南シナ海 - みる会図書館


検索対象: ニューズウィーク日本版 2017年6月6日号
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1. ニューズウィーク日本版 2017年6月6日号

CHINA U. S. DIPLOMACY 中国を増長させる J ・バークシャー・ミラー ( 本誌コラムニスト、米外交問題評議会研究員 ) 横田孝 ( 本誌編集長 ) WITH RISKS る 5 月幻日、アメリカ海 軍のミサイル駆逐艦デュ ーイがスプラトリ 1 ( 南 沙 ) 諸島のミスチ 1 フ礁 で、中国の造成した人工島から肥以 内の公海を航行した。ドナルド・トラ ンプが米大統領になってから初めて、 南シナ海における「航行の自由」作戦 を実施し、中国に対して公海上での攻 撃的行為は容認できないというメッセ 1 ジを伝えた形だ。 アナリストたちはこの数カ月、ある 疑いを抱いていた。複数の軍幹部の提 言にもかかわらず、トランプが北朝鮮 問題で「一役買っている」とする中国 に配慮して「航行の自由」作戦を控え ているのではないかという疑問だ。 かってのトランプは、南シナ海に 「巨大な軍事施設を建設している」と 中国を強く非難していた。側近たちも オバマ前米政権の対応は「弱腰」過ぎ たと批判し、今後はもっと海軍力を前 面に立てたカの外交で対抗すると語っ ていた。ところが政権発足後は、そん な主張もどこかに置き忘れてしまった らしく、南シナ海に関してはほとんど 傍観を決め込んできた。 もちろん、領有権争いのある海域に 軍艦 1 隻を派遣しただけでは、トラン プが戦略的ライバルである中国への姿 勢を強硬路線に切り替えた証拠になら ない。それに、南シナ海の問題は複雑 極まりない米中関係のほんの一部にす ロぎず、中国に対する懐柔政策 ( いわゆ CARLOS BARRIA—REUTERS Newsweek 22 2017 / 06 / 06

2. ニューズウィーク日本版 2017年6月6日号

DIGITAL GLOBE/GETTY IMAGES べきだ。 の間、不変と思われる。 党大会での勝利を意識したものだ。要日本や韓国など、アジアにおけるア こうしたトランプの思い込みに助け例えば習はオバマ前政権に対し、南するに習は、中国を強力で活発な経済メリカの同盟国は頭が痛い国内では られ、日本を含む域内諸国に歪女を与シナ海に造った人工島を「軍事化」し大国であると同時に、立派な政治大国愛国精神をあおり続ける習政権が、外 えるような中国の行動は、ある程度まないと約東していた。ところがその後、としても売り込みたいのだ。 交においてはトランプ政権を御しやす で不問に付されてきた。 4 月の米中首まさにそうしてきたのだが、トランプ い相手と見なしている限り、域内の緊 アジアの同盟国は頭を抱える 脳会談でも海上安全保障の問題には満政権はろくに抗議もせすにいる。 張が緩むことはまずあり得ない。 足に触れていない。アメリカは国際法アメリカが黙っているとみれば、中それは自由主義的な国際秩序の将来トランプは習との関係を「素晴らし と航行の自由を擁護すると明言しなか国は南シナ海で、さらにゴ 1 ルポスト にとって好ましくない。トランプ政権い」と形容したが、中国政府は域内で をずらすような行為が環太平洋諸国の貿易協定 e からアメリカの国益を尊重する姿勢を示し に出るだろう。南シ離脱し、域内各国との 2 国間取引に傾ていない。韓国への ( 高高 ナ海の人工島の軍事斜した結果、今は中国がアジアで主導度防衛ミサイル ) 配備にも強硬に反対 化をさらに進めるか権を取りやすくなっている。ただし中している。変化と言えるのは、韓国の るもしれない。年秋国の提唱する構想は空疎かっ低級だ大統領に対北ハト派の文在寅が当選し の東シナ海でのよう トランプ政権がいくら中国との貿易て対韓姿勢が和らいだことくらいだ さ に、一方的に防空識不均衡を是正するために「超人的な」東シナ海でも、中国は行動を抑制し 設 が別圏の設定を宣言す通商合意をまとめたと言い張っても、ていない。尖閣諸島の周辺海域には毎 施るかもしれない。 実は中国は変わっていない ( 関連記事日のように公船を派遣している。現場 し こうした問題は、 ハー ) 。依然として貿易や市場開放の空域では日本の自衛隊機が緊急発進し、 庫 納向こう何カ月かの間面で排他的だ。 中国から飛んできた無人機の侵入を阻 にどんな影響や意味その他の分野でも中国は、例えば気むのに頭を悩ませている。 の合いをもたらすのか候変動に関してまるでパリ協定の守護 5 月中旬には東シナ海上空で、中国 アジア政策を固める者のように振る舞っている。だが米ロ軍機が米軍の大気観測機に異常接近し 礁のも大事だが、中国 1 レンス・バ 1 クレ 1 国立研究所によた。米機は北朝鮮の情報収集のため飛 一の挑発的な行動と、れば、年以降は一一酸化炭素の排出量行中だった。これではとても、北朝鮮 ス勝手な筋書きづくりを減らすというパリ協定での自主目標問題で中国政府がアメリカに手を貸し に対する警戒を怠っも、実は自然にそうなると想定されてているとは一一一口えない った。同盟諸国を支持することの重要てはならない。何しろ中国は今年の秋いたことでしかない。 米中関係はトランプが思っている以 性にトランプは「言及した」と、ホワに共産党の第四回全国代表大会を控え要するに中国政府は、世界で「善行上に複雑だ。北朝鮮問題で協力を引き イトハウスか発表しただけだ。 ている。その党大会で、習は一段と権の人」を演じようとしている。確かに出すためでも妙な譲歩は禁物だ。しか もちろん同盟国への支持表明は大切カ集中を図るつもりでいる。 中国も環境問題に真剣になってきたかし現状では、米中関係に関するトラン だが、それでは中国に異議を唱えたこ 習政権の看板政策である「一帯一もしれないが、国際的な役割を拡大しプ政権の無知・無頓着と中国の国内事 とにならない。中国が強引に域内の路」構想もアジアインフラ投資銀行ているとは一一一口えないだろ、 ? 現実には情が相まって、危険な方向に進んでい 「現状」を変えようとすればアメリカも、東アジア地域包括的国内諸都市の空に広がるスモッグへのる。習政権は今後も身勝手なシナリオ は相応の結果責任を取らせると通告す経済連携交渉も、全ては対策に追われている状況だ。 で自己利益を追求し続けるだろう。 ムン・ジェイン Newsweek 25 2017 / 06 / 06

