は大気汚染や高温などを通して , わたしたちの健 康に深刻な影響をあたえ , 脱水症 , 熱中症 , 致命 的な熱射病の原因になる。 ・降水量の増加 , ますます極端になる洪水。気 温が上昇するにしたがって , 豪雨時の雨量も増え , 洪水のリスクを高める。 ・より頻繁に , より激しくなる熱波危機的に 暑い天候は 60 年前よりも頻繁に起こるようにな り , 熱波の温度自体も高くなった。 気候科学者は , 地球温暖化が現実に起こってお り , その主な原因が化石燃料から排出されるガス であると報告してきた。豊富な科学的証拠からは , 上記のような影響が主として大気中の温室効果ガ ス , 二酸化炭素の増加によるものであることが明 らかになっている。二酸化炭素中の炭素は , 化石 燃料企業が採掘・市場化した燃料 ( 石炭 , 石汕 , 天然 ガス ) に由来する。となると , 大手の化石燃料企業 がこのような有害な影響に対してどのような責任 をとるのか , という重要な疑問が出てくる。この 答を得るには , この産業部門についてのいくつか の重要な事実を綿密に見る必要がある。 当炭素排出が集中する産業部門 化石燃料の採掘 , 精製 , 販売は世界的な巨大産 業である。石汕・ガス部門だけでも , 世界全体で の年間売り上げは約 4 兆ドルである (lBlSWorld 2015 ) 。米国『フォーチュン』誌が選ぶグローバ ル 500 のトップ 6 社のうち , 5 社は BP, 工クソ ンモービル , シェルなどの精油企業である ( F 。 rtune 2015 ) 。世界最大の石炭採掘株式会社であるピー ボディ・エナジーの年間売り上げは , 2014 年に は 70 億ドル近くにも達した (PeabodyEnergy2014)0 化石燃料産業による炭素排出の集中度は , 排出 自体の規模と同様に注目すべきものである。最近 の調査によると , たった 90 の企業がこれまで生 産・販売してきた化石燃料とセメント ( 炭素排出が非 常に高い工業製品 ) は , 過去 250 年間にわたって世界 中の産業から排出された温室効果炭素のほば 3 分の 2 をもなす。これらの企業のうち 50 社は , BP, シエプロン , コノコフィリップス , 工クソ 評 0 40 35 30 25 20 5 0 ■ 1751 ~ 1987 年の排出総量 737 ギガ t ( 49.8 % ) ■ 1988 ~ 2014 年の排出総量 743 ギガ t ( 50.2 % ) 2014 年一 ( 予想値 ) 1751 1865 1885 1905 1925 1945 1965 1985 2005 0 の下の気温を上昇させる可能性がある」と解説し られて , 「温室のガラスのような効果をもち , そ 告書で , 増加する二酸化炭素が大気圏に閉じ込め レヴェルは , 大統領の科学諮問委員会のための報 uss 1957 ) 。 1965 年に , 高名な海洋学者ロジャー とを矢日ってし、た (weart 2015 , craig 1957 , Revelle and Se- 人間と空間に重大な危険をあたえる可能性がある 1950 年代までには科学者たちは , 気候変動が 1800 年代末に遡る ( we 2015 ) 。 たちの気候を変える可能性があるという考え方は , 分に立証されてきている。温室効果ガスがわたし 地球温暖化の基本理論は何世代にもわたって十 いつ知ったのか 化石燃料企業は何を , 知った以後なのである ( 図 1 ) 。 自らの製品が気候に被害をあたえることを明白に されたものである。つまり , 大手化石燃料企業が 素排出の半分以上は , 1988 年以後に大気に放出 ドは劇的に加速してきた。産業によるすべての炭 急速に工業化する世界にあって , 排出のスピー らであることが , 突き止められている ( Heede2014 ) 。 % 近くは , たった 20 の民間あるいは国営企業か から今日までのすべての産業による排出量の 30 炭 , 石汕 , 天然ガス企業である。実際 , 1850 年 ンモービル , ピーボディ , シェルなどの民間の石 Boden, MarIand Andres 2013 をもとに作成 出典 : Frumhoffet al. , ( 審査中の論文 ) Le Quere al., 2014 , 企業が自らの製品が引き起こす被害を知った以後に放出された。 素排出総量の半分以上は , 1988 年以後 , つまり大手化石燃料 産業革命は 250 年前にすでに始まっていたが , 現在までの炭 された 図 1 ーこれまでに排出された炭素の半分は 1988 年以後に放出 気候欺瞞のドシェ 科学 0693
