持久走 - みる会図書館


検索対象: 走る二宮金次郎のなぞ
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1. 走る二宮金次郎のなぞ

顔を合わせているのだが、わたしがツンとしているから、ばつの悪い顔をして話しかけてはこ 、 0 ひかしやま 東山君と口をきかなくてもこまるわけではないが、俊との仲がぎくしやくしていることには、 わたしはとてもこまっている。塾がいそがしいのだろうけど、放課後練習にぜんぜん出てこな とし に ) きゅうみ、、つ 。このままだと俊は持久走大会 おカげでわたしは、俊のタイムをまだ一度も計っていない ほ、つかご かんそう で、完走できずにつらい思いをするだろう。もう、けんかをしている場合ではない。放課後、 じきゅうそ、つ しようこ、つぐちとし 昇降ロで俊をつかまえた。今日は持久走の放課後練習、最後の日だ。わたしは体育着を着てい るのに、やはり俊は帰りじたくをしている じきゅうそ、つ 「俊、持久走の練習どうするつもり ? 今日で放課後練習、最後なんだよ。」 いきなりよびかけると、俊はちょっとこまった顔して、 「ごめん。今日はどうしても早く行かなくちゃならないんだ。」 と、そのまま行こうとする とし 「待って。わたしは俊のタイム一度も計ってないんだよ。そんなに練習してなきや走れないよ。」 7 最後の持久走練習 とし とし じゅく ほ、つかご ほ、つかご とし なか ほ、つかご

2. 走る二宮金次郎のなぞ

すわ きず た。わたしはとりあえずは仕事がないので、いすに座ってすりむいた傷の手当てをした。けっ じきゅうそ、つ くみたいそうせんばっ こうズキズキ痛む。これからはこの痛みにたえて、持久走、百メートル走、組体操、選抜リレ 1 ) ゅ、も′、 ードな種目をこなさなければならない でも、ここまできたら、泣き言なんか言ってられつかあ、とわたしははちまきをしめ直し、 持久走の集合場所に歩いていった。 「玲ちゃん、大かつやくだったね。」 とし すな 俊が声をかけてきた。顔や、うで、もちろんももも、体育着からのむきだし部分はすべて砂 ばこりにまみれて、それでも俊は笑っている。去年までの運動会は、あんなにゆううっそうな 顔をしてたのに。 だからこそ、よけいにわたしは心配になって、 とし 「俊ちゃん、大じようぶ ? けがしてない ? 今日は気分悪くならない ? 持久走できそう ? 」 しつもん と矢つぎ早に質問してしまっていた。 じきゅうそ、つ いた としわら ノ .95 じきゅうそ、つ

3. 走る二宮金次郎のなぞ

まつやま 「東山君は絶対に、松山君にはじをかかせようとしてるな。」 わたしはびつくりして、 じきゅうそ、つ 「のぞピ 1 、持久走に出場しないあなたが、どうしてここにいるのよ。」 「わたしの友だちで、ぜひ、玲ちゃんに話を聞いてもらいたいという子がいるのよ。それで、 玲ちゃんのこと待ってたというわけ。ちょっとだけ、つきあってくんない ? と、わたしのことをおがむ 「それはいいけど : : : 東山が俊にはじをかかせようとしているって、どういうことなのよ。」 並んで歩きながらきくと、のぞピ 1 はみようにうれしそうに笑って、 「東山君って、玲ちゃんに気があるでしよ。だから、玲ちゃんと仲がいい松山君のこと、にく じきゅうそ、つ まつやま いはすなのね。それで、持久走大会で松山君がはじをかけば、東山君は気分がいいと思うわけ。」 すいり と、自分の推理をひろうした。 い ) 、つ 「でも、移動教室のあたりから、二人はすごく仲良くなったみたいだよ。ほら、きもだめしの ノ最後の持久走練習 ひがしやま なら ひがしやま せったい ひがしやまとし 0 なかよ ひがしやま わら なか まつやま

