「持ってきたよ。ディアントスの杖は、いつもここに入れてあるんだ」 いつほんっえと ジャックはそう言って、リュックの中から一本の杖を取りだした。 ぎんいろカカや つのカたち ュニコ 1 ンの角の形をしたその杖は、ジャックの手の中で、銀色に輝いてい じゅもん まほ、つつか る。この杖をかかげて呪文をとなえれば、ジャックたちも魔法を使うことがで きるのだ。 みつ 「ディアントスの杖を使うときの、三つの決まりを、おばえている ? 」 と、キャスリ 1 ン 「ええ、ちゃんとおばえてるわ」 ゅびお みつ アニ 1 が、指を折ってかぞえながら、三つの決まりを言った。 ひと じぶん 「一、自分たちのためにではなく、ほかの人のために使うこと ニ、やれるだけのことをやってから、使うこと なお 三、一度口に出した呪文のことばは、言い直せない」 わら 「よくできました ! 」キャスリ 1 ンのことばに、みんなが笑った。 いちどくち じゅ、もん つか なか つか てなか つか
よ、つひし 「ということはーーー」ジャックが、羊皮紙を見つめながら言った。 かれて 「ばくたちは、レオナルド・ダ・ヴィンチに一日じゅうつきそって、彼の手つ だいをすれば、夜までに〈幸せのひけっ〉を見つけられるんだね ? 」 「ええ、きっと、そ、つね」と、キャスリ 1 ンか、つなずいた。 かお ふあん 「でも : : : 」アニ 1 が、不安そうな顔でつぶやく こんかい ンは、今回もいっしょに行かれないんでしよう ? 」 「テディとキャスリ あたま テディが、頭をかきなから言った。 「うん。ばくたちは、まだ、モ 1 ガン先生の手つだいでいそがしいんだ」 キャスリーンか、はげますよ、つに一一一口、つ 「アニー、わたしたちがいなくても、だいじようぶよ。あなたたちにはディア ントスの杖があるじゃない」 かお それを聞いて、アニ 1 がはっと顔をあげた。 っえも 「あ、お兄ちゃん、杖を持ってきたに」 っえ よる しあわ せんせい み み て いちにち ダ・ヴィンチ空を飛ぶ
かつやく 「この本には、レオナルド・ダ・ヴィンチが、フィレンツェで活躍していたこ やく ろのことか書いてある。持っていけば、きっと役に立つよ」と、テディ。 てがみ 「そして、これは、モ 1 ガン先生からあずかった手紙よ」 キャスリ ーンが、折りたたんだ羊皮紙を、さし出した。 アニーか受けとり、それを読みあげた。 フロッグクリークのジャックとアニーへ かんたんに得られるこたえに、まどわされてはなりません。 てんさい かの天才に一日しゅうつきそい、 かれて 彼の手つだいをすれば、 夜鳴き鳥が鳴きはしめるまでに 求める〈こたえ〉が、得られるでしよう。 ほん 、もレ」 よな いちにち せんせい よ、つひし
「それじゃあ、お兄ちゃん、すぐにでかけましよう」と、アニ 1 ジャックは、つなすいて、杖をリュックにしまった。 「テディ、キャスリーン、行ってくるよ」 「うん。がんばって」と、テディ。 「かならず、〈幸せのひけっ〉を見つけてきてね」と、キャスリ 1 ン こえじゅもん みおく ふたりを見送ったあと、ジャックが、本の表紙に手をおき、大きな声で呪文 をとなえた。 行きたい ! 」 「レオナルド・ダ・ヴィンチのところへ かぜふ ハウスがまわりはじめた。 どこからともなく風が吹きだし、ツリ 1 かいてん とんどんはやくなる 回転カ おも め ジャックは思わず目をつぶった。 しず やがて、なにもかもか止まって、静かになった。 なにも聞こえない。 しあわ み ほんひょうし て おお ・・・・ダ・ヴィンチ空を飛ぶ
む ジャックは、息をととのえてから、ツリ 1 ハウスに向かって呼びかけた。 テディ ! キャスリーン ! 」 まど かおだ ちゃいろ しようねん なが くろかみしようじよ 窓から、茶色い巻き毛の少年と、長い黒髪の少女が顔を出した。 テディと、キャスリーンだ。 テデイか、手をふりながらさけんだ。 「やあ、ふたりとも ! 早くのばっておいでよ ! 」 なわばしごをのばって、ツリ 1 、 ノウスにはいると、すぐにアニ 1 がたずねた。 テディ、キャスリ 1 ン。マ 1 ンのぐあいはどう ? 」 「おはよ、つー あいかわらず、ふさぎこんだままなの」と、キャスリーン。 「それが : しあわ 「モ 1 ガン先生は、ジャックたちが見つけてくれる〈幸せのひけっ〉を待っし かない、と言っているよ」と、テディ。 のこみつ 「そ、つ : ・。だったら、わたしたち、かならず残り一二つの〈幸せのひけっ〉を こんかい 見つけるわ ! それで、今回はどこへ行くの ? 」 み せんせい て はや み しあわ 3 ・・・・ダ・ヴィンチ空を飛ぶ
「行ってらっしゃい」と、ママ 、 0 、 0 、 0 「気をつけてな」と いえ 家を出ると、すぐにアニーが切りだした。 「お兄ちゃん ! 森にツリ 1 ハウスがもどってきてるの ! 」 おも 「うん、きっとそうだと思ったよ。だけど、どうしてわかったんだい ? 」 か 4 わ、つ 「目が覚めたとき、テディとキャスリ 1 ンの顔が浮かんで、なんだか呼ばれて いるような気がしたのよ」 「へえ ! アニーは、ほんとうに勘がいいんだな。 よし、いそご、つ ! 」 。り つうがくろ こみち ふたりは、通学路をそれて、森の小道にはいっていった。 きぎ , もーり・ あさひなか 子」、刀 木々のあいだからチラチラとこばれる朝日の中を、森でいちばん高いカシの 木をめざして走る なが とお カシの木が見えてきた。さわやかな風が、長い長いなわばしごをゆらして通 みあ りすぎていく。見上げると、枝の上にマジック・ツリ 1 、 ノウスがあった。 えだ 、つ、ん かん かせ なが
これまでのお話 ジャックとアニ 1 は、ペンシルべニア州フロッグクリークに住む、仲よし兄妹 、もり・ 小さな木の小屋があるのを見 ふたりは、ある日、森のカシの木のてつべんに、 きようりゅう つけた。中にあった恐竜の本を見ていると、とっぜん小屋がぐるぐるとまわりだ きようりゅう こや ほんもの じだい し、本物の恐竜の時代へと、まよいこんでしまった。この小屋は、時空をこえて、 、つ、え せかい 知らない世界へ行くことができる、マジック・ツリーハウス ( 魔法の木の上の小 屋 ) だったのだ。 ジャックたちは、ツリ 1 ハウスで、さまざまな時代のいろいろな場所へ、冒険 まほ、つつか に出かけた。やがてふたりは、魔法使いのモーガンや、モーガンの友人マ 1 丿ノ とーも 圭 ` ほ、つ でんせつ せかい から、特別な任務をあたえられるようになった。そして、魔法と伝説の世界の友 まな じぶん だち、テディとキャスリ ーンに助けられながら、自分たちで魔法を使うことも学 んだのだった とくべっ なか にんむ はなし ほん たす しゅう じだい こや ゅうじん つか なか きようだい ば、つけん