税金 - みる会図書館


検索対象: 「デパートを税金で救う国」の行く末
83件見つかりました。

1. 「デパートを税金で救う国」の行く末

る。政府・金融再生委員会の側の態度から見ても、銀行の側から見ても、これ以上 税金で企業を救わないという保証はどこにもないということになる。すでに第一ホ テルやライフにこの「特約ーを使うとされている。同じ形でゼネコン救済もあるだ ろう。七〇兆円の仕組みがある限り、こうした形での救済の可能性は残っている 仮に、特約を使わなかったとしても、公的資金で資本注入を受けた銀行が、税金 を原資にゼネコンの債権放棄に応じること自体問題だ。銀行が資本注入後に債権放 棄に応じた額は全体で三兆円から四兆円ほどある。すでにこういう形で企業救済は 行なわれているわけだ。 一言 市場経済の下では、経営が破綻すれば倒産するのは当然のことだ。資本主義の下 提 人でも、ルールを守って企業が経営されているかを政府がチェックできる仕組みにし 員て、その機能をきちんと果たしていくことが必要だ。 議 さらに企業が破綻した後の処理、たとえば雇用対策、下請け企業対策などの政策 手 若 が必要になってくるので、整備が必要だ。ゼネコンもしかり。無駄な大型公共事業 章 の発注でゼネコン企業をこれまで甘やかしてきたことで、むしろゼネコンを立ち行 五 第 かなくさせてきているという側面がある。とはいえ、ゼネコンの内側では下請け建 = = 業社などは利益を吸収されているだけ、という実態がある

2. 「デパートを税金で救う国」の行く末

Ⅱ 8 金保険機構 ( 国 ) に対して行なうことを意味している そうなれば、今度はゼネコン救済に税金を投入するという話に発展していくほか はない。当然ながら「百貨店に対する税金投入による救済ーが国民的な批判を集め たのと同様の批判が国民から浴びせられるに違いない。 熊谷組と同じ事情を抱え込んでいるのがハザマである。新生銀行は、四三〇億円 のハザマ向け貸出債権を保有している。そのハザマが、そごう問題が勃発した直後 にメインバンクの第勧銀などに総額一〇五〇億円の債権放棄を要請した。当然な がら、新生銀行は債権放棄要請という事態になれば、瑕疵担保責任条項を踏まえた 対応に動き出す。そこで、第一勧銀は、新生銀行分を肩代わりする格好の債権放棄 に出る覚悟を決めた。苦肉の策と言えるが、他人の損までかぶる経済行為には、株 主代表訴訟のリスクが付きまとう。 しかもゼネコンの場合、そごうと同様に債権放棄の効用が不透明といえる。建設 需要の回復の見込みが立たないからである。それだけはない。次第に明らかになっ てきたそごう破綻の影響が回りまわって、ゼネコンの首を絞め始めている 民事再生法適用という破綻認定の結果、そ ) 」うの納入業者の売掛債権の焦げ付き が不可避となった。実際、納入業者の連鎖倒産が発生し出している。この事態は、ゼ ほっぱっ

3. 「デパートを税金で救う国」の行く末

係大ありだったからである。 そして金融再生委員会などによる「国会対策」が本格化した。一九九五年の住専 国会や九八年の金融危機国会のように、衆議院議員選挙後の国会でそごう問題が主 役となって、国会が大揺れになることが見えてきたからである そごう救済策の実質合意が発表されたのは六月三〇日だったが、前日の六月二九 やすひさ 日、自民党加藤派の総会で、塩崎恭久衆議院議員は、金融再生委員会に対して「 ( そ ) 」う救済策を ) 考え直してはどうか総選挙があったからと、国会議員の意見も聞 かずに進められている」と、極めて厳しい批判を展開していた。 国民の税金を ろくに話し合いもせず、金融再生委員会と一部の与党首脳だけで、″ の投入する。ことになるそごう救済策を決めるなど、とんでもないというわけだ。 城 国民の間でも、「なぜ、我々の税金で一私企業を救わなければならないのか ! ーと 落 いう抗議の声が上がり続けていた。 よしみ のぶてる そ それを受けて七月五日、石原伸晃、田中真紀子、渡辺喜美、河野太郎ら、自民党 一一若手議員で立ち上げた「自民党の明日を創る会」の面々も、次々と反対の声を表明 第 それに押される形で七月七日には加藤紘一元幹事長が「債権放棄は白紙撤回すべき だ」と発言した。

