企 0 心に描いた五線譜で澄んだ歌声を奏でるステッキーズ ゆめ 夢をあきらめないで さくし さっきよくおかむらたか 作詞・作曲岡村孝子 そらつづさかみちうしろすがたちい 乾いた空に続く坂道後姿が小さくなる ことばさが 優しい言葉探せないまま冷えたその手を振り続けた みんなたびだ みちある いつかは皆旅立っそれぞれの道を歩いていく ゆめ あっ ひとみす あなたの夢をあきらめないで熱く生きる瞳が好きだわ かがや 負けないように悔やまぬようにあなたらしく輝いてね じようす くる とき 苦しいことにつまづく時もきっと上手に越えて行ける だれ しんばい 心配なんてすっとしないで似てる誰かを愛せるから うす せつ 切なく残る痛みは繰り返すたびに薄れていく あっ ひとみす あなたの夢をあきらめないで熱く生きる瞳が好きだわ しん あなたが選ぶ全てのものを遠くにいて信じている とお あなたの夢をあきらめないで遠くにいて信じている みなとく ゆめ 【『夢をあきらめないで』】『夢をあきらめないで』は港区 がっしようさい うた がっきよく ねん で開催される合唱祭で歌う楽曲。 1 年で 2 ~ 3 曲をマス ターしていく。 かわ やさ つづ あい かえ いた ゆめ えらすべ とお ゆめ ゆめ かいさい きよく だんせい にんしよせい 現在のメンバーは男性 4 人・女性 6 もうがっこうきようし でんわこうかんし 身体障害者ネ。 ー法施行 5 周年 さいてん 【「ふれあいの祭典」】 しんたいしようがいしやふくしほうせ 身体障害者福祉法施 しゅうねんむか 行 50 周年を迎えた 2000 とうきようとみなとく ねん 年に、東京都港区にあ とうきようとしようがいしやふくし る東京都障害者福祉 かいかんきねんさいてんおこな -n 館で記念の祭典が行 われた。ふだんはこの かいかんれんしゅうばしょ 会館を練習場所に利 よう 用するステッキース ひろう も歌を披露した。 37

深い歌声で歌曲の奥深さを歌う小倉 正恒 がっこっ ろうじん いもんえんそう 0 ぐ なっか ろうしん を歌う小倉さんに聴衆も熱心に声を合わせた。 ちょうしゅうねっしん ホランティアの演奏も行っている。懐かしい童謡 えんそうおこな どうよう 【老人ホームで慰問演奏】 老人ホームや学校で 4 うたおぐら おぐら 【小倉さんの CD 】『ウィ ゆめ ーン、わが夢のまち』は、 ウィーンからの帰国まも シーティ ろくおん なく録音された C D 。 ウイ→、わ力、夢のまち にんげんせい 歌には人間性の 【歌う小倉さん】 おぐら すべ 全てか出ると語る小倉さんの目 くら だれ 標は、誰かと比べてではなく、自 ちょうてんきわ ふんなか 分の中での頂点を極めること。 もく

芸に生き、地唄と鮮やかな琴の音で人々の心をとらえる富山清琴 ねんがつ にんけんこくほう してい 【人間国宝に指定】 1969 年 3 月 げい むけいふん じうたそうきよく 14 日、地唄と箏曲の芸で無形文 かざいほじしや してい 化財保持者に指定された。美恵 とみやま こふじんよろこ 子夫人と喜びを分かち合う富山 さん。 げいごと じうたうたとみやま 【地唄を唄う富山さん】「芸事は死ぬ げい べんきよう うでみがつづ まで勉強」と、芸の腕を磨き続け、 さっきよくか かつやく また作曲家としても活躍している。 たにざきじゅんいちろう みやこわす さくし 谷崎潤一郎の作詞による「都忘れ」、 かずかずめいきよくつく かねね 「鐘の音」など、数々の名曲を作り、 おうべい 欧米でも人気を得ている。 めいわく しよ、つひちりき 笙篳篥ノョウナモノヲ鳴ラサレルノハ迷惑ダケレ礎 ひと ざんげつ だれひとりとみやませいきん ドモ、誰カ一人、富山清琴ノョウナ人ニ「残月」ヲ もら 弾イテ貰ウ おきほ、つ いそべまつはがく 磯辺ノ松ニ葉隠レテ、沖ノ方へト入ル月ノ、 しんによあき ひかりゆめよ 光ャ夢ノ世ヲ早ウ、覚メテ真如ノ明ラケキ、 つきみやこす 月ノ都ニ住ムャラン。 せいきんこえうた ト、清琴ノ声デ唄ッティルノガ聞エテ来ルョウナ、 はす モウ死ンディル筈ダガ、死ンデモ聞エテ来ルョウナ 気ガスル 谷崎潤一郎著 瘋癲老人日記』より たにざきじゅんいちろ一つちょ ふうてんろ - つじんにつき きこ きこ ふうてんろうじんにつき 【『瘋癲老人日記』】『春 もうもくにつき しよう 抄』盲目日記』など、琴 せかし、おお しやみせん や三味線の世界を多くの たにざきしゅんいちろう しようせつえか 小説に描いた谷崎潤一郎 おとあい とみやま も富山さんの音を愛した うえいんよう ひとり 一人だった。上の引用は、 ろうじんみずか そうぎようす 老人が自らの葬儀の様子 おも いっせつ を思い浮かべる一節。