てし、る ( Revel に 1965 ) 。 1965 年にリンドン・ジョンソン大統領は , 気 候変動の潜在的な危険性について警告した。議会 への特別メッセージの中で大統領は , 「大気汚染 はもはや , 孤立した特定の場所に限られるわけで はない。いまや大気圏の構造は , 放射性物質や化 石燃料の燃焼から出る二酸化炭素の絶え間ない増 加によって , 地球規模で変わってしまったのだ」 と述べた (Johnson 1965 , 下線による強調は加筆 ) 。科学者 のチャールズ・キーリングによる大気圏の二酸化 炭素の入念な測定は , 現在でも気候学でもっとも 評価される情報源の一つとされている。キーリン グはすでに 1969 年に , 「大気圏の二酸化炭素に おける重大な変化が , 気候変動を起こすという点 に疑念をいだく大気圏学者はいないと思う」と報 告した。 大手の化石燃料企業がこのような成り行きを承 知していた可能性は大きい。なぜなら , 二酸化炭 素が温室効果にあたえる影響その他 , 気候科学の さまざまな側面が論議される議会の公聴会に , す でに 1977 年以来 , BP, シエプロン , コノコフィ リップス , 工クソンモービル , ピーボディ・エナ シェルを含む代表的な化石燃料企業の代表 者たちが何十回も出席していたという証拠がある 力、らだ。 (Davies 1999 , Gifford 1990 , Tucker 1988 , Evans 1987 , Walsh 1987 , The Wilderness Society 1987 , macDonald 1985 , Schneider 1985 , Sharp 1985 , Sherick 1984 , Longenecker 1981 , Op- penheimer 1981 , Commoner 1977 ) 。 気候変動やその影響に関する科学体系の発達に ともない , アメリカ合衆国環境保護庁 (EPA) も 1983 年までには , これにもとづいて , 気候変動 が及ばすリスクの政治的な解決策の可能性を検討 し始めていた (seidel and Keyes 1983 ) 。 1988 年 , モー ビルオイルのリチャード・ F. タッカー会長はアメ リカ化学技術者協会へのスピーチでにのスピーチは 後にアメリカ議会への証言として提出された ) , 温室効果ガ スに対処する活動も含めた環境保護と汚染防止の ためには , 「化石燃料への依存を大幅に下げる」 必要があることを認めた (Tucker 1988 ) 。 1988 年は , 気候変動に関する科学的な確実性 0694 KAGAKU Jul. 2016 VOL86 No. 7 にとって画期的な年であった。この年 , 気候科学 の第一人者で米航空字宙局 ( NASA ) のゴダード字宙 科学研究所所長だったジェームズ・ハンセンは米 国議会で , 気候変動に人間が関与していることを 科学データが確証したと証言した ( 図 2 ) 。同年に はまた , 国連が「気候変動に関する政府間パネル (IPCC) 」を設立し , また米国議会は温室効果ガス の排出削減に向けて , 1988 年国家エネルギー政 策法を導入した。この年までには , 地球温暖化に 関する十分に確立した学術知識が新聞の第一面の 見出しを飾るようになっていた。この問題は科学 者の社会から国家の舞台に出るようになったのだ。 だから , 大手化石燃料企業の重役 , ロビイスト , 企業の学者たちがこの時点になっても , 自らの製 品を燃やし続けることで起こるリスクについての 確固とした科学的証拠に気づいていなかったとは 想像しがたい。 企業が何を知っていたかを示す証拠は十分にあ る。例えば工クソンは科学者スタッフを置いて , 1990 年に発表された , IPCC による気候変動に ついての第一次科学評価報告書 ( lPCC1990 ) の専門 的な論評者としての任務をあたえた。企業自体の 科学者たちも 1990 年代中頃までには , 気候変動 の危険を企業内部で警告していた。このことは , リークされたある文書によって証明されている。 これはモービルの , 科学者をリーダーとする研究 チームによる草案文書で , 1995 年に他の大手化 石燃料企業に配布された ( 図 9 , 補遺 G [ 略 ] ) 。この内 部文書は「温室効果の科学的根拠 , そして人間が 出す二酸化炭素などの温室効果ガスが気候へ及ば す潜在的な影響は , 十分に確証されており , 否定 できない」 (Bernstein1995, 下線による強調は加筆 ) と明解 に述べている。 このように , 化石燃料企業は自らの製品がどの ような害を引き起こすかについて知っていた。そ れでもなお , 世界最大の化石燃料企業の一部は科 学を否定し , 一般市民を欺き , 対策を遅らせるよ うなキャンペーンを積極的に続けた。科学的証拠 を公に認めて , ビジネスモデルやロビー活動の目 標を , 低炭素経済を実現するための急務と調和す
者が可能な解決法を見出すのを助けることにあ る」 (Fineren2014)0 2014 年 9 月に , シェルのべン・ ヴァン・ビューデン最高経営責任者 ( CEO ) は『ワ シントン・ポスト』紙とのインタビューで , 彼の 会社の立場を繰り返し述べた。同社が ALEC の 活動を援助し続けてきたにもかかわらす , ビュー デンはこう主張した。「はっきり断言させていた だきます。わたし共にとって気候変動は現実であ り , わたしたちが対処すべき脅威なのです。わた 7 : し共は懐疑主義に同調などしておりません」 ( Muf ー 欺瞞のドシェ son 2014 ) 。 気候変動科学手引き 地球気候連合 ( GCC ) による 1995 年の 出の削減対策に反対して , 自動車産業が起こした である。カリフォルニア州による自動車の炭素排 この手引き書が明るみに出されたのは 2009 年 補遺 G [ 略 ] ) 。 ある化石燃料企業連合組織のために書かれた ( 図 9 , は 1995 年にある化石燃料企業の学者によって , この内部メモ「未来の気候変動の予測 : 手引き」 く活動を続けていたことを明確に証明している。 