げんいん んも、まるで知らなかったから、これはたぶん、 ( チベ工特有の、あきつ。ほさが原因だろ かいしやく うと解釈した。 むせきにん 「そりゃあないよ、 ( チベ工くん。だいたい無責任じゃないか。ねえ、モーちゃん。」 ハカセが、けしきばんでモーちゃんをふりかえった。 そうだん 「う、うん。そうだね。まだ、相談にのってもらいたいひとがいると思うよ。ねえ、 ( チ べ工ちゃん、せめて、きよう一日、相談にのっておくれよ。」 モーちゃんが、なんとなくすがりつくような目をした。 と、おりもおり、電話のベルが鳴った。 でんわそうだんしつ 「よ、こちら電話相談室です。」 ろんそうちゅうだん モーちゃんが論争を中断して電話に出る。 「電話でいろいろ相談にのってるっていうの、おたく ? だか かん高いおばさんの声だ。 「はい、そうです。」 「こまるのよねえ、無責任なこと、子どもにふきこまれちゃあ。」 A プ、ゆ・つ / 仁、ノ◎
でんわそうだんしつ ズッコケ電話相談室、 どうどうオープンー 悩みごとのある小学生は、おきがるに 電話してください。 しんせっせきにんかん 親切で責任感のある先生が、きみの悩 みをじっくりきいてくれます。そしてそ くざに解決します。他人にしゃべったり は、いっさいしません さあ、勇気をもって、ダイヤルをまわ そう ズッコケ電話相談室 なや かいけっ ー一ニ一三 ④⑤④ ⑨⑨
じさっ ふあんてい 世のなかが不安定だろ。この町にも自殺したがってる子どもがいるかもしれないもんなあ。」 ゅうじんかお ( チベ工は、低い鼻をうごめかしながら、ぐるりと友人の顔を見わたした。 そうだん 「ちょっと、 ( チベ工くん、きみ、まさか、テレフォン相談を : : : ? ちゅうもく ふあん ( カセが不安なおももちで、色の黒いちび少年の顔を注目した。 「おれたちも六年生になったんだからな、すこしは学校のためになることしなきゃあ。な やめる子どもの相談にのってやろうじゃないか。」 「あのう、 ( チベ工ちゃんが相談の先生になるの ? モーちゃんが、なにやらこわいものでも見るような目つきで、 ( チベ工を見つめた。 「おれひとりじゃあたいへんだから、おまえや ( カセにも手つだってもらうさ。そいから 電話だけど、おまえの家のをつかわせてもらうからな。」 「ほ、・ほくの家の電話で相談するの。」 しようばい 「そうさ、おれんちは商売でつかってるし、 ( カセの家にはおばさんや妹がいるだろ。 つごう おまえんとこなら、昼ま、じゃまがはいらないから都合がいいんだよ。」 。だってさあ、うちの電話番号、だれも知らないし : : : 」 「ううん、でも
きみよう けつか モーちゃんからの奇妙な電話について、 ( チベ工と ( カセは、あれこれ話しあった結果、 けつろん ひとつの結論にたっした。 ははおやさいこん そうだん ようするにモーちゃんは、母親の再婚について、めんとむかって相談するのがはずかし かったにちがいない。だからわざと電話で相談したのだろう。そして、いまひとつは、自 なや なかま いつばんてきもんだい 分の悩みを、仲間としてでなく、 一般的な問題として考えてもらいたかったのではないだ ろうか。 いけん と、これは ( カセの意見である。 「ほくも ( チベ工くんも、モーちゃんのことはよく知ってるだろ。だから相談をうけても、 どうしたってモーちゃんのこととして考えちゃうんだよね。でも、モーちゃんにしてみれ きやっかんてき あかたにん ば、もっと客観的というか、赤の他人のこととして考えてもらいたかったんしゃない 「めんどくさいことするなあ、おれたちに相談するんなら、どっちみちモーちゃんだって はなごえ ことわかっちまうじゃねえか。あいつ、あの鼻声でごまかせると思ったのかねえ。」 ふたりがしゃべってるところに、モーちゃんが、のそりともどってきた。
こすというのは、たしかにめずらしい 「ま、人門 日、いろいろあるさ。天気の日ばっかりじゃないもんなあ。」 ハチベ工が、ふたたびたたみの上にねころんだとき、また電話のベルが鳴った。 ハカセが、ビクンとからだをふるわせる。 「 ( チベ工くん、出てくれよ。さっきのおばさんだったら、・ほくは、もういないってね。」 じゅわき ハチベ工が受話器をとった。 「もし、もし。」 はな ややあって、みように鼻にかかった子どもの声がした。 でんわそうだんしつ 「あのう、子ども電話相談室でしようか。」 かいさん 、え、子ども電話相談室は、もう解散しましたよ。」 やくそく 「そんなあ : ・ きよう一日は、うけつけるって、約束したじゃない。」 ハチベ工は、あれっと田 5 った。 「なんだ、モーちゃんじゃねえか。どうしたんだ。」 「ほくは、モーちゃんではありません。悩みのある小学生です。」 なや
