手もなく 簡単に。何かを行うのが、極めて容易な様子。彼 は、猿のように難所を手もなく渡ってしまう。 でまく 出る幕ではない 出て行って活躍したり口を挟んだりする場合ではな マここは私の出る幕ではなさそうだ。 てあ 手を上げる 降参する。どうしようもなくなって、途中で投げ出 す。マこれしきのことで手を上げるのか。情けない 手を入れる 出来上がっているものに修正などを加える。書き 上げた文章に何度も手を入れている。 【類】手を加える て 手を打っ 問題を解決するために手段を講じる。マ今の内に何 か手を打たないと、取り返しがっかないことになる。 手をかける 労力や時間を惜しまずに仕上げる。彼の作品は手 をかけたのがよく分かる。 手を切る 交際を断つ。特に、男女の関係や好ましくないつな がりを清算する。暴力団と手を切る。 手を下す 他人に任せず、自ら行う。着手する。この件に関 してなら、君が手を下すことはない。 てこまぬ 手を拱く て て て てくだ う - 1 1 3 -
を言っているよ。 傘の開きが、逆の向きになる。マ突風で、傘がお猪 口になってしまった。 【説】「猪ロ」は杯。 おだを上げる 気の合った者同士で集まり談笑する。調子に乗って おっす 勝手な気炎を上げる。あのころは、毎晩のように乙に澄ます 気取った態度をとる。自分にはかかわりのないこと 酒を飲んではおだを上げていた。 【説】「おだ」は、お題目の略。 だとする。さほど美人でもないのに、乙に澄まし ている。 らやこ お茶の子さいさい おとこすた 物事を、何の苦もなく行う様子。眼が衰えても、そ 男が廃る れぐらいのことはお茶の子さいさいですよ。 男としての面目が失われる。マそんな下劣 ( げれつ ) 【説】お茶の子は茶菓子の意で、腹にたまらないことから。 なことをしていると、男が廃るぞ。 【類】男が下がる らやに一」 【反】男が上がる お茶を濁す いいかげんなことを言って、その場をやり過ごす。 彼女との関係を聞かれ、お茶を濁しておいた。 男になる 一人前の働きができるまでに成長する。大仕事を 任されて、お前もどうやら男になったようだね。 お猪口になる らよこ あ おとこ っ 0
【類】不意討らを食う 不意を突く 相手が油断しているすきに事を行う。▽実行犯は警 ふいになる 備員の不意を突いて建物に侵入した。 無駄になる。今までの成果や得たものがちょっとし ふううんきゅうつ たことで失われる。苦労して集計したデータがパ 風雲急を告げる ソコンのシステムエラーでふいになった。 大きな社会変動が今にも起こりそうな、緊迫した情 【類】ふいにする 勢になる。鳥インフルエンザの猛威で、アジアは 風雲急を告げる情勢となっている。 不意を討っ だし抜けに行動を起こす。奇襲する。ちょっと油風采か上がらない 断をしていたら、不意を討たれて一本取られた。 外見がやぼったく、貧弱な印象を与える様子。彼 は風采は上がらないが、高名な腕利きの弁護士だ。 不意を食う だし抜けに、何かを仕掛けられる。思わぬ災難に襲分かある われる。マ参加者からの予想もしない質問に、不意 勝負などで勝ち目がある。力が勝っている。マこの を食って何一つ答えられなかった。 論戦は、若い方に分がある。 さ あ っ - 160 -
