0 0 をつなく グルームなどがある現在の姿となった。 活動のきっかけ 居場所としての >-OD の家 自立援助ホームとは、社会的養護の かつらがわ この活動の中心人物であり、理事・ 京都市の桂川のほとりに広がる閑静ひとつで、自立するために共同生活をす いしはらゆきえ な住宅地に、自立援助ホームの家る場所である。の家では、主に児事務局長である石原幸江さんは、ユニー 童養護施設を退所した子どもたち ( 女クな経歴をもっている ( 以下、の家 ) はある。隣には、 1942 ( 昭和片 ) 年、京都で生ま 躍動する龍が相輪 ( 塔のいちばん上 ) に子 ) か幻歳になるまで暮らし、就職先の 開拓や日常生活上の相談等の支援が行われた石原さんは大学卒業後、建築設計事 絡みつく姿が印象的な三重の塔のある 務所に勤務。その後、子育てを機に退職 巣林寺。このの家の建物は、もれている。 本誌が取材に訪れた時は、 6 人の子したが、子育てが落ち着くとプライダル ともとこの巣林寺の住職が住んでいた どもたちが幻歳となり、ここから巣立っ関係の会社で式場相談、お客様相談室の 家。ここを 2013 ( 平成 ) 年に借り 責任者を歴任。そして歳を前に再び大 た後で、次に入居する 6 人のために、部 受け、 2 度のリフォームを経て、 2 階に きく転身し、子どもの村。。の前 6 部屋の個室と、 1 階に広いミーティン屋の改装を行っている時期であった。 そうりん 京都府◎特定非営利活動法人子ともの村 >' 0 0 特定非営利活動法人子どもの村 0 は、京都市で自立援助ホーム「の家」を運営して いる。ここでは、虐待・ネグレクトなどで心や身体に傷のある子どもたちが暮らし、 2016 ( 平 成 ) 年は 6 人の子どもたちが巣立っていった。また、広く児童養護施設で生活している子どもを 対象に、自然体験サマーキャンプなどを長年開催している 心と身体が傷ついた子どもたちに、 未来につながる居場所を 去々子どもの村 K 破 YOU の家 を、 0 〒 YOU の家の前で、石原さん ( 右から 2 人め ) とスタッフの皆さん 月刊福祉 74 No vemb e r 2 016
みあげていく ネタを思いついても、それをしゃべって を自分たちで決めていくのです。例えば しばたさおり いいのか自信がないのです。それを少し 支援員 ( 保育士 ) の柴田沙織さん ( ) 調理だったら、ホットケーキをつくって いしかわよ、つ、」 と石川葉子さん ( ) は、結家の具体的なみたいとか好きなものをつくるから楽でも見つけ出し、みんなが笑えるように 活動内容について次のよ、つに説明する しいし、会話も弾みます。コミュニケー 仕向けるのが私たち支援員の腕の見せど 「すべてのプログラムはクミ 1 ティン ション能力の向上にも力を入れています。ころです。こうしたク雑談カクの育成は、 グ↓実践↓振り返りッという基本構成で自分から話すことが極端に少ない子ども子どもたちが社会に出て暮らしていくた たちですけど、実はとてもおもしろい会めにとても重要だと考えています」 組み立てられています。毎回取り組む前 結家の活動は、すべてが本物志向な にみんなで話し合い、何がやりたいのか話センスかある子どももいます。たとえ のも特徴だ。調理でつくるメニューはカ フェで提供できるレベルをめざし、園芸 活動で栽培するラベンダーは、収穫後に オイルを抽出して製品化し、販売も行っ ている。また、災害時に自分で対応でき るようにするため、電気を使わない生活 を体験するプログラムも実施する。自分 の命は自分で守ることを学ぶのだ。本物 志向だからこそ、結家での体験が子ども たちに自信や生きるエネルギーを与えて 発達障害に対してスタッフがひとっ になって取り組んでいる結家の実践は、 同じ悩みを抱えるたくさんの家族にとっ て大きな希望となることだろう 子ともたちの親も 結家の活動を支える CURE GARDEN 結家代表浦野典子さん 結家では子どもたちみんなから「ボス」と慕われている浦野 さん。発達障害児に対する理解を広めるための講演活動も精力 的にこなしている。そんな浦野さんの行動力に触発されて、結 家に子どもが通う保護者たちも動き出した。保護者会が主催と なって勉強会やこどもまつり、ことりカフェの運営をスタート させたのだ。「地域の人たちに子どもたちの障害を知ってもら うのは、とても大切なこと。結家のことを知らす、ひとりで悩 んでいる親も多いと思います。私たちはそんな人のためにも、 自分たちの経験を語っていきたいです」と、保護者会の中心メ ンバーは語る。 人前では本音を話せなかった保護者たちが「子育てあるある」 話で盛りあがり、息 抜きの場となってい る。同じ悩みをもつ からこそ得られる共 感、そしてそこから 次へのステップ。浦 野さんが実践してき た活動の基本は、周 りの人たちに着実に 「子どもたちの成長が楽しみです」と語るスタッ 受け継がれている。フの皆さん ( 左から石川さん、管理者の浦野哲 也さん、代表の浦野さん、柴田さん ) 1 0 イ。 73 月刊福祉 November 2016
