薬 - みる会図書館


検索対象: 週間エコノミスト 2017年7月4日号
112件見つかりました。

1. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

認知症市場で稼ぐ 参人企業の戦略 アーマ 花谷美枝 ( 編集部 ) 仕組みを利用して、血液中 から鉄分を取り込む「トラ ンスフェリン受容体」にピタ リとくつつく抗体を開発しス た。これがプレインカ—-t コ だ。いわば、血管が鉄分をコ 脳に引き入れる乗り物 ( 受工 容体 ) に、相乗りして を通る技術といえる ( 図 1 知症治療薬の開発に立ちはだ イ 1 試験の契約を結んでいる。 脳に届けたい薬をプレ かる「関門」がある。血中の を通れるのは分子量の小さ インカ 1 ゴで包んだり、化 薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ い低分子医薬品でも 5 % 程度で、抗 学反応でくつつけたりする 「血液脳関門」だ。 体医薬品はそれよりも少なく、ほと と、薬がを通過でき ハイオペンチャ 1 、ファ 1 んど脳に達していないとみられてい るよ、つになる。薬が脳に届 マ ( 兵庫県芦屋市 ) は、このる。動物実験で薬効を示せても、ヒ く比率が倍から 100 倍 を突破する技術「プレインカ 1 ゴ」 トでなかなか効果を発揮できないの に上昇するという の開発に取り組んでいる。製薬大手は、によって薬が脳に届かな を通過する技術は もこの技術に注目しており、 いことが一因と考えられている 1 キンソン病など中枢神 ファ 1 マはエ 1 ザイ、大日本住友製 —プレインカ 1 ゴは、をす一方で、脳に必要な栄養素は血管の・経系の病気に幅広く応用が利く。最 薬の 2 社と、薬とプレインカ 1 ゴ り抜けて脳の中に薬剤を運ぶための〕細胞に発現する受容体を使って取り大の市場は認知症治療薬だ。薗田啓 の相性を見るためのフィ 1 ジビリテ技術だ。は有害物質を退ける込んでいる。ファーマはこの之・経営企画本部部長 ( 研究担当 ) 認 脳の「関門 . 突破する 製薬大手注目の新技術 図 1 J ブレインカーゴの仕組み 3 薬 8 J ブレインカーゴ トランスフェリン受容体 認知に注目するのよ製 t 会社たけに限らないコざま ざな業種が将来の成長 場にけたサにビé< ・商品 開発を進めて 血液脳関門 血管内皮細胞 ( 出所 ) JCR ファーマ発表資科を基に編集部作成 はなや よしえ 2017.7.4

2. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

新薬開発 ルッハイマ 1 型認知症 ( アル ッハイマ 1 病 ) の治療薬開発 , △ で近年、アミロイドガと並んで注目 , , されている物質がある。「タウたんば く質」だ。 タウたんばく質は、脳内の神経ネ : ットワ 1 クで重要な役割を果たすた んばく質。細胞の形を保つ「微小管」、 - - と呼ばれる組織に結合している。こ のタウたんばく質が、ある酵素の働 きで微小管から離れて、タウたんば く質同士で結合してしまい神経細胞 を包み込んで、「神経原線維変化」と 呼ばれる物質を作る。それが蓄積し、 、徐々に神経細胞を死減させ、認知機冪一を 能の低下を招くと考えられている。 アルッハイマ 1 病は、異常たんば く質のアミロイド〃が凝集して老人 斑が形成され、その後に神経原線維一を 変化が起きると考えられている。近一 年、タウたんばく質の実態が少しず つわかってきたことで、タウたんば く質を治療の対象とする研究が進み報 " っ 始めている。 克 症 知 アルツハイマー病の特徴 神経原線維変化神経細胞内にタウ たんばく質が異常に 固まり、責している 杉本八郎・同志社大学客員教授 ア べータ 「アリセプト」開発者も注目する 「タウたんばく質」仮説 老人斑 大脳に見られる一一世界初の認知症治療薬アリセプト」 ~ の開発者で、 で。、る認知症治療薬研究の権威である同志社大学の杉本 ~ 。一言度型勉 八郎客員教授の新薬開発に迫る。 ( 医療ジャーナリスト ) 製薬大手エーザイで認知症治療薬そこで杉本氏はクルクミンの化学 「アリセプト」を開発した杉本八郎氏構造を変化させて、体を作製し も、アミロイド″とタウたんばく質た。この誘導体が GT863 で、血 をタ 1 ゲットにした認知症を根本か液脳関門を血中濃度の 8 割も通過す るとい、つ ら治す薬の開発に取り組んでいる。 杉本氏はエ 1 ザイを定年退職した GT863 は、動物実験では効果 後、京都大学や同志社大学で認知症を確認している。今後、薬にするた ) 治療薬の開発に取り組み、現在はべめにはヒトを対象にした臨床試験 ンチャ 1 企業のグリ 1 ン・テック ( 東 ( 治験 ) に進む必要がある。治験は自 京都霙区 ) を立ち上げて新薬開発社の資金だけでは難しい。このため に挑戦している 杉本氏は、製薬会社やべンチャ 1 キ ャピタルに研究成果を示して、資金 援助を要請している。 ウコン由来の成分 しかし、資金調達は非常に厳しい 杉本氏が注目する新薬候補の物質「アリセプトの開発者ということ は、「クルクミン」の体 (een で、担当者が会ってはくれますが、ス 63 ) だ。クルクミンはウコンの主『もっと明確なエビデンス ( 証拠 ) が 成分。二日酔い対策のサプリメント必要ですね』と、いい返事はいまだコ として冗されている。 にもらえていません」 ( 杉本氏 ) クルクミンは、マウスの実験でア 製薬会社は認知症の治療薬開発に ミロイドとタウたんば / 、質を減ら は及び腰だという。アルッハイマ 1 すことがわかっている。また、クル病の根本的な治療薬開発に多くの大 クミンを含むウコンは、インド人が手製薬会社やべンチャ 1 企業が力を 日常的に食べるカレ 1 の黄色のもと入れてきたが、ほとんどが失敗に終 わっているからだ。 でもある。インドにおけるアルッハ イマ 1 病患者は米国の 4 分の 1 との だが、杉本氏は諦めていない。「認 研究もある。 知症は、世界的な社会問題であり、 ただし、通常の状態では、クルク克服しなければいけない病気。アル ミンはヒトの脳にほとんど入ってい ッハイマー病のメカニズムが解明さ かない。脳には自らを守るために危れつつあり、根本的な治療薬と予防 険な物質を遮断する「血液脳関門」薬の開発が喫緊の課題です」と、新 という機能があり、クルクミンはこ薬の開発にさらなる意欲をみせてい る。 こをほとんど通過できないためだ。 わたなべっとむ 2 2017.7.4

3. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

新薬の課題は臨床試験 初期患者の確保難しい 症に克つ インタビュー鳥居・慎ーバイオジェン・ジャパン社長 だ」と説明する。薬で狙うタ 1 ゲッ は来ている」と研究は前進している段階に来ている。中外製薬のプライ発症メカニズムの全容が明らかにな っていないためだ。診断の難しさも、 トか手探りであるがゆえに、さまざ マリーライフサイクルマネジメント と話す。 中外製薬も、親会社のスイス・ロ部領域戦略第 3 グル 1 プの中谷紀章開発を困難にしている。血圧や血中まなアプローチが試行錯誤されてい コレステロ 1 ルなど数値で測れるもる。 シュとともに、アミロイド」減ら・副部長は「アミロイド″とい、つ狙い どころが正しいかどうか、が現のとは異なり、ヒトの認知機能 ( 学抗体でアミロイド〃を減らす以外 す抗体薬「ガンテネルマプ」の第 3 相試験の開始を目指して糒中在実施している臨床試験の結果で判習、記憶、感情など ) の評価を数値のアプロ 1 チも研究が進んでいる 「アリセプト」で認知症市場を切り開 だ。同社の開発中の薬の中には、同断できるところまで来ている」と話化することは難しいという。 薬理学を専門とする昭和大学薬学いた日本の製薬大手工 1 ザイは、 じくアミロイド″の撃退を狙った抗す。 部の野部浩司教授は、「 ( 認知症の薬セクレタ 1 ゼ阻害薬「エ 体薬「クレネズマプ」もある。 レンべセスタット」の開発に取り組 は ) 原因のはっきりしない病気を、 アミロイド″を減らす抗体薬は、 エーザイも参戦 む。阻害薬は、アミロイド 効果の確認されていない新薬を用い 投与する薬の量や対象とする患者の 薬の開発が難しいのは、認知症のて、治療効果を評価するよ、つなものが生まれる源流の部分に着目した 症状の段階を変えながら効果を試す 薬だ。アミロイドをたんばく質か ら切り出すハサミの役割をする酵素 内がイしま要の、。がに電ドるに原ん馭かをが口かばまュ思 国社ロ行階必なと院陽イべ、ンのさ、ト 療ブ劜ミ症んざデは の働きを阻害する。 当ミ進段の階難こ病に口調外く青ス治マるア知たまアと 。だ。アが前療段まる大前ミをの以た駲コ本ヌえ認ウさ 工 1 ザイ・ニュ 1 ロロジービジネス 状の治、 例すは験アか社宿もこの根カ言だのタはるわ 力者試でる当ド人い倍のユとたて。でい終 題確なは症病かなう スグル 1 プの木治執行役は、「プ 協患た ) 、 課のいの、一身、 病デ薬。ぺい階てら 一アるうすな段した しこ立ロ ラセポ ( 偽薬 ) に差をつけて承認に の者てるがマ自もと症ますロ 思では究討し 験患しいるイ者じて院知舮とミてマ 試ん達て 要アつだのイはでしけで研検出 いハ患し病認い 持ち込みたい」と意気込む。現在、エ 床すにしてッ 感ロ大のな影ま必。なと験 てんるたけ , しにこ試るツし進え体わんト世 世界で 2660 人を対象に第 3 相臨 表略の臨ロ票にしル人を勠は期か撮たま、 音相参目ト積アの性こ験初行層に割な症う床いルとが言抗るろツを 発戦 床試験を実施中だ。 集にだッ蓄い期急試、に断内 3 をに ~ い知い臨てア薬発うのきちゲブな す開そでも一マ 編験まゲはな初緊試床か察射脳 2 て認とのつ 果長 アミロイド″以外にも、タウたん 試は一いはや臨い診放が、しでる常か指もド決はタヌて でタドてた性で多は子宿が達因い通か目最 < イ解くなカっ 結社枝 ばく質など治療薬の対象は広がりを 験人美 試法、 見せている。富士フィルムグループ 届のデかアい結にも ~ 前かせ英知せにいで 床本すけ 手量らが認示らうド味 初アいたてに前 臨日 の富山化学工業 ( 来只都新宿区 ) は、 をさこイ意 脳最 = 病結内に 。なしえ宿くう 0 のる遅果 に果 、。ロる 。に脳がむるし集考ド行まのそすを結 とン手一 神経細胞死そのものを抑制する治療 体進あ合凝とイにし量達行のたも結とるミあ るエきマは一はド ロ脳て与蕉に 進験れとうくいア イ徴ドブイ抗がに結、る 薬の開発に取り組む。富士経済によ て、で すジ、特イマロの集中よききミれ投の脳の試さと 制オッのロヌミブか凝液 ' 届アはさは で。で ると、国内認知症治療薬の市場規模 抑イ ル」ミカアマと血かの体費量なと 、冫く少うるの , のえやわたて アマア、いヌこはの中量用中抗肖 は 1497 億円年、見込み ) で、 」まな、と宿抑増もれめ 下米のヌのデ高カう体血な作液のに しく 9 るドををとら初た 全、は分に血プ 中質アのユいド 幻年の予測は 2045 億円。この時 に常 低の 発ュく。性。デとイ体、フ十宿のイド てな年あチイ下量こ得はっ 期までに画期的な新薬が登場すれ 能題た開デばた毒るアるロはマにド社タイ脳夛し少昨がイロ低与るがでだ ミでヌ脳イ他るロとム 0 に 果ネミの投す果体的 アん体、す 知て聞 ば、市場規模は一気に拡大する可能 認しを薬■る集結 ■段ュらミる合アと d でさる誌■機た抑うの衝 「た抗し合一てア階力、ロ。すミも結ら効『ア能。制結抗撃 性がある。 ■ 2017.7.4

4. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

イマ 1 病 ) だ。 を形成する。塊になる過程で亠樺を発表して注目を集めた。 「日本は最優先市場の一つ」 アルッハイマ 1 病には大きく一二つ持ち、神経細胞を侵すという見方も 同社が開発する薬は、アミロイド 来只で開いた記者会見の冒頭、ヴ オナッソス O r-@ O はこ、つ強調して、 の特徴がある。大脳に現れる「脳のある。このアミロイド″の塊は、やガに結合する抗体医薬「アデュカヌ シミ」と言われる「老人斑」、異常た がて老人斑になり、発症へと至る ( 四 マプ」だ。抗体が旗振り役になって、 「アルッハイマー病治療薬の開発で んばく質「タウたんばく」の凝集、ハー図 1 ) 。 脳の神経細胞の働きを調節する「グ最も進んでいるのは当社の『アデュ 神経細胞の死滅による大脳の萎縮ー老人斑と神経細胞の死滅との関係 リア細胞」を呼び、グリア細胞がアカヌマプ』だ」と自信を見せた。ア ーだ。それぞれの関係性は解明されは解明されていない。だが、アルツ ミロイドを減らすと考えられてい デュカヌマプは臨床試験の最終段階 ハイマ 1 病の原因と見られるアミロ ていないが、最も早い段階で起きる に当たる第 3 相試験を実施中で、 イド〃を減らすことができれば、よ と考えられているのが、老人斑のも 年秋に臨床試験を終了工疋。年代 前半の発売を目指している。 とになる異常たんばく質「アミロイり根本的な治療に近づくと考えられ 「日本は最優先市場」 ド″の蓄積だ。 ている。そこで庭薬会社は 199 世界で最も高齢化が進む日本は、 アミロイドは、体のあらゆる細 0 年代後半から、この「アミロイド アミロイドがたんばく質 (<g-* 認知症の問題に先陣を切って直面す 胞にあるたんばく質「」が分仮説」に基づいて治療薬の開発に取から切り離され、老人斑を形成ることになる。日本法人のバイオジ 解される時、酵素によって切り出さり組んできた。 するどの過程に働きかければ効果的エン・ジャパンの鳥居慎一社長も、 れた部分だ。切り出されたアミロイ 昨年 9 月、米製薬会社バイオジェ なのか、現状では明らかではない。 「日本で成功すれば、 5 年、川年後に ド〃は、発症の約年前から神経細ンが開発中の薬の臨床試験で、アミ このため各社は、複数の薬を同時に欧米での成功につながる。日本がアス 胞内にたまり始める。最初は単独でロイドを減らし、認知機能低下を開発して、様子を見ている。アデュ ルッハイマ 1 病治療薬の開発、販売 存在しているが、次第に集まり、塊抑制する効果があったとする論文をカヌマプは、最終段階に近い老人斑・戦略のある意味で実験場になる」と、コ とその手前に作用するという。 同社か強く日本にコミットしている 年 バイオジェンは昨年の臨床試験のことを隠さない 結果により、アルッハイマ 1 治療薬製薬大手が取り組むアルッハイマ 開発で世界をリ 1 ドする 1 社になっ 1 治療薬の中で、臨床試験が進んで た。そのバイオジェンが今、注目し いるのは、アデュカヌマプと同様に ているのが日本市場だ。米国本社開抗体でアミロイドを減らすタイプ 発部隊が頻繁に日本を訪れ、厚生労の薬だ。 の「ソラネズマ 働省や、医薬品の審査などをっ医米イ 1 ライリリ 1 薬品医療機器総合機構 <) プ」もその一つ。同社は昨年までの 会 の幹部を訪問し、認知症市場の調査臨床試験の対よりも、症状が軽 協 一を進めている い段階の患者に対象を設定しなおし 今年 1 月、バイオジェンの最高経て第 3 相臨床試験を準備している。 刀営責任者 (OQO) に就任したミシ 日本イ 1 ライリリ 1 研究開発本部の 国 エル・ヴォナッソス氏も、最初の訪中村智実氏は、「アルッハイマ 1 治療 所 出 問先に日本を選んだ。 薬の研究は 5 合目くらいの位置まで ( 万人 ) 図 2 日本の認知症患者数の推計 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 2012 20 25 30 ( 年 ) ( 出所 ) 九州大学、二宮利治教授「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に 関する研究」を参考に編集部作成 べータ 有病率が 上昇した場合 有病率が 一定の場合 ( 万人 ) 図 3 世界の認知症患者数の推計 8 , 000 7 , 000 6 , 000 5 , 000 4 , 000 3 , 000 ゞ 2 , 000 1 , 000 0 0 る。 2017.7.4 2

5. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

認知症に克つ 図 1 認知症 ( アルツハイマー病 ) 発症までのイメージ 認知症の「主犯異常たんばくは 20 年かけて成長する たんばく質 (APP) 切り出される 老人斑 「アミロイド仮説」の流れ ( 脳のシミ ) 集まって 固まる 脳が萎縮 正常な脳 さらに集まって 固まる 神経細胞死 発症 酵 , ・ - ー毒性 毒性 ~ 開発中での ~ , 治 ロシュ ( スイス ) 、中外製薬 クレネズマプ メルク ( 米 ) ベルべセスタット ロシュⅸイス ) 、中外製薬 ガンテネルマプ ′バイオジェン ( 米 ) 、エーザイ アデュカヌマブ バイオジェン朝、エーザイ BAN2401 冫ィーライリリー ( 米 ) AZD3293 ィーライリリー ( 米 ) ソラネズマブ 工ーザイ、バイオジェン ( 米 ) エレンべセスタット 脳のシミのもと を作らせない ら す を ミ シ の 脳 ( 出所 ) 取材を基に編集部作成 在の 7 人に 1 人から、 5 人に 1 人へ と上昇する。 認知症は、社会的、経済的に深刻 な影響をもたらす点が、他の病気と 大きく異なる。薬のない認知症 は、在宅または施設での継続的な介 護が必要になるためだ。 国際アルッハイマ 1 病協会による と、世界の認知症患者数は年の 4 680 万人。認知症の治療や介護に かかるコストは、年の 8180 億 トル ( 約兆円 ) から、絽年には 1 兆 ドル ( 約 111 兆円 ) を超えるとの推 計もある。認知症は「人類最大級の 病」と一一一口える。 しかし、認知症の仕組みはいまだス 未解明で、病気の原因となる物質も 特定されていない。現在発売されてコ いる治療薬は、進行を半年から 1 年工 遅らせる程度だ。予防法も確立され ていない。より効果的で安全な薬の 登場が望まれる中、世界の製薬会社 は、根本的な治療を目指す薬の開発 にしのぎを削っている。 6 割はアルッハイマー病 認知症は、学習や記憶、感情など の認知機能が低下し、日常生活に支 障をきたした状態を指す。現在、製 薬会社の多くが治療薬開発に取り組 むのは、認知症の 6 割前後を占める アルッハイマ 1 型認知症 ( アルッハ 2017.7.4

6. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

サンバイオの再生細胞薬「 ムタ 23 」は現在、脳梗塞について米国 う一ク ろ良チレ で後期第 2 相試験、外傷性脳損傷に ついて日米で第 2 相試験が進められ 京以ブ ) イているが、アルッハイマ 1 型認知症 についても研究段階となっている。 ・グ中枢神経に作用し、神経細胞を活性 む本券工 化させる機能を持っと期待される。 し村ド 認知症の治療・介護市場に上場企業が相次ぎ参入してい 認知症患者の介護や医療の分野で 投資対象としての着目点を挙げた。 へ は、国家戦略として、認知症の人た 界最速で超高齢化社会が進行 ( 工 1 ザイ ) 、「レミニ 1 ル」 ( ャンセ 類似の薬剤として、スイス・ロシちが住みやすい社会づくりを目指す する日本は、認知症は避けてンファーマ ) 、「リバスタッチパッチュから中外製薬が導入したアミロイ「認知症施策推進総合戦略」 ( 新オレ は通れない社会的な課題である。 / イクセロンパッチ」 ( 小野薬品工ド″抗体の「クレネズマプ」と「ガ ンジプラン ) が打ち出され、参入企 アルッハイマ 1 型認知症 ( アルツ業 ) がある。 ンテネルマプ」の臨床試験結果にも業を後押ししている。 ハイマ 1 病 ) は「治療薬がない」と もつ一つは、脳内で記憶や学習に注目したい。また、アミロイドの 最近では、認知症高齢者の介護を、ト ~ 言われ、「アンメット・メディカルニ【関わるたんばく質の受容体産生に関ト芋・る n<oc.@酵素の阻害介護保険の「」項目に適用できス 1 ズ」 ( 治療法が確立していない病気が、認知症患者では正常に働かない剤では、エ 1 ザイの「 E2609 」】るようになった。とは、介護サ に対する医療一一 1 ズ ) が最も大きい ため、これを改善する「受がある。また、塩野薬がジョン 1 ピスの内容によって料金が増加コ 疾患と一一一口える。 容鬻抗薬」として「メマリ 1 」 ( 第ソン・エンド・ジョンソンに導出 ( 開 ( または減少 ) することで、サ 1 ピスエ ここでは、認知症の①医薬品の開一三共 ) がある。 発・販売などの権利を譲渡 ) した「料に付加されて事業所の収入にな 発、②者の介護や医療、③新技術現在開発中のアルッハイマ 1 型認æ--a ー 54861911 」も注目でる。例えばディサ 1 ビスで、認知症 を活用した認知症対策ーーーの各分野知症治療薬には、主に①「アミロイある。 高齢者の日常生活自立度 ( ねたきり で注目の企業を取り上げる。 ド〃たんばく質」、②「タウたんばく バイオペンチャ 1 も新技術を導入度 ) が「 3 」 ( 日常生活に支障を来す 質」、③脳内免疫ーーーという、各メカした治療薬開発を進めている。そ 1 ような症状・行動や意思疎通の困難 ニズムに着目したものがある。 新薬の開発が続々 せいグル 1 プは、「丈ム社の英へプタ さが見られ、介護を必要とする ) 以 認知症創薬に注力しているエ 1 ザレス社が開発する「ムスカリン 上の利用者の占める割合が % 以上 認知症の医薬品は、日本では 4 種イは、米バイオジェンと共同開発で受容体作動薬」が、アイルランドのであれば、サ 1 ビス企業は「認知症 類が認可されており、いずれも進行複数のパイプライン ( 開発品 ) を進アラガンへ導出され、後期第 1 相試」を算定できる。企業の参入ハ を遅らせる治療薬である。 めている。特に「アデュカヌマプ」験へ進もっとしている。受容体 1 ドルが低くなる可能性がある。 発病の原因となる酵素の一つコリ は第 1 相試験の小規模な試験とはい作動薬は、アセチルコリン分泌量が ディサ 1 ビス最大手のツクイは、 ンエステラ 1 ゼの活性化を抑えるえ、世界で初めて脳内アミロイド減少している患者の記憶形成を助け 利用者の状態に応じて、デイだけで 「コリンエステラーゼ阻生罰」としての減少と認知機能改善を同時に示しる上、重度の患者にも使用可能な点なく高齢者住宅、訪問介護、入院な 「アリセプト ( 一般名・ドネベジル ) 」〕た薬剤である。 が特徴である。 ど多様な選択肢がある。ックイのデ 創から護まヾ る裾野 ペータ こうそく

7. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

認知症に克つ 認知症医療に取り組む 31 銘柄 ムる医ネ イ てが ジ地の充 は 。と メ 実 ヤ域 デ医 連 1 包 、士 イ 業 携 すや括を認な 60 カ 経 、ケ果知ど人 ル 営 る 米ジンファンデル社と提携し糖尿病治療薬「アクトス」をベースに認知症領 アた症リ程 取 コ 武田薬品工業 4502 域への転用を目指す。塩野義製薬など 5 社と連携 のし高ハ度 ン 症 約 発症の原因となる酵素を抑える「 11ß-HSD1 阻害剤」の「 ASP3662 」が米 アステラス製薬 4503 2 国で第 2 相試験中 ァ み るの専設 のみ 2 発症の原因となる脳内のタウたんばく質に働く「 JNJ -54861911 」をジョンソ ィ も 。受門が 家で 塩野義製薬 4507 0 ン・エンド・ジョンソンへ導出 けス多 スイスのロシュ社から導入した「クレネズマブ」と「ガンテネルマブ」の臨床試 グ ん 、ケ 皿タく 人 中外製薬 4519 験結果に注目 ので主ア とッ の マ しフ作 い 抗アミロイド宿抗体「 BAN2401 」が第 2 相試験、抗アミロイド宿抗体 ス 総 工ーザイ 4523 「別 B037 」が第 3 層試験中 日本初の経皮吸収型の治療剤「リバスタッチパッチ」を発売 小野薬品工業 4528 認やタ な家 薬オ コリンエステラーゼ阻害剤「ドネベジル」のジェネリック ( 後発医薬品 ) を開発、 日本ケミファ 4539 どた知 グ予 ツ 販売 ち 遠おッ防 オンコセラピー 抗アミロイペプチド抗体「 KHK6640 」を協和発酵キリンへ導出 じ、じト 4564 交人サし サイエンス はを 子会社の英へプタレス開発の「ムスカリン MI 受容体作動薬」を、アイルラン をはロ充流 そーせいグループ 4565 ドのアラガンへ導出 実す 1 べ 薬り 症 る ト さ アルツハイマー病関連試薬の研究開発を推進。発症の原因となるアミロイド 場 免疫生物研究所 4570 ス 製せ 宿を測定できるキットを発売 て族局日 ポ にを薬 アルッハイマー病に伴う暴力・錯乱など行動障害の治療薬「 AVP -786 」の 大塚 訒 で宀 物安 聞か い 4578 の 第 3 相試験に注目 ホールディングス ゑ症取 忘定予 ナノコロイドを活用した経皮吸収型製剤技術「 NCTS 」を用いた治療薬 メドレックス 4586 「 MRX-5DML 」を開発中 のせ薬 フ 業の 再生細胞薬「 SB623 」でアルツハイマー病の基礎研究が進んでいる サンバイオ 4592 ェ み 、務資 生キ アルツハイマー病患者由来の iPS 細胞から作製した疾患神経細胞「リプロ リプロセル 4978 ニューロ・エーディーベイシェント」を製薬企業向けに販売 展症そを球が野 か グループホーム、認知症対応型ディサービスなどを展開 ケア 21 2373 開高れ特 、で ら ディサービス最大手。ディサービスや高齢者住宅にて認知症の要介護者の は し齢を定、 ックイ 2398 受け入れを積極的に推進 、術状 い A を ロ み る ス し、 物忘れ改善薬「キオグッド」を販売 ロート製薬 4527 るけ と 「抑肝散」が、認知症の行動・心理症状を対象疾患としている ツムラ 4540 ん み 用を ム 。見 し 0 た し助 認知症研修認定薬剤師、地域包括ケアで認知症患者を支援 守 総合メディカル 17 4775 専 も たけ を て 年り 認知症予防が期待できる記憶力に関与する香り成分「テルピネオール」を発 用 り使 ファンケル シ 4921 6 見 靴 タ ス 月 い 認知症研修認定薬剤師、薬局窓口での気付きから早期発見の取り組み アインホールディングス に グ患 9627 P 品症 ァ 0 こ よ 者 S 「そよ風」ブランドでグループホーム、介護施設を展開。有料老人ホームには ム ユニマットリタイアメント・ 9707 認知症重度対応型専用フロアも な る の コューアイ ど認開筌 を知僉廣地 の 介護予防、認知症予防対策が充実したグループホーム最大手 ニチイ学館 9792 分 け 自社開発の人工知能「 K 旧 T 」を活用した精神疾患など客観評価デバイスを 2158 FRONTEO 開発 ム 1 い究 適 カゞ 評 見守りデバイスの開発、サービス提供。子会社ウイズネットにてグループホー 切導る開 ALSOK 2331 ム約 80 施設を展開 価 を K キ R が な入 さ経 を 創 I ビ O A カマンべールチーズがマウスのアミロイド沈着を抑える効果を発見 ( 東京大 キリン 2503 れ 験 薬 B N I 学、キリン、小岩井乳業の研究 ) ホールディングス T さ っ が I る や の 亜麻仁油を使った健康食品が予防効果と TV 報道。中鎖脂肪酸含有のヨー 。分 T ト E 日清オイリオグループ と 勘 A れ 2602 グルト味のゼリー「メモリオン」開発 認知症高齢者の見守りサービス「ビーコン」を展開 アプリックス 3727 治頼 E し はが に D 術 療 ら 認知症治療にサイバニクス ( 脳・神経科学 dT などを融合 ) を活用 つ 7779 CYBERDYNE は認医自 な な の 「ココセコム」による見守りサービスが充実。地域の徘徊高齢者対策事業で いが日知師開 が 9735 セコム も活用される 本症と発 評 る コミュニケーションロポット「パルロ」を高齢者施設などへ導入、認知症予防な 富士ソフト 9749 どに活用 し療 者オ 尺 度て 研 の A ( 出所 ) 筆者作成 企業名 取り組み 医薬ロロの開発 患者の介護や医療 新技術を活用した認知症対策など 工コノミスト 2017.7.4 37

8. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

抑肝散の売上高の推移 たらす神経伝達物質、セロトニンの幻 処方されてきた。 この抑が認知症の薬として一 受容体を刺激するとともに、神経を 躍注目されたのは年。東北大学が興奮させる伝達物質のグルタミン酸 「認知症のに窈」との臨床の濃度を抑える。主にこの一一つの作 論文を発表したのをきっかけに、医用がイライラや過剰な興奢を抑える 周辺症状に効く「抑肝散ー と考えられている。 療の現場で使われる機会が増えた。 科学的なメカニズムの分析が進ん ッムラは、ニ 1 ズは高いが新薬開 年間で売り上げ倍 発に苦戦している病気の中で、漢方だことで、抑肝散は爆発的に売り上 が効果を発揮しやすい分野に的を絞げが伸びた。ッムラの漢方研究開発 いる。抑肝散の売上高は 2004 年り、 基礎研究と臨床研究のデ 1 タを本部漢方研究一一部の溝ロ和臣部長 知症市場の隠れたヒット薬を -- 持つのが漢方大手のツムラ度の 1 億 4500 万円から、集めてェビデンス ( 科学的根拠 ) をは、「周辺症状に対しては、向精神薬 には約億円になり、肥年間で約確立する「育薬」に年から取り組が処方されることがあるが、患者に よくかんさん ッムラの漢方「抑肝散」は、認知倍に拡大した ( 図 ) 。いまやッムラのんでいる。「科学的根拠がないから」 . よっては副作用が問題になることも と漢方の処方を控える医師を取り込ある。医療現場が対応に困っていた 症の「行動・心理症状」の漢方薬で 2 番目の売り上げを誇る、 む狙いがある。 薬として医療機関で広く処方されて同社の稼ぎ頭の一つになっている。 ところに、新しい選択肢として抑肝ト 認知症のとは、 育薬により、抑の作用メカ一一散が受け入れられたのではないか」ス とヒットの要因を分析している。 毓歪女、抑うつ、妄想、暴力、ズムもわかってきた。落ち着きをも 不眠などの症状を指す。記 5 憶障害など認知機能が低下 する「中核症状」に対して、 「周辺症状」と呼ばれること もある。周辺症状は患者を 介護する家族を悩ますもの 認知症保険が大ヒット であり、その症状が落ち着 人気は一時金タイプ くことは、介護する側の負 担を大いに和らげる。 0 成 し認知症になったら」 抑肝散は、中国の明の時 障性商品」が短期間でこれだけ売れ 部 。そんな将来の歪女を反るのは異例で、「当社の商品として 代 ( 世紀半ばから世紀 へんさん は、今までにないペ 1 スで売れてい 蠏半ば ) に編纂された書物映して、認知症に備える隘がヒッ ほえいさつよう 『保嬰撮に起源を持っ漢トしている。太陽生命保険が 201 る」 ( 太陽生命広報部 ) という。 ひまわり認知症治療保険は、認知 6 年 3 月に発売した「ひまわり認知 7 方だ。子どもの夜泣きやか かん んしやくなどの「疳の虫」症治療保険」は、今年 6 月日まで症と診断され、時間、場所、人物な 万件を冗した。掛け捨ての「保どが認識できない状態が 180 日続 0 。 0 0 0 仙や、神経症、不眠症などに ッムラ 13 14 太陽生命、朝日生命

9. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

経緯をこう説明する。認知症の問題しつつ水分摂取を働きかけたとこ 「認知症薬最大手」エーサイ は医療機関だけでは完結しない。介ろ、状態が改善。 4 カ月で要介護度 護を含む幅広い対応が求められるが最も高い 5 ( 生活全般で介護が必 業界に逆行する地域連携戦略 が、行政も解決策を見いだせていな要 ) から中程度の 3 ( 生活の基本動 作に介護が必要 ) に改善した。 認知症のヒット薬「アリセプト」の特許が切れたエーザイが、 医療間連携により、血圧など電子 工 1 ザイが進めるのが、地域との 意外な戦略に打って出た。 連携だ。間年に横浜市旭区カルテに関連した情報の共有は進ん と「認知症をみんなで支えでいる。一方、患者の服薬や生活態 村上不巳 ( ジャーナリスト ) るまちづ / 、り墮疋」を締結度などのアナログ情報を他職種で共 したのを皮切りに、現在ま有する仕組みはない。現場の問題を 知症は 1990 年代前半ま でに防の行政や医師会と連知るところから生まれた製品が、医 - - で、老化によるやむを得ない すきま 携墮疋を結んできた。墮疋療・介護体制の隙間を埋める役割を 症状として治療の対象になりにく を通じてエ 1 ザイは地域が果たしている。 く、半ば放置されてきた。この状況 ん抱える問題を吸い上げ、解ただ、エ 1 ザイはソリュ 1 を一変させたのが、的年にエ 1 ザイ 決のためのツ 1 ルやサ 1 ビ ション事業の業績見通しを公表して が発売した世界初の認知症治療薬 いないため、事業の将来性は不透明ス スを検討する。行政側は認 「アリセプト」だった。 アリセプトはピ 1 ク時の 2010 年 3 月期に世界で 3228 億円を売 宀〕 ~ 豊一 ( ) 「→期発見 0 取り組みなどで格は 8 万 5000 円で、直ちに数千コ き 1 ザイの協力を得ていく。 億円を稼ぎ出すとは考えにくい。 り上げたが、川年Ⅱ月以降、各国で で このネットワ 1 クを通じ市場の関心はむしろ、エ 1 ザイが 順次特許が失効。後発医薬品 ( ジェ をて、エ 1 ザイは商品の開発・構築するネットワ 1 クが、開発中の ネリック ) の浸透で、片年 3 月期に は 492 億円まで落ち込んだ。 販売を始めている。年 7 新薬の販路として機能するかど、つか カ月には医師、介護者や患者にある。こうした見方に対して、田 主力品の特許失効で売り上げ減に の家族が情報を共有するシ本部長は「事業を通じて社会保障費 悩む構図は、製薬業界全体に共通し ステム「ひかりワンチ 1 ム」、 が適正化され、そこから収益を上げ に eo 〈ヒュ 1 マン・ヘルスケア〉 ている。加えて、新薬創出は以前に 年 1 月には患者の服薬支援機「おる形を目指す」と、薬の開発・販売 増して困難になりつつある。纛はソリュ 1 ション事業に改称 ) 。 とは別ものだと強調する。ただ、「支 薬さん」、 4 月には嗅覚識別テスト 周辺事業の売却を進め、新薬開発に アップシット 援事業が根付けば、新薬が得られた 「」を発売した。 資源の集中を急いでいる。 「薬だけでは解決できない」 一例を見てみよう。ある寝たきり時に現場に供給しやすい」 ( 田本部 その中にあってエ 1 ザイは年 4 月、製とは別に、認知症の医「アリセプトの販売を通じて、認知の認知症患者は、脱水で体力が大幅長 ) として、認知症という社会的な に低下していた。モバイル端末で情疾患にエ 1 ザイが広く、深く関わる 療・介護に関わる問題解決ッ 1 ルを症は薬物治療のみでは解決できない 報共有する「ひかりワンチ 1 ム」メリットを認めている。 開発・提供する「認知症ソリュ 1 シ課題だと認識した」。ソリュー ョン」を発足させた行年 4 月ション本部の田芳郎本部長は発足ので家族や介護者が水分量をチェック むらかみかずみ 2017.7.4

