常見 - みる会図書館


検索対象: シナリオ 2016年7月号
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1. シナリオ 2016年7月号

ぶり、元気ですか ? 」 極め、地面に顔を押しつける。一方的に ポロい雑居ビル・一室 ( 昼 ) 押し込まれる常見。 暗い室内でプルーフィルムを見ている谷 とある喫茶店・店内 ( 昼 ) 常見「痛って、テメこんなことしていいと ロ勝男 ( 。 窓際の席には、諸星とチンピラの常見の 思ってんのか ! 」 下着姿の谷口の女も見ている 姿。 諸星「組の奴らに伝えとけ、なんかあったら ドアがノックされ玄関に向かう 機捜の諸星に連絡しろって ( と口に名刺を諸星「 ( 不審げに見て ) : : : 何で急に気が変 谷口「誰 ? わったんだよ」 何枚も突っ込む ) 」 常見「だって諸星さんメッチャ強いし、頼れ声「管理人です、下の階で水漏れしちゃっ 常見「 ( 言葉にならず ) たみたいで : : : 」 そうなんで」 北海道警察本部・琴似庁舎・機動捜査隊諸星「 : : : で、誰だよ、そのシャプ持ってる谷口の声「あ ? ( 舌打ち ) 面倒臭えな : : : 」 ドアを開けると、突然部屋に突入してく 奴って」 ( 日替わり・昼 ) る諸星。 常見「 ( 声を落とし ) 実は、うちの組の兄貴な デスクワークをしている諸星。 谷口「なんだテメ工っ ! 」 んすよ : : : 」 機動捜査隊の電話が鳴り、栗林が出る。 悲鳴を上げて固まる谷口の女。 機動捜査隊 : : : え ? ああ、は諸星「旭真会の ? お前身内を売る気 ? 」 栗林「はい、 、ちょっと待って : : : ( 諸星に ) おう諸常見「いや : : : 俺、兄貴の女に手出しちゃっ諸星「うるせえバカ野郎、シャプ持ってんだ て。ャパいんすよ」 星、電話」 谷口「持ってねえよ、ガサ状あんのかよ ! 」 ・ ( 戸惑いつつ出る ) 諸星「だから逮捕しろってか ? 」 諸星「自分ですか ? : 常見「何かあったら電話しろって言ったの諸諸星「知るかバカ野郎 ! 」 もしもし ? 」 諸星は谷口を押し倒すと手に手錠をかけ 電話の声「諸星さんすか ? 電話しました星さんじゃないっすか、お願いしますよ」 る 諸星は疑いの目で常見を見つつ、手帳を 谷口「あっ、なにすんだよテメ工っ ! 」 出す : どちらさま ? 」 諸星「 ? 犯人逮捕の点数表がある。『覚醒剤所諸星「うるせえんだよーー」 電話の声「俺、シャプ持ってるやっ知ってま 諸星は谷口をベランダに引っ張り出し、 持 ( 現行犯 ) 十点五グラム以上の所持 手すりに手錠を括りつける。大暴れする プラス五点』の文字・ : 諸星「シャプ ? 谷口。 その声に諸星を見る栗林。諸星は慌てて諸星「 ( 呟く ) 十五点か : : : 」 谷口「やめろてめえ、おいつ、やめろっ、何 常見「え ? 」 ごまかし、 回も言わねえぞっ」 諸星「あいや : : : あーどうもどうも、お久し諸星「 : : : おっしや、ヤサはどこだ ? 4 0 0 0 0 0 一 8 -6