3. ニューズウィーク日本版 2017年6月6日号

CHINA POWER アメリカ政府が混乱に陥るなか、 5 月中旬に北京で開かれた「一帯一路」 構想に関する国際会議は、アジアにお けるアメリカの指導力が危機に瀕して いることを示す警鐘のようだった。 会議には 130 カ国から首脳四人を 含む 1500 人以上の代表が集まった。 シー・チンピン 年に中国の習近平国家主席が発表し たこの一帯一路構想は、アジア、中東、 欧州をつなぐインフラの提供を目指し ている カ国以上の参加と資金 1 兆ドル前後 を集める予定の野心的な計画。提案さ れているプロジェクトの斬新さ、価値、 実現可能性を疑う向きはあるものの、 世界中のリ 1 ダ 1 はこれ以上の開発の チャンスはないだろうという気持ちか ら参加を切望している アジアに対するアメリカの関与がこ れまでになく不明確な時期に、中国の 指導力が発揮されたのは、これが初め てではない。 一方で、アメリカは何をしたか。国 防費の増額だ。ジョン・マケイン上院 議員は、太平洋地域の安全保障強化に 億トルを投入する「アジア太平洋安定 イニシアチプ」を提案した。マケイン のスポ 1 クスマンによれば、「これに よって軍事インフラが改善される」ば かりではなく、兵器を追加購入し、ア ジアの同盟国やパ 1 トナ 1 の防衛能力 を向上させることができる このアイデアは人気があり、ジェ 1 ムズ・マティス国防長官や超党派議員 AMERICA 、 OS G ASIA TO CHINA アジアの権は中国の手に 軍事的存在感 2 月に南シナ海で演習を行った米海軍の沿海域戦闘艦「コロナド」 地政学アメリカの存在感が薄れ、経済的影響力も弱まる一方 中国は着々と地歩を固め、経済を牛耳る存在に ィーライ・ラトナー ( 米外交問題評議会シニアフ土ロー ) 、サミル・クマル ( 同研究員 ) ー ~ 。北たすむびン 0 From Foreign PO = 0 Magazine AMY M. RESSLER—U. S. NAVY Newsweek 26 2017 / 06 / 06