4. 走る二宮金次郎のなぞ

放課後。 じきゅうそ、つ 「五、六年生で、運動会の持久走に出たい人は、今すぐ体育館に集まってください。くりかえ します・ : : ・。」 たんにん 校内放送が入った。担任からも、事前に知らされていたので、みんなスタンバイだった。 あらかじめ用意してある、帰りじたくを持って、体育館に急ぐ。 のぞピ 1 が後ろから、 きろく 「玲ちゃん、がんばって。記録は心配しなくていいからねえ。」 とさけんだ。わたしは、さっきのこともあって、 6 持久走のエントリ 1 ほ、つかご じ」ゅ、つ、、つ 〃 5

5. 走る二宮金次郎のなぞ

しろいろめんどうな手続きがいる。でも、わたしには そうなのだ。持久走に出場するには、、 じしん 六年生を破って、一位になるという野心がある。バスケットボ 1 ルで、きたえた足には自信が きそ ある。基礎トレのランニングで、チームの六年生にも負けてはいないのだ。 そのとき、東山君が声をかけてきた。 じきゅうそ、つ さくらば 「桜庭、お前、持久走出るんだろ ? 」 わら すな 砂のついたままの顔でニヤっと笑う。歯が真っ白だ。 「それがどうしたの ? 」 必要以上に、つつけんどんに答えてしまって、またこうかいする きろく おれの友だち、みんな出場するか 「あのさ、もしよかったら、おれの記録取ってくんない ? きろく きろく ら、記録取ってくれるやっ、いないんだよ。代わりに、おれ、お前の記録取ってやるからさ。 たのむよ。」 きろく じきゅうそ、つ 一人は記録を取る係だ。出場しない 持久走は、二人ペアでエントリーしなければならない きろく きろく 人が記録を取ってくれればいいが、ほとんどの者が出場するので友だちに記録係をたのむのは 7 包帯を巻いた三人組 ひつよういじよう ゃぶ ひがしやま じきゅうそ、つ てつづ

6. 走る二宮金次郎のなぞ

ゆりこ 百合子先生と、蘭丸先生だった。 : : : ミスキャスト。そ 二人を見て、う 5 んとわたしは思ってしまった。何て言、つの : : : そう じきゅうそ、つしゅもくたんと、つ らんまる ゆりこ の言葉が、びったりのコンビだ。百合子先生も、蘭丸先生も、持久走の種目担当に向いてない ゆりこ よ。百合子先生は長いきより走ると、そのままたおれちゃいそうだし、蘭丸先生は、朝練なん ほ、つかご か絶対来そうにない。放課後練だって、きっと、たばこなんかくわえて、さばっていそう。先 りくしようせんしゅ 生は実際には走らないけど、それでもいかにも陸上選手リみたいな先生じゃないと、わたし たちのやる気が出ないじゃないか ゆりこ あん せつめい ( = 明が始まったけど、案の定、前に出て話すのは百合子先生で、蘭丸先生はばお 1 っとして、 鼻毛なんかぬいている。もう、サイテー せつめい 説明を聞いているうちに、やつばり今年も練習をちゃんとしてないと、出場できないという 話になった。 を」カい ほ、つかご 「朝と放課後の一日二回で、練習期間は十日間ですから、全部で二十回練習機会があるわけで じきゅうそ、つむり すね。そのうち、十五回は練習に出てこないと、出場はできません。持久走は無理をすると、 9 7 持久走のエントリー せったい じっさい らんまる 0 らんまる らんまる

7. 走る二宮金次郎のなぞ

運動会が終わって一週間になる。 じきゅうそ、つ 持久走の後には、百メ 1 トル走があった。わたしと東山君は、学年のもっとも速い子たちの ひがしやま レ 1 スで走って、二人とも一位だった。つまり、わたしと東山君が、五年のもっとも足が速い 男女ということになる。俊は、もっともおそい子たちのレ 1 スで走って、五位だった。五人で とし じきゅうそ、つ 走ったのだから、俊は五年の男子の中で一番 : : : まあ、 いや。だからこそ、俊の持久走での け・ん A 一、つ 健闘が光るというものだ。 くみたいそうさいご だん その後は組体操。最後の三段タワーでは、五年では、わたしと東山君がそれぞれタワーのて っぺんで、バランスを取った。運動会の花、選抜リレ 1 では、わたしと東山君はそれぞれ男女 ( ) 真相 とし せんはっ 2 の ひかしやま ひがしやま ひがしやま

