【説】「帳尻」は会計帳簿の最後に記す収支の最終計算 【類】帳尻が合う らようしさ 調子を下ける 相手の程度に合った対応の仕方をする。俗受けをね らって程度を落とす。講師は相手が中学生だから と言って、調子を下げるようなことはなかった。 らようだ 長蛇を逸する 惜しいところで、得がたい大物を取り逃がす。チャ ンスを逃す。マあわやというところで、長蛇を逸し てしまった。 らようびかさ 掉尾を飾る 物事の最後を立派に仕上げる。▽大会の掉尾を飾る にふさわしい取り組みだった。 【説】「ちょうび」は「とうび」とも読む。 ちょんになる 何かの事情で、物事が終わりになる。相手に不幸 が生じて、まとまりかけた契約がちょんになる。 【説】「ちょん」は芝居の幕切れに打っ拍子木 ( ひょうしき ) の音。 血を受ける 先祖や親の性格や身体的な特徴を受け継ぐ。マ兄は 母方の血を受けたとみえて、芸事に秀でている。 ちはら 地を掃う 以前あったものが、すっかりなくなる。マプームが 去って、黒だかりだった客の姿が地を掃うように絶 えてしまった。 ちわ 血を分ける 実の親子・兄弟など、血のつながった関係にある。血 らう - 105 -
苦しみ。阪神大地震では塗炭の苦しみを味わった。 つらさ 【説】「塗炭」は泥にまみれ、炭火に焼かれる意。 どの面下げて 恥ずかしくもなく。厚かましくも。▽さんざん困ら せておいて、どの面下げてやってきたのさ。 取って付けたよう 【説】どんな顔をしての意 後から付けたようだの意で、いかにもわざとらしく 不自然な様子。取って付けたようなお世辞を言う。 どばむらう 駑馬に鞭打っ 途轍もない 労苦をいとわず何かを行うことを謙遜 ( けんそん ) す 常識からはずれている。並はずれている。途轍も る言い方。私には過分の任ですが、駑馬に鞭打っ ないことをして、世間をあっと言わせてみたい。 て使命を全うする所存です。 【説】「途轍」は筋道の意。 【説】「駑馬」は歩くのがのろい馬。能力のない者に、カ以 上のことをさせるという意から。 とどのつまり とほうく つまるところ。最後の最後で。多く、思わしくない途方に暮れる 結果になる場合に用いる。必死に稼いだところで、 どうすればよいのか分からず困りきる。明日が締 とどのつまりは借金の返済に回るだけさ。 め切りというのに一行も書けず、途方に暮れている。 【説】魚のボラは成長する過程ごとに呼び名が変わり、最 【説】「途方」は向かうべき方向の意 後はトドと呼ばれることから。 とてつ と っ ー 120 -
先手を打って、花火の桟敷席を確保しておいたの マ 為替レートが低いうちに米ドルを買っておいたの で、皆に感謝された。 は、先見の明があった。 【類】先手を取る せんごわす 前後を忘れる せんひと ひどく興奮したりショックを受けたりして、状況を千に一つ きわめてまれにしか起こらないこと。マお前があの 正常に判断できなくなる。正体なく酔うの意にも用 美人に気に入られるなんて、千に一つもないだろう。 いる。山菜採りをしていたら、突然熊が現われた ので、前後を忘れて逃げ出してしまった。 せんにゆうしゅ 先入主となる せんさっと 4 最初に得た印象や知識にとらわれ、正しく判断する 9 前座を勤める ことができない。固定観念となる。最初に会った 講演会・発表会などで中心となる催しものに先立っ 時の印象が先入主となって、彼とはいまだにうち解 て演じること。僭越 ( せんえっ ) ながら、私が前座 けられない。 を勤めさせていただきます。 【説】「前座」は、落語や講談などの席で、修業中の芸人が せんひ 本番に先立って行うロ演。 線を引く その部分で仕切りをつける。他と区別する。最近 は低学年教育まで、点数の多少で、個人の能力に線 先手を打っ を引く傾向があり問題だ。 先んじて事を行ない、自分の立場を有利にする。 せんて う