せんこく 0 魔法の電子オルガンで、全国に元気を届ける おおしま あきら げんき とど まほう かんげきむ しようわ ねんぐんまけん でんし であ 大島さんは 1946 ( 昭和 21 ) 年、群馬県に 奏ができる電子オルガンと出会い、感激で夢 せいこま こうねつげんいんしりよく こども ちゅう きようしつひら 生まれ、生後間もなく高熱が原因で視力をな 中になりました。やがて、教室を開いて子供 おんがくす ひとびと ちい おお くしました。小さい頃から音楽が好きで、 3 たちに教えるようになり、また、多くの人々 さい ひはじ ねん ぜんこく おんがくとど ぜんこくこうえんかつどうはじ 歳でオルカンを弾き始め、 1964 年には、全国 に音楽を届けようと、全国で公演活動を始め、 もうがくせいおんがく ぶもんゆうしよう かいがいこうえんおこな ねん れんそくえん 盲学生音楽コンクールのピアノ部門で優勝し 海外公演も行いました。 1979 年には連続演 もうがっこうそっきよう そうきろくこうしん さまざまちょうせんつづ ます。盲学校を卒業し、バンドマスターとし 奏の記録を更新するなど、様々な挑戦を続け、 ころひとり おなえん おくつづ えんそうあっ て働いていた頃、一人でフルバンドと同じ演 演奏で熱いエールを送り続けています。 こうえるノ ききん 【ブラジル公演】 1979 年、寒波による飢饉に くる にほんうた とど 苦しむブラシルの日系人に、日本の歌を届け ひら かし、 ようとチャリティーコンサートを開き、 13 の会 じようかんきやくなみだかんどう 場で観客の涙と感動をさそった。 おおしま はたら ねんかんば につけいじん ぐ簽おを 2 第 滝を種種 クトッ じぶんきろくちょうせん 「目の見えない自分が記録に挑戦すること ひと めぐ きば、つゆ、つきあた で恵まれない人たちに希望と勇気を与える ことができれば・ じかんれんぞくえんそうむ ( 燗時間連続演奏に向けて ) きてい じかんれんそくえんそう い OO 時間連続演奏】規定で、 おなきよくひ 同じ曲を弾くことができないた あたまはい なんせん め、頭に入った何千ものレバート きよくめい おんじゅんえんそう リーを曲名の 50 音順で演奏し、 きよくめ じかん 1806 曲目で 100 時間を超えた。

監修者 : 花田春兆 ( はなだしゅんちょう ) 1925 年生まれ。脳性マヒ 1 級。都立光明養護学校卒。 城西国際大学講師。内閣府障害者施策推進本部参与。 日本障害者協議会副代表。著書「日本の障害者一そ の文化史的側面」等。俳人。 【表紙カバーデサイン】 イラスト 山口千穂 柳平和士 石倉浮一 【編集・企画・構成・執筆】 ハュマ / 戸松大洋大石佐世 太田朋子 大角倫代 長井 静 2 柳平和士 目でみる [ 発行所 ] ( 株 ) 日本図書センター [ 発行者 ] 高野義夫 初版第 1 刷発行 2002 年 2 月 25 日 心で音楽をかなでる 「心」のバリアフリー百科 〒 112 ー 0012 [ 印刷・製本 ] 東京都文京区大塚 3 ー 8 ー 2 TEL 03 ー 3947 ー 9387 ( 株 ) プロスト ー SBN4 ー 8205-6816-7 C8336 BN4-8205-6818-3 C8336 \ 22000E ( 全 5 巻・セット ) \ 4400E ( 第 2 巻 )