2. シナリオ 2016年7月号

んてあり得ねえ。絶対におかしな奴は生ま だ : : : そこで協力者作って、情報を引っこ 店主に断って、焼肉屋の店頭に名刺を貼 れてくるからな : : : 俺らの稼業は、そのお抜くんだ」 る諸星。 かしな奴らがひり散らかしたクソの掃除諸星「協力者 : ・ 「お電話、お待ちしています」と書き込 んで。 村井「 ( エリコの巨乳を指での字になぞり ) エスだよ」 村井「来る日も来る日も、雨が降ろうが槍が諸星「エス エリコ「え、ヤーさん ? 降ろうがクソ掃除よ : : : そうやって俺らは村井「スパイのことだよ : : : それさえ出来 「アンピシャス』に来ている諸星。 給料もらってるわけ、わかる ? 」 りやほっといてもお前に仕事は入ってくる。諸星「今日は来てませんかね ? 」 返答に詰まる諸星 : : : 真剣な表情で村井 エスを仕込んで、 ( エリコの胸を揉みしだエリコ「 ( 店の奥を見て ) あの人は八神一家 に聞く き ) クソまみれのグッチョングッチョンに の人だけど : : : 」 諸星「 : : : あの、クソはどうすれば見つかり なりやいいんだよ、わかるか ? 」 諸星「じゃ、ちょっと失礼します」 ますか ? 」 エリコ「 : : : あのさ、人の乳でレクチャーすエリコ「え ? 」 るのやめてくれる ? 村井「 : : : ( 吹き出し ) 面白いなお前つ、ク 諸星はその客の席に行き、挨拶をして名一 ソは便所にあるに決まってんだろうがっ」村井「 ( 笑 ) あっ、悪い悪い、ちょうどいい人 刺を渡す。 爆笑する村井とホステスたち。 体模型があったからさ。じゃあ今日の保健 その様子を由貴が遠目に見て。 体育の授業は終わり ! 」 そこにポーイがシャンパンを持ってくる。諸星「 : : : 」 貶。ハチスロ屋 ( 日替わり・昼 ) らねえよデカの名刺なんか ポーイ「村井さん、あちらのテープルの方が」由貴「 ( 諸星を見て ) ・ 常見「あ ? い 奥のテープルのヤクザが恭しくお辞儀し ている とある雑居ビル・ホール ( 日替わり・夜 ) ハチスロをしているチンピラ・常見裕樹 村井「 ( 手を振り ) おう若頭、悪りいないつも」 組事務所が入ったビルの玄関で、名刺を ( ) は諸星の名刺を拒否する 、り 出す諸星。 呶諸星「 ( 見て ) ・ 諸星「 ( 周囲を確認し ) ・ 悪村井「 ( 諸星に ) 見たか ? すすきのなんて 「北海道警察・機動捜査隊諸星要一』 諸星は常見の首根っこを掴み外に引っ張 クソだらけだ : : : 要はそこに飛び込みやい の文字。 り出す。 で 本 いんだよ」 諸星は組事務所の郵便受けに名刺を入れ常見「おいつ、何すんだテメ工 ! 放せつ ! 」 日 て。 諸星「飛び込むって : : : ヤクザにですか ? 」 村井「デカに必要なのは便所に飛び込む勇気 路地に常見を投げ飛ばし、後ろ手で腕を -6

3. シナリオ 2016年7月号

る 諸星は無視して部屋中を探す。 谷口「 ( 外に ) 皆さんつ、デカが強盗をしてい 野菜室を開けると、ラップにくるまれた 諸星「 ( 女の髪を掴んで ) おい、シャプあると ます ! 本当です ! 」 こ知ってんだろっ ! 」 拳銃がある その谷口を片羽締で落とす諸星。部屋に 女、ぶるんぶるんと首を横に振る。 引っ張り込むと、布団でくるみ、ガムテー諸星「 : : : うそ」 谷口「おい、おいつ、テメこんなことしてい プで縛り付ける。 村井の声「君は旺盛な研究心により、凶悪犯 いと思ってんのかっ ( 表に ) 誰かっ、誰か諸星「マジでヤべえだろこれ・ : 人のーー . 」 助けてつ ! 」 焦りが顔に滲み出る。ブップッ言いなが 戸棚、抽斗、金庫、あらゆる所を探す。 ら室内をうろっき回る諸星 : : : 汗がした 高級クラブ『アンビシャス』・店内 ( 日 たり落ちる。 部屋がグチャグチャになる。 替わり・夜 ) 諸星は焦ってくる。押入の中も探すが出 諸星は冷蔵庫に向かうと、麦茶を出して村井「覚醒剤及び拳銃所持事件の解決に大い てこない ポットごと一気に飲むーー」、そのまま に貢献した、って見ろよこれ、本部長賞だ 吹き出すー ぞおい」 諸星「 ( 顔を顰め ) なんだよこれつ」 と、ホステスたちに表彰状をかざす村井。一 先程の喫茶店。常見がゲームをしている。 ポットには麦茶パックが浮いているが味 ホステスたちは拍手を送るが、諸星は微 かない 店員「 ( 来て ) あんた常見さん ? 電話だよ」 妙な表情。 常見「 ( 電話に出て ) 諸星さんすか ? 終わ諸星「 : 村井「なんだよ、手柄挙げたんだ、喜べよ」 りました ? 」 諸星は麦茶を床にぶちまける。 諸星「いや : : : ちょっとムリしちゃった部分 諸星の声「終わりましたじゃねえバカ野郎つ、 入っていたのはビニールに包まれた白い もあったんで」 テメ工いまからここに来いつ、すぐに来 粉・・ 村井「バーカ、点数とった奴が勝ちだって 言っただろ。シャプと一緒にチャカまで挙 諸星「 ( 思わずその場にへたり込む ) : : : あっ 常見「いやいや無理っすよ、んなことしたら げるなんて奇跡だぞ」 ら 諸星はまだピンと来ていない様子。 呶俺が兄貴に殺されますから ! ( と電話を切 ふと女を見ると、怪しい視線を冷蔵庫に 悪 向けている る ) 」 村井「あのなあ青年、去年のチャカの検挙数 番 諸星「 ? は全北海道ひっくるめてもせいぜい十丁だ。 で 本 青ざめた顔で受話器を置く諸星 : ・ なのに機捜に入ってひと月かそこらで一丁 諸星は女の視線の方向 ( 冷蔵庫 ) を見る。 日 挙げたんだ、初心者の猟師がいきなりタン べランダでは谷口がまだ大声を上げてい女「 ! ( と慌てて視線を外す ) 」 る チョウヅル撃っちまったようなもんだぞ」 諸星は立ち上がり冷蔵庫をも、つ一度開け 諸星「 : -0

