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検索対象: そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く
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1. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

はいつでも払えるなど選択肢が多い 明日香は首をひねった。 「クレジットカードは自動引き落としが普通なのに、わざわざ入金 ? 不便じゃない のかしら。利用者に事情を聴いてみましよう」 明日香は、東京・新宿の百貨店で新型カードを使ってショッピングを楽しむ O*-Ä ( ) に聞いた。「遅い時間でもコンビニで払えるから使い勝手がいいわ」という答え が返ってきた。パソコン販売店でつかまえたサラリーマン ( ) も「お金のある時に 払えるので、便利です」と言う。 「入金の手間がかかるのに、払えるから便利 ? ますます分からない」。明日香は東 京・御茶ノ水の本社を訪ねた。信用販売部の田辺慶周さん ( 四 ) の答えは意外 。こっこ 0 「いえ、引き落としが不便と感じる人もいるのです」 利用調査によると、引き落としの際、預金では足りずカードローンなどで借金して 口座に入金、給料が出たら返す面倒な手続きをしている人がかなりいる。 「でも一括払いのお金が足りなければ、リポルビング払いがありますよね」。リポ払 いは毎月一万円など代金の一定額を支払う仕組み。一括払いと違い、残りの代金に利

2. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

2 。 4 二〇〇〇年の年末には約一億四千万枚まで増えた。だが、その後は毎月減少、二〇〇 一年九月には一億一千万枚まで落ち込んだ。 「それが十月から増えた。なぜ ? 」 孝造はニャリとした。 「日銀は銀行などに二千円札を受けとるよう、強く働きかけているそうだ。でも、そ れ以外にもニセ札と自動販売機に関係があるとの説が有力だ」 偽造紙幣の発見数はここ数年、急増した。情報機器の性能向上で作りやすくなった ためだ。 「最新の偽造防止策を施した二千円札は、ニセ札が少ない。信用できるから利用が増 えた」 「自販機はどう関係するの ? 」 「駅で二千円札が使える券売機が増えた」 二千円札が使える機械の比率は、二〇〇〇年末に約六 % だったが、二〇〇一年十一 月末には四五 % に上がった。 「偽造に強く、駅で使えない不便さも解消。利用増につながったんだ」。孝造が胸を 張ると、明日香は疑問を呈した。

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186 「問題は中高年が敬遠されがちなことだけではありません。好調な業種が限られ、す そ野が広がりにくいんです。まだ市場規模が小さいから、一握りの業種が突出するだ けで、伸びは高くはなりますが」 協会によると、全国の就業者全体に占める派遣労働者の比率は、一 % に満たない。 しかも、派遣事業は、一九九九年十二月に製造業などを除き原則自由化されたのに、 昨年派遣された解禁職種の労働者は、まだ全派遣者の二・三 % ( 首都圏 ) に過ぎな 「政府が人材派遣の拡大で、正社員の雇用が減るのを恐れ、利用者の利便性を無 視して派遣期間を一年に限定 ( 従来業種は三年 ) したのが原因です」。 アウトソーシングの売上高は派遣事業の 4 倍 納得した孝造は事務所に戻って「伸びているには違いないが、規制緩和の不徹底な どが足かせになっている」と得意げに報告した。そこに明日香が疑問をはさんだ。 「でも、規制だけのせいかしら ? 」。 「実は、もっと深い問題があるんだよ」。割って入ったのは、ちょうど遊びに来た何 でもコンサルタントの垣根払太だった。 払太は、エプソン販売 ( 東京・新宿 ) の人事課係長、川村健一さん ( 芻 ) から話を

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128 「納得できないねえ。夏休みは対象が七、八月の二カ月あるが、年末年始は、会社勤 めの人が休暇を取れる期間は限られている。これを散らすのは難しいよ」 所長と碁を打っていた、何でもコンサルタント、垣根払太が口をはさんだ。 「交通機関の利用者は勤め人だけじゃない。最近では繁忙期が消滅しかかっているら しい。サラリーマンの休みの分散よりも、もっと大きな変化が底流にあるんじゃない 力」 所長が大声を出した。 「そうか。そこを探り出せ ! 」 中高年が旅行に出かけるのは半数が平日 「行き詰まったら、現場に戻るのが調査の鉄則だ。どんな変化が起きているか調べよ う」。孝造は東日本旅客鉄道 ( 東日本 ) に向かった。二〇〇一年末、往復割引な ど二十一種類のきつぶの利用期間を見直した。従来は、繁に期には利用できなかった が、いつでも同一条件で使えるようになった。 販売課長の日野正夫さん ( 町 ) が理由を説明した。「利用が繁忙期に集中しなくな ったからです」。孝造は驚いた。

5. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

入るとドラム缶や袋が積まれ、中をのぞくと、鉱石ではなく、使用済みの電子部品が 詰まっている。「電機メーカーなどから持ち込まれます」と沼井さん。 金は電気を通し、さびにくい。加工もしやすく、たった一グラムから髪の毛より細 い糸状の金が三千メートル近くできるほどだ。バ ソコンや携帯電話などの小さな部品 に多くの配線を詰め込むには不可欠の材料だ。 「そうか、読めた ! 」。孝造はひざを打った。 「金鉱脈というのは使用済みの機器の部品だったのか」 沼井さんがうなずいた。「我々は " 都市鉱山。と呼んでいますよ」。電子部品から金 を取り出す化学処理の量は増え続けているそうだ。 「金生産増の陰にのリサイクルありか」。そう気付いた孝造は zæo に急いだ パーソナル企画本部の森田信さん ( ) は「資源の有効利用・環境対策の一つとし て金の再生を進めています」と切り出した。使用済みパソコンの回収・解体設備を導 入済みで、そこで分別した後に、金が含まれる部品は貴金属の再生業者に渡すらし パソコンの廃棄量は急増しており、電子情報技術産業協会の推計では、二〇〇一年 は八万トンを超す見通し。家電リサイクル法で回収義務があるのは現在、冷蔵庫、テ

