週、第菊代アメリカ大統領好意的に評価する内容だった。 「均衡予算を標榜してきた保守派の共和 に就任したドナルド・トラ特集を担当したのは、保守派の代表的党政権が毎年 2000 億トル近い赤字を出 ンプ ( 間 ) は、これまで多論客でニュ 1 ズウィ 1 クのコラムニストし、それが大問題とならないとすれば、 くの点で第代大統領と比だったジョ 1 ジ・ウイルだ。彼はこう書アメリカ政治は基本的なところで何かが 較されてきた。元ハリウッド俳優という く。「陽気で幸せな大統領の故に、アメ狂ってしまったのだ」とウイル。ではな 異色の経歴を持ち、史上最高齢の的歳で リカもまた上向きになったーー多くのアせ、レ 1 ガンの人気は落ちなかったのか 就任した共和党大統領ーーロナルド・レメリカ人が、そう感じているだからこ レ 1 ガンが大統領に就任したのは、ア 1 ガンだ。レ 1 ガンは、トランプの「アそ、この大統領は年ぶりに同じ党の後メリカか外交ではイランの米大使館人質 メリカを再び偉大に」というスロ 1 ガン継者にバトンを渡すことができた」 救出作戦の失敗、国内ではインフレとい を掲げてホワイトハウス入りした最初の 大抵の大統領は「できたての硬貨のよう屈辱と混乱の最中にあった別年。傷つ いたアメリカで求められていたのは国家 としての将来性を小し、国民を納得・安 え 心させてくれるリ 1 ダ 1 だった。大統領 さ大 る ゅ としてはマイナスと思われていた俳優の 領とい 統たたて 経歴が、レーガンの強みになった。 大まつじ Ⅵ レ 1 ガン自身、「役者の経歴がない者 こガ なもな感 カこは に、果たして大統領が務まるのかと思う 幸刈き人 ことかある」と語っていた。彼は広大な でア向カ 国家を 1 つにまとめ、活力を生む価値観 に息吹を送り込むという「政治の中心課 陽 ア 題」をこなせる「役者」だった。 「レトリックはレ 1 ガン大統領の中心的 大統領でもあった。 うに、まばゆい光を放って」就任するか、要素だった」とも、ウイルは書く。一方 年 1 月 9 日号のニューズウィ 1 クは最後は反対や失望に追いやられるようにで、政治経験なきトランプにとって、選 2 期 8 年を務め上げ、共和党のジョ 1 退任する。だがレーガンは就任時よりも挙戦中の最大の武器は彼が発する、時に ア名 「ジ・ブッシュ次期大統領に政権を引き継人気を増し、アイゼンハワ 1 大統領のよ身もふたもない率直な一言葉だった。 ぐ直前のレーガンについて特集した。特 4 年後あるいは 8 年後、彼はレーガン うに国民の敬愛を一身に受けて退任する 集号のタイトルは、「レーガンはアメリ ウイルはそう書いた と同じく国民に愛されながら退任するの 力をどう変えたのか」。政権の総括とも 当時、大幅減税を伴う自由主義経済政かそれとも任期途中で罵声を浴びなが 言える記事は、「大統領の座から最も遠策、いわゆる「レ 1 ガノミクス」が巨額ら、ホワイトハウスを後にするのか異 い男」と目されつつ当選し、今その座かの財政赤字に拍車を掛け、貿易赤字と合色の大統領の長い道のりは始まったばか ら去ろうとしているレ 1 ガンを、極めてわせた「双子の赤字」は大きく膨らんだ。 How Reagan Changed America By GEORGE F. WILL 1989 年 1 月 9 日号 Newsweek フ 0 2017 / OI / 31
そ テレヒ演説を実施。バラク・オバマは れは前触れもなくやってに対して、米政府はこれまでよりはる乱を発生させる 来て、世界中に破壊と混かに強硬な姿勢で臨むはずだからだ。 トランプは朝も昼も深夜もさまざまソ 1 シャルメディアを活用してみせた。 乱をまき散らした。アメ 金融業界筋が本誌に語ったところに な事柄について、権力を誇示し、悪意彼らがこうした手法を使ったのは、 リカの情報機関の士気がよれば、「それ」はウォ 1 ル街に新たに満ちた 140 文字のメッセ 1 ジを放国民を鼓舞したり特定の法案を後押し 低下しているのは「それ」のせいだ。な戦略をもたらした。アメリカ大統領つ。その内容はしばらく論議の的になしたりするためだった。だが、トラン 事情通の米政府高官はそう漏らす。 の怒りを買いそうな企業の動きが報道った後で忘れ去られ、また新たな衝撃プの場合は違う。モノマネで自分を風 国家のために自らの生活を犠牲にしされるたび、トレ 1 ダーは大統領の攻的ツィ 1 トが取り沙汰される。 刺したお笑い番組や、自分を批判した てきた情報当局者は今、もっと稼げる撃的な「それ」が招く株価の変動を予民衆と直接コミュニケ 1 ションする女優を攻撃するのが目的だ。 民間部門に転職しようと履歴書の準備想して株の売り買いに走る ため、テクノロジーを利用したアメリ トランプがツィッターで見境なく暴 に忙しい。国外の情報提供者も、リス数々の驚くべき事態を生む「それ」カ大統領はこれまでに何人もいる。米言を吐くことは前から知られていた。 クを冒してアメリカのために情報を収とは、ドナルド・トランプ米大統領の金融機関が危機のさなかにあった 19 とはいえその攻撃癖が、支持者でさえ 集するのはもう嫌だと思い始めている。ツィートだ。