8. 走る二宮金次郎のなぞ

と、一言った。 もんど、つむよう わたしは問答無用とばかりに、あとはロもきかず、寝るしたくをするために、自分の部屋に もどったのだった。 移動教室から帰ってくると、わたしはリレーの練習、持久走の練習、音楽委員会の練習でい とし じようたい 」、刀し そがしくて、放課後も休み時間もないといった状態だったから、俊とはよけいに話す機会がな じきゅうそう かった。東山君はリレーの選手だし、持久走の練習もまじめに出てきてるので、しよっちゅう 「そうじゃない。たのまれたから代わった。」 「俊、わたしは俊と、きもだめしに行くの楽しみにしてたのよ。それを、わたしに断りもなし ートナーチェンジするとは何事よ。どうして勝手に、二人でわたしのことやりとりするの 、かの、つ よ。わたしは交かん可能な『物』じゃないのよ。」 俊はあわてて、 「ばくだって、玲ちゃんと行くの楽しみだったんだよ。でもね、東山君と男の約東をしていて とし とし いレ」、つ ひがしやま ほ、つかご せんしゅ 7 / イ ね じきゅうそ、つ ひがしやま やくそく ことわ

9. 走る二宮金次郎のなぞ

にのみや ほっとした気分がニ宮さん以外のことを、思い出させるよゅうを生みだした。 まつやま 「 : : : 松山のやっ、超、頭くるぜ。」 じきゅう→て - っ 去」ろくさくら - は 「おー、あいっ持久走の記録、桜庭にとってもらうんだろ。ほんと、あったまくるよな。」 ちば 「先に、ヒガシが申しこんだのによ。そんときは、千葉がやるって言ってたのに、なんであの ガリ勉野郎がやるんだよ。」 しゆく 「ほんとだぜ。でも、あいっ塾行かなきゃなんないから、練習出られないんだろ。だったら、 本番も出られないんじゃないの。」 「あんなやっ、出ないほうかいいよ。出たって、どうせビリつけつだからね。」 ひがしやま けっぜん 今までだまって聞いていた東山が、決然と言った。 「いや、あいつには絶対出てもらう。」 さくら - は きろく 「どうしてだよ。ヒガシは桜庭の記録やれなくて、くやしくないのかよ。」 なっとく あとのニ人は、納得いかない様子でたずねた。 じきゅうそ - っ 「おれは持久走大会で、あいつに三周以上の差をつけてゴールしてやる。」 やろ一つ ちょう ぜったい しゅう わ 0

10. 走る二宮金次郎のなぞ

れんらく じきゅうそ、つ ないという連絡が入っている。それで、今日の練習で持久走の放課後練習は終わりでえす。あ かくじ とは、各自の自主練ということになっちゃいまあす。みんな、今日までよく練習がんばりまし たね。先生はうれしい。」 と、泣きまねをしてみせる。みんな、シラーっとなって、 「よく一言うよ。自分はほとんど練習に出てこなかったくせにさ。」 さっ らんまる と、こそこそ話をする。その気配を察して、蘭丸先生はせきばらいをして、 「えーっと、練習チェックのことがあったな。このチェック表をみると、エントリ 1 している 人の練習回数は全員クリアということで : わたしはびつくりした。 まつやま かれきてい 「ちょっと待ってください。今いない松山君ですけど、彼は規定の練習回数に達してないはず です。」 と、あわてて発言した。それを聞いて蘭丸先生は、もう一度俊のカードをチェックしたが、 けっせき 「う 5 ん、今日は欠席だけど、練習回数はクリアしているせ。ほらな、ちゃんと東山君のサイ 7 最後の持久走練習 らんまる とし ほ、つかご ひがしやま