うじゅ - みる会図書館


検索対象: [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊
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1. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

うみかいぶつ 「みんなが話していた海の屋物は、、 しなかったみたいね」と、アニー を一 きようじゅ まがお かえ それを聞きつけたトムソン教授が、真顔でふり返って言った。 医」よ、つ 「そうだな 今日はかからなかったが、 いっかかならず、つかまえる」 そこで、ジャックがたずねた。 きようじゅ かいぶつ おも 「トムソン教授は、この海に、ほんとうに屋物かいると思っているのですか ? 」 きようじゅ 教授は、すこし考えてから、こうこたえた。 ちきゅう ひょうめんよんぶんさんちか 、つみ うみひろ ふか これまでも、われわ 「地球の表面の四分の三近くは、海だ。海は広くて深い。 ものはつけん はつけん れは、たくさんの生き物を発見してきたが、まだ発見されていない生き物が、 そ、つぞう かいぶつ あとどのくらいいるかは、想像もっかない。 とすれば、どこかに屋物のような ひてい かのうせい ものかいてもおかしくはないだろう ? わしは、その可能性を否定しない」 おも ( たしかにそうだ ) と、ジャックは心のなかで思った。 きようじゅ 「だか おそれる必要はない」と、教授はつづけた。 むち きようふ おも 「恐布は、無知から生じる。正体がわからないから、おそろしいと思うのだ。 0 かんが しよう ひつよう 、つみ しようたい こころ 0 もの 0

2. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

りそうてき 「それなら、このチャレンジャ 1 号は、もっとも理想的な場所だ ! あ ちょうさ あ、申しおくれた。わしは、この調査を指揮しているトムソンだ」 0 ヘンリ 1 が、あわてて紹介する きようじゅ たんけんちょうさ こんかい はくぶつがくしゃ せかい 「トムソン教授は、偉大な博物学者で、今回、世界ではじめての探険調査を、 じよおうねっしんていあん ビクトリア女王に熱、いに提案した方なんだよ」 む 「そうなんですか : : : 」ジャックとアニ 1 が、尊敬のまなざしを向けると、 「ほっほっほ : まあ、そんなことはどうでもいい」と、けんそんしながら、 きようじゅ りようておやゅび へストのポケットに両手の親指をつつこんで話しはじめた。 教授は、。 りくち しんかい 廿一い、かノ、 、り , 、刀し 「われわれ人類は、陸地については、かなり正確に理解しているが、深海は、 かくち なが 長いあいだ、なぞにつつまれたままであった。 いや、すでに、各地からさ ふちゃく りようしあみ せいぶつ まざまな報告が届いてはいたのだ。海底ケープルに付着した生物、漁師の網に みち きようみ だんべんてきじようほう かかった未知の生き物など、だ。そうした断片的な情報が、われわれの興味を せかい うみ うみ せいぶつ せかい かきたてた。そこで、世界の海にはどんな生物がいるのか、世界の海は、どの ーも、つ じんるい ェイチエムエス もの し学ノし しよう、力い かいてい そんけい 4 7

3. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

きようじゅ だが、教授は、とりあおうとしない。 かいぶつ かいぶつ 「いいかね。あの怪物から、きみたちを助けたのは、われわれだ。怪物のえじ きせき きにならずにすんだのは、奇跡なのだよ」 たす 「あのタコは、ほんとうに、ばくたちを助けてくれたんです」 すいめんも 「わたしたちを、水面に持ちあげてくれたの」 「そうです ! ばくたちがおばれないように、すっと持ちあげていてくれたん おどろ あし ふねき です。でも、そこへ船が来たから、驚いて足をはなしたんです」 さよならも言わなかったわ ! 」 「わたしたち、お礼も言わなかった : そのとき、上甲板のうしろのほうで、ワアアッというどよめきかあかった。 おおごえ のりくみいん 見ると、乗組員たちが、船べりから海をのぞきこんで、さわいでいる。大声 もの でさけぶ者、手をふりまわしている者もいる 「いったい、なにがあったんだろう : よかん ジャックは、いやな予感がした。 ものて じようかんばん ふな うみ たす 1 14

4. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

じっ けんきゅうしつ 、刀い、刀、ら 「じつは、嵐が来たとき、研究室にもどったのは、この貝殻を取りに行ったの きねん だよ。でも、これは、記念にきみたちにあげよう。いや、もらってほしい」 「ヘンリ 1 さんが大事にしてきたものを : それは、もらえないわ」 たいせつ おし つみ 0 「いいんだ。今日、きみたちが、大切なことを教えてくれたお礼だよ ものくる カカくしゃ もない生き物を苦しめるのは、わたしたちの本意ではない。われわれ科学者は、 おも しん すべての生き物に、思いやりの心をわすれてはいけないんだ。さもないと、真 きようじゅ ちしき みうしな きようふ こノ、ふく 実を見失うことになる : トムソン教授は、『知識が恐怖を克服する』と ごよ、つ おも きようふ こくふく 言ったけれど、今日きみたちは、思いやりの心をもてば、もっと恐布を克服で けんきゅう きる、ということを教えてくれた。これからの調査や研究は、とても幸せな気 ちきゅうじよう おこな おも なかま か′、にん もちで行えると思う。なぜなら、地球上には大ぜいの仲間がいることを、確認 することになるのだからね」 そのことばを聞いて、ジャックはさとった。 もの おも ( すべての生き物に、思いやりの心をもっことーーそれが〈幸せのひけっ〉だ ! ) あらし もの おし 0 こころ こころ 0 ほん こころ おお ちょうさ しあわ レ」 しあわ 146

5. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

くら あたま みすあ めまえま 頭から水を浴び、目の前が真っ暗になる。 ひっし なにかにつかまろうと、必死に手をのばしたが、そこにはなにもなかった。 うみお ( だめだ : このままでは、海に落ちる : : : ) おも きゅうめいど、つい そう思ったとき、だれかが、ジャックの救命胴衣をつかんだ。 「お兄ちゃん ! しつかり凵」 「ア、アニ 1 はか ! 下に行けって言ったのに ! 」 きゅうめいど、つい ジャックは、なんとか立ちあがろうとしたが、救命胴衣をうしろからっかま おも れているので、思うように動けない。 手をはなせ ! 」 うみお 「だめよ、つー はなしたら、お兄ちゃんが海に落ちちゃう ! 」 おお なみ ふねて そこへ、さらに大きな波が、船の手すりをこえて、打ちつけてきた。 しろあわ かんばんはし ジャックは、白い泡をたてて甲板を走りまわる海水にからだをとられ、あっ なみ うみなかおなが という間に、波がわきかえる海の中へ押し流されてしまった。 0 っ : て した て かいすし 1 00

6. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

あ ジャックは、そっと目を開けた。 しなくなっていた。ツリー テディとキャスリーンは、、 かえ ま、ん る前に、キャメロットへ帰ったにちかいない。 としよかん ふくそう ジャックとアニ 1 の服装は、図書館へ行ったときとおなじ、シャッとジ 1 ンズのままだ ノ、、、つを」 あっ むし暑く、しめつほい空気が、あたりをつつんでいる をャり・ 亠まレ」ッてレ」 窓の外には、濃い霧がたちこめていて、ほとんどなにも見えない。 しおかせ なみおと ごえ カモメの鳴き声と、打ちよせる波の音が聞こえてくる。そして、潮風 のにおい。 「お兄ちゃん、海のにおいがするわ」と、アニー : ばくたち、どこか、南のほうの海辺に着いたみたいだ」 「うん ふたたひ南の海へ 0 、つみ め みなみ 、つみ みなみ うみべ 0 っ かいてん ハウスが回転をはじめ み ・・・・巨大ダコと海の神秘

7. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

はんせん 「それじゃ、あの帆船は、世界じゅうの海を、はじめてくわしく調べてまわっ おも と田 5 、つよ、つになっていた。 や海底の状態を、もっとくわしく調べたい、 、刀つ、刀い うみたんけんちょうさ せいふきようりよく そこで、イギリスの学会と政府が協力し、世界の海を探険調査するという、 大事業を行うことになったのである。 ご、つ ぐんかん ほんかくてき 力いよ、っちょうさ 、かい第 : っ 軍艦のチャレンジャ 1 号は、本格的な海洋調査ができるように改造され、 ろくにんけんきゅうしゃ 力いぐんしかんすいへいやくにひやくよんじゅうにんの 六人の研究者のほか、海軍士官と水兵約二百四十人を乗せて、一八七二年 ねん にイギリスを出発した。そして、一八七六年まで、およそ三年半をかけて、 たいようたんけんちょうさ 北極海をのぞく世界のすべての大洋を探険調査し、帰国した。 おお しんかい 力、か′、て」 かいめし しん この調査で、多くの深海のなぞが科学的に解明され、まちがって信じられ しんじつあき ていたことも、真実が明らかになった。 げんざい 力いようカくちしきおお ご、っちょうさけつか 現在の海洋学の知識の多くは、このチャレンジャ 1 号の調査結果がもとに なっている。 つきよく、かし だいじぎようおこな かいてい ちょうさ じようたい しゆっぱっ せかい せかい しら 、つみ せかい さんねんはん しら ねん ・・・・・巨大ダコと海の神秘

8. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

海の怪物 艦長とトムソン教授 ヘンリーの研究室 大嵐 巨大ダコにつかまったー 絶体絶命 真実の声を聞いて ! 深い海の底からの声 チャレンジャー号、さようなら うちへ帰りたい お話のふろく・ かんちょう きょだい せったいせつめい うみ力いぶつ しんしつ おおあらし はなし うみそこ こえ かえ 2 6 7 ・ 2 0 ・ 3 2 ・ 5 4 けんきゅうしつ き きようじゅ こう こえ

9. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

ちょうさ かいぶつ どんな怪物であろうと、いずれわれわれがっかまえて、調査し、その正体をあ ちしき きようふ かいめい きようふしんき ・カ、刀′、てを、 ばいてみせる。なぞが解明できれば、恐怖心は消える。科学的な知識が、恐布 こくふ′、 そうじゃないかね、ヘンリーくん ? 」 を克服するのだ〇 「はい・ そうです」 ちしき おも 『わからないから、おそろしいと思う。だが、科学的な知識か、 「ふむ : きようふ 恐怖を克服する』ーー」 きようじゅ じぶん くちなか 教授は、自分が言ったことばを、ロの中でくり返した。 こうえん 「なかなかいいそ。このことばを、講演のときに使、つとしよ、つ」 ゴロゴロゴロゴロ : そのとき、どこかで雷が鳴った。 かお ジャックは顔をあげた。 士 6 亠ま ノ、ろ / 、、も そら いつの間にか、真っ黒な雲が、空ぜんたいをおおっている かぜふ とっぜん、強い風が吹きつけてきた。 こくふく 0 0 つよ かなり 0 かえ つか 0 しようたい 8 ・巨大ダコと海の神秘

10. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

お話のふろく , ーー巨大ダコと海の神秘 しんかろん ダーウインの〈進化論〉と、フォーブズの〈無生物帯説〉 ご、つ まえ たんけんよんじゅうねん チャレンジャー号の探険の四十年ほど前、イギリス人のチャールス・ダーウィ ご、つ たんけんちょうさ さんか ンは、ビ 1 グル号による世界一周の探険調査に参加し、めすらしい動物や昆虫 ひょうほん きこくご あっ せいぶつ の標本を、たくさん集めました。帰国後、「すべての生物は、ごくかんたんな しゆるい せいぶつ すこ かんきようてきおう へんか 生物から少しずつ変化し、環境に適応したものが生き残って、さまざまな種類 えだわ はっぴょう しんかろん ・刀し一、し に枝分かれした」という〈進化論〉を発表しました。そのなかで、「海底の生 ぶつ かせき 0 物は、陸では化石になってしまったものばかりだ」と進べています じん 一方、やはりイギリス人のエドワード・フォーブスは、ドレッジ調査から、 うみふか せいぶっしゆるい すいしん 海が深くなるにつれて生物の種類が減ることに気づき、「水深六〇〇メートル しゅちょう せいぶっそんざい むせいぶったいせつ 以上の海には、生物は存在しない」という〈無生物帯説〉を主張しました。 と せつぎもん チャールズ・トムソン教授は、こ、つした説 ( こ疑問をもち、海のなぞを解くた ご、つ たんけんちょうさ めに、チャレンジャー号による探険調査を計画したのです はなし しよう つほ、つ うみ きょだい きようじゅ せかいいっしゅう うみしんび へ むせいぶったいせつ じん のこ 0 うみ どうぶつ ちょうさ こんちゅう 154