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検索対象: 赤い糸destiny 下
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1. 赤い糸destiny 下

そのとき 「ミャビ ! ! 芽衣っ ! ! 」 智輝が愁と美亜の腕を掴んで叫ふ。 「行こうつ ! ! 」 「うん ! ! 」 ミャビの声に合わせ、アタシはコンビニに向かって走り 出した。 「一一痛ってえ ! 離せよ ! ! 」 「キャーツ ! ! 」 近づくにつれ、愁と美亜の声が鮮明に聞こえてきた。 ・・何があったんだよーーー」 隣では、愁が智輝とミャビに押さえ込まれていた。 に押さえ込むことができた。 抵抗する美亜の体はガリガリというくらいに細く、すぐ 「やめてよお ! ! 」 「嫌あ ! ! 」 「美亜っ ! ! もうやめてっ ! ! 」 アタシは必死に美亜に掴みかかって押さえた。 後を追ってきたたかチャンは、呆然として 5 人の姿を見 たかチャンも、 その後・ ていた。 みんなを気にしながらバイトへと戻って 愁は、智輝とミャビに連れられて地元へ帰って行った。 美亜を探して 173

2. 赤い糸destiny 下

輝もいた。 「・・・・・・久しぶり」 智輝と会うのは愁と初めて会った日以来で・・ アタシは気まずくなりながら、ミャビに問いかけた。 「なんで智輝が ? 」 「さっき、智輝の携帯に愁から電話があったんだって」 「えっ ? 本当に ! ? 」 目を大きく見開き、智輝に視線を向けた。 「そうなんだよ。金貸してくれって・・・・・・」 「それで ! ? あと、美亜は一緒だったの ? 」 「うん・・・・・・。愁はパクった金を全部シャプに注き込んで、 もうふたりには金がないらしいんだ。アイツ、なんでそ こまでしたんだろうーー」 智輝は目を伏せながら言った。 きっと智輝にとって愁は地元の大事な友だちなんだろ つ。 クスリ遊びの域を越えた愁に、悲しんでいるように思え 「ねえ・ ・・。ふたりはどこにいるの ? 」 「わかんねえ。だけど、今日の 7 時に金を貸す約束した から。ミャビに話聞いてたし、貸すつもりはないけど呼 び出しといたよ」 168

3. 赤い糸destiny 下

くごめん。今日は無理だよ〉 すぐにメールを打ち返す。 くそっか。最近、朝しか会ってないな。昨日も電話を折 り返すって言ったのに、かかってこなかったし。近いう ちに時間作って〉 そのメールには・・ いろいろな気持ちがこもっているように思えた。 つき合ってからの 1 カ月間、アタシは週の半分近く アッくんと遊んでいた。 でも、こんな状況になって・・ 会ってない。 ・・もう 1 週間以上朝しか 、アタシは美亜のことを優先したかった。 それはアッくんだってわかってくれている。 だけど・・・・・・アタシはその優しさに甘えて、アッくんを 放ったらかしにしてるのかも ? く折り返すのを忘れてごめんね。アタシも会いたいから 明日は会おう ! 〉 ごめん。 心からそう思い、 翌日の放課後 ミャビと一緒に教室を出た。 早く声が聞きたい。 会いたい。 166

4. 赤い糸destiny 下

ミャビも美亜同様、今までずっと学校を休んでいたんだ。 「久しぶりの学校だね。あれからどうだった ? 」 落ち着かなそうに座っているミャビに駆け寄り、声をか けた。 「芽衣チャンおはよ ! 昨日は連絡できなくてごめん ね。誰も居場所を知らなくてさあ・・・・・・」 「そっか。アタシもダメだったよ」 ふたりは揃って朝から溜め息を漏らした。 「もっと探してみる。後、学校もしつかり来るね」 「アハハッ、そうだね。今日が 2 学期初登校でしよ ? 」 「うんつ。留年決定かも ? 」 ミャビは少しだけ笑った。 ・・クスリをやめてから、 する。 ミャビの笑顔は変わった気が 美亜も一瞬だけはそうだった。 自然で、クスリを常用していたころとは違う笑顔。 嫌いだったミャビに対して、どんどんアタシの心は開け ていった 放課後になると、アッくんから 1 通のメールが届いた。 内容は放課後に会おうという誘い。 ・・・だけど、今日もアタシは美亜の家を訪ねようと決め ていた。 美亜を探して 165

5. 赤い糸destiny 下

そう思うたびに、不安で胸がザワザワとする。 何もせす、ただミャビからの連絡を待つなんてできない。 アタシは、美亜と共通の友人に片っ端から電話をかけた。 「最近美亜を見た ? 」 何十回もその言葉を繰り返した。 だけど、誰一人として、美亜の居場所を知っている人は いない。 メモリに入っていて、まだかけていない人は残り 3 人。 本音を言うと、この人たちには電話をかけたくなかった。 たかチャンとミッとコータ。 たかチャンには、アッくんとつき合ったことも言ってい 携帯の画面に表示される電話帳を見つめる。 ますくて連絡を取りづらい。 コータはアタシのいろいろな過去を知っているから、 ミツは美亜を苦しませている原因のひとり。 ないし疎遠なまま。 親指を通話ボタンの上に置いても押すことができなくて 164 翌朝 すっとその繰り返し。 悩みながら親指を離した。 重い気分で教室に行くと、久しぶりにミャビの姿があっ

