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1. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

2 。 4 二〇〇〇年の年末には約一億四千万枚まで増えた。だが、その後は毎月減少、二〇〇 一年九月には一億一千万枚まで落ち込んだ。 「それが十月から増えた。なぜ ? 」 孝造はニャリとした。 「日銀は銀行などに二千円札を受けとるよう、強く働きかけているそうだ。でも、そ れ以外にもニセ札と自動販売機に関係があるとの説が有力だ」 偽造紙幣の発見数はここ数年、急増した。情報機器の性能向上で作りやすくなった ためだ。 「最新の偽造防止策を施した二千円札は、ニセ札が少ない。信用できるから利用が増 えた」 「自販機はどう関係するの ? 」 「駅で二千円札が使える券売機が増えた」 二千円札が使える機械の比率は、二〇〇〇年末に約六 % だったが、二〇〇一年十一 月末には四五 % に上がった。 「偽造に強く、駅で使えない不便さも解消。利用増につながったんだ」。孝造が胸を 張ると、明日香は疑問を呈した。

2. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

支払いの一部に使える。一ユフⅡ百円が目安で、値段の何割まで使えるかなど、店や 商品ごとに使用限度を決めている。例えば、洋服を買う際、値段の七割を円で払い、 残りをユフで払える。 参加している洋品店主は「不況で観光客はあてにできなくなった。地元客を大事に したい」と話す。ュフを使うと、地元商店間の売買が増え、地域内の円の流通も増え るという。観光収入は横ばい。 県外資本の土産物店も増え、おカネが地域外に流出し ている。浦田さんたちは、こうした流れに対抗して、地域の中でおカネが循環する仕 組みを作ろうとしている。 使うしか意味がないから、埋もれた人材や資源を生かす 東京に戻った明日香は、日本政策投資銀行に向かった。政策企画部副調査役の斉藤 成人さん ( ) は「不況は特に地方で深刻です」と資料を見せてくれた。民間金融機 関の預貸率 ( 預貯金に占める貸付金の割合 ) の統計だった。 九九年三月末は、東京都一四三・五 % 、大阪府一〇九 % に対し、地方圏 ( 東京、大 阪、名古屋の三大都市圏を除いた地域 ) は六七・四 % だった。 「これは地方ではおカネが十分回っていないことを示しています」と斉藤さんは指摘

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資格プームのホントの理由はどこに ? 増える「政府認定」プランドで、いざという時に備え 先輩、何を熱心に読んでいるんですか ? 」。探偵、深津明日香がカフ = で同僚、 加江田孝造をみかけて声をかけた。孝造の手から様々な資格の紹介本が落ちた。 「探偵稼業は不安定だからな。いざという時の備えさ」。顔を赤らめた孝造に明日 まあ、勉強嫌いの先輩まで興味を持つなんて、資格 " フームの広が 香が = = 「つた。「 りは、たいへんなものね。先輩、ここはひとっ背景を調べてみましようよ」。 印経験が伴わないと転職に有効とは言えないが・ 明日香は、所長の了解を得ると、資格教室を全国で展開する ( 東京・千代 デ田 ) を訪ねた。会計、法律など四分野の講座が中心だ。一一〇〇〇年度の個人受講生は 嶂約九万四千人で、一九九七年度の二倍以上に増えた。 第 広報部ジネラルマネジャーの京極守さん ( ) によると、受講者のうち三十代後 半から四十代は、社会保険労務士など独立開業も可能な講座、一一十代は昇進や転職を

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都心にインド料理店がなぜ増える ? 東京に集まるインド人技術者の″力の源 「フー、暑いわ」。探偵、深津明日香が汗だくで帰ってきた。「 そんなに暑いの か」。先輩の加江田孝造が尋ねると、「いえ、近所にできたインド料理店のカレー が辛くて」と水を飲んだ。すると、所長がソフアからガバッと起きあがり、ニ人 に調査を命じた。「そういえば、都心でインド料理店が増えていると聞いた。き っと何かあるぞ」。 在留インド人技術者数は 2000 人を超える 孝造と明日香は、聞き込みで知ったインド料理店協会の理事長、サトバーグ・シン さん ( ) から情報を得た。 「インド料理店は東京だけで約三百五十店。十年前の二倍以上ですね」 都心での増加が目立つようだ。 「なるほど。カレーを食べて現場調査とするかあ」。うれしそうな孝造の一言で、二

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154 三 % 下がった。 「なるほど、作品に恵まれ、実勢料金が低下したことで観客が増えたのか」。孝造が 事務所に戻ると、所長がたしなめた。 「だが、料金の下げ幅より観客の増加率の方がずっと大きい 。もっと大きな変化が起 きている可能性があるそ」 運営コストが低いシネコンという黒船 そのころ明日香は、映画館経営者の集まりである全国興行生活衛生同業組合連合会 に口かっていた。 「割引拡大の先導役は一九九〇年代前半から増えた外資系映画館です」。事務局長、 真保徳義さん ( ) の話に明日香は食いついた。 「えつ、外資系」 「欧米で成功した新型館を持ち込み、割引策に出たのです。その後、日本企業も同様 の館を展開し始めました」 「 " 黒船襲来 , ね。新型って何ですか ? 」。明日香は、日本総合研究所に駆け込んだ。 主任研究員、島田浩志さん ( 肪 ) は「多くのスクリーンを備えたシネマコンプレック

