ディアントス - みる会図書館


検索対象: [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊
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1. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

いちにち 「わたしたち、ダ・ヴィンチーーーじゃなくて、レオナルドさんに一日じゅうつき そって、お手つだいをしなくちゃいけないのに : 。お兄ちゃん、どうする ? 」 「そうだね。どうすればいいのかな : いちばひと ふたりは途方に暮れ、市場の人ごみを見つめていたが、アニ 1 が、はっと気 かついて言った。 「そうだわ、お兄ちゃん。いまこそ、ディアントスの杖を使うときじゃない ? たす レオナルドさんをさがすのは、マ 1 リンを助けるためだから、第一のルールは クリアよ。それに、ここまでやれるだけのことをやったのだから、第二のル 1 もんだい ルも問題ないわ」 「なるほど。たしかにそうだ ! 」 ジャックは、バッグからディアントスの杖を取りだし、アニ 1 にわたしなが ねんお ら、念を押した。 たいさん いちどくちだ じゅもん 「アニ 1 、第三のルールをわすれちゃだめだぞ。一度口に出した呪文のことば て み っえと つか だいいち 2

2. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

「持ってきたよ。ディアントスの杖は、いつもここに入れてあるんだ」 いつほんっえと ジャックはそう言って、リュックの中から一本の杖を取りだした。 ぎんいろカカや つのカたち ュニコ 1 ンの角の形をしたその杖は、ジャックの手の中で、銀色に輝いてい じゅもん まほ、つつか る。この杖をかかげて呪文をとなえれば、ジャックたちも魔法を使うことがで きるのだ。 みつ 「ディアントスの杖を使うときの、三つの決まりを、おばえている ? 」 と、キャスリ 1 ン 「ええ、ちゃんとおばえてるわ」 ゅびお みつ アニ 1 が、指を折ってかぞえながら、三つの決まりを言った。 ひと じぶん 「一、自分たちのためにではなく、ほかの人のために使うこと ニ、やれるだけのことをやってから、使うこと なお 三、一度口に出した呪文のことばは、言い直せない」 わら 「よくできました ! 」キャスリ 1 ンのことばに、みんなが笑った。 いちどくち じゅ、もん つか なか つか てなか つか

3. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

なお は、言い直せないんだから、気をつけて一一一一口うんだよ」 「わかってるって ! 」 じゅもん かんカ っえたか アニ 1 は、すこし考えてから、杖を高くかかげて、呪文をとなえた。 「ディアントスの杖よ ! わたしたちを、レオナルド・ダ・ヴィンチ あ に会わせて ! 」 それから、ジャックとアニ 1 は、息をつめて待った。 たか、なにもおこらない ひと とお ふたりのそばを、あいかわらず、大ぜいの人が通りすぎていくか、どちらを ひとすがた 見ても、ダ・ヴィンチらしい人の姿はない。 「 : : : おかしいな。なにをまちがえたんだろう」 「もしかしたら、わたしたちは、まだやるだけのことをやっていないのかしら」 「もっとさかす努力をしなければいけない、 ジャックは、また、ため息をついた み い」りよく おお ってい、つこと ? 」 ・・・・ダ・ヴィンチ空を飛ぶ

4. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

こえ そのとき、アニーが声をあげた。 そら 「レオナルドさんは、空を飛べるわ ! 」 なにを言いだすんだ」 「なんだよ、アニ 1 ちゅうとはんば おも ジャックは、中途半端ななぐさめのことばは、 かけるべきではないと思った。 じだい そら / 、ふ、つ ダ・ヴィンチがどんなに工夫しても、この時代にはまだ空を飛べないのだから。 アニ 1 は、ジャックにかまわすつづけた。 そら げんき ゅめす しっしょに空を飛びましよ、つ。きっと元気にな 「夢を捨てる必要はないわー るわ ! 」 そ、つ一一一一口うと、馬車によじのばり、ジャックのバッグの中をさぐりだした。 「あった ! 」 ふたたびもどってきたアニ 1 の手には、ディアントスの杖がにぎられていた。 ( ああっ、そうか : ジャックは、杖があることを、すっかりわすれていた。 ひつよう っえ ばしゃ なか っえ 1 08

5. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

め あ ジャックは、ゆっくりと目を開けた。 まど あさひ ツリ 1 ハウスの窓から、やわらかい朝日がさしこんでいる しぎようじつぶんまえ がっこ、つ 学校のほうから、始業十分前のチャイムが聞こえてきた。 カっこ、つ 「お兄ちゃん、たいへん ! 学校におくれるわ。いそぎましよう ! 」 亠ま 「あっ、ちょっと待って ! 」 あ ジャックは、リュックを開けると、ディアントスの杖がはいっていることを か第、にん 確認し、『レオナルド・ダ・ヴィンチ』の本を取りだした。 「この本は、ここにおいていかないと」 しちまい お ほんなか そのとき、本の中から、一枚の紙きれが落ちた。 だいせいどうまえおんな それは、ダ・ヴィンチが大聖堂の前で女の子を見て、いそいで描いた天使の スケッチだった。 新学期 ほん しんがっき かみ ほんと み 0 てんし 150

6. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

りよう、つ「、 大空へ ! 「レオナルドさん、さあ、目をつぶって ! 」 さいしょ ダ・ヴィンチは、最初、首を横にふっていたが、アニ 1 になんども言われて、 りようてかお しかたなく両手に顔をうずめた。 「レオナルドさん、目をつぶったままで聞いて。今朝、あなたはわたしたちに、 しん がかひつよう み、、つ第、、つりよく 『真に偉大な画家に必要なのは想像力だ』と、おっしやったわ」 くび 、つご ダ・ヴィンチの首が、わすかに動いた。 そ、つぞ、つじよう そうぞ、つぶぶん 「これからおこることは、その想像の部分ーー本 . イ 目 5 象上のできごとよ」 っえたか おおごえじゅもん それからアニ 1 は、杖を高くかかげ、大声で呪文をとなえた。 とり・つばさ 「ディアントスの杖よ ! わたしたちに鳥の翼をください ! 」 かお そのとたん、顔をおおっていたダ・ヴィンチの両手が、ジャックとアニーの さゆ、つ 両腕が、左右にのびていった。 し学 / し おおぞら っえ め め くびよこ りよう一、 109 ・・・・ダ・ヴィンチ空を飛ぶ

7. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

そして、ふたたび城壁を飛びこえ し」 ブドウ畑を飛びこし 、つ、ん A 」 オリ 1 プの林の上を飛び 医」いろはは いちめんさ のはら、つ、んかっく、つ 黄色い花が一面に咲く野原の上を滑空して まおか ダ・ヴィンチの馬が待っ丘へもどっていく A 」 ひこうきざん しやめんうえき 飛行機の残がいが横たわる斜面の上に来たところで、いっしょに飛んできた きゅうじようしよう すがた 鳥たちは急上昇して、雲の中へと姿を消した。 さんにん ダ・ヴィンチ、ジャック、アニ 1 の三人は、ゆっくりと下降した。 あしまえだ じめんちか 地面に近づくと、足を前に出し、翼をハサバサと小きざみに動かす。地面で さんほ かんぜんちじよう 二、三歩はねたあと、完全に地上におり立っことができた。 ー刀学 / そのとたん、三人のからだに生えた大きな翼は消え、肩から先は、人間の腕 にもどっていた。 ジャックは、ディアントスの杖をひろって、そっとバッグの中にしまった。 よこナ はやし さんにん じようへき なか レ」 つばさ おお 0 つばさ 、つご さき なか にんげんうで じめん 1 1 8