先生 - みる会図書館


検索対象: ズッコケ結婚相談所
25件見つかりました。

1. ズッコケ結婚相談所

じんせい けいさんもんだい ハチベ工が、さいごの計算問題のそばで立往生している と、先生がまたそばにやってきた。 はちゃ をししが、せめて五年生のときにならった 「八谷、なやむのよ、 問題くらい、あんまりなやまんでやってほしいもんだなあ。」 わらごえ 先生のことばに、教室に笑い声がはじける。悩みおおきが はじ 人生なら、恥おおきも人生なのである。 をししことた。 なにはともあれ、考えることよ、 のうさいばう けつか ( チベ工のたんじゅんな脳細胞ですら、学校の勉強そっちのけで考えつづけた結果、ひ けつろん とつの結論をみいだしたのである。 ほうかご ゅうじん じせつ 待ちにまった放課後、ハチベ工はさっそくふたりの友人をつかまえて自説をひろうした。 じさっ 「おれな、すごく、 しいこと思いついたぜ。こうすれば、もうだれも自殺なんてしなくな るって方法。」 「へえ、 ( チベ工ちゃん、えらいなあ。」 たちおうじよう なや

2. ズッコケ結婚相談所

はちゃ 「失礼。ちょっと声がかすれたものですから。すると、あなたは八谷くんという男子が好 きになったんですね。」 「はい、好きで、好きでたまらないんです。だけど、八谷くんて、女子にすごくもてるか かれ ら、あたし、彼に話しかける勇気がなくて。」 「いやあ、そんなにもてやしませんよ。」 「あら、八谷くんのこと、知ってるんですか。」 ししえ、知りません。見たこともありません。ほんとうです。」 「え ? 「そうでしようねえ。だって、八谷くんて、すてきな男性なんですよ。うちのクラスの女 うわき かれ 子なんか、みんな彼のファンなんだから。ただ、八谷くんて、すこし浮気つ。ほいっていう うわさなんです。ガールフレンドが十人くらいいるって : 「そ、それはちがいます。いや、その、つまりですね。男の子というのは、好きな女の子 があらわれたら、一生、その子のことばかり考えるものなんですよ。その八谷っていう子 には、まだほんとに好きな女の子が、いないんしゃないのかな。」 きばう 「まあ、うれしい。先生、あたし、すこし希望がわいてきたわ。」 しつれい

3. ズッコケ結婚相談所

じじよ - っ かような事情からであった。 しゅうごう さて、その日の放課後、 ( チベ工と ( カセは、さっそくモーちゃんの家に集合した。 そうだんないよう 「いいか、まず電話がかかってきたら、モーちゃんが出るんだぜ。そいで、相談の内容を きいてから、それでは先生にかわりますっていうんだ。」 めいれい ハチベ工がおもおもしく命令する。 「先生って、 ( チベ工ちゃんのこと ? 「そうさ。」 「ふうん、・ほくや、 ( カセちゃんは、なんなのさ。」 「もちろん先生さ。おれが相談にのっても、うまくいかなし ときがあるだろう。たとえばふとりすぎでなやんでるやっと か、うんちがつまってこまってる子のときは、おまえが相談にのってやりゃあいい。」 「ほく、うんちがつま 0 たりしないもの。それは ( カセちゃんのりだね。」 モーちゃんが、もうひとりの先生をふりかえった。 「ことわっておくけど : ほくがトイレが長いのは、本を読んでるからだからね。べつに便 べん

4. ズッコケ結婚相談所

ようこ 陽子が、あわれみのまなざしで ( チベ工を見おろした。 くもゆ どうも、雲行きがおかしい。さすがの ( チベ工も、なにやら うさんくさいものを感じはじめた。 しったい、なんのことだよ。一時間まっとか待たないとか。」 そうだん 「あら、まだ気がっかないの。電話相談の先生。あのう、 れんあいもんだい あたし、恋愛問題でなやんでるんです。」 ちょうし ゆみこ 由美子が、声の調子をかえた。 ああ、なんと、その声は : 「お、おまえ、まさか : ハチベ工は、ロがもつれてしまった。 「ようやく気がついた ? たよりない先生ねえ。そんなこと じゃあ子どもの悩みごとは、解決しませんことよ。」 「でも、おなかすかせて一時間も待ってるとこは、あんがい なや かいけっ い物

5. ズッコケ結婚相談所

「そうだよ。いま、宿題やってるところ。」 「宿題ーー 「うん、めんどくさいんだ。だから、教えてもらおうと思って。」 あく かお ( チベ工の顔が、みるみるけん悪になってきた。 「おまえなあ、あっかましいそ。宿題なんてものは、自分でやれよ。」 そうだん わからないことや、こまったときには、相談にのるって、ポスターに出て 「だって たじゃない。」 「ハカヤロウ、宿題は、べっ , じゅわき ( チベ工先生、受話器も折れよとばかり、電話機にたたきつける。 「まったくもう、近ごろのガキは、なに考えてるのかねえ。」 どうりよう かお ハチベ工は、うんざりした顔つきで、同僚の先生がたをふりかえった。 「はは、ま、こんなこともあるさ。おこらない、おこらない。」 ハカセが、にやにやわらってこたえる。 ちんもく それつきり、ふたたび電話は沈黙してしまった。時間は刻々とすぎて、とうとう四時に しゆくだい