0 策があるとすれば、それは浦野さんが子祉 どもに真剣に向き合う姿勢だろう自分 たちと本気で向き合ってくれる人には、 子どもたちは必す心を開いてくれる。そ のためには、対話にたつぶりと時間を使 、つこと。この考えは結家のスタッフにも 徹底されている。プログラムの実践中 は、事務所にかかってきた電話にも切 出ない。こうした本気度が、子どもたち の心をつかんでいく 「おもしろい」を積みあげるプログラム 本来、子どもたちは心と身体が大き く成長する時期に、たくさんの体験を通 しずつ心を開いてくれます。ゆっくりと、 を周りが理解し、尊重してあげることが ひと言すつ。子どもと共通の認知に達すじて自分探しを始める。発達障害のある 大切なのだ、と浦野さんは一一一口う 「ある時、結家に来るなりずっとソファれば、そこに多くの言葉は必要ありませ子どもには、こうした体験の積み重ねが で泣いている男の子かいました。こんなん。起こったことを振り返り、次はど、つ不十分であることか多いそのため結家 では、社会性を育てるさまざまな活動を 時、必要以上に『何で泣いているの』とするか考えようというアプロ 1 チは、こ プログラムに組み込んでいる。具体的に 聞くと逆効果。とにかく思う存分泣いてこから始まると思います」 は、心のトレーニング、 ( 生活技 浦野さんのカウンセリングを受ける もらい、落ち着いてきたなと思ったら少 能訓練 ) 、調理、園芸、音楽、体幹ト しずつアプローチすればいいのです。何と、これまでどんなに扱いにくいとされ となく原因を推測し、キーワードとなるてきた子どもでも変わってしまう。そのレーニング、作業療法、野外活動など 言葉をかけてあげることが重要です。自変化は、まるで魔法をかけられたよ、つキーワードは「おもしろい」で、子ども たちが興味をもてることをひとつずつ積 分の気持ちを察してくれたと思、つと、少だ、と母親たちは笑っていた。そこに秘 整然とした結家の美しい室内。子どもたちが勉強するためのテーブル やいすは、すべて浦野さんによるオリジナルデザインだ
0 0 をつなく 「発達障害への理解は一般的にまだま 開始前には必ず保護者のカウンセリング 発達障害のための放課後等ディサービス だ低く、福祉の専門機関や学校でも大き を実施し、その結果明らかになった課題 ゆいや 結家 ( 以下、 く取りあげられない、というのか現実でから、個別に支援スタイルを決定してい 結家 ) は 2010 ( 平成 ) 年に開所しす。保護者は相談する相手もいない場合 く。きようだいがいる場合には、彼らへ た、放課後等ディサービス事業を運営すもあり、苦しい日々を生きています。その支援も重要なポイントだ。これは結家 る障害児通所支援施設である。放課後等こで私は、主に発達障害のある子どもた独自の支援サ 1 ビスで、浦野さんは「立 ディサービスというと、一般的には子どちを対象にして、彼らか社会性を身につ体的支援」と呼んでいる もたちが施設に来て、学習指導 ( 宿題のけられるような学びの家をつくろうと思 「大切なお子さんを預かるのですから、 整理 ) や遊びを通じた集団活動を行うよ いました」 私たちがどんな方針で療育を行っている うな事業所を想像するが、結家の目的は 浦野さんが重視するのは、家族がどのかを保護者に知っていただきたいので 子どもたちの「療育」にあると代表の のよ、つな環境で自分の子どもに接してい す。また、きよ、つだいには送迎の時など 、つらののりこ 浦野典子さん ( 3 は語る るのかを知ることである。そのため利用に、必ず声かけをしています。本人だけ 長野県◎ ODCW O<COWZ 結家 主に発達障害があるため心のケアが必要な子どもたちに療育を行っている、放課後等ディサービス あずみの 事業所が長野県安曇野市にある。子どもたちに、社会性を育むための指導や学習などを行うととも に、子どもの家族へのカウンセリングやきようだいたちの支援にも力を入れている。斬新な発想か ら次々に繰り出される活動を取材した。 発達障害のある子どもと 家族を支える 穂高の観光地にあるカントリー調の建物は、とても福祉施設と は思えない 月刊福祉 70 Nov emb e r 2 016