による影響について知っていながらも , 一般を欺 料企業が人間を原因とする気候変動の現実とそれ 小さい。本章のドシェの内部文書は , 大手化石燃 現実に気づいていなかったという可能性は極めて たから , 大手化石燃料企業がすでに 1988 年から 十分に信憑性があり , 一般市民の注目も大きかっ 以前に述べたように , 気候科学による調査結果は と働きかけてきたことを示す , 強い証拠である。 したりして伝えることで , アメリカ市民を欺こう 介して ) , 気候変動の現実とリスクを隠したり歪曲 石燃料企業が数十年にわたって ( しばしば偽装団体を これまで紹介したドシェの内部文書は , 大手化 ズ』紙によってリークされた。この手引きは , レ 訴訟の中で浮上した後 , 『ニューヨーク・タイム オナード・ S. バーンスタインをリーダーとする チームによって「地球気候連合 ( G Clima に c 。 ali - tion,GCC) 」という名の企業団体のために書かれた バーンスタインは化学技術者で , モービル社の気 候専門家だった。 GCC は自らを , 気候変動につ いての国際的な議論への企業参加をコーディネー トする統括事業団体と名乗っていた。だが , 現在 この団体の真の目的は , 炭 知られているように 素削減義務に反対することだった ( Na 2002 ) 。会 員には BP, 工クソン , モービル , シェルなどが 含まれる。バーンスタインは 1990 年代に , GCC の科学 / 技術諮問委員会の会長を務めた ( Berns ⅷ 1995 ) 。 否定できないことを否定 化石燃料企業が気候科学への疑いをばらまき , 気候対策を妨害し続けていた中で , リークされた GCC の「気候科学の手引き」は , 化石燃料企業 が気候変動についての科学的な理解を十分に認識 していたことを示している。 17 ページにわたる 手引き書は , 気候科学について知られていたこと を評価し , 「温室効果の科学的根拠や人間が出す 二酸化炭素などの温室効果ガスが気候へ及ばす潜 在的な影響は , 十分に確証されており , 否定でき ない」とはっきり述べている ( Berns [ ein1995 , 下線は 加筆 ) 。 リークされた手引き書のある一節は , GCC の 会員一般への回覧が承認される前に削除されたと 報告されている。この節はバーンスタインの化石 燃料学者チームによって書かれ , GCC の技術諮 問委員会によって閲覧された。この節は , 存在す る気候科学「コントラリアン ( 訳注 : 反対意見者 ) 」の 理論を吟味し , 誤りを暴いてすらいる。そこでは , なぜ多くのコントラリアンの理論が「気候変動が 温室効果ガス排出によって引き起こされるという 従来型モデルに反対する , 説得力ある論拠」 , す なわち水蒸気の役割や気温記録の異常 , 太陽活動 度による影響に焦点を当てた論拠などを出せなか ったのか , について論じている。 削除された節は , 例えば地球温暖化の説明とし 0 気候欺瞞のドシェ 科学 0713
2 : 30 2 : 35 2 : 50 3 : 05 3 : 25 : 3 : 40 3 : 55 4 : 15 flLECI— Am に し 09 回 a 朝 0 日発 0 ルを第を一・を料にを第を区にいにロに々阯 ENERGY, ENVIRONMENT AND AGRICULTURE TASK FORCE MEETING 2014 ANNUAL MEETING DALLAS, TEXAS JULY31 , 2014 2 : 30PM ー 5 : 30PM TENTA ・ I'IVE AGENDA Callto Order, Wclcome, and lntroductions P 砒 / しツ翩 , 月″ E を / Po ル砿 Presentation: 'lhe lmplicanons ofthe Proposed "Waters 0fthe U. S. " Rule on the Energy lndustry ModeI policy: ResoIution Regard1ng CIean Water Act Regulations and EPA's Definition 0f "Watens ofthe U. S. ” Presentation: Nuclear Matters Presentation: Current State 0 「 Transmission Pipeline System Model policy: Weights and Measures and Standards for D1spens1ng CNG and LN G M0tor Fuels Presentation: Nongovernmentallnternational Panel on Climate Change (NIPCC) Update ModeI PoIicy: ResoIution Concerning EP A's Proposed Guidelines f0f Existing Fossil Fuel-Fired 図 8—ALEC は 2014 年の年次会議に , 気候変動否定者のジョセフ・バストを講演者として招聘した ンされた非科学的なオルタナテイプな「報告書」を編纂し , 主流科学や学者組織を定期的に攻撃している。 