I S B N 4 ー 0 9 ー 4 0 4 6 5 1 ー 8 C 0 1 9 5 \ 5 5 2 E 定価 5 円 ] + 税 膩 IIIIIIIIIIIIII 川 9 7 8 4 0 9 4 0 4 6 5 1 9 そごうが発した債権放棄要 請に対して国が出した結論は 公的資金、すなわち税金の投 入だった。「一私企業を救う ためになぜ税金を使うのか ! 」 という国民の声が一斉に上が り、そごうは民事再生法を選 ばざるを得なくなった。それ でも結果的には、 一二三〇億 円もの税金がそごうのために 使われることとなる 日本は大借金国家だ。一九 九九年度末の国の債務は約五 一〇兆円と、破綻状態にある といってもい、。 それでも政 ばかり。その先には国家滅亡 2 のシナリオしか残されていな 、 0 ーリサイクル資料 ( 再活用図書 ) 除籍済
「景気対策より産業構造改革が先決」 塩崎恭久 ( 自由民主党衆議院議員 ) ・債権放棄に使われる金が税金であるにもかかわらず、その使い道 ー》を国民の代表たる我々の議論を経ないで決めること自体がおかし 』、ではないか。ー ( ・国民の税金を使うならば、今いくらお金がかかるかということよ 、最終的にどう決着がつくのかというルールの透明性が大切だ ・倒産を先延ばしすれば債務がもっと雪だるま式に増えていくい ま損をするよりもっと損をすることになるのは明らかた。 ・日本はオー / ンキングだと言われてきた。が、「業界内で整理 統合を行なった。建設業、】流通業でも再編・淘汰を行なうべきで ある。」同じことを建設業、」流通業でもやるべきだ。
未曾有の大借金国家・日本 問題先送りで湯水のように税金を投入している日本。二〇〇〇年度末の国と地方 の借金の合計は六四五兆円となり、の一・三倍近くになる。イタリアを抜い て、先進国中最悪の比率だ。 国債の形での公的債務だけを考えても、九九年度末で三三五兆円に達している。 かたや税収は五〇兆円を割り込んでいるにもかかわらず、八五兆円規模の歳出をし ている。うち一三兆円は国債費、すなわち借金の返済 ( 利払い及び満期償還金 ) だ。 当然借金は膨らみ、二〇〇〇年度末の国債残高は三六四兆円になる。 これを ( 数字の単位を換えて ) 家計に置き換えれば、すでに借金を三三五〇万円 も抱えている家庭が、五〇〇万円の年収しかないのに、年間八五〇万円を支出して いる。その内の二二〇万円は借金の返済だ。それを差し引いても年収を上回る支出 を行なっているので、当然借金は増え、翌年の借金は、三六四〇万円に膨らんでし 最 まうという構図だ。 たと 財政を家計に譬えるのは適切ではないという指摘もある。確かに人にはライフサ ■第 をえる日
232 イクルがあり、壮年期に借金を抱えても、死ぬまでにはそれを完済し、できれば幾 ばくかの遺産を子供に残そうとするのが普通だろう。しかし、国家は戦争や天変地 異でも起きない限り永続的に存続するので、借金をゼロにする必要はない。経済の まかな 成長により賄える範囲であれば問題ないというわけだ。 だが、どう考えても、現在日本の抱えている借金額は異常である。あるシンクタ ンクでは、国債、地方債、そして今後発行される財投債を合わせた長期債務は、一一 〇〇八年には一〇〇〇兆円を超えると試算しているほどだ。それほどの借金を抱え て、国をどう運営していこうというのか。経済成長率をはるかに上回るべースで借 はたん 金が増え続けると、結局、国家機能は破綻するしかなくなってしまう。今の日本は まさに、そういう状況にあるのだ。 国民は国の借金を支えきれるのか そもそも予算は、大蔵省の案をもとに国会で決められる。そのとき、税金だけで 足りないとなると、国債を発行して国民から″借金″することになる ( いわゆる赤 字国債がこれだ ) 。 では、大量の国債発行で何が起きるのか ?
