反政府 - みる会図書館


検索対象: ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号
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1. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

痛ましい戦禍 政府軍による空爆で 瓦礫と化した首都ダ マスカス ( 2013 年 ) 3 2 4 GORAN TOMASEVIC—REUTERS 川年末からチュニジアやエジプトで続 発した民主化デモ「アラブの春」に触 発された少年らがⅡ年 3 月、学校の壁 に政府批判の落書きをした。すると民 主化運動に敏感になっていた治安当局 が彼らを拘東。怒った地元住民が抗議 デモを始めると、治安部隊が発砲して 犠牲者が出る事態となった。 独裁国家シリアでは、弾圧など珍し くない。ハフェズ・アサド前大統領の 時代から半世紀近く続いてきた非常事 態法の下、秘密警察がほば無制限に社 会を統制していた。しかし、このとき ばかりは人々は屈しなかった。くすぶ ってきた政治的自由への欲求と経済面 の不満が、「アラブの春」の熱狂にあ おられて噴出したのだろう。 父よりも穏健とみられていたバシャ ル・アサド大統領は同年 4 月、政治改 革を約東したが、政府批判の嵐を食い 止めることはできなかった。事態が治 安当局の手に負えなくなると、アサド はダルア 1 や中部ハマなど各地に政府 軍と戦車を派遣し、鎮圧に乗り出した。 やがてアサドの弾圧に批判的な軍幹部 や兵士が、政府軍から離反を始める 彼らは 7 月には反政府派武装勢力「自 由シリア軍 (=n<) 」を結成し、反 政府派の中心的存在となっていった。 アサドは政府軍を使った「ムチ」の 手を緩めない一方、民主化要求に応え て複数政党制を導入するなど「アメ」 で反政府派を懐柔しようとした。だが、 すべては徒労に終わった。「アラブの Newsweek 27 2017 / 04 / 18

2. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

SYRIA EXPLAINER テ当 いイ第 . 第ゝツを , ーに承ン嚼第物窰をを 入り乱れるシリアの国内勢力 産を霧 ■ 2012 年 8 月 5 この辺りから、シリア内戦の第 2 幕 が始まる。きっかけはオバマ米大統領 の弱腰だ。 年 3 「レッドライン ( 越えてはならない一 線 ) 」。肥年 8 月、こう述べるオバマの カ表情には力が籠もっていた。起死回生 」を狙うアサドが反政府派に化学兵器を 使うのでは、との疑惑が浮上。一線を 越えたら米軍の軍事介入も辞さないと 学警告したのだ。 「レッドライン」発言から 1 年後、懸 念は現実となった。ダマスカス近郊で 化学兵器が使われ、住民数百人が死亡。 春」に批判的だったアラブ諸国も混乱オバマの決意をあざ笑うような暴挙を派過激派組織アルヌスラ戦線 ( 現シリ の波及を恐れ、アサドに見切りをつけ前に、誰もがアメリカが立ち上がるとア征服戦線 ) が反政府派に加わり、 た。Ⅱ年Ⅱ月、アラブ連盟はシリアの思った。だがオバマは動かす、「レッ から主導権を奪っていく。 参加資格を停止して経済制裁を発動。ドラインを引いたのは私ではなく世界オバマが介入をためらうっちに、対 反政府派への武器や資金の提供を加速だ」と逃げた。 立の構造は「アサド対反政府派」から 年 させた。 当時、アサドはシ 1 ア派政権の存続「アサド ( + ヒズボラ + イラン ) 」対 諸外国の支援を受けた反政府派は攻を望む外国勢力から援軍を得て、息を「反政府派 ( + アルヌスラ戦線 ) 」 ~ と デ勢を強め、政府軍も徹底抗戦する 。肥吹き返し始めていた。年 6 月には政複雑化し、それがアサドの延命に結び 年 6 月、国際社会はついにこの混乱を府軍はレバノンのシ 1 ア派軍事組織ヒ付いていった。 こ つ「内戦」と呼ぶようになった。 7 月にズボラと共に、西部クサイルを奪還。 は首都ダマスカスで、反政府派が国防シーア派国家イランからも革命防衛隊 剤相らを爆殺。第 2 の都市である北部アが派遣され、ヒズボラと並ぶ政府軍の ■ 2014 年 6 月 5 ブレッポも掌握した。 主戦力となった。 ア エジプトのムバラク政権やリビアの 一方、を中心とした反政府派第 3 幕は年 6 月、が北部 カダフイ政権に続き、アサドにも退陣は内部抗争で分裂。 1 年後の大統領選ラッカで「カリフ制国家」樹立を宣言 の日が迫っているーー・そんな気配が漂でアサドの再選を阻止できないほど弱して幕を開けた。数万人の戦闘員を有 、反政府派の「春」は咲き誇った。体化した。これに乗じて、シ 1 ア派政し、イラクにまでまたがる広大な「国 権打倒を唱えるアルカイダ系のスン一一家」の出現に世界は震え上がった。 米軍主導の有志連合が 域 の拠点に空爆を 国 地 ム 始めたが、地上軍なしの ス 派攻撃には限界がある。¯ ア府ドカ は支配地域を拡大 旧リ政ル勢 旧シ反ク各 し、年 5 月には中部バ ルミラを政府軍から奪う 対立構造は従来の 2 項 ン 対立から、「アサド対反 ダ 引政府派対」とい う三つどもえに変わった。 にとっては、自 分たちの支配地域拡大を 邪魔する者はアサド派で 工 あれ、反政府派であれ攻 ラ 料 撃対象でしかない。 REUTERS (RIG 工 T), PETE SOIJZA—T 工 E W 工 ITE 工 OUSE—REIJTERS オバマの躊躇 25km トルコ レ ア カ ・イドリ ・ラタキア シリア 地中海 ム ホ レバノン ・ダスカス イラク Newsweek 28 2017 / 04 / 18

3. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

REUTERS (RIG 工 T). BASSAM K 工 ABIEN—REUTERS 三つどもえの対立では一方を攻撃すれるしかなかった。それは、シリア内は瓦礫と化した。こうして昨年末にア れば他方を利することになり、敵味方戦の焦点だった「アサド退陣」がうやレッポは奪還され、アサドはダマスカ スとともに南北の重要拠点を掌握した。 ・、。、レむやとなることを意味した。 の区別か困難となる。ノノ アラブの春はとうに輝きを失い、選直後にドナルド・トランプが米大統 ミラを制圧した際も、米軍は政府軍を 、 , 利することはできないとして挙で選ばれた政権を倒したエジプトの領に就任。オバマ外交を批判して当選 を空爆しなかった。一時息を吹き返しシシ政権に対する国際社会の非難も聞したトランプはロシアとの連携による 掃討を優先し、反政府軍への した政府軍はの攻勢を前に再びかれなくなった。欧米にとって、アサ 宣敗走を重ね、支配地域は国土の 4 分のド退陣はもはや「どうでもいいこと」援助を縮小した。先月末にはニッキ ・ヘイリ 1 米国連大使が「アサド排 剩 1 ほどに。内部抗争で自滅する反政府になりつつある。 フ それどころか仮にアサドが退陣した除はもはや優先課題ではない」と発言。 派も、の敵ではなかった。 ら、混乱が深まる恐れもある。アルヌロシアとアサドの勝利は確実に見えた。 スラ戦線主体の反政府派は既に力を失それでアサドは増長したのだろうか 政権の受け皿には程遠い。反政府軍が支配する北部イドリプ近郊 ■ 2015 年 9 月 5 はアサドがいてもいなくても、攻撃で今月 4 日、化学兵器を使ったとみら そんな時、によるシリア征を続けるだろう。そうした状況で不用れる空爆で民間人が多数死亡した。ト 服という悪夢を阻止すべく、新たな主意にアサドを退陣させれば権力の空白ランプは「ラインをいくつも越えた」 が生まれ、さらに危険な勢力が台頭しと、アサド容認の姿勢を一転。 6 日に 役か躍り出た。ロシアだ。 は空爆の発進地となった西部のシャイ アサドの要請を受けたロシアのウラかねない。そんな思惑が交錯するなか、 ジ 1 ミル・プーチン大統領は年 9 月、死に体だったアサドは急速に息を吹きラト空軍基地に巡航ミサイル「トマホ 1 ク」発を撃ち込んだ。 と反政府派への空爆を開始。返した。年 3 月にはからパ 年 これが新たなゲームチェンジャーと 「対テロ戦争」を掲げるプ 1 チンの狙ルミラを奪還。一度は撤収を宣言した いはシリアを中東権益の橋頭堡とするロシア軍が態勢を立て直し、激しい空なり、「ロシア + アサド」対「トラン プ」の構造に変化するのだろうか。そ 市こと。さらにはのロシア人戦爆で政府軍を援護したのだ。 一方、には弱体の兆しが見の場合、トランプはアサドに代わる新 郊闘員が帰国してテロを起こす事態を防 カぐため、あるいは欧米の目をウクライえてきた。シリア、イラク、リビアに政権の受け皿を用意する必要がある まで拡大した支配地域は縮小の一途。だが対テロ戦争を掲げるトランプにと マナ問題からそらすためとみられた。 た 空からロシア軍の援護を受け、ヒズプ 1 チンの空爆で三つどもえの戦いかって、アルヌスラ戦線が主体となった れ 撃ボラとイラン革命防衛隊を主体とするらが脱落し、対立構造は「ロ反政府軍は選択肢にはなりにくい 今回の攻撃は本格介入への早なの シア + アサド ( + ヒズボラ + イラン ) 」 政府軍が地上戦を担う。アサド陣営は か。あるいはロシアも認めたアサドへ 反政府派が支配するアレッポなどに攻対「反政府軍」の 2 項対立に戻った。 この 2 勢力の対立激化が人道危機をの「お仕置き」にすぎないのか明ら 勢をかけ、形勢は一気に逆転した。 かなのは、シリア国民の苦悩にはまだ アサドを牽制し、を掃討す招いた。反政府軍の拠点アレッポでは るにはロシアに頼らざるを得ない。オ政府軍の包囲による兵糧攻めに住民は終わりが見えない、ということだけだ。 深田政彦 ( 本誌記者 ) バマは結局、プーチンの戦略を受け入飢え、ロシア軍による無差別爆撃で街 1 プーチンの空爆 Newsweek 29 2017 / 04 / 18

4. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

迷宮と化した シリアの 6 年間 SYRIA EXPLAINER THE SYRIAN LABYRINTH いくつもの大国と民族、宗派が 複雑に入り乱れる内戦を理解するための 「 4 つの節目」と「 1 つの対立点」 2016 年 3 月 8 日号の記事を再構成したもの リア内戦は宗派や政治対民主主義国家とファシスト国家、資 立を反映した地域の大国本主義陣営と共産主義陣営、自由主義 ハラとテロリズム の代理戦争だ 。当事者を「善と ク・オバマ前米大統領は悪」に色分けしてきた従来の単純な線 年 2 月にそ、つ発言した。同じ頃、ロ引きか、シリアには通用しない。この シアのドミトリ 1 ・メドベ 1 ジェフ首複雑さこそが戦いを長引かせる原因で 相はシリアの関係勢力を単純に「善とあり、情勢を理解する妨げにもなって いる 悪に区別するのは難しい」と語った。 ハシャル・アサド大統領の退陣を求それでも 6 年間の流れを振り返ると、 める抗議デモがシリア全土に広がり、「反政府派の春」「オバマの躊躇」「— 治安部隊との衝突が始まってから 6 年登場」「プ 1 チンの空爆」とい が過ぎた。米ロ首脳の言葉どおり、国う 4 つの節目があることに気付く。当 内外の民族や宗派、軍隊、テロ組織が初、アサド対反政府派という単純な図 入り乱れた戦闘は激しさを増す一方で、式で始まった戦闘は節目を経る ) 」とに 泥沼の内戦がやむ気配はない。 当事者が増え、複雑さを増している アサドの政府軍やイラン革命防衛隊節目をつくるゲームチェンジャーもま に包囲された町では市民が飢餓に苦した、アサドから反政府派、、 み、ロシア軍の無差別空爆で多くの街ロシアと移り変わってきた。 が廃墟と化した。一方、反政府陣営で それを踏まえた上で、当事者の複雑 はアルカイダ系のテロ組織が、宿敵アに絡み合った思惑を解きほぐしていく メリカの支援を受けて戦いを繰り広げと、彼らを一一分する対立点が 1 っ浮か る。その間隙を縫って台頭したテロ組び上がる。アサド退陣への賛否だ。 4 つの節目と 1 つの対立点。このポ 織 ( 自称イスラム国 ) は古代 遺跡を破壊し、製油所を占拠。支配地イントを押さえながら 6 年間の流れを 域で苛烈な宗教統治を行ってきた。 振り返れば、シリア内戦の複雑な構図 を理解する助けになるだろ、つ ■ 2011 年 3 月 5 第 1 の節目の「反政府派の春」は、 アサドと反政府派の対立という単純な 。 ) 構図で幕を開けた。 舞台はシリア南部の都市ダルア 1 反政府派の春 Newsweek 26 2017 / 04 / 18

5. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

SYRIA REACTION RUSSIAN RAGE TOP TO BOTTOM: MARKO DJURICA—REIJTERS, AFP—*B. DOD—REUTERS 米軍がシリアの空軍基地にミ 「 - 一 ?. 米軍の巡航ミサイで手ひど議会の議員たちから喝采を浴び サイルを撃ち込んだ地中海に向 く攻撃されたはすのシリア西部た。しかしシリアのバシャル・ ナ、ロシアはその日のうちに軍 シャイラト空軍基地から、幻時アサド大統領を排除し、 6 年も ア 艦を急行させた。プ 1 チン政権 間もたたないうちに、シリア政続く内戦を終わらせるための包 ク 艦 はアサド政権を支援しており、 府軍の戦闘機が飛び立った。彼括的な戦略はそこにはない。 を 型 同 らの狙いは反政府軍だ。 シリア国民がこれほどの窮状 の ・臨米軍の攻撃のき 0 かけとな 0 た 艦 化学兵器攻撃も、シリア軍によ シリア政府軍が即座に反攻でにありながら、トランプ政権は 軍 ア 事 シ る通常の空爆が反政府勢力の化 きたのは、化学兵器使用に対すシリアからの入国一時停止措置 ロ こ 学兵器工場に命中した結果もた : る今回のトランプ米政権の報復を見直すつもりもないらしい れ さ らされたものと主張している 攻撃が基地自体に損害を与えなダン・ドウ・ルース、キース・ジョンソン 米軍の攻撃後、ロシア政府は ーかったからだろう。 「主権国家に対する侵略行為」派遣。掃討という共通 「シリア人権監視団」 だと強く非難。「既に悲惨な状の目的のためにシリア領空で活 によれば、戦闘機はシャイラト 況にある米ロ関係を、大きく傷動する米ロが、衝突事故を起こ 空軍基地から発進した。米軍筋物ッま一 0 ( 地 つけるものだ」と警告した。 すのを防ぐために結んだ覚書の は巡航ミサイルによる攻撃は成 は 空 さらにシリア軍の防空システ効力も停止した。 ラ ア イ ャ ム強化などを支援すると表明しアサド政権をめぐる両国政府トロシア製のスホ 1 イ 0 戦闘 ~ シ た上、クリミア半島の海軍基地の対立が先鋭化しているだけで 機が滑走路から離陸する姿も確 認できる から巡航ミサイルを搭載した最はなく、偶発的な衝突のリスク サ ロ 新鋭のアドミラル・グリゴロビも高まっている を 今回のトラ、一プ政権の決断は、一一 ア ッチ級フリゲ 1 ト艦を地中海に 共和党、民主党を問わず米連邦一 : 攻 トム・オコナー 中国では普通、政治的行事にかではない。むしろ、こんなふ中国はせっせと工場を建て、人 「サプライズ」はない。だからうに力を誇示するアメリカの愚工島を造成した。 シー・チンピン 習近平国家主席との会談のさなかさに小躍りしているだろう。 ただ、やたらと内向きで世界 かにトランプ米政権がシリア攻中国政府は特に冷戦後、一転的視野に欠ける中国が、アメリ 撃を決めたのは、彼らにとって三転した米外交を「他山の石」カのような世界のリーダ 1 にな は驚きだったかもしれない としてきた。田年に起きた 9 ・るのは簡単ではない。習が掲げ ただ、シリア攻撃は「次は北 Ⅱ同時多発テロの前、アメリカる「一帯一路」戦略はその 1 っ 朝鮮」というトランプ政権のメは中国を封じ込めようとしてい の解決策にも思えるが、一方で ッセ 1 ジーーーだと中国政府は考た。ところが事件後、アジアにアメリカが落ちたのと同じ「落 えないだろう。彼らはアメリカ投じるべき資金や人命をイラクとし穴」に、中国がはまる恐れ の軍事力を正しく理解している。で垂れ流した。アメリカが中東もある。 米空母の数が分からないほどばの泥沼に足を取られている間に、 ジェームズ・バーマー From Foreign P01icy Magazine(7*tF. 丑画) 習は突然のシリア攻撃に驚いたのか BEIJING HAPPY 中国が喜んだ 突然の空爆 Newsweek 25 2017 / 04 / 18

6. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

SAMIR BOL—ANADOLU AGENCY 、、、、 GETTY IMAGES 徒か多い。「ペンスは南スーダ救うことは誰にとってもプラス ンの課題に取り組む可能性があになる。彼らを『失われた世 る」と、ブッシュ政権下でス 1 代』にしてはならない」 年、反政府組織はチャール ダン特使を務めたアンドル 1 ズを無理やり仲間に引き入れ、 ナツイオスは一一一口う。 一握りの民主党議員も慎重な銃とグリ 1 ンの軍服を支給した がら希望を持っている。超党派 ( 金銭は全く支給されなかった ) 。 の南ス 1 ダン問題委員会の共同チャールズはほかの子供たちと れ議長を務めるマイク・カプア 1 地面に雑魚寝し、母親と母親が よく作ってくれたモロコシがゆ ノ下院議員もその 1 人だ。 「アメリカは民主主義のためにのことを思った。昼間は行進や 合 立ち上がるのかジェノサイド パトロールの仕方、銃の撃ち方 東で人々が殺し合うのを放っておを教わった。「ディンカ人と戦 きくのか。餓死するのを放っておえって言われた。嫌だった。僕 くのか。答えはノ 1 だと感じさも殺されるかもしれないから」 家せる発言は新政権からは聞こえ何度も逃げようと思ったが、 年てこない」と、カプア 1 ノは言司令官と仲間を裏切ることはで う。「アメリカは世界で最も新きなかった。ところが 1 年後、 にしい民主主義国の安定化に関心司令官が政府軍に寝返ったのを を持つべきだ。私の知る限り、知った。裏切られた気持ちがし 『アメリカファ 1 スト』の実現て決心がついた。友人と 2 人で には民主主義の盟友が必要だ」 こっそり抜け出し、 7 月に国連 の保護キャンプにたどり着いた 平「失われた世代」にするな 今は家族が恋しい。父親は南 指名承認公聴会で、国連機関へ党 ) はばやいた。 摘。トランプ政権も南ス 1 ダン しかし内戦が続くなか、人権ス 1 ダンの別の保護施設に、母 の拠出金を見直すべきだと一小唆。とはいえ、トランプ政権が全を優先課題の 1 つにするのでは、活動家はチャ 1 ルズのよ、つな子親はケニアにいる。母親に再会 3 月に新政権が議会に提出したく関心を示していないわけではという希望を抱かせた。 供が無理やり戦闘員にされるしてまた学校に通うのがチャー ルズの夢だ。 予算案では、国務省の予算は約ない。国務省の報道官は 2 月、楽観論のもう 1 つの根拠は宗 ( そして命を落とす ) ケースが 3 割削減された。 南ス 1 ダンの飢饉についてアメ教だ。ブッシュ元大統領などが上 曽えると危惧している。「このだが政府のスパイが怖い。反 「人道援助予算を削減する動機リカは「非常に懸念」しており、南ス 1 ダンの独立を支持したのままではさらに多くの子供が戦政府組織にいたことを嗅ぎ付け が分からない。現状を知らない飢饉は「国民の幸福よりも政治は、キリスト教徒が多数派を占闘要員として駆り出されるだろられはしないだろうか。反政府 のか、それとも気にしていない的野望を優先する南ス 1 ダンのめる地域だったからだ。トランう」と、南ス 1 ダンで活動する組織も怖い。「僕を連れ戻しに のか」。予算案が提出される前、指導者らが長期化させた紛争の、プ政権にはマイク・ペンス副大セ 1 プ・ザ・チルドレンのジョ来るかもしれない」 、ミ、ミ カサンドラ・ビノグラード ノラ・リ 1 下院議員 ( 民主人為的で直接的な結果」だと指統領をはじめ熱心なキリスト教セフ・アケシは言う。「彼らを Newsweek 4 ー 2017 / 04 / 18

7. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

0 0 0 シリア空爆 怒りの制裁 アメリカは 6 日、 59 発の 巡航ミサイルをシリアの 空軍基地に撃ち込んだ 民間人保護のために、シリアに安全 地帯を設定するという選択肢もある だが、その実効性を確保するには指定 区域を常に空から防衛する必要があり、 安全を絶対保障できるわけではない。 こうした状況を考えると、今後アメ リカがシリア情勢を、つまく乗り切るに は、ロシアの協力を得る必要がある アメリカのニッキー・ヘイリ 1 国連大 使は、シリア政府の化学兵器使用後、 シリア政府に圧力をかけるようロシア に強く求めた。最終的な目的は、国連 安全保障理事会でアサド非難決議を採 択することだ。 とはいえ、ロシアを説得してアサド 支持をやめさせるのは容易ではない。 ロシアはかって、「無条件では手を引 かない」と明言している。しかしアメ リカでは、昨年の米大統領選にロシア が関与した疑惑から、議会もメディア もロシアアレルギーに近い状態にある シリアをめぐるロシアとの取引など、 とても容認しそうにない。 トランプは行動を起こした。もちろ を本格化させた。保守系シンクタンク、にロシア軍がいるからだ。ロシア政府意な違いはない。彳 ( 皮らよ 1 つの勢力とん第三次大戦を始める気はないだろう。 民主主義防衛財団のジョナサン・シャは公表していないが、専門家はシリアして行動している」と、のジェますは化学兵器を使ったアサドを許せ ないと、ロシアのウラジーミル・プー ンザ 1 副会長は「いちかばちかの話に国内に約 1 万人のロシア兵が展開してニファ 1 ・カファレラは指摘する はならない」との見方を示す。「アサ いるとみる。これには特殊部隊も含ま米国防総省はシリア空軍による反体チン大統領に理解を求める必要がある ドを野放しにしていた状態を極端に転れ、その一部はイラン革命防衛隊とヒ制派への攻撃を阻止するため、飛行禁トランプの前任者は自ら引いたレッ 換させ、地上軍を川万人送り込むよ、つズボラに帯同しているという。 止区域の設定を検討している。だが、 ドラインから平気で逃げ出した。彼か なことはないだろう」 シリア政府軍は極めて弱体化しておロシアはシリアに防空システムを構築ら「混乱」を引き継いだという、トラ ただ、今回の爆撃は限定的とはいえ、り、その内部にロシアとイランの兵士しているし、米ロは年に偶発的な衝ンプの言い分は正しい。だが、トラン オバマ政権下で行われた場合よりもリ が幅広く入り込んでいる。「もはやシ突を回避する覚書を交わしたが、今回プが引いたレッドラインが吉と出るか スクが格段に大きい。今はシリア国内 リア軍、ヒズボラ、イラン軍の間に有の攻撃後にロシアは履行を停止した。凶と出るかは全く分からない 0 0 0 0 Newsweek 2 ー 2017 / 04 / 18

8. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

SYRIA INTRODUCTION の勝算とリスク リアの反体制派支配地域くような措置だが、その決断は大きな最近は存在感が薄くなった国際テロ来、テロ組織 ( 自称イスラム で、神経ガスのサリンを危険をはらんでいる。シリア情勢はこ組織アルカイダだが、シリアで活動す国 ) の討伐を掲げて、クルド人武装組 使ったとみられる空爆がれまでになく混沌としているからだるイスラム教スンニ派の武装組織と手織と共に作戦を遂行してきた。その— を組み、バシャル・アサド大統領率いはアサド政権と戦っている。 あったのは今月 4 日のこ ( 解説記事ハー ) 。 そして今回のシャイラト空軍基地爆 そのカオスぶりは、米軍事研究所る政府に対する戦いを激化させている と。子供を含む多くの市民が犠牲とな という。ただし「敵」はアサドだけで撃によって、アメリカもアサド政権を (—n>) が先月末に発表したリポー った映像が、世界中を駆け巡った。 これに激怒したドナルド・トランプトに如実に表れている。それによると、はない。アサドを支援するヒズボラ打倒する側に回った。 ハラク・オバマ前米大統領は肥年、 ( レバノンのイスラム武装組織 ) とイ 米大統領は 6 日、空爆の拠点となった「アルカイダがシリア北部で形勢を立 シリア政府による化学兵器使用を「レ シリアのシャイラト空軍基地にミサイて直し、政府に対する大規模な戦闘をラン、ロシアも攻撃の対象だ。 アメリカはトランプの大統領就任以ッドライン ( 越えてはならない一線 ) 」 ルを撃ち込むよ、ス叩じた。一見胸のす再開した」らしい とし、それを越えたらアメリカは軍事 介入をするとにおわせた。だが実際に アサドが化学兵器を使っても、オバマ は動かなかった。オバマにとって重要 なのは核合意を結びたいイランの機嫌 を損ねないこと、シリア内戦という泥 沼になるべく関わらないことだった。 0 2 一体化するシリア軍とロシア軍 トランプも当初はオバマと同じ姿勢 撲滅だけで、当面はアサド政権が続 くことを容認する姿勢さえ示していた。 それがサリン攻撃で変わった。ある側 近によれば、サリンが使われたとみら れる映像に、トランプは「猛烈な不快 感を覚えた」という トランプは 5 日、ヨルダンのアブド ラ国王との共同記者会見で、シリアに 対する考えが変わったことを率直に認 めた。トランプは今回のサリン攻撃は 「多くのラインを越えた」と言い、対 処するのは「私の責任だ」と明言した。 これを受け、米国防総省は対応の検討 アメリカ アサドによる化学兵器使用に激怒して 爆撃を命じたトランプに プーチンはどんな行動を取るのか ビル・バウ工ル ( 本誌シニアライター ) THE RISKS OF FORD MILLIAMS—U. S. NAVY—REUTERS

9. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

SYRIA DONALD TRUMP WHAT HAPPENED TO PUTIN'S PUPPET? プーチンの「操り人形」が駒変した ? トランプがロシアを敵に回す行動に出たのは プーチンと親蜜だというイメージを払拭したかったからなのか 米ロ係 3 ドナルド・トランプに対しては、大の通告があったとされるが、ロシア政あったのかもしれない。 統領就任前からさまざまな懸念が指摘府はアメリカの軍事行動を「主権国家だか、別の可能性もある。プ 1 チン されてきた。その 1 つが、ロシア政府への侵略行為」と非難している。 大統領と親密だというイメージを打ち の意向に沿って行動するのではないか振り返ると、バラク・オバマ前大統消し、ロシアに対して強硬な姿勢を印 というものだった。 領とその前のジョージ・・ブッシュ象付けようとしたトランプが過剰な行 しかし、 ( ほかの多くの問題はさて大統領も、就任当初はロシアの最高権動に走ったというシナリオだ。シリア おき ) 少なくともロシア問題では、懸力者ウラジーミル・プ 1 チンとの協力攻撃は政権の「ロシア疑惑」から目を 念は的中していない。トランプ政権の関係構築を目指していたが、そのうちそらすための策略だ、という臆測を述 に対ロ関係は冷え込んだ。トランプ政べる人たちもいる 権で同じことが起きるのは意外なこと もちろん、化学兵器で殺害された子 ではないが、今回はあまりに早く、あ供たちの映像に心を揺さぶられ、シリ らまりに劇的な展開だった。 ア政策全般を急転換した可能性もある こ し と いったい、何が起きたのか可能性トランプの性格を考えれば、あり得な た はいくつか考えられる くはない。しかし、トランプにとって、 し 1 つは、トランプとロシアの関係がロシア疑惑の報道がかき消されるのが 入 介 疑われていたほど深くなかったとい、つ好ましい状況であることは確かだ 可能性だ。ロシア政府は昨年の米大統ロシア政府が本当に大統領選でトラ 米領選でトランプを勝たせるために工作ンプの勝利を助けたとすれば、現状は 年を行ったのかもしれないが、トランプもくろみが外れたことになるのか。そ と取引していたわけでもなければ、トの可能性もあるが、トランプが重要な 当 本 ランプを脅迫していたわけでもなかっ田、 卩題てロシアの利害に沿って行動する ン チ た、というシナリオである ( 真相はことまでは期待していなかったのかも プ の捜査が済むまで分からないが ) 。しれない。アメリカの政治を混乱させ、 れ も、つ 1 つの可能性は、トランプはも国際的な威信を傷つけられれば、プ 1 外 待 っと親ロ的な政策を実行するつもりでチンは満足だった可能性もある 期 、国際政治の現実を知って考え いずれにせよ歪女は尽きない。アメ 発足後、米ロ関係が劇的に改善する兆を変えた、もしくは政治的事情により リカの大統領がロシアの傀儡だとすれ しは見えていない。 それを実践できずにいる、というシナばぞっとする話だが、ロシアに操られ しかも先週、トランプ政権はシリア リオだ。ロシア政府との密接な関係でていないことを実証しようと躍起にな 政府軍の基地に巡航ミサイルを撃ち込知られたマイケル・フリン大統領補佐っているとすれば、それも恐ろしい話 んだ。シリアのアサド政権に対する軍官 ( 国家安全保障担当 ) が退任し、そだ。いまホワイトハウスでは、あまり 事行動は、オバマ前政権が対ロ関係のの後任の・・マクマスターやジェに気まぐれで衝動的な男が世界最大の 悪化を恐れてここ数年避けてきたこと 1 ムズ・マティス国防長官のような伝核戦力を動かせる立場にあるのだから。 だ。今回の攻撃では事前にロシア側へ統的なタカ派が力を増している影響も ジョシュア・キーティング SERGEI KARPUK 工 IN—REUTERS 02017 The Slate Group Newsweek 30 2017 / 04 / 18

