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検索対象: [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊
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1. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

まほろしのフレスコ画 とお ある レオナルド・ダ・ヴィンチは、通りをずんずん歩いていく。ジャックとアニ はやあし 1 は、早足になったり小走りになったりして、ついていった。 「レオナルドさん : つぎは : どこへ・ 行くんですか アニーが、息を切らせながらたすねた。 きゅうでん きようわこくせいちょうしゃ 「シニョーリア宮殿ーーらまり、フィレンツェ共和国の政庁舎だ。そこの大評 ぎかいしつかべかイ、 、刀 議会室の壁を飾るフレスコ画を依頼されているのでね」 「フレスコ画って : : ? 」ジャックも、息を切らせながら聞いた。 ぎほ、つひと かべざいりよう 「フレスコ画とは、壁に絵を描く技法の一つだ。 壁の材料であるしつくい ま、ん ぬ え を塗ったら、それかかわく前。 」こ、絵の具で絵を描いていく。すると、しつくい なか へきが かかわくときに、絵の具がしつくいの中に閉じこめられて、美しい壁画ができ あぶらえ お あがるのだよ。ふつうの油絵は、年月がたっと、絵の具がはがれ落ちてくるも え かべ え ねんげつ え え うつく 。こ、ひょう 6

2. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

ある とお ひろば 三人は、広場を出て、石だたみの通りを歩いていく。 す 「きみたちは、フィレンツェに住んでいるのかね とお 、その : とても遠いところですーと、ジャック 「わたしたち、フィレンツェに、〈幸せのひけっ〉をさがしに来たの」 アニーかそう一言うと、ダ・ヴィンチは、、つんうんとうなずいて言った。 はつけん そして、発見した」 「幸せのひけつなら、わしも、むかし、さがしたよ おも おおごえ 「ほ、ほんとうですか」ジャックは、思わず大声をあげた。 「ああ。かんたんなことだったよ」 はつけん 「レ、レオナルドさんが発見した〈幸せのひけっ〉とは、なんですかー めいせい 「〈名声〉だ」 めいせい 「名声 ? 」と、アニ 1 しあわ さんにん 天使のスケッチ てんし で しあわ しあわ 4 ・・・・ダ・ヴィンチ空を飛ぶ

3. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

さようなら、フィレンツェ とお ジャックとアニ 1 は、タ焼けに染まる通りに出た。 「ツリー ハウスは、どっちだったかしら」と、アニー まど かおだ 「たしか、こっちから来たんだよ。あの窓から顔を出していた女の人に、ダ・ いえき ヴィンチの家を聞いたんだ」 「そうだったわ」 ひろば おお ふたりは、石だたみの大きな広場に出た。 ひろば 「ここは、シニョ 1 リア広場ね」 きゅうでん せいちょうしゃ 「そう。そして、あれがシニョ 1 リア宮殿ーー・フィレンツェの政庁舎だ」 ひろばめん げんかんとびら 広場に面した玄関の扉も、いまはびたりと閉まっている とびらまえた よ、つさい たてものみあ ふたりは、扉の前で立ち止まり、要塞のような建物を見上げた。 なお おおひろまへきが 「お兄ちゃん。ダ・ヴィンチは、大広間の壁画を、また描き直すかしら」 ゅうや おんなひと 144

4. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

りろんてき 理論的には合っているのだからな。ああ、わくわくす 「きっと、、つま / ゝいく えいえんふめつ めいせい る。これで、わしの名声は、永遠不滅のものになるぞ ! 」 ジャックは、ダ・ヴィンチか、なにか、とんでもないことをしよ、つとしてい るような気がして、急におそろしくなった。 ばくたち : べつに : : 」と、 ) ンヤック。 「あの・ たか、ダ・ヴィンチは、まるで聞いていなかった。床に投げすてた帽子とマ ントをつかむと、 へや 「いっしょに、来たまえ ! 」と言って、バタハタと部屋を出ていった。 ジャックはいそいでバッグをつかみ、アニーとふたりで、ダ・ヴィンチのあ とを追った。 たづな ダ・ヴィンチは、庭に止めてあった馬車に乗りこみ、手綱を取った。 「さあ。乗った、乗った ! 」 とお きおいよく通りへと出ていった。 三人を乗せた馬車は、い さんにんの ばしゃ きゅう に、わ ばしゃ ゆか ・・・・ダ・ヴィンチ空を飛ぶ

5. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

「すみません。ここに、レオナルド・ダ・ヴィンチさんが来ませんでしたか」 「ああ、レオナルドなら、たったいま出ていったところだよ」 やしゅじん とお おくゆび チ 1 ズ屋の主人は、通りの奥を指さした。 さき かじゃ 「この先の鍛冶屋へ行ってみな。そこにいるはずだから」 「ど、つもありかと、つ ! 」 ジャックとアニーは、 かけだしていた。 はや あ 「早く、レオナルド・ダ・ヴィンチに会いたいわ」と、アニー あし ひと 「ばくもだよ。それにしても、なんて足のはやい人なんだ : : : 」 カーン、カ 1 ン、カ 1 ン : きんぞくおんき まもなく、かん高い金属音が聞こえてきた。 かじゃ おとこひと ジャックとアニーが鍛冶屋をのぞくと、がっちりしたからだっきの男の人が、 ろ ひ おと ハンマーで馬の蹄鉄をたたいていた。炉の中では、火がゴーゴーと音をたてて 燃えている うまていてつ 0 0 で なか 0 8 2

6. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

、ゴーン : : : ガ一フン : ・ ゴーン : : : カラン 、ゴーン : : : ガラン ゴーン : : : カ一フン : しようろ、つみあ 「ああ、やれやれ : : : 」ダ・ヴィンチが、鐘楼を見上げて、ため息をついた。 かねね きみたちには、なんと言 「わしには、あの鐘の立日か、ことばに聞こ、んる : っているよ、つに聞こえるかね ? 」 みみかたむ ジャックは耳を傾けてみたが、ただゴ 1 ン、ガランとしか聞こえない。 「わしには、こ、つ一言っているよ、つに聞こ、んる 今日は、することがたくさんあるのだろう、レオナルド・タ・ヴィンチ。 はやしごと 早く仕事にもどりなさい、レオナルド・タ・ヴィンチ」 よ、つきわら ダ・ヴィンチは、また、陽気に笑った。 言われるまでもない。今日はにしいのだった。さあ、いそ ) 」う」 「あはは : とお 天才レオナルド・ダ・ヴィンチは、フィレンツェの通りを、ふたたびせかせ ある かと歩きはじめた てんさい いそカ ・・・・ダ・ヴィンチ空を飛ぶ

7. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

「それなら、わしが弁償しよう」 一一一一口うなり、ダ・ヴィンチは、持っていたハスケットを下におき、腰にぶらさ いちまい きんか げたポーチの中から、一枚の金貨を取りだした。 ことりや それを見た小鳥屋は、ふたりをつかんでいた手をはなし、手のひらを服にこ きんか すりつけてから、金貨を受けとった。 おさなご 「マルコ。わしが幼子だったころのことだ。ゆりかごにいると、一羽の鳥が飛 かお んできて、尾でわしの顔にふれたのだ。それ以来ーーー」 おも 「鳥になりたいと思いつづけてきたんでやしよう ? 」 ことりーや はやくち 小鳥屋が、早ロで言った。 「その話は、もうなんべんも聞きやしたよ。あ、いらっしゃい ことりや 小鳥屋は、新しい客の相手をしに、そそくさと行ってしまった。 はなし ダ・ヴィンチは、ジャックとアニーに向かって、話をつづけた。 そら おも それ以来、わしは、鳥になって空を飛びたいと思いつづけてきた。 「そ、つ A り・ はなし あたら なか きやくあいて べんしよう とり した いちわとり ふく

8. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

ダ・ヴィンチは、どこにもいない。見うしなってしまったのか : おんなひとかおだ りようがわまど とお 通りをはさんだ両側の窓から、女の人が顔を出して、おしゃべりしている こ、え 「あの、すみません」アニ 1 が、女の人に声をかけた。 とお 「いまここを、レオナルド・ダ・ヴィンチさんが通りませんでしたか ? 」 みぎがわまどおんなひと すると、右側の窓の女の人がこたえた。 かえ 「ああ、たったいま帰ってきたよ」 ひたりがわまどおんなひと つづいて、左側の窓の女の人が言った。 「レオナルドの屋敷は、この先だよ」 「どうもありかとう ! 」 やしきむ ジャックとアニーは、女の人が教えてくれた屋敷へ向かった。 たてもの その建物は、入口がアーチ形のトンネルになっていて、そこを抜けると、石 レ」 しろ、つま なかにわ 敷きの中庭になっている。中庭には、白い馬をつないだ馬車が止まっていた。 おく まどゅび ジャックが、奥の窓を指さして言った。 じ なかにわ い」り ) 、十っ やしき おんなひとおし さき おんなひと み ばしゃ ぬ 0 0 4 7

9. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

「ねえ、お兄ちゃん。ここの人たちはみんな、ダ・ヴィンチのことを、レオナ ルドって呼ぶのね」と、アニ 1 「そうだね。だから、ばくたちも、レオナルドさんって呼ばう」 とお ひろば、 ひろば おお 通りを抜けると、そこは大きな広場で、広場を埋めつくすように、なん十と やたい いう屋台やテントが並んでいた。 なら にノ \ さかな みせ みせや 肉や魚を並べた店、色とりどりの野菜やくだものを積みあげた店。焼きたて なら たたよ みせ けおりもの ハンを並べた店からは、いいにおいが漂ってくる。そのむこうには、毛織物や きぬぬのじ うみせのきさき かわせいひん みせ 絹の布地を売る店、軒先にズラリと革製品をぶらさげた店。キラキラ輝くアク きばこなら みせ セサリーを平らな木箱に並べている店もある つ、つろ テントのあいだの通路は、買い物客でごった返していた。 なか しなんわざ しちにち 「はああ、この中からダ・ヴィンチをさがしだすのは至難の業だ。一日かかっ ても、見つからないかもしれない」 ふか ジャックが、深いため息をついた。 なら ひと ものきやく やさい がえ カカ弋 じゅう

10. [拡大写本]ダ・ヴィンチ空を飛ぶ 第1分冊

はね さんにんかた そこから、白い羽根がによきによきと生え、やかて、三人の肩から先が、鳥 の翼に変わっていった。 「あわわわ : ひめい ダ・ヴィンチか悲鳴をあげた。 いったいどうしたことだー 「こ、これは : 「わたしたち、鳥になったのよ ! 」 0 アニ 1 か、つれしそ、つにこたえる 、つで じふんうで ジャックは、翼になった腕を、そっと動かしてみた。自分の腕よりはるかに かる ちからづよかん 軽く、しかし、力強く感じられる そら 「これで、空を飛べるわ ! 」と、アニ 1 とり そら 「『鳥になった』だって ? 『空を飛べる』だって : かお ダ・ヴィンチは、こまったような顔でおろおろしていたが、とっせん、 わらごえ おお 「わっはつはー と、大きな笑い声をあげた。 つばさ しろ つばさ レ」 0 0 さき とり 1 1 0