パネル (IPCC) は「科学や経済の信憑性のある情報源ではない」と語った。バストの団体は , IPCC の報告書をまねてデザイ バストによるプレゼンテーションがあったことを記録している。ハートランドは州議会議員たちに , 気候変動に関する政府間 リークされた , 2014 年の ALEC 年次会議のプログラムとスライドは , 自由主義団体 , ハートランド研究所所長のジョセフ・ ためのロビー活動団体 ) はこのタスクフォースの暴露 を 2011 年に開始した。リーク / 発表された会議 議事録からは , 2011 年のタスクフォースのメン ーには BP, シエプロン , 工クソンモービル , シェルが混じっていた ピーボディ・エナジー とがわかる ( Myslinski2011 ) 。工クソンモービルは現 在 , ALEC の「民間企業諮問委員会 (private Enterprise AdvisoryCouncil) 」のメンノヾーで , ピーボディ・エナ ジーとシェルは過去にこの機能を果たした (ALEC 2015b; ALEC,1992; Center for Media and Democracy 2014b ) 。 今日でも , ALEC の「エネルギー / 環境 / 農業 タスクフォース」は州議会議員に , 合衆国環境保 護庁の炭素排出基準に対抗するために導入しやす い法律草案を配布し続けており , 再生可能エネル ギー基準や , 北東部州の「地域温室効果ガス・イ シアティフ (Regional Greenhouse Gas lnitiative) 」など 多数の州の気候イニシアテイプの成功を再び押し 民そうとしている ( 例えば surg ヴ 2014b ; ALEC2011 ; ALEC2010 参照 ) 。リークされた , 2007 年に採択さ れた決議で ALEC は , 合衆国環境保護庁に対し て自動車やトラックから出る温暖化ガスを規制し ないように迫り , 「人間を原因とする温室効果ガ スが『公共の健康や福祉に害を及ばす』という証 拠がない」と批判している ( AI.. EC2007 ) 。 2013 年から 2015 年までに , ALEC の支援を受 けてつくられた 65 ほどの議案が州議会に出され た。これらは , 電力 / ガスなどの公共事業者に再 生可能エネルギー源の利用を増やすよう要求して いる州の基準を , 後退または撤回させるように考 案さオしてし、た (center for the New Energy Economy 2015 ) 。 科学 0711 気候欺瞞のドシェ
法 ( FOIA ) の要求を介して公開された。これらのう ち , 他の人によって分析された文書もいくつかあ るカ S(Oreskes 2011 , Oreskes and Conway 2010 , GeIbspan1998) 本レポートのドシェは , これまでで最も完全で最 新の資料集である。資料の抜粋は末尾の補遺 [ 略 ] に出されている。完全なドシェ ( 合計 6 ページ ) は オンラインで入手できる。 このレポートで論評する内部文書の各ドシェは , 世界の大手化石燃料企業やその連携団体が , 気候 に関する誤った情報を広めて温暖化防止活動を阻 止するために , 資金保証 / コーディネートしたキ ャンペーンを , それぞれ違った角度から明らかに している。このキャンペーンは数十年前に始まり , 現在も続いている。 特筆すべき点は , 化石燃料産業が ( かってのタバコ 産業と同様に ) , 自分たちの政治目的を擁護して金銭 上の大利益を維持するために , 積極的かつ意図的 な情報隠蔽や欺瞞を用いてきたことである。ドシ 工のケーススタディーは , 次のような事実を示し ている。 ・化石燃料企業は気候に関する情報を何十年に もわたって意図的に隠蔽してきた。企業による情 報隠蔽や欺瞞の根は深い。 1990 年代初期まで遡 る内部文書は , 一連の念入りに計画された欺瞞キ ャンペーンが , 化石燃料企業やこれらの企業を代 表する事業者団体によって組織されてきたことを 示している。気候変動に関する科学的な証拠が明 確になるにしたがって , 世界最大の炭素排出企業 (BP, シエプロン , コノコフィリップス , 工クソンモーピル , ピーボディ・エナジー , シェルを含む ) はキャンペーンを 展開またはキャンペーンに参加して意図的に混乱 を招き , 地球温暖化の原因となる温室効果ガス削 減のための政策を妨害してきた。 ・化石燃料企業の首脳は , 自らの製品が人間や 地球に害をあたえることを知っていながら , 一般 市民を積極的に騙し , この害を否定する道を選ん た。ドシェに集められた手紙 , メモ , 報告からは , 企業の重役たちが自らの製品 ( 石炭 , 石油 , 天然ガス ) が人間と気候に害をあたえることを , 少なくとも 20 年間は知っていたことがわかる。 0692 KAGAKU Jul. 2016 VOL86 N07 これらの文書は , なせ企業が地 球温暖化への疑惑をまき散らす 活動を止めて , 地球温暖化への 責任の一端を担うべきなのかを 立証している。 ・欺瞞キャンペーンは今日も続いている 2014 年と 2015 年になってやっと公開された文 書から , 地球温暖化にまつわる欺瞞キャンペーン が現在も続けられているという証拠は明白になっ た。今日では , 大手化石燃料企業は気候科学が突 き止めた事実の主要な点は認めている。