10. ニューズウィーク日本版 2017年4月18日号

SYRIA STRATEGY From Foreign PO 一一陰 Magazine の情報を得て現地のロシア軍関係者をしたのなら、絶対に奪取しろ」 退避させていた。シリア政府軍も避難マティスが今回、豆示止空域の設 か していた可能性が高いそうだとすれ定ではなく、問題の根源を絶っことを ば、今回のミサイル攻撃では「悪党」トランプに提案する可能性はなくはな を成敗できなかったことになる。 。具体的には、空爆と並行して、特 では、アメリカは次にどう出るのか。殊部隊を送り込んでシリア政府指導部 と 動 1 つの選択肢は、シリア上空に飛行禁を襲う作戦だ。空爆と地上部隊の投入 り もっとも、それが成功してシリア政 ナるの防空システムを破壊しなくてはなら すず、大量の空爆を実施する必要がある。府指導部を抹殺できたとして、その後 多しかも、標的の多くはずっと 1 カ所にのシリアをどうするのか。大掛かりな とどまっているわけではない。それに、行動に踏み切れば、たちまち泥沼には ちガ 撃ス空爆でロシアの軍事顧問団を殺害してまりかねない。それに、国際対立は相 を しま、つ危険もある。 互作用を通じてエスカレ 1 トしていく マ空爆作戦には、トルコの協力も取りものだ。百戦錬磨の軍人としてそのこ 付けなくてはならない。トルコの空軍とを身をもってよく知っているマティ ミノ基地を出撃拠点にしないまでも、撃墜スは、イランの反応を考慮するよ、つ大 ラされたパイロットを救うための捜索・統領に求めるかもしれない。 救出部隊の拠点が必要だからだ。 問題は、シリア間題でイランかどう 海兵隊時代のマティスは、文民の上動くかだけではない。イランは直ちに、 官に対して、検討中の行動の 2 次的、イラクで対立を過熱させる可能性があ 3 次的な影響も考慮するよう求めるこるのだ。「 ( シリア大統領の ) バシャ とか多かった。また、段階的に軍事行ル・アサドは、イラン政府とレバノン 動をエスカレ 1 トさせるのではなく、の ( イスラム教シーア派武装組織 ) ヒ しかし、これで終わりにはできない シリア情勢で好ましい選択肢は 1 っ 一挙に決着をつけることを好む。 ズボラの全面的な支援を受けてきた」 もありませんーージェ 1 ムズ・マテイもしそうすれば、囲年代のビル・クリ 年春、イラク戦争で部隊を指揮しと、マティスは以前指摘している ス米国防長官はドナルド・トランプ米ントン大統領の失敗を繰り返すことに たときのこと。部下に多くの犠牲を出 トランプは、どの道を選ぶのか慎 大統領にこう告げたに違いないもしなる。クリントンは、非人道的なことした末に中部の要衝ファル 1 ジャを制重に検討したほうがいい。下手をする 好ましい選択肢があれば、前政権がとを行った国や勢力にミサイルを撃ち込圧した後、町を明け渡して撤収するよと、マティスが年に発した警告の言 つくに実行していたでしよう、と むことを好んだが、粗末な兵舎とテン、ス叩じられた。納得がいかなかったマ葉を借りれば、「極めて大々的なホン 結局、トランプ政権はシリア政府軍トを破壊するだけに終わった。 ティスは、上官にかみついた。その際、モノの戦争」に引きずり込まれかねな 今回、ロシアのウラジーミル・プ 1 いのだから。 支配下の空軍基地に対して、海上から ナポレオンの言葉を引用してこう一一口っ 巡航ミサイルを発射した。 チン大統領は、アメリカから武力行使たという。「ウィ 1 ンの奪取に乗り出 トーマス・リックス ( 軍事ジャーナリスト ) AARON P. BERNSTAIN—REUTERS 0 0 ー 0 一挙に決着 ? マティスは大統領にどのような助言をするのか WAR WITH SYRIA? A PRIMER ポ事戦略 Newsweek 24 2017 / 04 / 18