4. シナリオ 2016年7月号

がって : いや、一緒に行ってやりたいん 対面に座る黒岩。冷たく諸星を見つめる。 黒岩はデスクの煙草を取ると、一本諸星 に差し出す。 だけどあそこには俺のエスもいるしよ、あ黒岩「 : : : 諸星さんだっけ ? ガサ状もなし んま揉めたくないんだよ : : : まあでもあれ に家宅捜査したんだって ? 随分手荒な真黒岩「 : : : 一本どうだ ? 」 だ、青年は柔道チャンピオンだもんな ? 似してくれんじゃない」 じっと黒岩を見つめる諸星。逡巡するが 大丈夫だよな ? 」 ・ : 手を伸ばすと、煙草を取って咥える。 諸星「いや : : : 」 黒岩「警察が法令違反していいのか ? 」 諸星「 ( 笑ってみせ ) : : : 良いチャカ持って 村井「あ、万が一つてことがあるからよ、チャ諸星「 : : : 」 んじゃねえか」 力は持ってけ。でもチョッキは舐められっ黒岩「おい、聞いてんのか ? 」 黒岩「 ( 笑い ) だろ ? 鉄板の一枚や二枚、 から止めとけよ」 諸星「 : : シャプ中捕まえて何が悪いんだよ、余裕で貫通すんぞ」 警察は暇じゃねえんだ、用件言え」 と、銃ロで諸星の腹の鉄板をコッコッ叩 黒岩「なに : く黒岩。 幻同・男子トイレ・個室 ( 昼 ) 黒岩「 ( 笑って ) 」 腹に鉄板を入れ、ずれないようにテ 1 プ しばし睨み合う両者 : : : 互いに一歩も引諸星「 ( 笑って ) 」 を巻く諸星。 かない。 黒岩「 : : : ( 笑い ) 俺らみたいな弱小ヤクザ焼き肉屋・店内 ( 夜 ) 旭真会・事務所 ( タ ) 虐めてどうすんだか。諸星さんも知ってん 杯に日本酒が注がれる。 ソフアで待たされている諸星。額には汗 だろうけど、最近は内地の組織がこっちま黒岩「兄弟、俺の杯飲んでくれよ」 が滲む で拡大して地元の組は戦々恐々だ : : : 道産諸星「酒は飲めねえって言ってんだろ : : : 」 お茶を運んでくる常見。顔がボコボコに子は道産子同士、カ合わせた方がいいと思黒岩「一杯だけだ。これからすすきのは兄弟 腫れている。 わねえか ? 」 に任せるからよ」 諸星「 ( 驚き ) お前、どうしたのその顔 : : : 」諸星「 : : : 何が言いてえんだよ」 諸星は杯を取り、グイと飲む。顔をしか 、り める。 呶常見「 : : : すんませんでした ! ( と去る ) 」 黒岩はそれには答えず、立ち上がる 悪諸星「どういう意味だよそれ : : : 」 黒岩「 : ・ : いやあそれにしても今年の夏は暑黒岩「兄貴分を売るようなクソガキより、俺 緊張を押し隠すよ、つに深呼吸する諸星。 いな」 の方がよっほど良い情報を持ってる。これ で 本 ドアが開く。旭真会の幹部・黒岩勝典 上着を脱ぐ黒岩。ホルスターには銃が からは全部兄弟に流すよ」 日 入っている。 諸星「その代わり組の悪事には目を潰れって 廳 ) が来る か ? 」 諸星「 ( 身構えて ) ・ つな 諸星「 !