多くの企 業は , 温室効果ガス排出の削減政策を支持すると , 公言すらしている。それでもなお , これらの企業 の一部は , 気候科学や気候政策について一般市民 を欺くような誤報を流す団体を , 支援し続けてい る。 要約すれば , 以下に紹介する文書は , なぜ , れらの企業が地球温暖化への疑惑をまき散らして 防止政策の進行を妨害するのを止めるべきなのか , なぜ , 地球温暖化やすでに起こっている被害への 責任の一端を担うべきなのかを立証しているので ある。 否定しがたい地球温暖化の影響 今日でもすでに , 地球温暖化はわたしたちの社 会 , 健康 , 経済に有害な影響を及ばしている。 のような影響は地球の気温が上昇し続けるにつれ て , ますますひどくなるであろう。社会 , 人々 , 経済は現在 , 次のような影響に直面している。 ・海面の上昇。地球温暖化は海面の上昇率を加 速させ , 海岸沿いの洪水のリスクを劇的に高めて いる ・ますます長く続き , 被害が大きくなる山火事 シーズン。地球が温暖化するにつれて , 世界の多 くの地域や干ばつが起こりやすい地域では , 乾期 における山火事の危険が高まり , 山火事が続く期 間も長くなっている。 ・ますますひどくなる健康への影響。気候変動
MobiI 0 CO 「 po 「 ation To: Members ofGCC-STAC ENV 旧 0′物化NTAし HEALTH A ト SAFEI ・ Y DEPARTNENT P. 0.8X1031 P ~ CE 「 ON W ÆRSEY 、 1031 December 21 , 1995 Attached is what I hope is the n 引 draft Ofthe pnmer on ob climate change science we have been working on 「 the past few months. lt has been ⅵ d to more directly address recent statements 丘 om IPCC Working Group I and tO reflect comments 丘 om Jo Kinsman and Howard Feldman. We Ⅱ be discussing th1S d 「 at the January 18 STAC meeung. lfyou are to that meeung, 可 5S0 bnng any additional on the draft ⅵ山 you lfyou have comments but are unable tO attend the meeting, please fax them to Eric HoIdsworth at the GCC 0 新 8. His fax number is ( 202 ) 638-1 3 0 「 ( 202 ) 638-1032. I ⅵⅡ be out Ofthe 0 新 for es 猷 i y 訓 ofthe time between now and the next STAC meeting Best mshes for the Holiday Season, L. S. Bernstern temperature will 1 聞 d tO an array ofclimate changes (rainfall pattems, storm frequency and intensity, etc ) that could have severe environmental and econormc lmpacts. This primer addresses the following questions conceming climate change 1 ) Can human acüvities affect climate? The scientific basis forthe 6 enhouse Effect and 山 0 potential impact ofhuman errussions ofgreenhouse gases such as C02 on climate is wellestablished and cannot be denied changes ⅲ land-use, such as removrng forests, can change 山 0 amount of energy absorbed by the FXth's surface, the rate of water evaporation, and 0 er parameters ⅲ VO ⅳⅲ山 0 climate system, which could result ⅲ either warming or cooling. These t ねは 0 「 s create the potential 応「 a human mpact 0 れ climate. The potential 「 a human impact on climate is based on well-established scientific fact, and should not be denied 厄 , in theory, human activities have the poten ⅱ t0 result ⅲ net cooling, a concern about 25 years ago, the current balance between greenhouse gas emtssions and the emissions ofparticulates and particulate-formers is such that essentially oftoday's concern is about れ warming. However, 図 9 ー化石燃料企業自体の科学者が気候科学の現実性について警告していた 1995 年 , 多くの最大手化石燃料企業を会員にもつ統括団体 , 「地球気候連合」は気候科学に関する内部アセスメントを , モービル社 の科学者をリーダーとするチームに依頼した。