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218 「天下り先が減る中で、新しい組織を生んでくれた r-eeo は、役所にとっては、金の 卵に見えるはずよ」 「分かったわ ! 」。明日香はポンと手を打った。 「技術は世界最先端でもシステム導入のやり方は旧態依然。役所など導入側の利益や 都合を優先して、利用者にとって便利かどうかという視点は後回しになっているわ。 その結果、高くて魅力に乏しい仕組みを導入してしまったんじゃないかしらね。どう りで、普及しないわけよね」 報告を聞いて、所長はうなずいた。 「利用者は後回しか。その点、ウチの方針は、依頼者優先だから、大丈夫だな」 たちまち、所長夫人、円子の表情が険しくなった。 「何言ってるの。最近、依頼が減ってるのよ。あなた、寝てばかりいないで、すぐに 調査のご用聞きに回ってらっしや、 し」 ( 二〇〇二年三月二十四日 )

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292 希望者には無料で診断士を派遣しており、これまでの利用は、約八千八百件と自治 体の中では群を抜く。耐震補強の支援もしている。危険だと診断されれば、筋交しゃ 壁を強化するなど改修工事に四百万円まで無利子で融資。九九年には費用の一部を一一 百万円まで補助する制度も設けた。 「そんなに手厚く。じゃあ、補修は順調ですね」。孝造の言葉に、磯貝さんは首を横 に振った。 「ところが、そうでもないのです」 診断した建物の七割以上は倒壊の危険があったが、補助金の利用は九九年度が三十 二件、二〇〇〇年度でも七十件にとどまった。二〇〇一年度から所得に応じて費用の 三分の一ー十分の九 ( 最大五百四十万円 ) を補助することにしたが、申し込みは二十 件強にすぎない。 事務所で報告すると、所長は「 " 先進自治体。でもその程度とは。なぜだ ? 」と絶 句した。孝造は、「制度を利用しても百万円以上の出費。磯貝さんはそれがネックで は、と推理してましたよ」。遊びに来ていた何でもコンサルタントの垣根払太が付け 加えた。 「リフォームと違い、耐震工事で家はきれいにならない。壁の補強で窓が減るなど不

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116 を持っカードを試作しました」と明かしてくれた。 孝造は目を輝かせた。 「ナゾは解けたぞリ —0 切符の目的は、共通化による乗客増だけではない。本当の 狙いは、沿線の系列流通企業も巻き込んでカードを作り、顧客を増やすことだったん 明日香がうなずいた。「情報技術 (—e) 利用についての覇権争いが、コンビニと の間で始まったんだわ」。 二人は事務所で報告した。 「電子マネーの物販への利用には、消費者保護の観点から規制もありますが、政府は 緩和も検討中です」 所長も感心した。 「なるほど。電子マネーは遠からず普及するかもしれないな。スイカはそのための布 石か。そのうち、君たちの給料も電子マネーにするかな」 そのとたん、二人は所長に、にじり寄った。 「そんな先の話はともかく、遅れている先月分を一刻も早くお願いします」 ( 二〇〇一年七月十五日 )

9. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

道路の自動料金収受システムはなぜ普及しない ? 技術は世界最先端でも利用者の便利は後回し みんなで出かけた花見の帰り高速道路の料金所で渋滞を尻目に高級車が「 ずるいなんであの車だけタダなん *0 専用」ゲートを素早く通り抜けた。「 だ」。「止まらず払える新システムですよ。知らないんですか」。探偵、深津明日 これは謎 る よく見ろ、ほとんど使われていない 香の指摘に所長はむっとした。「 あ だぞ」。 ラ カ ぞ 利用率は通行台数の 1 ー 2 % 明日香はすぐに調査を始めた。観察すると、 ( 自動料金収受システム ) 専用 お 三台。 路を通る車は一分にせいぜい二、 ゝに、こんな便利な仕組み 4 「支払いのわずらわしさもなく渋滞をすり抜けられる。確カ を使わないのは不思議だわ」 は、有料道路の料金所のアンテナと自動車に付けた専用車載器の間で無線で

10. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

時間のゆとりが経済の効率化につながる 「日本経済全体への影響も調べましよう」 明日香は孝造と落ち合うと、東洋大学助教授の駒村康平さん ( ) を訪ねた。駒村 さんによると、高齢化で退職者などが増え、国民全体でみた " 可処分時間。が増えて いる。これは、仕事や睡眠などを除いた個人が自由に使える時間だ。 十五歳以上の国民一人の平均可処分時間は、九七年には、八〇年比で約四〇 % も増 キ シえ、一日当たり約六時間にもなっている。この時間のゆとりこそが、交通の利用時期 【一をなだらかにし、繁忙期の混雑を緩和するのに寄与しているという。つまり、高齢化 間で生まれた余裕が、混雑緩和を後押ししているというわけだ。 「さらに別の効果も期待できます」と駒村さんは指摘する。 「繁忙期以外でも、平日の交通料金を引き下げて高齢者の利用を促せば、休日の混雑 を抑えることができる。努力次第で、混雑緩和の効果を一段と高めることができま 章 第 「年金や医療など高齢化の問題点ばかりが強調されがちだけど、経済の効率化につな げる発想があってもいいですね」。探偵二人は、大きくうなずいた。