民事再生法申請は結果オーライ とはいえ、私は、今回の民事再生法申請は、「結果オ 1 ライ」だと思っている。は じめから民事再生法で行くべきだった。会社更生法でも良い。国民のお金が関わっ ているのだから、裁判所が入ってオ 1 プンにしようということだ。ましてや資本注 入という形で国民の税金が預けられている銀行が債権放棄をするということは、間 接的ではあるけれども税金で債権放棄の穴埋めをしているようなものなのだ。そん なことをやっていいのか公的資金が注入されていない、まったく独立している一 提銀行が債権放棄するというのなら何の問題もない。そこの銀行が苦しくなるだけだ 人からだ。 五 しかし、現実的には、興銀をはじめ、ほとんどの主要銀行が公的資金の注入を受 員 議 けている。銀行が資本注入を受けているならば、その銀行が債権放棄をするときに 手 若 は法的に明確なルールのもとで金額を決めてもらう必要があるだろう。みんなで談 章 合のようなことをされては困るのである 五 第 それにしても、今、倒産させて回収をはかっていくのと、債権放棄をしてとりあ えず生き延ばしておいて二年後に倒産するのとでは、額が違ってこよう。あれだけ
に起こっているではないか ・適切に金融機関を監督するなら、今すぐ「天下り」をやめさせろ 、。金融庁は銀行を甘やかしてはいけない ( ( ( 結局そごうは税金で尻拭いした 「民事再生法」を申請させたことで、そごうを救済する手法は変わったものの、結 局そごうのために国民の税金が使われることには変わりない。救済費用が少なけれ ばいいという発想は間違いで、一民間企業を税金で救うことそのものが問題であり 提 人「費用の最小化原則」という説明は納得しがたい。国民との関係でいえば「税金を投 員入しないーということでなければならないのだ。民間企業を税金で救済する前例を かた サードを引き起こすことは想像に難くない。市 笋作れば「なんでもあり」のモラル 0 若 場経済を混乱させることにもなるだろう 章 そごうの場合、「民事再生法」の下でも、再生計画が認められれば結局、債務が免 五 第 除されることになる。それとて税金が使われるわけだから、これは債権放棄と同じ ことだ。しかも、銀行支援のために準備した七〇兆円から使われるのだが、ここに 旨ロ
え、丸抱えしたからだ。国が乗り出したら一次損失の穴埋めも税金でせざるを得ず、 早く引き渡したいために、譲渡先にとってなるべくいい条件で譲り渡しているにす ぎない。 これこそ″税金投入のモラルハザード″であろう。 銀行の不始末は銀行業界内で解決させるシステムに変革を 長銀処理には七兆円の公的資金を投入しているが、すでに三兆七〇〇〇億円くら いは返ってこない。「穴があいたら税金で」という仕組みを断ち切らねばこの失敗は しりぬぐ 繰り返すことになるだろう。銀行の不始末の尻拭いは、税金ではなく銀行業界の共 提同責任で処理するル 1 ルに基づかなければならない。 の アメリカの場合は、税金投入という仕組みにしていないため、損失を出したら銀 人 五 行業界の負担でカバーしている。また破綻した銀行を継承したあとに二次的な損失 員 が出た場合の処理についても、 ( 連邦預金保険公社 ) が約八割をカバーす 若 る仕組みだ。残りの一一割は譲渡先が負担をする。自体は銀行業界の保険料 五で成り立っているから、いすれにしても税金は投入されていないことになる。目茶 第 苦茶な経営をすれば自己負担になる形をとっていることで、銀行業界の中で自己規 律が働くようになっている。日本でもこうしたルールをきちんと確立させなければ
っても、結局、税金の間接支出であることは確かだ さらに、税金を投入したからと言って、そごうは再建できるのか ? そごうの再 建計画案を見ても、売り上げが右肩上がりに伸びていくという非現実的な前提で作 結局、行き詰まって、残りの債権を処理するため られたもので、現実性に乏しい。 にさらに膨大な税金が使われることになる可能性が大きい げんち だから、我々としては、質問書を突きつけて、国会の集中審議で言質を取ろうと 思っている。その審議で金融再生委員長が立ち往生するような事態にでもなれば、 このスキーム自体を止められる可能性もある。 また、仮にそごう救済処置がとられたとしても、将来再建がならなかったときに 日 は、責任を徹底的に追及して、それこそ国家賠償法に訴えてもいいし、行政訴訟を の 落起こしてもいい いずれにせよ、そごうが税金で救われるようなことがあれば、モラルハザードが そ 起きてしまう。次々と『うちもうちも』と出てくるだろう。セゾン、ハザマ、ダイ 章 ・ : 候補はいくらでもある。そのすべてを税金で救うのか ? 第 それを、潰したら消費者が困る、市場が混乱する、なんて理由をつけて、問題の 先送りばかりしていたら、日本はいつまでも立ち直れない」
208 のか、それともルールをもってやる道を行くのかということを選択することにほか ならない。会社更生法でも民事再生法でもいいのだが、いずれにせよルールに則っ てやることが必要だ。国民の税金を使うならば、今いくらお金がかかるかというこ とより、透明なルールに基づいて最終的にどう決着がつくのかということのほうが 重要だろう。 それはさておき、今回の騒動ではそごうを再建できるという前提のもとにすべて の話が進んでいたところが極めて滑稽だった。どれほど中身が腐っているかもわか らないのに、とりあえずこっちのほうが金額が少なくて済みそうだから、というの で債権放棄を決めたのだ。 その中で新生銀行は、放っておいてもそごうの債権が二割減価をすることはわか っていたのではないかと思う。そごうから出された再建計画で立ち直ることは簡単 ではないとわかっていたからこそ、「なぜ我々が護送船団みたいに付き合わなければ ならないんだ」と瑕疵担保責任条項を盾に預金保険機構に買い戻しを求めてきたの ではないだろうか。他のところも本当は冷静な目で見ているのだが「自分だけ乗り たくない」とは言えないものだから、きっとしようがなく付き合っていただけなの こつけい たて
ある信金の理事長は頭を抱えている。この先、地銀、第二地銀や中小金融機関の間 で、赤字決算への転落といった事態が発生することは避けられそうもない 外国投資ファンドの跳梁跋扈 ゼネコン、流通業など、我が国の企業群にそごう破綻の暗い波が押し寄せようと している一方で、そごうの一件で、いよいよ活発に動き出したのが欧米の投資ファ ンドである そもそも、そごう処理の紆余曲折は新生銀行の存在を抜いて語れない。新生銀行 が債権放棄に応じていれば、不透明さがあろうとも、おそらくそ ) 」うの再建計画は の着地していたに違いないからである 城 ところが、新生銀行は自らの負担による債権放棄を拒絶し、そごう向け貸出債権 落 の預金保険機構 ( 国 ) による買い戻し請求を行なった。これによって、そごう救済 ざせつ そ への税金投入が明白になって、再建計画が挫折した。少なくとも、表面上の動きを 一一追うと、こういう経緯になっている 第 その新生銀行の生みの親とも言えるのがリップルウッド・ホ 1 ルディングスとい う米国投資ファンドだった。リップル社が、倒産して国有化された長銀を買収して うよきよくせつ