ささやまけいすけ 笹山敬輔 1979 年富山県生まれ。演劇研究者。筑波大学大学院博 士課程人文社会科学研究科文芸・言語専攻修了。博士 ( 文学 ) 。著書に『演技術の日本近代』 ( 森話社 ) 、『幻の 近代アイドル史ー明治・大正・昭和の大衆芸能盛衰記』 ( 彩流社 ) 、『昭和芸人七人の最期』 ( 文藝舂秋 ) 。 伝記は、事実を書くことが大前提である。だから、一見、誰が書 こま、著者名 いても大差ないように見える。実際、児童向けの伝記ー ( を〇〇編集部としているものもある。だが、人生にはいろいろなこ とがある。そこから、何をピックアップして並べるか、そこに書き 手の人生観が表れてくる。 例えば、私は、幼少期の体験をあまり書かない。だが、伝記によ は一つ、カ くあるのが、成人してからの人生の萌芽が、子どもの頃にあるとい うストーリーだろう。科学者になる子どもは日常の何気ないことに 疑問をもっていたとか、芸人になる子どもはいつも周囲を笑わせて いたとか、である。そう書きたい気持ちはわからないでもないが、 幼少期の体験も本来、多様なはずだ。それと反対のエピソードもた くさんあるだろう。だから、どうしてもこじつけに見えるし、成人 後の変化を軽視しているように感じてしまう。 もちろん、これは私の人生観からくる好みである。おそらく、本 をまったく読まなかったのに、本を書く大人になったからかもしれ ない。伝記は、決して事実だけの無味乾燥なものではない。書き手 の人生観も想像して読むと、これまでと違った読み方ができるかも しれない。 ちなみに、まだ本格的伝記のない人物で、私が読みたいと思って あおしまゆきお ふじお いるのは、青島幸男、藤子・・不二雄、ザ・ドリフターズなどで ある。誰も書かないのなら、いっか書こうとひそかに思っている。 ふじこ 69 月刊福祉 November 2016
し工寸 第 1 回 小さい頃、私は本を読まない子どもだった。当然、読書感想文の 時間は苦痛でしかない。そもそも、読書感想文とは何を書けばよい のか、今もってわからない。あの頃、無理して読んだ本の記意は曖 昧だが、たしか『怪盜ルバン』シリーズではなかっただろうか みなみよういちろう 南洋一郎が大幅に換骨奪胎したポプラ社のシリーズである。一方、 のぐちひでよ 読書感想文の定番である伝記ーー・野口英世やエジソンなどは、ほと んど読まなかった。 年後、自分で本を書くようになり、空き時間は本ばかり読む大 人になった。読むのは、資料としての伝記・評伝・自伝の類いであ る。それだけでなく、合間に趣味で読む本も伝記ばかりだ。反対 に、小説のようなフィクションをほとんど読まなくなった。フィク ションよりノンフィクションのほうがおもしろい、という感覚が 年々強くなっている。 伝記のおもしろさはいくつもあるが、そのひとつに、書き手の人 生観が透けて見えるところにあると思う。私は、『昭和芸人七人の 最期』で芸人の人生を書くなかで、そのことを再認識させられた。 イ言ガおもしろい November 2016 月刊福祉 68
わずかでも形がゆがんだり崩れたりしたものは商品にしない さんあったのですが、各事業所でできる は日清製粉が提供し、その製造販売を双祉 寧 ことには限界があり、大口の仕事はお断葉郡から避難してきた事業所を中心とし りしていました。それで、事業所間で連た計事業所 ( 利用者約 200 人 ) で担っ ている 携、協働しようと思いました」と話す。 生地をつくり、型抜きをして、オー プンで焼き、個包装するまでの工程を担 協働プロジェクトの概要 大口の受注に応えられる体制を整え当しているのは、 5 つの事業所だ。それ ても、単発的な受注では課題の解決にな 以外の事業所は、箱を組み立てたり、箱 づす らない。そこで富永さんは、継続性のあ詰めをしたり、販売活動を担当している ばをる仕事を生み出すことに注力した。そん各事業所とも、ほるばろん以外の仕事も ま生 な折、日清製粉株式会社 ( 以下、日清製受注しているため、ほるばろんの製造が 粉 ) が 0(-0* 活動の一環として福島県の追いっかないこともあるという。