4. ニューズウィーク日本版 2017年6月6日号

PERISC()PF\ ノ lnternationaList CHINA 遠きと交わり、近きを攻める見なす「小国」台湾も同様だ。既に対米政策は冷戦時代のス「遠」と「近」の中間地点に位 る性 く交取険一 。「遠交近攻」は古来、中「全ての人と国に公平に医療機パイ映画さながらの摩擦を生ん置する日本に対してはどうだろ 質のコ国で覇権を争う諸国が生き抜く会を提供する」という国連の精でいる。一一ユ 1 ョ 1 ク・タイムうか。中国当局は 5 月下旬にな 突外 人権ための外交の要だった。 神など眼中にないかのように、ズ紙によると、中国は川ー肥年って、既に 3 月末に 6 人もの日 遠くの国には友好を掲げて安 5 月下旬にスイスで開かれたの間に少なくとも肥人もの o—本人を拘東したと発表した。彼 本る楊心させ、近隣の国々を侵食し併 o 総会への台湾参加を妨害。情報提供者を殺害したという。らは中国の現地企業から依頼を 隙攻人習 日す 合する。こうして覇権国家とな一方で同時期に中国との統一を中国外務省の報道官は、「中国受けて海南省と山東省で温泉探 ゥー・トウンイー 張 ると、遠方にあったかっての友志向する国民党が呉敦義を新主の安全と利益を脅かす組織と人査の仕事をしていたところ、 の。 好国ものみ込む。まさに分裂と席に選出すると、習自ら祝電を員への調査と処罰は当然の権「国家の安全に危害を加える行 統一が繰り返されてきた歴史か 利」と主張して事実を為があった」として拘東。中国 ら得られた論理と一一一口える 認めた。中国共産党系は年にもスパイ行為を働いた 大近鸞 < 攻 現代の中国共産党政権におい の「環球時報」紙も疑いで日本人 5 人を拘東し、公 ロ近 ても、その論理は形を変えなが 「わが国のスパイ防止判手続きも始まっている。 だが日中友好をあがめる日本 作戦の成果は素晴らし 遠 ら脈々と受け継がれている。反 , 》 . 日の共同戦線を組んできた韓国 い」と称賛の社説を載外務省の官僚は「人質」解放に が北朝鮮の脅威を前にアメリカ せた。アメリカのよう動く姿勢をなかなか見せず、日 日 9 に頼るよ、つになると、そこに米 な超大国に対してさえ、本では不満の声も多い。これと 韓の「遠交」の脅威を見た中国 「交渉せずに攻める」前後するかのように、習政権は 国 は「近攻」に急変。 5 月中旬の 自民党内屈指の親中派政治家、 姿勢を示している。 る 隣 え 「一帯一路」国際会議でも早く さらに中国の脅威に一階俊博幹事長を「熱烈歓迎」 迎 から北朝鮮を招待する一方、韓 をさらされているのがし、「一帯一路」構想への日本 近 国に対しては左派政権が発足す 「海のシルクロード」の参加を促した。親中派政治家 る開催直前まで招待を見合わせ には友好姿勢を示すことで、安 政だ。中国海軍はインド るなどの外交攻勢をかけた。 国洋と地中海を結ぶアフ倍晋一一一首相に対する「攻め」の 「近攻」は南方にも及んでいる リカ東部のジプチで基態度との違いを演出したわけだ。 一帯一路国際会議に参加したフ打って祝った。独立志向の強い地建設を進め、昨年Ⅱ月には軍外交は自国の利益を最優先す ツアイ・インウエン ク内イ ィリピンのドウテルテ大統領が民進党の蔡英文政権を窮地に追制服組のトップ、范長竜中央軍るゲームで、永遠の友も敵もな ザ仲 'ä等 。中国の「遠交近攻」も本来、 ノルウ南シナ海の油田掘削を主張したい込み、台湾国内の分断を図る事委員会副主席が視察する熱の オンー ところ、習近平国家主席は「戦謀略だ。 入れよう。軍はパキスタンとギ分裂と統一の歴史が生んだ現実 Ⅲ名モ藷 ル南編 リシャの港湾にも触手を伸ばす主義のはずだ。だがそうした知 。刻争になる」と警告。投資を引き ゴ翔身国 親中派の議員を熱烈歓迎 など、西方への「遠攻」もとど恵を失った習政権は「遠攻近 野出そうと中国に笑顔を振りまい 授大台会てきたドウテルテに冷や水を浴こうした「近攻」の一方で、まるところを知らない。アメリ攻」に傾いており、その露骨な 教は社 学名ル際びせた。 中国は近年「遠交」よりも「遠力の中東政策の失敗でできた隙切り崩し外交に国際社会は警戒 岡旧ンと 静トモア こうした冷遇は中国が同胞と攻」を志向しているようだ。 を強めている 間を巧みに突いている。 ファン・チャンロン JASON LEE—REUTERS Newsweek ー 3 2017 / 06 / 06