この奇妙な新世界では、 33 年、フランクリン・ル 1 ズベルト奇怪に思うほど高じたのは大統領選期 一方、「それ」は韓国の政府関係者インタ 1 ネット上のコミュニケーショ は、普及し始めたラジオで国民向けに間中だ。米軍兵士の息子を戦闘で亡く に、安全保障をめぐる安心感を与えてンツ 1 ルの力とトランプの衝動的な性演説する「炉辺談話」を開始した。ロした両親であれ、メディアであれ、自 いる。国連の制裁を尻目に、核開発や格が絡み合い、市場や外国政府、情報ナルド・レーガンは議会と対立した際、分を批判する者は許さないとばかりに 弾道ミサイル発射実験を進める北朝鮮機関を巻き込んだグロ 1 バル規模の混国民に自らの主張を直接訴えるとしてツィッタ 1 で攻撃しまくった。 アメリカ 攻撃、不満、自慢を連発ーーー ついに大統領に就任した トランプの大量ツィートから 読み解く新政権の行方 情喝と迷 カート・アイケンワルド体誌シニアライター ) AP/AFLO Newsweek 2 ー 2017 / OI / 31
DONA [ 0 TRUMP TWITTER 時には国際的な緊張を不必要にあお台無しにしかねない。侮辱された中国応した。星条旗を燃やした者は米市民領の職務をどのように考えているかを る。例えば、昨年肥月 4 日には中国をが大人の対応をしたことはかってない。権を剥奪されるべきだという発言も、判断するには、本人のツィ 1 トが最も 立て続けに非難しているが、きっかけ トランプが米中外交に関する理解不足 1 回限りの言いっ放しだった。 分かりやすい。そこから見えてくるの になりそうなニュ 1 スは何もなかった。を露呈するほど、中国政府は議論の扉 は、国内政治より復讐に関心があって、 独善的な放言が命取りに ? 人民元が上昇傾向を見せるなかでも中を閉ざすだけだ。 外交問題より自分の不満が大切で、新 国が通貨を切り下げていると批判する外交より 1 件少ない件だったのが、大統領職とファミリ 1 ビジネスの利政権の人選より自慢話に忙しい男だ。 など、基本的な知識が足りないと思わ大統領選を蒸し返すツィ 1 トだ。数百益相反に関するものは 6 件、支援者個どのような話題にも集中できない散漫 せる発言もある。 万人が違法な投票をしなければ、得票人への賛辞が 5 件。どのカテゴリ 1 にさもあらわになった。 中国の共産党機関紙人民日報系のタ数でも自分が勝ってい 今後のツィートは、大統領として強 プロイド紙「環球時報」はすぐさま、たというようなたわ言 力な武器になるかもしれない。あるい もあった。しかし多く は意味のない独善的な放言が、大統領 のツィ 1 トは総体的な の権威をおとしめるかもしれない 自信のなさ、スポ 1 ッ ただし、ツィッタ 1 でつぶやくこと も マンシップの欠如、自 は、国を導くことではない。国民とコ 面 場 画自賛せすにいられな る ミュニケ 1 ションを取る方法を考えた す 憂 い性格を反映している いなら、共和党の兀大統領たちに倣う 喜 よ、つだ。 といいかもしれない 場 選挙から 2 カ月もた いっそのこと、手本にするのはレー 市 ったというのに、そし ~ - を ガンだけでいい。トランプは 1 月 9 日 て大統領就任も目前だ に突然、自分とレ 1 ガン夫妻が写って とい、つのに、 1 月 6 日 統いる大昔の写真を投稿した。レ 1 ガン には相変わらず民主党 期はコミュニケ 1 ションの達人と呼ばれ 候補だったヒラリ 1 ・ 場たが、トランプはさしずめ「お粗末な クリントン陣営を侮辱。 ブツィッタ 1 職人」だろうか ン トランプか「かんしやくを起こした」彼らは、トランプに投 ラ レーガンは次期大統領に決まった初 ト と反撃。「愚痴をこばすのは勝手だが、票した人々の情熱を理 日に大規模な記者会見を開き、真摯に 大国のパワ 1 ゲ 1 ムのル】ルを無視す解するのが遅過ぎたと言い捨てた。 も当てはまらないツィ 1 トもあった。対応した。彼を「売れなかった元俳 ることはできない。世界第 2 位の経済 8 番目に多かったのは、クリスマス トランプはかってないほど謎だらけ優」と批判していた人々を安心させる を持ち、世界最大の貿易国で核保有国や新年など季節の挨拶で件。 9 番目の大統領だ。納税申告書を公開せず、だけの知識があることを一小した。 である中国を、思うままに扱えるだけは本来の次期大統領らしく、次期政権経営する事業の情報も明かさず、公共この記者会見でレ 1 ガンは 2988 の人選について件だった。 の力量を彼は持ち合わせていない」 政策に携わった経験もない。当選後の語、約 1 万 6000 字分の発言をした。 無益なツィッタ 1 戦争を中国に仕掛国内政治に関するツィ 1 トは件。記者会見は 1 回だけそれも、ほとんツィートに換算すると約 114 本。 けても、トランプ自身が望んでいる貿ただし思い付きのような内容で、時にど中身のない大騒動に終わった。 ばすべて政治に関する話で、愚痴も侮 易交渉をはるかに難しくするばかりか、 は特定の企業の株価がネガテイプに反従って今のところ、トランプが大統辱も自慢も一切なかった。 国内政治より 復讐に関心があって 外交問題より 自分の不満が大切で 新政権の人選より 自慢話に忙しい 030 2055 SPENCER PLATT 、、、 GETTY IMAGES Newsweek 24 2017 / 01 / 31