はかが ( 信く 仕事が順調に進み、能率が上がる。はかどる。 ソコンの調子が悪く、思うように仕事のはかが行か ばかすふ 場数を踏む 実地で数多くの経験を積む。場慣れする。場数を 踏んだだけあって、見事なものだ。 歯が立たない 相手が強過ぎてとてもかなわない。 もしやと期待 したが、やはりプロには歯が立たなかった。 【説】堅くて噛 ( か ) めない意から。 馬鹿になる ①本来の機能が失われて、役に立たなくなる。ね じが馬鹿になって使い物にならなくなった。②無用 の摩擦を避けるために、適当に妥協する。こうい う時は君が馬鹿にならないと、話はまとまらないよ。 ばか 馬鹿を見る つまらない目にあったり、損な立場に立たされたり する。一日待てば、半値で買えたのに、知らなかっ たばっかりに高い買物をして馬鹿を見た。 はき 歯切れがいい 物の言い方にあいまいなところがなく、明快でわか 1 りやすい様子。彼の演説は歯切れがいいから、眠 くならなくて助かるよ。 【反】歯切れが悪い 箔が付く 威厳が備わる。業績を上げるなどして、評価が上が る。展覧会で金賞を取り、彼もいよいよ箔が付い てきた。 はくっ み
ゅうすうき あめ 融通が利く 遣らすの雨 状況に応じて適切な処置を取ることができる。在 訪問を終えて帰ろうとしたり、外出しようとしたりす 宅勤務なので、時間の融通が利く。 る際に降る雨。遣らずの雨に遭って、これ幸いと楽 しい時を過ごす。 ゅうめい 勇名を馳せる 勇敢であるという評判が広く世間に知れ渡る。後 遣らすぶったくり に勇名を馳せる人物になるとは、未だ誰も知らない 支払った金銭や労力に見合うことをせずに、ただ取り ことだった。 上げるばかりであること。マ高い月謝を払ったのに、 こんな粗末な内容だなんて、遣らずぶったくりもいいゅうようせま ところだ。 悠揚迫らす 切迫した事態や困難な状況にあっても、普段通りに やりにまあ 落ち着いている。老人は路上で強盗に脅されたが、 槍玉に上げる 悠揚迫らず、相手を一喝した。 多くの中から選んで非難の対象とする。マ業績悪化の 原因として年功序列の慣習を槍玉に上げる。 勇を鼓す 勇気を奮い起こす。勇を鼓して歩きタバコの人に 注意をした。 や や ゅう - 197 -
【説】「帳尻」は会計帳簿の最後に記す収支の最終計算 【類】帳尻が合う らようしさ 調子を下ける 相手の程度に合った対応の仕方をする。俗受けをね らって程度を落とす。講師は相手が中学生だから と言って、調子を下げるようなことはなかった。 らようだ 長蛇を逸する 惜しいところで、得がたい大物を取り逃がす。チャ ンスを逃す。マあわやというところで、長蛇を逸し てしまった。 らようびかさ 掉尾を飾る 物事の最後を立派に仕上げる。▽大会の掉尾を飾る にふさわしい取り組みだった。 【説】「ちょうび」は「とうび」とも読む。 ちょんになる 何かの事情で、物事が終わりになる。相手に不幸 が生じて、まとまりかけた契約がちょんになる。 【説】「ちょん」は芝居の幕切れに打っ拍子木 ( ひょうしき ) の音。 血を受ける 先祖や親の性格や身体的な特徴を受け継ぐ。マ兄は 母方の血を受けたとみえて、芸事に秀でている。 ちはら 地を掃う 以前あったものが、すっかりなくなる。マプームが 去って、黒だかりだった客の姿が地を掃うように絶 えてしまった。 ちわ 血を分ける 実の親子・兄弟など、血のつながった関係にある。血 らう - 105 -
みも みきなら 身が持たない 右へ倣え 体力が続かない。健康を保てない。 他人の言動を判断もなく受け入れ、そのまねをする。 いほど忙しくては身が持たないよ。 右へ倣えで、何にでもすぐにとびつくのは、お前 の悪い癖だ。 みも 身が持てない 品行が悪く、まともな暮しができない。 マあんな酒御輿を上げる 浸りの生活をしていたのでは、身が持てないね。 物事に着手する。何かを始める。ずっと宙をにら んでいた彼がついに御輿を上げて作品にかかる気に ひだり なったようだ。 右から左 【説】腰を上けて立つ意。「輿」を「腰」にかけて言う。 手に入れたものをすぐ他に渡してしまう。すぐに融 通できる。ボーナスは出たけれど、ローンがある 【類】お御輿を上ける から右から左さ。 みじん 微塵もない ひだり そのような気持ちや考えなどがまったくない。 右といえば左 望のために人をけ落とす気持ちなど微塵もない。 他人の言うことに、いちいち反対する様子。▽うち の舅は偏屈で、右といえば左で、とても付き合って みすあ いられない。 水が合わない みき みき マ食事も取れな みこしあ - 175 -