5. シナリオ 2016年7月号

くる 同・銃器対策室 ( 昼 ) 諸星「 ( 見送って ) 4 脇に小さく折り畳んだ紙袋を持っている。 猿渡「銃器対策は我が北海道でも急務だ」 声「エ 1 ス、ロあいてるよ」 諸星はその紙袋をコインロッカーに入れ 室長の猿渡隆司 ( 菊 ) が檄を飛ばす。 振り返ると、上司の岸谷利雄 ( ) がいる る。 猿渡「道内にはすでに相当数の拳銃が存在す諸星「やめてくださいよ岸谷さんまで : : : 」 るとの情報もある。躊躇はいらん、遠慮も岸谷「いいよねー結果出してる人は。あ、と 公衆電話で、 110 番をダイヤルする諸 いらん、一丁でも多く引っ張り出せ、わかっ ころでさ、マル暴時代は何丁くらいチャカ 星。 たな ! 」 挙げたんだっけ ? 」 諸星「 ( 声音を変え ) : : : もしもし警察です 一同「はい 諸星「何丁だろ : : : 十丁くらいかな」 か ? えっと私、暴力団員でして、組やめ その中に諸星の姿もある。 岸谷「そりや凄いや、ちょっと相談に乗って タイトル「 1993 年 4 月道警本部に銃器くんないかな。いや、一応チャカ専門の部るんで、チャカ捨てることにしました。地 下街の〇番ロッカーにあります ( 電話を切 対策室が新設され、第二係長を拝命」 署が出来た以上はさ、他の部署に先越され しにい力ないって室長が、つるさくてさ る ) 」 ・ : 今週中に一丁なんとかなんない ? 」 貶同・時間経過 ( 昼 ) 焼き肉屋・店内 ( 夜 ) デスクに戻ってくる諸星。 諸星「今週っすか ? 」 ロッカ 1 から銃が発見されたニュースが 敏子「諸星さん、ですよね ? 」 岸谷「マル暴時代のコネはまだあるんで 流れている 諸星「え ? 」 しょ ? 」 神妙な顔で記者会見する猿渡と岸谷の顔 美人の婦警・廣田敏子 ( ) がデスクに諸星「ありますけど : : : ( 小声 ) 首なしでも が映る お茶を置く。 いいんですか ? 」 岸谷「首なし ? 所持者不明の銃ってこと ? 」 焼肉を頬張る諸星、太郎、黒岩。 諸星「 : : : どっかで会ったつけ ? 」 敏子「 ( 笑い ) 知らない人はいませんよ、エー 諸星「 ( 頷き ) 身柄まで出させるとなると手諸星「いやとにかくさ、俺への期待がハンパ じゃねえんだよ、一も二もなくチャカが欲 間カかかります。チャカだけなら金でどう スだし」 しいんだわ。お前らにもこれまで以上に頑 : エースも何も、銃器対策は出来た にかなるんで」 諸星「 : : この際しよ、つがないか、し 張ってもらわねえとなんねえから」 ばっかだろ」 岸谷「 ( 考え ) : いよ首なしで」 太郎「なんか燃えてきた : : : 」 敏子「私にはわかります。諸星さんはエース 黒岩「資金は警察から出そうなのか ? 」 になります」 諸星「当面は俺が用立てる。首なしだろうが 諸星「は ? 」 札幌・地下街 ( 昼 ) バッタモンだろうが構わねえ、とにかく数 サングラスにマスクをした諸星がやって 敏子は微笑むと去っていく。 4 4 8