4. 「デパートを税金で救う国」の行く末

S H 0 G A K U K A N B U N K 0 最 民間企業救済のために税金を投入する 「デバートを税金で救う国」の行く末 愚はまだ続く。政府の場当たり的処理 糸瀬茂は必ず未来を食い濱す ! 起て、国民ー アジアのリーダー 2 新政権の船出を「新台湾の政府」と祝 福する前総統が退任直後に語ったアジ 李登輝新台湾人の誕生 角間隆ア平和への想い。 こんな時代でも売るセールスマンバイブル景気が悪かろうとも営業成績は常に右 肩上がり。そんなトップセールスマン 徳田賢一一編著たちが語る成功の方法を一挙公開ー 看守が隠し撮っていた巣鴨プリズン未公開フィルム敗戦後、未曾有の試練となった「東京 裁判」。その舞台裏「巣鴨プリズン」の 織田文一一・著茶園義男・監修全貌を、看守が密かに撮っていた。 金大中と金日正の間に密約はあったの 田世紀論点シリーズ南北統一 か。世紀の半島情勢を予測・分析す 重村智計る斯界第一人者の洞察。 目から鱗 ! そもそもむし歯にならない 予防歯科医療「最前線」 方法があった ! 予防歯科医療の全国 9 本田典子佐藤篤司 oo 医院リスト付きー なぜ銀行新税は成功したか、ディーゼ 石原慎太郎「 5 人の参謀」 ル規制は ? 次々と政策を打ち出す石原 上杉隆知事の参謀活用術。

5. 「デパートを税金で救う国」の行く末

・不良債権の最終処理を進めると何が起きるか ・日本経済の底が抜ける ・産業界の主役交代が必要な時期 ・銀行は変われるのか ? 第五章若手議員五人の提言 明確なルールを作って、 健全な市場経済を回復させよ ! ・うさんくさい「費用の最小化原則」 ・銀行が見切りをつけている会社を助けても 債権回収など望めない ・ゼネコンはさらなる淘汰の時代に突入した ・未来のために、具体的なルール作りを急げ ・もう先送りはできない 国民に諮らず、勝手に結んだ 「瑕疵担保条項」は今すぐ解消だ ! ・結局そごうは税金で尻拭いした 石原伸晃 井 19 / 亮 1 84 182 180 179 1 93 192 1 91 190

6. 「デパートを税金で救う国」の行く末

絽 8 明確なルールを作って、健全な市場経済を回復させよ ! 石原伸晃 ( 自由民主党衆議院議員 ) ・デバートはイメージ第 7 、 T 民事再正法」。を選択してそご一プは 「悪役」】『にならずに済んだ ! ・新生銀行が「ウン」と言わない「再建案」一にどんな可能性がある というのか ? その再建案を鵜呑みにしようとした金融再生委員 会は何を考えているのか ? ・倒産寸前の企業を無理に助ける意味などナシ。ダメな会社が漬れ 、。るのは自明の理。そのためには ' 潰れる会社と潰れない会社をど こで線引きするかの、、公正で透明なルール作りが必要た。 ・無駄な道路や不要な公共施設をつくり続ける公共事業は転換の時 代に入った「 ( 「不良ゼネコン」を税金で救済するメリットはない。【一一一