ちゃちゃ お前さんも血の巡りが悪いね。そこまで言わない 脇から冗談を言ったり冷やかしたりして、話のじゃ と分からないのかい。 まをする。マ大事な話をしているんだから、茶茶を 入れないでくれよ。 え 地の利を得る ちゅうまよ 占めている土地が、ある事をするのに有利な条件を宙に迷う 備えている。駅前という地の利を得て、開店以来 物事の実現性がなくなり、行き着く先が決まらない。 売上げは順調だ。 大臣の発言をめぐって審議が中断し、法案が宙に 迷う。 らほ 地歩を占める しかるべき立場や地位を自分のものとする。君も 昼夜をおかす そろそろ、地歩を占めてもいい年だと思うよ。 昼と夜の区別なく。絶え間なく。衛星放送が始ま り、昼夜をおかず世界中のニュースが流れるように なった。 血道を上げる 【類】昼夜を分かたす 色恋や道楽に夢中になり、分別を失う。マあの店に 足繁く通うところを見ると、女主人に血道を上げて らようじりあ いるらしい 帳尻を合わせる 収支が正しく合うようにする。マ何度も計算し直し て、ようやく帳尻を合わせた。 茶茶を入れる らみらあ し らゆうや - 104 -
【説】手のひらにあるものを指す意 盾に取る になあ ある事柄を、自分を正当化するための理由に用いた 棚に上げる り、相手を攻撃したりする手段に使う。昔の手紙 自分の不利になる事柄に触れないでおくこと。マ人 を盾に取って、結婚を迫ってきた。 はえてして、自分のことは棚に上げて、他人を批判 する。 たてはんめん 盾の半面 視野が狭く、物事の一面だけを見て全体を見ないこ 種が割れる と。この結論は盾の半面だ。もう一度両者の言い 隠されていた事実やからくりなどが、明らかになる。 分をよく聞きなさい。 マ ずっと不思議だったが、こんなことで種が割れる とは思いもよらなかった。 多とする 無視できないものとして、高く評価する。マ決勝戦種を蒔く に進めたことについては、君の功績を多とする。 新たな事態を引き起こすような原因を作る。ライ バルを失脚させようと悪いうわさの種を蒔く。 にな一」こうさ 掌を指す にひふ 物事がきわめて明らかである。彼にとって自分の荼毘に付す 家系を説明するのは、掌を指すようなものだ。 死者を火葬にする。山岳遭難者の遺体は現地で荼 にてと たねわ にねま - 100 -
戸時代から続いた老舗も、ついに暖簾を下ろすそう だ。②店が営業を終えて店じまいをする。マそろそ ろ暖簾を下ろしたいのですが、よろしいですか。 【類】看板を下ろす のれんわ 暖簾を分ける 商店や飲食店で、長く勤めた従業員が独立し、同じ 屋号を名乗ることを許す。マ長年の夢が叶って、来 春暖簾を分けてもらえることになった。 あ のろしを上ける 物事を起こすきっかけとなる行動を開始する。マリ ストラ対策に、反対ののろしを上げる。 呑んで掛かる 相手の実力が自分より劣ると決めて相対する。相手 をあなどって油断する。相手が若いからといって 呑んで掛かると、痛いめに会うぞ。 の はいかんくだ 肺肝を砕く 目的を達成するために、非常に苦心する。見知ら ぬ土地で、肺肝を砕いて取材した貴重な民族史。 【説】「肺肝」は肺と肝臓。 ばかあ 馬鹿当たりする ねらいが適中し、並外れた実績を上げる。新製品 が丐鹿当たりして、在庫切れの店が続出した。 歯が浮く それを聞いた人が不快に思うほど言動が軽薄なさま。 マ相変わらず歯が浮くようなお世辞を、平気で言い 放っている。 - 137 -