ロ協力者一覧 板橋区立向原小学校 大江戸助六太鼓事務所 観世恵美子 近代映画協会 弘願寺 コスモテック サ・ミュース 中央公論新社 東京光の家光の家新生園 特別養護老人ホームハトホーム 日本チャリティ協会 パイオニア PANA 通信社 毎日新聞社 宮城道雄記念館 養護盲老人ホーム胎内やすらぎの家 ⅱノしノし一 , ユ - JASRAC ース写真センター 出 0200414 ー 201 著作権については十分配慮いたしましたが、お気づきの 方がいらっしゃいましたら、弊社まで御一報ください。 ロ主な参考文献 一番ヶ瀬康子・花田春兆編『写真・絵画集成日本の福祉 5 文化に息づく』日本図書センター 大島彰著『心の月は沈まない』河出書房新社 桐生清次著『最後の瞽女小林ハルの人生』文芸社 「視覚障害音楽家の社会参加促進事業」運営委員会編『視覚障 害音楽家 ( 演奏・教授 ) リスト』視覚障害者支援総合センター 高橋竹山著『自伝津軽三味線ひとり旅』新書館 谷崎潤一郎著『瘋癲老人日記』中央公論新社 冨永房枝著『ふうちゃんの詩 " 女の子 " のとき』かど創房 山口昌男監修『目でみる日本人物百科』日本図書センター 山田尚編『詩・文・写真集竹山津軽三味線』津軽書房 和波孝禧著『音楽からの贈り物』新潮社 『月刊福祉』全国社会福祉協議会 『宮城道雄の世界宮城道雄生誕 1 開年記念』宮城道雄記念館 47

お ほん この本の終わりに監修・花田春窕 おんがく げん しゅうかん かんがかた みんぞくちが 音楽。それこそ言語とか考え方とか習慣とか、民族の違いに いしき よって生まれて来てしまうバリアのようなものも、意識しない ろふあ で超えることのできる、最もバリアフリーに応の触れ合える芸 しようがい うむ もんだい 術だ、と言えましよう。まして障害の有無など問題になりません。 き て じぶんくち て たの 聞き手・受け手として、また自分でロすさみ音を出して楽し ばあい ひとおお む場合はもちろんですが、プロとして一流になっている人も多 すく いのです。心のバリアの少ない国に受け入れられやすいことも かつどうこうさいてき あって、活動も国際的になっていきます。 ざんねん しようかい えんそう ただ、残念なことにこの本ではご紹介だけで、実際の演奏 き をお聞かせできないのです。 みな ですから、皆さんはせつかくお知りになったのを機会に、ラ イプなり、コンサートなり、放送なり、レコードなりで、お聞 ねが きになられるようお願いしておきます。 つ き もっと こ じゅっ つ だ おと いちりよう つ ほん じっさい し きかい ほうそう 日本の 障害者 ◆その文化史的側面 花田春兆 = 著 にほんしようがいしや ぶんかしてきそくめん 『日本の障害者 0 その文化史的側面』 にほんげいのうおんがくはってん しかくしようがいしゃ 日本の芸能音楽の発展は、視覚障害者の かつやくぬ かんが にほんぶん 活躍抜きでは考えられないように、日本文 めん 化のさまざまな面に、さまざまな障害者が、 おお はたら み 大きな働きを見せているのです。 ふんがく にほんしんわしようがいしゃ これは、文学としての日本神話と障害者 かか へいけものがたり の関わりに始まり、中世の『平家物語』、江 しよみんぶんか げんだい 戸時代の庶民文化を経て、現代に至る文化 しようがいしやがわ ちよしよ 史を、障害者の側から描いた著書です。 しようがいしや か ちゅうせい し いた えが 46