7. 「デパートを税金で救う国」の行く末

幻 6 そごうが赤字を計上しているにもかかわらず、である。この事実を見過ごすわけに はいくまい。国の負担でもってそごうを再建する場合はもちろんだが、そうでない 場合でも経営者なら経営責任を取ってすべて返還するのが当たり前であろう。再建 計画にこのことが盛り込まれていないのはあまりにけしからぬことだ。 こうしたことから、株主責任や経営者責任が何ひとっ明確にされていないそごう の「経営建て直し計画」は「疑わしい」ばかりでなく「不適当」と言わざるを得な 三つ目は、これが一番大きな理由だが、百歩も二百歩も譲ってこの経営建て直し 計画がうまくいく、そして株主や経営者の責任も追及するから、国に債権放棄を要 求、すなわち国民に「税金で負担して下さい」と申し出ているのだとして、それで も私はそごうを救済することは不適切だと考える。 「モラルハザード」がいちばんコストが高い なぜなら、「そ ) 」うのような大きな企業を倒産させると影響が大きいから助ける」 ということになると、「小さなところなら倒れてもよいのだ」ということになるでは ないか。経営というのは会社が大きいか小さいかによって判断すべきではない。大

8. 「デパートを税金で救う国」の行く末

214 ・「瑕疵担保責任条項」がある限り、今後も不良債権の行方には要 、注意。、政府与党のゼネコン助けを看過するな ! あの「再建計画」を信用したのか ? そごう問題は、結局「落ち着くところに落ち着いた」というべき結果になった。 そもそも税金でもって一民間企業を救済するなどというのは言語道断と言わねばな らない。私は預金保険機構が提案し、金融再生委員会が決定した処理について大反 対をしていたが、それは次の三つの理由からである。 一つに、国が一〇〇〇億円近い債権放棄をしないと、そごうの経営建て直しがで きない、そして国の持っている二〇〇〇億円の債権のうち一〇〇〇億円分を放棄し てそれで経営建て直しをすると一二年間の間に残りの一〇〇〇億円が返せる、と言 っていたわけだが、 わたしはこの「経営立て直し計画」そのものが極めて疑わしい ものであると思っていた。 大体、百貨店業界というのは「構造不況業種」である。毎年毎年売り上げが落ち

9. 「デパートを税金で救う国」の行く末

開ならない ところで、そごうの処理を受けて「ゼネコン救済の可能性ーがなくなったか、と いうと、閉ざされていないし、消えていないと私は考える。それどころか、第二、 第三のそごうの可能性も依然としてある。一つは質疑の中などでも「そごうの債権 放棄」は正しかった、と政府が今でも答えていることだ。「慎重に、厳格に基準を作 って今後の不良債権処理にあたる」と答弁していること。じゃあ、そごうの処理は 慎重ではなかったのか、と言いたくなる。今後は「 ( 税金での救済を ) やらないのか」 というと、「やらないーとは言っていない。「慎重に、厳格に」ではあるものの、「 ( 税 金での企業救済を ) やる」ということなのだ。 ゼネコン救済に登場する「特約マジック」 もう一つは新生銀行だ。「特約」の対象はどこまでなのかというと、新生銀行の八 兆円、四五〇〇社分の債権すべてが「特約」の対象である、と八代社長が話してい る。ゼネコンもその中に入っているわけだから、当然「特約」の名の下に不良債権 を売り戻してくるであろうことは容易に想像できる さらに日債銀も同じような形で「特約」があり、同じように不良債権を抱えてい

10. 「デパートを税金で救う国」の行く末

220 さた の沙汰ではないし、企業のほうも税金を入れてもらう前にやるべきことを何もして いないのでは、今回のような結果を招くのは当然だ。 それに、長銀を新生銀行に移行させるときに取り決めた「瑕疵担保責任条項」は とんでもない内容であった。三年間の間に瑕疵が見つかったら担保しよう、という ものだが、 譲渡してたった数か月でこのそごう問題が噴出するなどは、なんという タイミングだろうか。本当にわからなかったはずなどあるわけがない。そごうに対 する不良債権など最初から知っていたはずだ。「瑕疵担保責任条項があるから国は担 保しなけれよ、ナよ、 ( し。オしーなんて、茶番もいいところである。そして問題は、政府与 党が「そごうを救済」という前例を作って、実はその後ろに控えるゼネコンを助け もくろみ ようとしている目論見が見えていたことだ。 結局そごうは、中小企業のために作った民事再生法を大企業のそごうに適用する という筋違いな形で決着した。今回は国が直接的に救済するという形は取らなかっ けたちが たが、今後、ゼネコンの桁違いの不良債権を政府与党がどう処理していくのか注意 深く見ていかなければならないであろう。