10. 週間エコノミスト 2017年7月4日号

な理由が詳しく解明されていない は、日常生活で生じた異常なたんば が、やらないよりはやった方がよい」く質のアミロイドの排出を促す効果 と助言する。また 6 時間以上の睡眠がある。 66 どんな症状が起きたら受診したらいい ? 認知症患者の多 くは、「物忘れがひ 全容がいまだ解明されていない認知症。だが、基本を理 どくなった」など、本人や 解し、早期に対処すれば進行を遅らせることができる。 身近な人の気づきがきっか けで受診する。そこで鑑別 状の改善が確認された。こうして開意義は大きい」と話す。 発されたのが「アリセプト」 ( 一般 このほか「受容体阻害薬」 ~ のために実施されるのが過 名・ドネベジル塩酸塩 ) などのコリ という別の働きの薬も登場。これら「長谷川式」や「」 ンエステラ 1 ゼ阻害薬だ。これらの の 2 剤を同時に使ったり、切り替えなどの簡易知能テストだ。症 たりして治療を祝する場合もある。 薬は近年、アルッハイマ 1 型のほか、 しかしテストで判定でき認 ) レビ 1 小体型でも公的医療保険で使治る認知症は、慢性硬膜下血腫ゃない患者は少なくない。軽型 、んるよ、つになっている。 正常圧水頭症などだ。脳にできた血度認知障害 (>0—) と呼マ だが、これらの薬も病状の進行を腫や過剰な髄液が脳を圧迫して知的ばれる認知症の前段階の人 平均約半年遅らせる効果がある程度機能の低下を起こしているため、血たちで、全国で 400 万人 だ。大内院長は「個人によっては効腫を取り除いたり、「シャント」と呼と推計されている ( 図 ) 。大ア 果は半年以上持続する。患者の多さ ばれるバイバスを形成して髄液の流内院長は「の人は同 を老蘆すれば、半年進行を遅らせるれを改善することで根治できる。 年代の人と比べて脳の機能 はやや低下しているが日常 生活に支障がない状態」と 説明する。 一克 60 認知症は防げる ? 個人差はあるものの、アル善も進行を抑えるという。過食、喫 06 認知症患者は増えていくの ? ッハイマ 1 型は川 5 年、レ煙、過度の飲酒を避け、筋力トレ 1 ニ 高齢化に伴い認知症患者に低下したという。一教ム数別に発 数は増えるだろう。ただ、米症率を比較すると、教旱数年以 ビ 1 小体型では数年で認知機能が低ングなどの適度な運動を継続する。 下し、日常生活が困難になるという。 認知症と診断された後でも、生活を研究グル 1 プは今年、米国での認知上の発症率は集満の 4 分の 1 と しかし肉体的には頑健さを保つ患者改善すれば効果はある。規則正しい 症有病率が低下しているとする研究低かった。大内院長は「現段階では も少なくない。早期に診断し、治療生活は認知症の予防にもつながる。 成果を米医学誌に発表。 1 万人以上仮説の域を出ないが、日本の高学歴 を始める意義は大きい。 大内院長は「いわゆる ( パズルなを対象にしたその研究によると、 化と団塊の世代はほば重なる。日本 大内院長によれば、生活習慣の改どの ) 『脳トレ』も効果がある。窈年のⅡ・ 6 % から年には 8 ・ 6 % でも起こりつる現象」と話す。 予防は規則正しい生活 不安、抑うつ、物忘れ 記憶障害、時間・場所がわからない 衣服の着脱ができない、 言葉が思い出せない 人格変化、 無言・動かない、 寝たきり 、、知的機能障害 妄想、幻覚、徘徊など 10 年 3 年 ( 注 ) 患者数は 2012 年時点 ( 出所 ) 厚労省の資料などを基に編集部作成 高度 軽度認知障害 ( 約 400 万人