底が浅い。 そこわ 底が割れる 嘘が見破られたり、真意を見透かされたりする。 マ真しやかに話しているが、いずれ底が割れるよ。 底を突く 蓄えていたものがすべてなくなる。▽失業して収入 がなく、最後の食料も底を突いてしまった。 そこはら 底を払う 蓄えておいたものを出し尽くす。もう手に入らな い品なので大事に使ってきたが、とうとう底を払っ てしまった。 俎上に載せる 議論や批判の対象として取り上げる。このところ の業績不振で、当支店も営業会議の俎上に載せられ そしようの そこっ そうだ。 【説】「俎」はまな板。 そっがない 配慮が行き届いていて、落ち度や無駄な点がない。 ▽彼はまめな性格も手伝って、何をやらせても、そ つがない。 袖にする 6 今までと違った、冷淡な扱いをする。もはやこれ 9 までと言わんばかりに、恋人に袖にされる。 【説】着物や洋服の袖は、身ごろから離れていることから。 そでしほ 袖を絞る ひどく悲しんで涙を流す。彼女は自分の悲恋を訴 えながら袖を絞った。 【説】涙でぬれた袖を絞る意から。 そで
はんじようい 半畳を入れる 人の言動に対して、やじったり、ちやかしたりする。 今日は半畳を入れないで、最後まで聞いてくれよ。 【説】芝居小屋で、観客が役者の演技に不満で、敷いてい た半畳の一」さを舞台に投けたことから。 ひいきめみ はんお 判で押す 贔屓目に見る いつも決まりきっている。幾度懇願しても、判で 好意的な評価をして、実際よりもよく判断する。 この絵はどう贔屓目に見ても初心者のレベルを出 押したような返事しか返ってこない。 ていない。 蛮勇を振るう 事の是非や結果のよしあしを考えずに、無茶な行動火が消えたよう をする。周囲から無謀だと猛反対されたが、蛮勇 活気を失って、寂しくなる様子。娘たちがみな嫁 いでしまい、夫婦だけの我が家は、火が消えたよう を振るって挙行した。 になった。 はんた 範を垂れる 模範を示す。手本となり率先して行う。部長自ら火か付いたよう ばんゅ一つふ ひき ひ 範を垂れないと、今の若い者はついてきませんよ。 【説】「垂れる」は目下に与え示す意。 っ - 1 51 -
る。彼は、節を曲げるような男ではないのだが、よ せわや ほどの事情があったんだろう。 世話を焼く 【類】節を折る・節に屈する 進んで他人の面倒を見る。マ大家が何かと世話を焼 いてくれるのはうれしいが、恋人まで押しつけられ せつまっと るのはかなわん。 節を全うする 最後まで、自分の主義・主張を変えずに守り続ける。 む マ祖父は思想弾圧にも屈せず、節を全うして、獄死亠月を向ける した。 反抗して従わない。無関心を装う。子供に背を向 けられるのが、親としては一番つらい せひおよ 是非に及ばない せんふと どうしようもない。事態が切迫して、論じ合ってい 線が太い 小事にこだわらず、実行に移す決断力がある。彼 る余裕がない様子。マ事ここに至っては、会社の身 売りも是非に及ばない。 のやり方は線が太い上に、心の機微も解するので、 皆の信頼が厚い。 せひ 【反】線が細い 是非もない 仕方がない。認めざるを得ない。 彼は着任した せんけんめい ばかりなのだから、ここの事情に疎いのは是非もな先見の明 成行きを前もって見通すことのできる見識や判断力。 せ
いっても、こう毎日だと鼻につくさ。 【説】嫌なにおいが鼻について離れなくなる意 はなみらかさ 花道を飾る 華々しい業績を上げ、惜しまれながら引退する。彼 は、最後に手がけた仕事で社長賞をもらい、引退の花 道を飾った。 【説】「花道」は、歌舞伎などで、観客席を縦に貫いて設け に、役者の出入りに使う通路。 はなも 鼻持ちならない 言動がきざで見え透いており、我慢できないほど不 愉快である。マ由緒ある家の生まれだそうだけど、 あの言いぐさは全く鼻持ちならない。 【説】臭くてがまんできないの意。 鼻を明かす 優位に立っている相手を出し抜いて、あっと言わせ はなあ る。今日は完敗だったが、次回は攻めを変えて鼻 を明かしてやりたい。 鼻を折る おごりのある人をこらしめて恥をかかせる。マ初、い 者のくせに、やけに生意気だ。本人のためだ。少し 鼻を折ってやろう。 【類】鼻っ柱を折る あ はなっ 鼻を突き合わせる ごく近くに寄り合ったり、狭い所に集まったりする こと。マ狭い所に、鼻を突き合わせるように家が立 ち並んでいる。 【説】互いに顔を近づける意。 【類】鼻突き合わせる 鼻を嗚らす 鼻にかかった声を出して、甘えたり、すねたりする。 はなお - 145 -