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228 気が高い。法律ができて取扱量が二ー三割増えました」とほほえむ。 「なるほど、新法で思わぬ効果があったわけか。回収はグローバルな中古市場の形成 にひと役買っているんだな」 事務所で孝造が報告すると、所長は渋い顔をした。「一カ所の話だけで結論を出す のは早い。 全体の動きをつかむんだ」と再調査を命じた。 使える家電が解体されている 話を聞いた後輩、深津明日香は年間百万台の家電を輸出する大手の浜屋 ( 埼玉県東 松山市 ) に向かった。「回収は増えたらしいですね」。明日香の階 1 、に社長のト林茂さ ん ( ) はかぶりを振った。そして意外な事実を明らかにした。 「逆です。新法施行以前に比べ三割以上減りました」 小林さんの説明では、従来、家電は量販店から「買い子」と呼ばれるプローカー経 由で持ち込まれるものが多かった。新品を売る際にサービスで引き取った中古が中心 だが、新法でごみとして引き取った家電はリサイクル工場に運ぶ義務が生じた。 の結果、仕入れルートが「壊滅状態になった」。このため、直接家庭から回収する動

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時間のゆとりが経済の効率化につながる 「日本経済全体への影響も調べましよう」 明日香は孝造と落ち合うと、東洋大学助教授の駒村康平さん ( ) を訪ねた。駒村 さんによると、高齢化で退職者などが増え、国民全体でみた " 可処分時間。が増えて いる。これは、仕事や睡眠などを除いた個人が自由に使える時間だ。 十五歳以上の国民一人の平均可処分時間は、九七年には、八〇年比で約四〇 % も増 キ シえ、一日当たり約六時間にもなっている。この時間のゆとりこそが、交通の利用時期 【一をなだらかにし、繁忙期の混雑を緩和するのに寄与しているという。つまり、高齢化 間で生まれた余裕が、混雑緩和を後押ししているというわけだ。 「さらに別の効果も期待できます」と駒村さんは指摘する。 「繁忙期以外でも、平日の交通料金を引き下げて高齢者の利用を促せば、休日の混雑 を抑えることができる。努力次第で、混雑緩和の効果を一段と高めることができま 章 第 「年金や医療など高齢化の問題点ばかりが強調されがちだけど、経済の効率化につな げる発想があってもいいですね」。探偵二人は、大きくうなずいた。

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の利用実験がほとんどうまくいかなかったと、聞きましたけど」。 街の物流・情報拠点をコンビニから駅に移せ 明日香がこの分野に詳しい日本総合研究所の上席主任研究員、高村茂さん ( ) に 聞くと、「過去の実験では電子マネーを使える店や入金機が少なかったが、駅や周辺 で使えれば、利用者は相当増えるはず」との答えが返ってきた。 思わず明日香は身を乗り出した。 「駅が電子マネー普及の起点に ? 」 「その通り ! 鉄道各社は、これをテコに、街の物流・情報拠点の地位をコンビニか ら駅に移したいようです。公益事業なので、のんびり構えていましたが、乗客減で危 機感を強めているんです」 「なるほど、コンビニですか。それは妙案ですね」。明日香は感心した。コンビニは、 すでに公共料金の支払い、ネット通販の商品受け取り、現金自動預け払い機 ä) の設置など様々なサービスを提供している。だが、電子マネー対応は、一部の店 が実験を始めたばかりで、駅がつけ入る余地がある。 さらに、明日香は、電子機器メーカーなどの組合が以前実施したアンケート結果を

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なせいま突然、中古住宅が脚光を浴びているの ? 不動産を現金にかえやすくし経済活性化狙う 事務所での昼食中、所長夫人の円子がつぶやた。「 、一住宅メーカーの宣伝が最 近、変わ 0 たと思わない ? 盛んに長持ちを強調し、中古住宅の良さを日して いるわ」。所長は、はしを休めて考えた。「確かに従来の姿勢とは違うぞ。一体、 理由は何だ」。ボーナスの査定が気になる探偵、加江田孝造と深津明日香はあわ てて、調査に飛び出した。 国も市場整備に協力的 二人は住宅大手、積水ハウスを訪ねた。「六十年、百年というように " 長寿 , を宣 伝するメーカーが増えましたね」と水を向けると、取締役の大江恵一さん ( ) は低 い声で答えた。 「中古住宅の市場を活性化したいのです。丈夫な家を増やせば中古物件が多くなりま すよね」

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どこでも通用する〃市場価値〃を備えた派遣労働者が少ない 孝造は、明日香に応援を求めた。 「人材派遣がどこまでアウトソーシングの影響を受けているか調べてくれ」 「確かに、最近は派遣からの切り替えを望む企業からの依頼が急増しています」 の 明日香は、営業のアウトソーシングを専門に受託しているコンフィデンス ( 東京・ て 新宿 ) に向かった。社長の是永英治さん ( ) の話に、明日香は思わず身を乗り出し わ 九八年創業の同社は、実は、九九年末の規制緩和に合わせて、営業職の人材派遣も 実績は十数人どまりだった。 始めたが、 一方、アウトソーシングの契約企業は、昨年からの一年余りで五十から百五十強と え百社以上も増えた。派遣からの変更も多く、業務丸投げのアウトソーシングが派遣を 章 侵食している構図も読み取れる。 第 9 「えーっ、そんなに。でもなぜ、派遣ではなくアウトソーシングなんですか」 「変革期の今、多くの企業が求めるのは、新規事業立ち上げへの支援。リスクが大き