと関係あ くわえ〃にしては数が少なすぎます。もしかしたら、大むか こうどうじ ふゅ じだい そせん るのでしよ、つか。そして、冬は行動・時 カんたい あさがた し、エゾリスの祖先の時代には、シマリスのようにたくわ 間帯が朝方にかたよっています。 えるくらしをしていて、そのなごりなのかもしれません。 ゆき ふゅ 冬になると、エゾリスは頭から雪の中にもぐりこんで、 ちゃんと木の実をさがしだします。それは五回に一 5 二回 しったいなんでしよう。 ぐらいの正確さです。てがかりは、 ) ふゆかつどうじかんたい 工ゾリスの冬の活動時間帯もふしぎです。工ゾリスは、 まふゆかつどうかいし もっと きおんひくそうちょう 真冬の活動開始が、最も気温の低い早朝です。十時ごろに はねぐらにもどって、ねむってしまいます。なぜもっと気 じ - プ、 おんたか こうどう 温が高くなる時刻までまって、行動をしないのでしよ、フか。 そと ふぶきの日には、エゾリスはねぐらの外へはです、一日 しよう 中とじこもったきりです。おそらく、体力をできるだけ消 もうさせないためなのでしよう。 * 工ゾリスの一年 午後 2 時 っこ 0 なっ せん 午前 4 時 い 974 年 ~ きろく 円 78 年の記録 ) ねん わん ー 2 3 4 5 6 7 8 9 田Ⅱに月 じゅう っちなか せい・刀′、 あき あたま なか おお した
カー ) どう 木のまたにはさんだり 冬のあいだも活動をつ 土の中にうめこむ。 づけている。 0 0 ふゆ 木の実を手でもぎとっ くち てから , 口にくわえる。 クルミ , イチイの実 , コクワの実 , 木の芽。 っち ゃい類 っちなか 土の中にほったねぐらにこもって、たくわえておいた木 い草み実 ふゅ の実を食べてはねむる冬ごもりにはいります。だから、 ゆき ンイ雪の下にうずもれた木の実は、エゾリスだけのものにな るわけです。 地域によって 多少ちがラ 、ふゆ たくわえ おもな食べもの 冬ごしのようす 地下のねぐらで冬ごも りをする ( Ⅱ ~ 地下のねぐらの部屋に たくさんためこむ。 力、つ ・シマリスの巣 シマリスのねぐらは , いくつもの 部屋にわかれています。ふんをする 部屋 , えさをたくわえる部屋などが あります。いちばん奧の部屋で冬こ もりをします。空腹になるとめざめ , えさを食べてからまたねむります。 した おく ふんをする部屋 ふんをデ ) する部屋に、みー えさをたくわえる部屋 りや屋 も部
あわゆき 森にふりはじめた淡雪。ふっ てはきえ , やがて凵月下旬 , 夜 きおん 中の気温が 0 度以下にさがる と , とけない根雪となります。 力、つい「しゅん ど、、カ、 なか カつどう ←ふりつもった雪の中で活動を つづける工ゾリス。おとなの リスのからだも , すっかり長 い冬毛につつまれています。 ふゆ tf ( しいろそら 木ぎが、小えだを寒ざむとした灰色の空 にかざし、そのあいだを木がらしがふきぬ けていきます よっり 十一月四日、とうとうエゾリスのすむ森 おおゆき に大雪がふってきました。冬が森をつつん でしまったのです。 すがた もう、どこにもシマリスの姿はありませ っちなか ん。木の根もとや土の中のねぐらにもぐっ てしまったのです。 シマリスとちがって、エゾリスは冬ごも ほそ ) をしません。ねぐらには細くさいた木の さむ 皮をしきつめ、冬毛で身をかため、寒さや うえとたたかわなければなりません。 やってきた冬 の、 32
しやめん 會森の南側の斜面にさくカタクリの花。 森に春がきたことをおしえます。 木に巣あなをほるエゾアカゲラ。五月はこの 森も、野鳥たちでにぎわいます ←巣から顔をだしたエゾリスの親子。子リスに は、もう毛がはえています。うまれてニ十日 くらいはたっているものとおもわれます。 かお やらよう おやこ は′、 みなみカーわ かっ はる はじめてのであい ( 五月十三日 ) はる かっきたぐに 五月、北国の森にも、やっと春かおとす れました。ハルニレやカエデのえだという えだから、芽ぶきかはしまります。 はる 工ゾリスの春のえさは、こうした木ぎの わかめ 若芽です。これらは、やっとありつけた新 せん 鮮なえさです。工ゾリスは体力をとりもど すために、夕方まで活動をつづけます コンコンコン。 ちかくの木で、エゾアカゲラが巣あなを おと ほりはじめました。そのときです。音にお い」ゅど、つ どろいたのでしよう。樹洞から母親につつ かお いて、あどけない子リスが顔をだしました。 わたしと子リスのはしめてのであいです。 ゅ、つかた かつどう かっ りよく は しん
早春のくらし ( 三月上旬 ) A き 木のえだにつもっていた雪がとけだ きたぐに はる し、北国の森にもやっと春のきざしが きおん みえてきたようです。日中の森の気温 「も、一 5 二度ぐらいまであがります。 かつどう 工ゾリスの活動がさかんになってき ふゅ あさ ~ ました。冬のあいだは、早朝から朝の 十時ごろまでしか姿をみせなかったの ひる 。じゅど、つ ゆき ゆき わか にはもどらないで、木の根もとの雪を ゅ切り株につもった雪の上でとびはねる若いリス。 はれた日は、午後の三時ごろまで雪の下から、え えさをあさっています。 さをさがします。 たか あんせん もう、冬毛ではあっくるしいのでし ←高い木のえだにのばり、まわりの安全をたしかめ わか ちか ながら毛づくろいをする若いエゾリス。春が近づ さむ ふゅげ ようかえささがしのあいまをみては、 くと、寒さから身をまもってくれていた長い冬毛 がむすがゆくなるよ、つです。歯でかんだり、後ろ さかんに毛づくろいもしています。 足のつめでかいたり、からだをまるめたり、よじ ったりしながら、さかんに王 ) づくろいをします。 あし かぶ はる すがた かっしようしゅん につちゅう そうちょう
みぎたかひでおみ ぎふけんたじみし 一九四三年、岐阜県多治見市に生まれる そっきよう 日本大学芸術学部写真学科を卒業。その後、 は、つど、つ きむらナいいちくまぎりけいすけ 高報道写真家木村一、態切圭介の両氏に師事。 げんざい しぜん 現在、フリ ーの写真家として〃人間と自殃 ちょうわ との調和〃をテーマに、自然界の山ふところ さっえいちゅう ししようゆた で撮影中。その詩情豊かな作品は、多くの人 びとの感動をよび起こしている。 ち・よしょ 主な著書に「ライチョウの四季」「ウミネコ のくらし」「キツッキの森」 ( 共にあかね書房 ) がある。そして現在「キタキツネ」を撮影中。 現住所北海道旭川市神居町雨紛五号 自宅岐阜県多治見市池田町七の一八一