転校してきた野球選手の話題で持ちきりだった。 【説】歌舞伎などで、にきやかに鳴り物を鳴らして拍子を名をあらわす とることから。 著名になる。立派な業績をあげて、世間にその存在 が知られる。金メダルを取って、その新人はたち しす まち名をあらわした。 鳴りを静める 物音や声を立てずに静かにしている。校長先生の お 雷が落ち、悪がき連中も最近は鳴りを静めている。名を惜しむ 名誉を傷つけるような言動を慎む。名声が汚れるの を残念に思う。彼の名を惜しむだけに、不正を働 なれの果て いたことが残念でならない 落ちぶれて、最後に行き着いたみじめな状態。物 乞いをしている男が往年の大スターのなれの果てだ なんて、とても信じられない 名を借りる 何かをする場合の表向きの理由にする。海外視察 団の名を借りて、観光旅行とは許せない。 名をあげる よい評判を得て有名になる。アイデア商品が当た なとど り、零細企業ながら名をあげることができた。 名を留める 記録や記憶に名前が残り、後世まで伝えられる。 【説】「あける」は「上ける」「揚ける」とも書く。 エジソンは発明王として名を留める数多くの製品 - 127 -
てあま てしお 手に余る 手塩にかける 自分の能力やカの限度を超えている。彼らを一人 自分が苦労して育て上ける。手塩にかけて育てた 前にするなど、私には手に余る仕事だ。 娘だ。嫁になぞやれんよ。 【類】カに余る・手に負えない・荷が勝っ てつついくだ てお 鉄槌を下す 有無を言わせず、厳しい処置をとる。創業者の不手に落ちる だれかのものになる。新しい所有者のもとに落ち着 正に、鉄槌を下す勇気を持った者はいなかった。 く。マ長年のあこがれだったこの茶器が、ついにわ てづるもと が手に落ちた。 手蔓を求める ある目的のために、頼りにできる縁故を探し求める。 手にかける 求職難で手蔓を求めて仕事を探す。 自分が直接手を下して何かをする。人を殺す。立 てなべさ 案から手にかけた仕事なので最後まで見届けたい。 手鍋下げても 好きな男と夫婦になれるなら、どんな苦労にも甘ん てつばき じるという態度。手鍋下げてもなんていう女性に、手に唾する 大いに力を発揮してみせようと意気込む。マ手に唾 お目にかかってみたいものだ。 して試合開始の合図を待った。 て
【類】如才ない うふりをする。あの様子だと、彼は最後まで白を 切るつもりらしい しょにいにに 所帯を畳む 一家を構えていたのをやめる。夫に先立たれ、所尻馬に乗る 他人のすることに無批判に従い、同調した言動を取 帯を畳んで実家に戻った。 る。あの人まで、尻馬に乗って騒ぐのはどうかね。 しょにい も 所帯を持っ しりあたた 一家を構えて、独立した生計を立てる。特に、結婚尻が暖まる 満足して同じ場所に長い間落ち着いている。マ人情 する意に用いる。所帯を持っと、好き勝手なこと 5 に厚い山里の暮らしに尻が暖まり、結局住み着いて 8 ができなくなる。 しまった。 緒に就く しりおも 物事に着手する。事が進み出す。仕事が緒に就尻か重い 物事が面倒になって、すぐに行動に移そうとしない。 いたばかりなのに、病に倒れてしまった。 マ 【説】「緒」は、糸口の意。「しよ」は「ちよ」ともいう。 相変わらず尻が重い人で、明日という時になって 出席を断わってきた。 しらき 【類】腰が重い 白を切る 【反】尻が軽い 自分を守るために、知っていても全く知らないとい しよっ しりうまの