以前は秘密にされていたこの産業内メモは , 人間を原因とする地球温暖化を「否定で きない」と断言している。 て日射の役割を持ち出す「コントラリアン」リサ ーチの主張を退けている。「 15 年にわたる日射強 度の直接測定によると , 最大の変異でも 0.1 % 以 下である。この変異はせいぜい 0.1 ℃の気温変化 の原因にしかならない」からだという。手引き書 は 0.1 ℃を 120 年の期間に観察された気温変化の 5 分の 1 としている。手引き書は , このような発 見は「温室効果ガス排出から起こる将来の温暖化 0714 KAGAKU Jul. 2016 VOL86 N07 への憂慮を和らげはしない。太陽活動度が気候変 動にあたえるどのような寄与も , 温室効果ガス排 出の効果に付加的に働く」と述べている ( に in 疑いをばらまく 大手化石燃料企業は GCC の会員であるから , 気候変動ならびにそこで人間が果たす役割は否定 1995 ) 。
①温暖化対策のために原発が必要と主張 ( ごく少数の海外の研究者や実業家 ) ②大気汚染対策のために原発が必要と主張 ⑥一部の一般市民 ⑦多数の一般市民 ↑ 原発推進 結果的に親和 的 ( 同じ人 , 企業が主張を 使い分ける場 合もある ) ③原発推進のために温暖化問題を " 利用 " ( 日本 政府・経団連・大手電力会社・エネルギー多 消費産業 ) 「原発は温暖化対策に必要」という言説で 強い影響力を発揮 ← - 脱化石燃料 料発電も不要 ( 多数の研究者・ NGO) ④温暖化対策のためには , 原発も化石燃 化石燃料推進 - → “対抗すべき相 手 " は同じ人 , 企業 , 政府な のに協調でき ていない 脱原発 ↓ ⑤温暖化問題は原発推進のためのウソと主張 ( 日本において脱原発活動に関わる人々の一部 ) 図一日本における原発と温暖化問題との関係に関する考え方あるいはポジションの分類整理 全体的な相関は上記の図のようになる。 どの考え方の場合も , それぞれの「著名人」の 言動の影響力が大きい。それは , その考え方の妥 当。性 ( 論理的妥当性や科学コミュニティなどでの支持者の大き さ ) だけではなく , 声の大きさや著名度にも大き く依存する。 以下では , ④の考え方 , すなわち脱温暖化と脱 原発を同時に進めるという観点から , ① , ② , ③ , ⑤ , ⑥ , ⑦の考え方の問題点や矛盾点を指摘する。 原発か必要不可欠という考え方の間題点 このような考え方の妥当性の検討は , 突き詰め ると , 原発の技術的・経済的な評価と原発の核兵 器転用ポテンシャル維持という目的を考慮した場 るものの , タイトルが示すとおり全体的に脱温暖化と脱原発が 二律背反であるという印象を与えてしまっている。 0720 KAGAKU JuI. 2016 VOL86 N07 合の評価の二つに行き着く。後者はすなわち , 日 本の周辺国の軍事的台頭に脅威を感じ , 潜在的ま たは顕在的な核武装の必要性を訴え , そのために 原発維持が役立っとする考え方である。この考え 方では , 経済性がいかに否定されたとしても , 原 発や核燃料サイクル技術が必要ということになる。 本稿では紙幅の制限のため , 前者の技術的・経 済的な評価についてのみ論じる。日本において原 発が単なるエネルギー源以上の意味をもったこと い。以下では重要な論点として , ( 1) 温暖化対策 における原発と他の発電技術との発電費用比較 , ( 2 ) 原発固有のリスクである「低頻度高被害」に 対する考え方 , ( 引原発のリスクと大気汚染のリ スク比較 , ( 4 ) 日本における原発導入と温室効果 ガス ( GHG ) 排出との歴史的関係 , の 4 つについて 述べる。
特集地球温暖化をめぐるく力学〉 気候欺瞞のトノエ ーー化石燃料産業の内部メモが暴き出す , 何十年にもわたる共同情報隠し 憂慮する科学者同盟 * 本当の気候デマ Union Of Concerned Scientists てアメリカ市民をだますための , 何十年にもわた るキャンペーンである。このようなキャンペーン は , 企業自らの手で行なわれる場合もあれば , 事 業者団体や偽装団体を通して間接的に行なわれる こともある。 オクラホマ州選出の上院議員で , 現在 , 上院環 このレポートに収集・抜粋されている内部文書 境・公共事業委員会委員長を務めるジェ ームズ・ は , この欺瞞の様子を物語っている。 ーこで紹介 インホーフは周知のように , これまでしばしば気 する 7 つの「欺瞞のドシェ ( 関係書類 ) 」は , 2015 候変動を「デマ」と呼んできた。 