そんな ちゅ、つば、つ 障害者支援に関心を寄せているとの情報状況に備え、しんせいでも厨房設備を か入り、富永さんは、同社に自身の思い 構え、リスクを回避している を伝える機会を得た。協議を重ねた結果、 企業とともに 新たな焼き菓子を開発することに。それ クオリティーを追求 にともな、つ資金は、特定非営利活動法人 難民を助ける会 ( < < ) 口に入れた瞬間に、ほろほろと溶け の支援を受けた。約 1 年の開発期間を経てしまう食感と、上品な甘さ、そして、 て、 2013 ( 平成 ) 年に誕生したのふわっと口に広がるシナモンの香りがほ が、現在、年間で約 400 万円を売り上るばろんの特徴だ。食感、味、見ため、 げる「魔法のおかし・ほるばろん」 ( 以下、品質に妥協はしない。それを可能にして ほるばろん。税込で個入 1000 円、 いるのか、日清製粉テクニカルセンター 8 個入 500 円 ) だ。レシピと技術指導の協力だ。どの事業所のオープンで焼い November 2016
Part 挑戦 / 商品開発 第 7 回 協働プロジェクトで 大口受注に臨む 一被災からの挑戦 福島県◎特定非営利活動法人しんせい ( 取材 = 編集部 ) 亠 ふたは 福島県双葉郡は、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故にともない 地震の発生から 5 年半以上が過ぎた今もなお、多くの地域か帰還困難区域・ 居住制限区域・避難指示解除準備区域に指定されている。長期避難を余儀な くされている福祉事業所が抱える課題の解決に取り組む活動を取材した。 んせい ) の前身となる「交流サロンしん ひとつの事業所で無理なら せいである。 2012 ( 平成幻 ) 年に 複数の事業所で は福島県障がい者拠点整備事業を県から 東日本大震災の発生後まもなく、被委託され、被災した就労支援系の事業所 こおりやま 災者が続々と避難してくる福島県郡山への支援活動を開始。長期避難を続ける 市で ( 日本障害フォ 1 ラム ) 被災事業所は、避難した先々で事業を再開し 地障がい者支援センタ 1 ふくしまが発足ていたが「仕事がなく、利用者にエ賃が した。同センターでは、主に双葉郡から支払えない」「避難の過程で利用者と職 避難してきた障害者を対象に、さまざま員の数が減ってしまい、被災前と同様の 一生産活動ができない」 な支援活動を実施 ッ 「地縁で確保されてい その活動のなかで、 桄 Y た商品の販路が断たれ 被災した障害者に 頑てしまった」など共通 「日中の居場所」と るめ の課題があった。 「仕事をする場所」 さる 送守 しんせいの事務局長 発を を提供するために とみながみは か 址商を務める富永美保さん 開所されたのが、特 割も 8 らは「震災後、全国の方福 定非営利活動法人 のが 刊 月 注ジから仕事の依頼はたく しんせい ( 以下、し ““の”小し一をる一ま -5 久 Novemb e r 2 016
の改正であり、社会福祉法人の公益性の このように考えると本行動指針の信サービス (coZco) 等の普及を踏まえた 「見せる化」である。「事業運営の透明性頼と協力を得るための情報発信はまさに適切な情報管理体制の構築や、マイナン バ 1 制度への対応を含めた個人情報の管 の向上」は前述のように、広く国民に対今回の制度改革で求められる核心部とも し事業経営の透明性を確保することで、 一一一口える。実践のポイントは、①経営情報理を適切に実施することが求められてい 説明責任を果たすという見せる化である の公表、②地域から信頼される情報発信、る 「経営組織のガハナンスの強化」は、公益③苦情・相談内容等の公表・説明、④情 社会福祉法人経営の中期目標 法人制度が見直され、他の公益法人のガ報管理の徹底、の 4 つである「経営情 バナンスがより強化されたことを受け、報の公表」では公表が義務づけられた経 前述の通り、今回の制度改革は、社 社会福祉法人の経営者たる理事・監事の営情報をさまざまな機会を通して積極的会福祉法人制度に対する国民からの誤解 選任方法などを他の公益法人並みに見直 に公表することで、あらぬ疑念を抱かれを払拭するためのものである。介護や保 し、経営者の地位の正当性やその意思決ないようにすることが求められる。「地育に代表される社会福祉事業の必要性は 定の正当性を見せる化することによるも域から信頼される情報発信」では、義務国民に理解されている。ただ、それらの のである。