ともに音楽を楽しむために おんがくひょうげん みみふじゅうひとめぶじゅうひとさまざま しゆだんさまざまひろ ために、音楽を表現する手段も様々に広がっ 耳の不自由な人、目の不自由な人、様々な おんがくあい こころおな なか あたら こころ 違いがあっても、音楽を愛する心は同じです。 ています。ここでは、その中から、新しい試 いっしよおんがくたの 違いを超えて、みんなが一緒に音楽を楽しむ みを 2 つ紹介してみました。 ちが ちが しようかい シーディーかぜみなみ せかいはつかしてんじゃくしゅわやく 0 世界初、歌詞に点字訳と手話訳がついた C D 『風は南から』 0 かせみなみ おきなわけんしゆっしんかしゅなかざとゆきひろ 『風は南から』は、沖縄県出身の歌手、仲里幸広さん へいせい ねんはつばい シーディー が 200 ] ( 平成 ] 3 ) 年に発売した C D アルバムです。ブック かしてんじゃく しゅうろく きよくすべ レットには、収録されている ] O 曲全ての歌詞の点字訳と、 ことば すべ かべ きよくしゅわやく 2 曲の手話訳がついています。言葉の壁を超え、全ての人 つく った おも にメッセージを伝えたいという思いから作られた曲は、 ぜんこくしようがっこう がっこうきよういくきようざい 学校教育の教材としても取り上けられ、全国の小学校で しゅわ うた 手話とともに歌われています。 ひと ALCM2001 ¥ 2600 ( 税別 ) 発売元 : 工イプリルレコード うた しゅわやく たん 【手話訳された歌】手話モテルを担 とう しゅわ 当したのは、手話パフォーマンスクル かんけい ほん 〒房りがとう」 ープひょこっち ( 本シリース 3 巻掲 お相さんが手刀を切る様子 のぐちたけし 野口岳史さんと、 載 ) のメンバー 待っていた ふん ひめのゆみ きよくも あか 姫野有美さん。曲の持っ明るい雰 しゅわひょうげん ひょうじようゆた 囲気を、表情豊かな手話で表現 風は南から一一手話 手話調 : な - 手話モデル・ この海を見杣 きよく 今日から明日 ~ = ロ 手話監修橋本一郎 係生大臣認定手話通訳士 ) : 手話訳 : ひょこっち 手話モデル : 野口岳史ー ( ひょこフちメンパー ) ツがとら : しゅわ 今「あわか義さま」 「みなさん」 目の前のみんなをして あなたが 0 おづえを 0 を、 , て 0 、 0 様子 集まれば 「会う」 仲間が ~ イあなた 手の平であなたを指す 楽しい ) 広が ? て、、る . 遥をるよ 小宿を元にあーや・・方に鷭した要ト 蓄をれ・ - なう物へを、 手を広け、それ ト映る想いはすいこまれ ′。霞年本一 厚生大臣 篳野有 「集まる」 中央にたくさんの人が集まってくる様子 「仲間」 両手を握ってグルッと輸を描くように 「楽しい」 心がおどるように画手を上下させる ⅱ元から強へ物をおろし . いろどるサンゴに みぎ さつえいあいま 【撮影の合間に】手話モテルの野口さん ( 右 ) は、 いちばんたい さつえいあいだじゅう えがお 撮影の間中、ずっと笑顔でいることが、一番大 かしゅなかざと ひだり へん 変だったと語る。歌手の仲里さん ( 左 ) と。 のぐち しゅわ 45

おんがく ともに音楽を楽しむために ぜんしんみみ おんがくすば からだき おんがくかい 0 全身を耳にして音楽の素晴らしさに触れる「身体で聴こう音楽会」 0 からだ おんがくかい たいかんおんきよう おとあ 「身体で聴こう音楽会」は、「体感音響システム」と呼ばれる、音と、音に合わせ しんどう はっ りよう みみふじゅうひと おんがく たの た振動を発するシステムを利用して、耳の不自由な人とともに音楽を楽しむ おんがくかい おんがくかい おんがくあ えいぞうじようえい なんちょうひと 音楽会です。音楽会では音楽に合わせた映像も上映され、難聴の人はもちろん、 みみふじゅうひと えいぞうおんがくたの 生まれつき耳の不自由な人も、リズムと映像で音楽を楽しむことができるように なっています。 おと おんがくかいようすおんがくかい おんきようえいぞうきき 【音楽会の様子】立楽は立・映像機器メー 日・、日冖 まいつきひら カーのパイオニア ( 株 ) によって毎月開かれ、社内 しゅわ の手話サークルが参加することもある。また、 なまえんそう たいかんおんきよう 「体感音響システム」でオーケストラの生演奏 おこな を聞く、ショイントコンサートも行われている。 しゃない さんか スピーカーが埋め込まれ、 おと 補聴器でも音をきれいに 聴くことができる。 ほちょうき たいかんおんきよう 【体感音響システム】 しんどうばん しんどう ひくおと 振動板かあり、低い音を った 振動に変えて伝える。振 おんりようへんか つよ 動の強さで、音量の変化 かん を感じることもできる。 44

世界に向けて歓喜の歌を熱唱する 私たちは心で歌う目で歌う合唱団 きやくせきげん しゅうかん 【埋め尽くされる客席】言語や習慣の異 こうえん つう なる海外での公演でも、「歌」を通じて かんどう 心から感動を分かち合うことができる。 かいがい すべ えんそうかいおんがく かか 【カーネギーホールでの演奏会】音楽に関わる全ての ひとあこが えんそうかい 人が憧れるカーネキーホールでの演奏会は、これま えんそうご こうふんかんどう はくしゅ でにない興奮と感動をもたらした。演奏後は拍手と なひび かんき 歓喜の声がいつまでも鳴り響いた。 たちは よろこ うたこえ 【生きる喜びを歌声に】 これまで何かをしてもらう立場にしかいることのできなか どりよく うた しようがいしや せかい じぶん った障害者たちが、自分たちの意志と努力によって第九を歌い、世界に向けて平 わうった すば つよかんどう った すがた みもの 和を訴える姿は、見る者すべてに強い感動と生きることの素晴らしさを伝える。 43