年になってようやく明るみにされた。これらの文 インホーフ上院議員はこの主張を繰り返しただ 書は , 大手化石燃料企業が 30 年近くにもわたっ けでなく , 上院で自分の見地を解説するまでに拡 て , 気候変動に関する科学的な研究結果を故意に 丿 ( した (lnhofe 2015a, lnhofe 2012 , lnhofe 2005 , lnhofe 2003 , 隠蔽し , 公衆を欺き , 緊急に必要なクリーンエネ lnhofe 1991a , lnhofe 1991b , lnhofe 1991C ) 。もちろん , イ ルギー経済への転換を促進する政策を阻止してき ンホーフ上院議員は , 地球温暖化の歴然とした証 た , という否定できない事実を物語っている。 拠を認めようとはしない。地球が急速に温暖化し , 大手化石燃料企業は内密の合意 , 企業自らの働 その主な原因が化石燃料の燃焼から出る温室効果 きかけを隠して責任を逃れるための偽装団体の使 ガスにあることは , 数十年前から科学的に明らか 用 , 独立した科学者と称する者への秘密裏な資金 であるのに。 提供といった策略をとってきた。企業の偽装団体 それでも , インホーフ上院議員はある一点につ は偽造手紙すら使って , 自分たちが女性 , 社会的 いては正しい。すなわち , 温暖化に関するデマが 少数者 , 子ども , 老人 , 帰還兵の福祉を支援する これまであり , 現在も続いているという事実であ 公益団体であると主張し , 連邦議会の議員たちに る。一握りの世界最大の化石燃料企業 ( シエプロン , 緊急に必要な気候立法に賛成しないよう説得して きた ( 例えば M Ⅲ er2009 参昭 ) コノコフィリップス , 工クソンモービル , ピーボディ・エナジ ーなど ) による , 気候変動の現実とリスクを隠蔽し 欺瞞のドシェ The Climate Deception Dossiers:lnternaI Fossil Fuellndustry 本レポートで紹介する 7 つの「欺瞞のドシ Memos Reveal Decades Of Corporate Disinformation 工」は , 企業連合や事業者団体の内部文書 , 約 Union Of Concerned Scientists * 主執筆 : Kathy Mulvey, Seth Shulman, 寄稿者 : Dave An- 85 件を集めたものである。これらの文書は情報 derson, Nancy CO , Jayne Piepenburg, Jean Sideris リークによって一般に知られるようになったり , 2015 年 7 月 訴訟によって明るみに出たり , あるいは情報公開 翻訳 . 今泉みね子 科学 0691 気候欺瞞のドシェ
間活動によって発生した熱が大気中に排出される ために生じます。したがって , ヒートアイランド を正しく理解するためには , 地球物理学的なもの の見方のほかに , 土地利用や人間活動まで含めた 地理学的な総合的 , 俯瞰的なものの見方が必要と なります。さらには , ヒートアイランドをどうや って緩和するのか , つまり , 「より快適な街作り をするためにどうすればよいのか ? 」といった問 いに答えるためにも , 自然地理学がもつ俯瞰的な 見方が必要となります。最近 , わたしたちが取り 組んでいるスーパーコンピュータと数値モデルを 用いた都市気候の再現と将来予測を行う上でも , 過去から将来までの土地利用変化や人間活動の情 報が必要不可欠であり , 自然地理学的な見方と手 法が重要となっています。自然地理学 , 地球物理 学 , 計算科学がそろって初めて , 信頼性のある都 市気候の将来予測と緩和策・適応策の策定が可能 となるのです。 ヒートアイランドを自然地理学と 環境防災教育の題材に ヒートアイランドは , 温度計さえあれば観測す ることができます。温度計を持って移動しながら 温度分布を調査する移動観測という方法を用いた り , 温度計を都市の内外に設置することで , 一人 でも調査することができます。しかも , ヒートア イランドは , 人間活動が気候を変えるという点に おいて地球環境問題の縮図でもあります。ヒート アイランドが熱中症患者数を増加させているとい う点では , 熱汚染とも言えますし , 暑熱災害と言 えなくもありません。大学生はもちろんのこと , 中高生にとっても , ヒートアイランドは , 自然地 理学と環境防災教育のよい題材となるでしよう。 先生方の授業に取り入れていただけたらとても嬉 しく思います。 海面上昇の影響予測と適応策 平井幸弘 ひらいゆきひろ 駒沢大学文学部 気候変動への対応としての適応策 2015 年冬にパリで開かれた国連気候変動枠組 み条約の締約国会議 ( C01)21) では , 地球温暖化へ の対策として , 温室効果ガスを削減する「緩和 策」とともに , 温暖化による影響や被害を軽減す るための「適応策」の重要性があらためて取り上 げられました。 ーこでの適応策とは , 気候システ リレーエッセイ地球を俯瞰する自然地理学 これまで国際社会の対応は , し実施していくことです。 害を少しでも和らげるために , 適切な方策を検討 よる海岸の侵食などに対して , ムの変化による豪雨や干ばっ , 海面上昇や高潮に 主に緩和策をめぐ これらの影響や被 因による環境問題に関わってきました。