6. ズッコケ結婚相談所

でんわそうだんしつ ズッコケ電話相談室、 どうどうオープンー 悩みごとのある小学生は、おきがるに 電話してください。 しんせっせきにんかん 親切で責任感のある先生が、きみの悩 みをじっくりきいてくれます。そしてそ くざに解決します。他人にしゃべったり は、いっさいしません さあ、勇気をもって、ダイヤルをまわ そう ズッコケ電話相談室 なや かいけっ ー一ニ一三 ④⑤④ ⑨⑨

7. ズッコケ結婚相談所

「あのね、うちの。 ( 。 ( とママ、しよっちゅうけんかばかり なかよ してるんですけど、なんとか仲良くできないでしようか。」 「ううん、そうだなあ。」 かお ハチベ工が、し 、くぶんこまった顔で、ふたりをふり ゅびまるじるし かえる。と、 ( カセが、指で〇印をつくってみせた。 せんもん 「それじゃあね、専門の先生がいらっしやるからかわりましよう。」 ハチベ工がハカセと交代した。ハ カセはおちついた声でたずねる。 「きみ、三年生といったね。きようだいは、いるの ? 」 「いません。」 「ひとりつ子か , , 、やママは、きみのこと、かわいがってくれる ? 」 「ほくのことは、かわいがってくれるけど : 「そうか、きみのことはかわいがるけど、 なことでけんかするのかなあ。」 「さあ : ・ なまいきだとか、スカにしてるとか : こうたい ( とママの仲が悪いんだね。いった、 なか よくわかんない。」 8 、どん

8. ズッコケ結婚相談所

( チベ工が、あわててそばのメモ用紙に数字を書きうっすよこで、 ( カセが小声で、 と、教える。 「あ、きみ、きみ。十二。わかるかね。十二だよ。」 「ありがとう、じゃあ五十一ひく二十三は ? 」 三十八。」 すかさず ( カセが、 ( チベ工に教えた。 三十八だね。」 じゅわき これまたハチベ工が受話器にむかってこたえる。 もんだい 「じゃあ、つぎの問題。タロウさんは、ビー玉を二十二個 もっています。ジロウさんは、四十一個もっています。どちらが、いくつおおいでしよう。」 くび 」にいたって、ハチベ工もようやく首をかしけた。 「あのね、それ、もしかしたら、算数の問題じゃないのかね。」 しつもん ハチベ工先生の質問に、なやめる子どもはすました声でこたえた。 ようし 2 第ー

9. ズッコケ結婚相談所

ことが起こるのだ。死んでしまえば、それでおしまいだ。 りかい たしたい、親にしかられたくらいで自殺するというのが、この少年には理解できなかっ 親とか学校の先生というのは、子どもをしかるために存在しているのだから、しかられ いのち たりどなられたからといって、いちいち気にしていたら、命がいくらあったってたりない それにしても : 男の子は、お茶わんにのこっていたごはんにお茶をぶつかけると、たくわんといっしょ にロのなかにかきこみながら、いまいちど新聞の写真に目をおとした。 大きな目をした、かわいらしい女の子だ。 こんなかわいい女の子が死ぬなんて、たしかに世のなかがくるっている。友だちはいな かったのか。なぜ、少女の自殺をとめられなかったのか。 カバンをつかんで、おもてにとびだすと、外はぜっこうの天気だった。青い空に、綿あ めみたいな雲が、。ほかり、。ほかりとうかび、ツバメがフルスビードで飛んでいる。 おや じさっ そんざい わた

10. ズッコケ結婚相談所

ちんもく それつきり、電話は沈黙したままである。時計の針は、もう午後二時をまわった。 と、ようやく電話のベルが鳴りわたった。 へんじ じゅわき モーちゃんが返事をするまえに、受話器の向こうから、男の子の声がした。 「電話で、いろんなこと教えてくれるって、ほんとですか。」 をししま、先生にかわります。」 モーちゃんは、うわずった声でこたえると、つねににあわぬ すばやさで、受話器をハチベ工におしつけた。 かた ( チベ工は、えへんとせきばらいして語りかける。 「電話かわりました。ええと、どんな悩みかな ? いくつですか ? 「ええとねえ、三十八ひく二十六は、 「え ? 、三十八ひく二十六よ、 「だからーー / をいくつかって、きいてるの。」 ちょうし 声の調子では、、 る学校の一、二年生だろう。 「ええと、まてよ。三十八ひく二十六は : なや 38 ー 26 =