チャレンジャ - みる会図書館


検索対象: [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊
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1. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

、」、つ、力し チャレンシャー号の航海 ご、つ 一八七二年十二月、イギリスを出航したチャレンジャー号は、大西洋の調査 なんたん やくいちねんつい に、約一年を費やしました。それから、アフリカの南端ケープタウンで約一か 1 レきゅう のりくみいんばうかんふく だいだいてき しゅうりおこな なお げつはんかんばんは 月半、甲板を張り直すなど大々的な修理を行い、乗組員に防寒服を支給して、 けんきゅうしゃ のりくみいんかんどう ひょうざんうみうつく なんきよくかい すす 南極海へ進みます。そこで、氷山や海の美しさに、研究者も乗組員も感動し、 ひょうざん ひょうざんしやしんさっえい せかいはっ 世界初の氷山の写真が撮影されました。その一方で、氷山にぶつかったり、濃 きけんめ む のりくみいんこおり うみお 霧につつまれたり、乗組員が氷の海に落ちるなど、危険な目にもあいました。 ご、つ すす その後、オ 1 ストラリアへと進んだチャレンジャー号は、ニュ 1 ジーランド、 かながわけんよこす けいゅ めいじはちねんはるにつほんと、っちゃく フィリピン、香港などを経由して、明治八年春、日本に到着。神奈川県の横須 につばん めいじしよき のりくみいん かふねしゅうり 賀で船を修理するあいだ、乗組員たちは、明治初期の日本を見てまわりました。 につほんじんせいかっしゅうかん のりくみいん かぞく てがみ につほんしぜん ある乗組員は、家族にあてた手紙に、日本の自然や日本人の生活習慣にふれ、 まず ひとすく 「野菜がおいしい」「ひどく貧しい人が少ない」などと書いています。 きよう きようレ」 はなしと、つじよう り・よかんと このお話に登場するヘンリー・モースリーは、京都の旅館に泊まったり、京 にっぽん 、り・よ、」、つ 十 / しし よこはまじんりきしゃ 都から横浜へ人力車で旅行をしたりしました。この滞在で、ヘンリ 1 は、日本 亠イチエムエス レ」 やさい ねん ホンコン がっ ごう しゆっこ、つ つほ、つ み たいせいよ、っちょうさ やくいっ のう 155

2. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

ひろ チャレンジャ 1 号では、たたまれていた帆が、つぎつぎに広げられている 「さようなら、チャレンジャー号 : ! 」と、ジャックがつぶやいた。 そのとき、アニ 1 が、あわててさけんだ。 「たいへん ! わたしたち、〈幸せのひけっ〉を、見つけなかったわー えがお 「ちゃんと見つけたよ」ジャックは、笑顔でこたえた。 もの おも 「すべての生き物に、思いやりの心をもっこと : ? なんだか、あたりまえすぎるわ」 「それが〈幸せのひけっ〉 ひと ご、つひと 「でも、それに気づかない人もいる。チャレンジャ 1 号の人たちだって きようじゅ くち あのトムソン教授でさえ、大ダコが口をきいて、はじめて気づいたんだ」 きせき 「奇跡を、目の当たりにするまで、気づけなかったのね」 きせき 「でも、考えてみれば、タコがタコであることだって、奇跡だ」 にんげんにんげん 「人間が人間であることも、ね」 ちきゅうじよう きせき 「地球上に、こんなにいろんな生き物がいることは、ほんとうに奇跡だよ」 かんか しあわ おお しあわ こころ もの 149 ・・・・・巨大ダコと海の神秘

3. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

おも すると、アニ 1 が、思わずさけんだ。 そ、っち み 「その装置を引きあげるのを、見てみたいわ ! わたしたちも連れていってー ご、つ ・けメル、刀ノ \ チャレンジャ 1 号を見学させてください ! 」 み ヘンリ 1 は、ジャックとアニ 1 を見やった。 「きみたちを : チャレンジャー号に : 「いいや、それはだめだ ! 」 ′、ちょう つよ はんたい かせい そのとき、ジョ 1 か強い口調で反対すると、トミ 1 も加勢した。 ご、つ せんせい ぐんかん 「モーズリー先生、チャレンジャー号は軍艦です ! 航海中に、こんな子ども の かんちょ、つゆる を乗せるなんて、艦長が許すわけがありませんよ ! 」 せかいはつだいきば しんかいたんけん み だが、ジャックも、世界初の大規模な深海探険のようすを、ぜひ見てみたい。 そこで、ここぞとばかりに訴えた。 し しんかい 「ばくたち、みなさんが調べている深海のことを、もっと知りたいんです。ぜ ひ、見学させてください。おねがいします ! 」 ひ うった こ、つ力いちゅう っ 8 5

4. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

だいす が大好きになったそうです しゅうり レ」、つ ごう お さがみわん せとないかし 修理を終えたチャレンジャー号は、相模湾から瀬戸内海へと移動しながら、 ちょうさ なんたん につほんきんかい たいへいようおうたん 日本の近海を調査したあと、太平洋を横断し、南アメリカ南端のマゼラン海峡 しゅ「こ、つ とお さんねんはんご きかん を通って、出航から三年半後の一八七六年五月、イギリスに帰還しました。 チャレンジャー号の苦労 ご、つ チャレンジャ 1 号は、出航した直後から大しけにあい、クリスマスのごちそ レ」 ちゅう けんきゅうしゃ ふなよ ふなで うは宙を飛び、研究者たちは船酔いし、たいへんな船出となりました。 ひ いちじかん しす また、ドレッジは、重りをつけて二千メ 1 トル沈めるのに一時間かかり、引 しよう」 さんじかん すいしんちょうさ きあげるには、蒸気工ンジンを使っても三時間かかりました。水深調査やドレ さぎよう のりくみいん ふねか ッジ作業があまりにもたいへんなので、いたすらな乗組員が、船で飼っていた きようド ) ゅ とど オウムに、「トムソン教授 ! 四千メ 1 トルおろしましたが、まだ海底に届き おは ません ! 」とい、つことばを、覚えさせたりしたそ、つです。 ちょうさ きよりすす ひろ すす 航海は、一定の距離を進んでは帆をたたんで調査し、また帆を広げて進むと 一」、つ力し ′、ろ、つ おも しゆっこ、つ 0 つか ちよくご ねんごがっ おお みなみ かいてい ・刀いきよう 1 56

5. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

」り・よ、」、つ かぞく 家族で、ちょっと旅行に : 「ああ、え 1 とその : . り・よ、」、つ なんかい 「こんな南海の孤島へ さきゅう あの、砂丘のむこうで、キャンプをしてるの」 「ええ : 「キャンプだって」 「そうなの。うちのパパとママは、とんでもないところでキャンプするのが、 す 好きだから」 これはなんとも、アメリカ人らしいじゃないか ! それ 「は、はははは : ふね で、きみたちの船はーー」 ジャックは、ヘンリーのことばをさえぎって、話題を変えた。 ご、つ けんきゅうしゃ 「とつ、ところで、ヘンリ 1 さんは、チャレンジャ 1 号の研究者なんですか ? 」 ご、つ きみたち、チャレンジャ 1 号のことを知っているのかい ? 「なんとー しんかい けんきゅうしゃ ふね そうだよ ! わたしは研究者のひとりだ。あの船には、深海のなぞを調べるた 力いよ、つカ′、ー」や カカくしゃ めに、わたしのような海洋学者や化学者が、チ 1 ムを組んで乗っているんだ」 0 0 ェイチエムエス じん わだい ・ : 」と、アニ 1 し の 0 しら 5

6. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

わき すいへいふく 水兵服のふたりは、ボ 1 トの脇に立って、そのようすを見ている アニーが、ジャックの耳もとでささやいた。 よ 、カ 「お兄ちゃん、ボ 1 トになにか書いてあるわ。読める ? 」 よこ なお ジャックは、ずり落ちたメガネを直して、ポ 1 トの横に書かれた文字を見た。 ()D チャレンジャー号 せんたい おきていはく はんせんみ 沖に停泊している帆船を見ると、船体の横に、おなじ文字が書かれている ほんしら 「あれは、きっと、あの帆船の名まえだな。よし、本で調べてみよう」 さ / 、いん しんかいたんけん ジャックは、『深海探険』の本を開いて、索引でその名をさがした。 「あった ! 」 ひら ぶんしよう ジャックは、そこに書かれたページを開き、文章を読みあげた。 ご、つ 〈チャレンジャ 1 号〉の〈〉とは、「イギリス海軍の軍艦」と 亠イチエムエス ェイチエムエス みみ はんせんな ほんひら ご、つ ェイチエムエス よ み 力いぐんぐんかん 0 み 0 ・・・・・巨大ダコと海の神秘

7. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

はんせん 「それじゃ、あの帆船は、世界じゅうの海を、はじめてくわしく調べてまわっ おも と田 5 、つよ、つになっていた。 や海底の状態を、もっとくわしく調べたい、 、刀つ、刀い うみたんけんちょうさ せいふきようりよく そこで、イギリスの学会と政府が協力し、世界の海を探険調査するという、 大事業を行うことになったのである。 ご、つ ぐんかん ほんかくてき 力いよ、っちょうさ 、かい第 : っ 軍艦のチャレンジャ 1 号は、本格的な海洋調査ができるように改造され、 ろくにんけんきゅうしゃ 力いぐんしかんすいへいやくにひやくよんじゅうにんの 六人の研究者のほか、海軍士官と水兵約二百四十人を乗せて、一八七二年 ねん にイギリスを出発した。そして、一八七六年まで、およそ三年半をかけて、 たいようたんけんちょうさ 北極海をのぞく世界のすべての大洋を探険調査し、帰国した。 おお しんかい 力、か′、て」 かいめし しん この調査で、多くの深海のなぞが科学的に解明され、まちがって信じられ しんじつあき ていたことも、真実が明らかになった。 げんざい 力いようカくちしきおお ご、っちょうさけつか 現在の海洋学の知識の多くは、このチャレンジャ 1 号の調査結果がもとに なっている。 つきよく、かし だいじぎようおこな かいてい ちょうさ じようたい しゆっぱっ せかい せかい しら 、つみ せかい さんねんはん しら ねん ・・・・・巨大ダコと海の神秘

8. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

海の怪物 艦長とトムソン教授 ヘンリーの研究室 大嵐 巨大ダコにつかまったー 絶体絶命 真実の声を聞いて ! 深い海の底からの声 チャレンジャー号、さようなら うちへ帰りたい お話のふろく・ かんちょう きょだい せったいせつめい うみ力いぶつ しんしつ おおあらし はなし うみそこ こえ かえ 2 6 7 ・ 2 0 ・ 3 2 ・ 5 4 けんきゅうしつ き きようじゅ こう こえ

9. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

お話のふろく , ーー巨大ダコと海の神秘 しんかろん ダーウインの〈進化論〉と、フォーブズの〈無生物帯説〉 ご、つ まえ たんけんよんじゅうねん チャレンジャー号の探険の四十年ほど前、イギリス人のチャールス・ダーウィ ご、つ たんけんちょうさ さんか ンは、ビ 1 グル号による世界一周の探険調査に参加し、めすらしい動物や昆虫 ひょうほん きこくご あっ せいぶつ の標本を、たくさん集めました。帰国後、「すべての生物は、ごくかんたんな しゆるい せいぶつ すこ かんきようてきおう へんか 生物から少しずつ変化し、環境に適応したものが生き残って、さまざまな種類 えだわ はっぴょう しんかろん ・刀し一、し に枝分かれした」という〈進化論〉を発表しました。そのなかで、「海底の生 ぶつ かせき 0 物は、陸では化石になってしまったものばかりだ」と進べています じん 一方、やはりイギリス人のエドワード・フォーブスは、ドレッジ調査から、 うみふか せいぶっしゆるい すいしん 海が深くなるにつれて生物の種類が減ることに気づき、「水深六〇〇メートル しゅちょう せいぶっそんざい むせいぶったいせつ 以上の海には、生物は存在しない」という〈無生物帯説〉を主張しました。 と せつぎもん チャールズ・トムソン教授は、こ、つした説 ( こ疑問をもち、海のなぞを解くた ご、つ たんけんちょうさ めに、チャレンジャー号による探険調査を計画したのです はなし しよう つほ、つ うみ きょだい きようじゅ せかいいっしゅう うみしんび へ むせいぶったいせつ じん のこ 0 うみ どうぶつ ちょうさ こんちゅう 154

10. [拡大写本]巨大ダコと海の神秘 第1分冊

かいぶつ 「怪物だ ! 子どもたちがさらわれた ! 」 いま、助けてやるぞ ! 」 「しつかりしろー おおごえ 乗組員たちが、甲板から身を乗りだし、大声でさけんでいる タコが、びつくりして、ふたりをつかんでいた足をほどいた。 ジャックは、ふたたび海中にほうりだされた。 ご、つ そこへ、チャレンジャー号から、ロ 1 プのついた浮き輪が投げこまれる。ジ むちゅ、つおよ ャックは、コルクの浮き輪に向かって、夢中で泳いだ。 「お兄ちゃん ! 」 かおみ こ、ん なみま 声のほうを見ると、波間にアニーの顔が見えた。 こっちに手をのばせ ! 」 、つ ふたりは、しつかりと手を取りあって、いっしょに浮き輪をつかんだ。 のりくみいん 絶体絶命 ぜったいぜっめい かんばん 力いちゅう たす あし 1 1 1 ・・・・・巨大ダコと海の神秘