近年は , 呼ばれる海とつながる湖での , 様々な人為的な要 筆者はこれまで , 主に国内の海跡湖 ( ラグーン ) と ラグーンでの海面上昇の影響予測 ります。 地域の実情をしつかりと把握することが必要とな 計画・立案し実施するためには , まずそれぞれの るということです。そのため , 効果的な適応策を 対応 , すなわちきわめて地域的な対応が要求され て , それぞれの場所で個々の課題に対する適切な この場合重要なことは , 適応策は緩和策と違っ ってきたのです。 難であるという認識から , 適応策の必要性が高ま 策だけでは , 将来の温暖化の影響を防ぐことが困 思われる深刻な被害が顕在化し , また現状の緩和 でに多くの国々や地域において , 温暖化の影響と って様々な議論がなされてきました。しかし , す タイ南部マレー半島東岸のソンクラー湖や , 科学通信 科学 ベト 0641
早期死亡者増加数」を死者数とみなしている。 2008 年の世界保健機関 ( WHO ) の報告によると , 世界の大気汚染による国別の年間死者数ランキン グ第 1 位は中国 ( 47 万 0649 人 ) であり , 日本は第 1 1 位 ( 2 万 3253 人 ) となっている ( 国際統計格付けセンター 2016 ) 。 確かに福島第一原発事故では , 放射性物質の被 曝による直接の死亡者は , 現時点では報告されて いない。しかし , その第一の理由は原発事故や放 射線被曝が「安全」だからではない。しかも , あ る程度の放射線被曝は生じてしまっており , 甲状 腺がん発生の問題をはじめ , その長期的な影響に ついても確定したことは言いがたい状況である。 「間接的」とされる原発事故関連死も深刻であ る。困難で長期にわたる避難生活で命を落とした 人々 , 農地や家畜が汚染され生活再建に絶望し自 ら命を断った人々など , 原発事故関連死の数は東 京新聞の調査によると福島県だけで 2016 年 3 月 時点で 1300 人を超えている ( 東京新聞 2016 年 3 月 6 日 ) 。間接といえども , その人たちは , 原発事故 がなければ死ぬこともなかった人たちである。 事故の規模によっては数万から数千万の人々が 避難を強いられ , コミュニティが崩壊し , それぞ れの人生が破壊される。これらが原発事故で起き ることである。つまり , 原発事故の被害と大気汚 染の被害はまったく性質の異なるものであり , 単 純に比較できるものではない。 原発と化石燃料の両方を , 経済成長を犠牲にせ ずにフェーズ・アウトしていく可能性が見えてき ている現在 , このような理解は一層重要であろう。 すなわち , 大気汚染に苦しむ途上国の経済発展を 考慮した場合でも技術的・経済的には石炭火力な どの代替は可能であり , その代替技術は原子力で はなく省エネや再生可能エネルギーになりつつあ る * 5 。原発と化石燃料発電のうち , あなたが嫌い なほうをなくすために , もう一方を容認すべきだ * 5 ーイギリスのシンクタンクである海外開発研究所 (ODI) が 途上国における石炭 , 経済発展 , 貧困撲滅との関係に関して詳 細な質問回答集 ( FAQ ) を作成しているので参照されたい ( ODI 2016 ) 。 という考え方をする必要はないのである。 なお , 安全な新型原子炉であればよいという考 えもある。しかし , 安全性が高いとされる「受動 的安全システム」を搭載した第 3 世代原子炉は 世界において計画・建設中の原発の半数以下であ る。一方 , より安全だとされる第 4 世代原子炉 の商業化はまだまだ先である。 ( 4 ) 原発推進は温室効果ガス排出削減を実際にもた らしたか ? この問いに対する日本での答えはノーである。 現実として , 日本においては原発と石炭火力発電 は常に同時に建設・導入されてきた。すなわち , 原発と石炭火力発電は常にセットの技術であり , 原発が停止するなどした場合 , 石炭火力発電がバ ックアップとして使われた。その結果 , これまで 日本は , 1970 年以降 , 原発を推進しながら一貫 して石炭火力発電所を増設し C02 排出を増やし てきた。これは先進国の中では極めて特異的なパ ターンであり ( 安田 2015 ) , 事実上 , 日本政府は原 発推進に温暖化対策を「利用」しただけであった ことの証左でもある。 そうなった最大の理由は , 原発を推進する利益 集団も , 石炭火力発電を推進しようとする利益集 団も , 経済官庁 , 大手電力会社 , 大手重機メーカ , エネルギー多消費産業というまったく同じ組 織や企業だからである。このような「原子力・化 石燃料ムラ」の住人で互恵関係にある人々 , 特に 大手電力会社は , 総括原価方式のもとで原発や石 炭火力などの大規模集中型の発電システムを構築 して固定資産や電力販売量を最大化する経済的イ ンセンテイプをもっていた。同時に , 固定資産や 電力販売量を減少させるような省エネ・再生可能 エネルギーや炭素価格づけ ( 炭素税や排出量取引 ) など の導入に対しては強硬に反対してきた。 また , そもそもシステム全体を考慮した場合の 原発による C02 排出はゼロではない。ウラン採 掘などに付随する C02 排出などを考慮すれば天 然ガス火力発電の約 3 分の 1 になり (Mez 2016 ) , 残存量減少によってより大きなエネルギーがウラ 原発と地球温暖化問題との錯綜した関係科学 0723