6. 赤い糸destiny 下

寒さで体が震えた。 このまま待っていても、美亜が帰ってくるとは限らない。 ほかに美亜の居場所がわかりそうな人は・・ アタシは鞄から携帯を取り出し、ミャビに電話をかけた。 本当は、ミャビの声なんて聞きたくない。 ミャビも愁と同じように嫌いだよ。 だけど・・・・・・もうミャビしか、美亜の居場所を知ってそう な人はいなかった。 「・・・・・・芽衣チャン ? 」 「ミャビ ! ? 」 ミャビはすぐに電 出ないだろうなという思いに反して、 話に出た。 「あのさ、美亜に連絡つけたいの。 ミャビは一緒にクス リしてるんだからわかるよね ? 」 思わす嫌味になる口調。 ミャビは感じが悪い問いに対して静かに答えた。 「・・・・・・あたしやめたんだ。クスリやめたの。具合が悪く なって、ヤ / ヾい幻覚とか見て。だから、美亜の居場所は わかんない。何があったの ? 」 ミャビがクスリをやめた ? 昨日今日の出来事を話すと、ミャビは静かに聞いてから ー舌し出した。 「愁は頭がいかれてる。タマだけしゃなくて、シャプ ニ一口 美亜を探して 159

7. 赤い糸destiny 下

ルーズリーフに授業内容や黒板の文字を書き写して届け ることくらいしかなかった。 1 枚の手紙を添え、毎日美亜の家へ届け続ける。 いつも美亜は留守だから、ポストに投函するか美亜のお 母さんに渡して帰ることばかりだけど・・ そして 1 カ月記念日から 8 日後の月曜日の朝。 遅刻して登校したアタシを待っていたのは、驚く知らせ だった。 「美亜がっ 美亜が学校辞めたっ ! 何か聞いてる 教室に入った瞬間、海斗が駆け寄ってきて叫んだ。 ポトツ。 ・・は ? 嘘でしょ ! ? 」 突然の出来事に、持っていた鞄を床に落としてしまった。 156 「何も連絡なかった ? 」 「芽衣 ! 」って、明るく声をかけてくるのに いつもは休み時間になるとあそこから顔を出して・・ 教室のドアを見つめるが、そこに美亜の姿はない。 ・・嘘でしよ ? 」 「信じられない ! ! じゃなかったけど、筆跡は美亜のモノだって一一 - 」 「親が学校に退学届を持ってきたらしいそ。美亜は一緒 なんでいきなり・ 美亜が・・・・・・学校を辞めた ?

8. 赤い糸destiny 下

そんな美亜は、 アタシたちの元へ帰ってきてくれるのか その後、アタシはアッくんに送られて家に帰った。 気持ちの整理がつかなくて・・・・・・まだ一緒にいたい気持ち より、ひとりになりたい気持ちが強かった。 数えきれないほど美亜に電話をかけても、呼び出し音が 鳴るだけで繋がらない。 麻美の姿・ 美亜と愁を乗せて消えたタクシー もう、何も考えたくなかった。 机の中に閉まっておいた睡眠導入剤を取り出す。 アタシは決められた使用量よりも少し多めに飲み込ん もう使うことはないと思っていたのに 久しぶりに使った導入剤はすぐに効き始める。 そしてアタシは、携帯を握り締めたまま眠りについてい だけど・・ その間、 翌日・ ・・連絡も取れない美亜にできることといえば、 アタシは自分にできることを考え続けていた。 美亜は今週一度も学校に姿を現さなかった。 ・・そしてまた翌日 儚いモノ 155

9. 赤い糸destiny 下

さあ・ 「あ、 だけど・・・・・・その会話はアタシの耳に全然届かなかった。 いる。 アッくんが先に見える白いラプホを指さして何か言って そして・・・・・・血と涙の混ざった味。 臭かったデブのロ臭。 無理やり脱がされた服。 「い・・・・嫌っ・ 。やつばラプホは嫌・ 「芽衣 ? どうしたんだよ・・・・・・」 「あ、あの・・・・・・恥ずかしくて・・・・・・」 その場に立ち止まり、アッくんの腕にしがみついた。 「大丈夫だって」 「ううん、嫌っ・・・・・・」 ・今がタ暮れで本当に良かった。 太陽のオレンジ色がなかったら、アタシの顔が青ざめて 知られたら・・・・・・絶対に汚いと思われてしまう。 アッくんは・・・・・・レイプされたことを知らない。 いることに気づかれただろう。 「・・・・・・そっか。いきなりごめんな」 「本当にごめん・・・・・・」 「ううん・・ いけどっ・ アタシだって・・・・・・エッチ・ アッくんちに行かない ? 」 ・・した もうあれから 3 年以上も経った。 148

10. 赤い糸destiny 下

「やった ! ペアリングが写ったあ ! 」 。そうだな」 「あ・ 「次は肩抱いてっ ! ラブラブな感しなのを撮りたい の ! 」 アッくんに寄り添い、カメラに向かってニコッと笑う。 次第にアッくんも慣れてきたようで、おちゃらけたりア タシの頭に手を乗せたりしていた。 「一一一あっ ! あと 1 枚しか撮れないよお・・・・・・」 画面には残り 1 ショットで撮影終了と表示されている。 「もうつ。どんなポーズにする ? 」 「はあ・・・・・・やっと終わるっ ! 」 ギュッ 「えっ ? 」 急に抱き寄せられて・・ の顔を見上げた。 そのとき チュッ / ヾシャ ・・アタシは驚きながら、 アッくん キスと同時に最後の撮影が終了。 「ラブラブがいいんだろ ? 」 アッくんは意地悪そうに笑った。 アタシの頬が真っ赤に染まっていった。 「恥ずかしいっ・・・・・・」 儚いモノ 145