校の教室をまわって、くばってまわったものである。 りやく けんそうだん チラシのご利益があったのかどうかわからないが、その日の午後には、三件の相談がま いこんできた。 さいしょの電話は、五年生の女の子で、クラスの男子にしよっちゅういじめられてこ とく なや まっているという相談だった。このての悩みは、 ( チベ工のもっとも得意とするところだ。 ともだつねお 「わかりました。いじめてるやつは、五年一組の友田恒男って子だね。まかせなさい、も う、ぜったいに女の子なんかにちょっかいださないように、してあけよう。」 じしん ( チベ工は、自信をもってこたえた。むろん、遠からず、この男の子は、 ( チベ工に よって、たっふりおどかされることになるにちがいない。 さかなっ 二件めは、魚釣りについての相談だった。投げ釣りのしかけが、うまくとばないという 四年生の男の子からの電話である。これは、モーちゃんが、ていねいに悩みをきいてやり、 けってん さおの長さが、その子の身長にくらべて長すぎること、さおをふるときのフォームに欠点 かんしゃ があることなどを教えてやり、男の子から感謝された。 三件めの相談は、しようしようやっかいだった。相手は、三年生の男の子である。
なや 2 モーちゃんの悩み つ寶 でんわそうだんしつ 月曜日の午後一時、電話相談室にあらわれた ( かお ラ .0- 一し 、くぶんやつれて見えた。 チベ工の顔よ、 土曜日のできごとは、このタフな少年の心にも、 「それなりのダメージをあたえたものらしい ちゃま 電話のある茶の間には、もうハカセとモーちゃ ( ニんがすわ 0 ていて、テープルの上のポテトチ ' プ スをつまんでいた。ハチベ工は、たたみの上にご 一一一一一ろんとよこになると、やおらふたりにむかって声 上一一一をかけた。 「あのなあ、おれ、いろいろ考えたんだけどさ。 そうだん おれたちが悩みごとの相談をするっていうの、 なや
けっこんそうだんじよ ズッコケ結婚相談所 でんわそうだんしつ ー子ども電話相談室間 2 モーちゃんの悩み 60 3 まぶたの父、まばろしの兄 とうきよう 4 東京の空の下 148 あとがき 203 ズッコケ三人組常識テスト 109 205
話をうけていた。 そうだんしつ はなやまちょう しめいぶつ このペースでいけば、相談室は、遠からず花山町、いやミ リ市の名物となり、室長 である ( チベ工は、やがてテレビやラジオの相談員にスカウトされるかもしれない。 じぶんごの と、なにごとにつけ、ものごとを自分好みに考えるのがハチベ工のくせであった。 じゅわき なや ネコの病気についての悩みごとについて、 ( カセが注意をあたえて受話器をおいたあと、 いくぶんひまになった。 土曜、日曜は、相談室は休みにしているから、今週の 受けつけは、あと一時間たらずである。 そのとき、ふたたびベルが鳴った。 モーちゃんが、てなれたようすで受話器をつかむと、 これまたなれた声でこたえる。 でんわそうだんしつ 、こちら電話相談室です。」 「はい ややあって、女の子のためらいがちな声がきこえてきた。 なや 「あのう、じつは、悩みごとがあるんですけど : : : 」
むり やつば、無理なんじゃないかなあ。」 そうだんしっせきにんしゃ いけん 当相談室の責任者たる ( チベ工の、とっぜんの意見に、ふたりの相談員は、あっけにと かお られたような顔をした。 「どうしたんだい、 ( チベ工くん。なにかトラブルでもあったの。」 ( カセが問いかけると、 ( チベ工は首をふった。 じしん 「べつに : : 。ただよ、おれ、自信なくなっちゃったんだ。おれみたいな、おっちょこ なや かいけっ ちょいに、ひとの悩みなんて解決できやしないんだな。」 ( チベ工が、かって、このようなけんきよなせりふをはいたことがあるだろうか。 「うん、そりゃあそうだけど : 。でも、けっこうおもしろくなってきたじゃない。、 んな相談があるし、ぼくらが話すと、みんな、よろこんでたよ。」 おうたい ( カセは、このところ電話の応対がおもしろくなってきたのだ。 そうだんしょ 「だめ、だめ。おれ、もう決めちゃったんだ。相談所は、もうやめるってな。ポスター だって、みんなはがしてきちゃったもの。」 しんきよう ( チベ工の心境の変化が、土曜日のデー トによっておこったとは、、 / カセもモーちゃ