「財務規律の強化」で求められ化された情報にとどまらない広範な法人社会福祉事業を提供する、社会福祉法人 る「社会福祉充実残額」の算定は、今回の情報のより積極的な発信を通し、地域という非営利法人制度の必要性が問われ の制度改革の発端になったいわゆる内部住民等の理解を得、さらにボランティアているのである。株式会社等が社会福祉 留保の定義を明確にし、社会福祉法人にや寄付といった、地域社会からの協力を事業を提供するほうが効率的で良質の サービスかなされるのではないかという 得られるよ、つな取り組みが求められる 多額の余裕資産があるかを検証すること である。そのうえで、仮に余裕資産があっ 「苦情・相談内容等の公表・説明」では、国民からのⅢ リいに、我われ社会福祉法人 福祉サービスに関する苦情や第三者評価経営者は、明央に答えてはいない た場合は、その使途を「社会福祉充実計画」 このよ、つな背景をしつかりと理解し、 を策定することで明確にし、社会福祉法の受審結果の内容、改善・対応状況の公 人の利益を含む財産が、社会福祉事業や表を通し、福祉サービスの質の向上に積 2020 を活用しながら、それぞれの地 公益事業に充てられること、言い換えれば、 極的に取り組む姿勢を地域社会に見せる域社会の一一ーズにしつかり応えていくこ ことが求められる。「情報管理の徹底」 とが、社会福祉法人の経営にとっての重 将来の社会福祉事業等のコストであるこ では、ソ 1 シャル・ネットワ 1 キング・ との見せる化である 要な中期目標である。 月刊福祉 64 Nov emb e r 2 016
は生活圏域のさまざまな福祉需要を把握たという環境から、財源負担者たる国民 福祉法第幻条の社会福祉法人経営原則に に対する説明責任を果たすべき環境へと、 も、社会福祉法人の事業領域として、「社する体制づくりが求められている。そし 経営環境が劇的に変わった。加えて、こ 会福祉事業の主たる担い手としてふさわて、福祉需要を適切な機関につなぐこと しい事業」が記されていたが、このたびのできるネットワーク体制の構築を 5 年の間のいわゆる「内部留保」議論に始ま る、一連の社会福祉法人制度への誤解に 間の中期目標として掲げている の制度改革で改めて、地域における公益 本行動指針は、今般の制度改革です基づく批判を払拭する必要が生じた。誤 的取組の責務化が明確にされた。以上の べての社会福祉法人に責務化された地域解を解き、国民に理解され、協力を得ら ような基礎構造改革からの考え方をしつ における公益的取組を推進するためのもれるような情報発信こそが、今いちばん かりと踏まえ、今回の制度改革に応える のである。これは、多くの社会福祉法人求められている ための見直しを行った。 社会福祉法人の資産は決して特定個 が今まで行ってきた社会福祉事業の周辺 本行動指針の実践のポイントとして、 ①実施している事業の確認、②低所得者領域への援助を、しつかりと「見せる化」人に帰属するものではなく、いすれ社会 への配慮、③困難事例への取り組み、④するとともに、さらなる取り組みの推進福祉事業や公益事業に充てられ、地域の 公益に資するものである。しかし、一部 多様な社会福祉援助一一 1 ズの把握、 ( ⑤多を図り、地域包括支援体制の中核的役割 を果たす主体のひとっとしての機能強化の不祥事を繰り返し報道されたことなど 様な主体との連携・協力、⑥地域を包括 により、このよ、つな社会福祉法人の仕組 する公益的取り組みの推進、⑦地域を活をめざすためのものである みに国民から疑念をもたれ、その結果社 性化する取り組み、⑧地域全体のサービ 信頼と協力を得るための 会福祉法人への課税議論にまで発展する スの充実に向けた取り組み、⑨福祉に対 肩報発信 に至ったのである する理解の促進、⑩地域の安全・安心へ 今回の制度改革のねらいは、まさにこ もうひとつの行動指針である信頼と の取り組み、の川項目を掲げている ここでは、それぞれの社会福祉法人協力を得るための情報発信は、 2015 のク国民からの誤解を解くことにほか ならない「地域における公益的取組を実 の説明責任の徹底を見直したものである が実施する社会福祉事業において低所得 者や困難事例への取り組みを積極的に行 社会福祉事業の多くが措置から契約に移施する責務 [ は社会福祉法人は制度に 祉 のっとった対価性のある社会福祉事業以 うこと、次に実施する社会福祉事業の周行するなかで、措置委託権者たる行政に 福 対する説明責任を果たせばそれでよかっ外はしていないという、誤解を解くため月 辺に存在する福祉需要への対応、さらに