孝造 - みる会図書館


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1. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

2000 円札を活用してコンビニの容積節約 孝造の報告に、明日香の目が輝いた。 「二千円札を払い出すが増えたんじゃない ? 」 「でも銀行では、そんな機械、見たことないよ。メーカーに聞いてみるか」 孝造は沖電気工業のシステム機器事業部担当課長、近藤和洋さん ( ) を訪ねるこ 、レナ′ 「二千円札を払い出すが増えたのでは ? 」。答えは意外だった。「ええ、実は、 銀行ではない所で増えているんです」。 力「銀行以外 ? 」。孝造が目を白黒させると、近藤さんは「コンビニですよ」とお札を 四枚取り出した。「さっき当社製でおろした八千円です」。孝造は叫んだ。 い「に、二千円札だ " ご お コンビニチェーンは銀行と提携しての設置を進めている。孝造はうなった。 4 「コンビニのが二千円札を出していたのか。理由は何だ ? 」 孝造はローソン・エイティエム・ネットワークス ( 東京・港 ) に急いだ。事業企画 室部長の佐藤裕泰さん ( ) が説明した。

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通信需要の拡大で、電子部品用や海外でのケープル向けが増えたこともあって、こ こ数年、銅の生産が伸びた。 「金の国内生産が増えたのは銅増産のせいですか」。孝造の質問に山田さんは「完全 に比例するとは言えませんが、一因でしようね」と答えた。 「なるほど。—e との関係がわかったそ」。満足そうな孝造に山田さんはズバリ言っ るこ 0 え 靦「実は話はまだ半分。消費者に身近なモノも金の " 原料。です。パソコンや携帯電話 明も金を生んでいるのですよ」 昨「—e 機器から金 ? 」。孝造が腕組みしていると、明日香が駆け寄ってきた。 川「先輩 ! 幻の金鉱脈の意味が分かりました」 懈「何どこにあるんだ」 ナ「オフィスや家庭です」 きよとんとする孝造を明日香は、田中貴金属工業の神奈川県の工場に連れて行っ 章 第 「ここで金などの貴金属を精製しています」 工場長の沼井芳典さん ( ) が工場を案内してくれた。「原料はこれです」。倉庫に こ 0

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驚いた孝造は、具体例を調べた。 日本アイ・ビー・エムには、慶応、立命館など全国の大学の学生が応募してくる が、参加者には、就職試験の一部を免除している。松下電器産業は一一〇〇〇年、成績 優秀な参加者を無試験で採用するインターンシップを始めた。 「いま大学に行けば、前より多様な就職機会が得られるぞ ! 」。孝造は駅で落ち合っ た明日香に調査内容を話した。すると、明日香が新たな情報をもたらした。 「企業とのバイプだけじゃなさそうです、見て下さい」 キ 専門学校に行かなくても資格の勉強ができる の 幽取り出したのは、武蔵大学の金融学科が志願者に配る小冊子だった。 「資格取得を目指そう」と書いてあった。「えつ、大学で資格。一体何が起きている んだ ? 」。孝造は武蔵大学に向かった。 れ 「証券アナリストという資格を目指す特別講座を昨年度に始めました」。教授の黒坂 章 佳央さん ( ) の説明に、孝造は思わず「まるで、専門学校ですね」。 第 「そう言って反対する声が学内にありましたが、『就職に有利な大学』をめざすしか ないんですよ」

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236 した。それでも放流が続いた新潟県は釣ったバスの再放流を禁止する規則を設けた。 孝造は腕を組んだ。 「釣り客目当ての業者や釣り人が放した可能性が高い。でも規則を犯してまで放流す るほど多くの釣り人がいるのか ? 」 撲滅あきらめ″公認釣り場〃を増やす動きも 孝造は釣り具メーカーなどの団体、日本釣振興会を訪ねた。企画調査役の瀬戸康記 さん ( ) はレジャー白書を示した。 「九九年に男性が参加したスポーツで釣りは二位。国民的支持を得ています。特にバ ス釣りは人気です」 九二年に約百七十億円だったルアー釣り用品の出荷額は、九八年は約七百六十億円 と四・五倍に。「市場が急拡大していた」。孝造は驚いた。 「バス釣りの大流行で、各地で放流されたのが原因のようです」。二人が事務所で報 告すると、所長は首をひねった。 「しかし、漁場を管理する行政や漁協は見過ごしていたのか ? 」 再調査を命じられた孝造は、滋賀県の琵琶湖の実態を調べることにした。

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主にボランティア的なサービスの交換に使う 「勝手におカネを造 0 ていいのかな」。けげんな顔の孝造を引 0 張って明日香は日本 総合研究所に急いだ。 「地域通貨は市民団体などが独自に発行する疑似通貨。主にボランティア的なサービ スの交換に使うので、国もホンモノの通貨とは見なしていません」。同研創発戦略セ ンター研究員の嵯峨生馬 ( ) さんが説明してくれた。 6 広がる地域通貨いまなぜ ? 不況克服へ市民による手づくりの " 公共事業。 「地域だけで使えるお金、地域通貨があちこちで増えてるらしいの」。探偵、深 津明日香が、先輩、加江田孝造に言った。「地域通貨 ? 」。きよとんとする孝造 に、所長が鋭い視線を投げた。「欧州ではニ〇〇ニ年一月から単一通貨ューロの 貨幣流通が始まったのに、なぜいま、地域なんだ」。探偵ニ人は事務所を飛び出

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明日香の話を聞いた孝造はうなった。 「合理的なのは分かった。でも、多スクリーンの利点がはっきりしない。観客にとっ て何か新しい魅力があるはずだ」 明日香が孝造の手を引いた 「そうだ、行き詰まった時は現場です。先輩、実地調査に行きましよう」 二人は東京都臨海部にある十三スクリーンのシネコンをのそいた。二人連れの女性 に尋ねた。 「どの映画をみるの ? 」 「まだ決めていません。多くの中から選べるのが、シネコンのいいところじゃない」 衛星使いテレビ番組を上映することもできる 「何をみるか決めずに来た ? 」 驚いた孝造と明日香は、シネコン三館を運営するヘラルド・エンタープライズの社 長、八十河瑞雄さん ( ) に聞いた。 「選択肢の多さが魅力です。競合地域ではスクリーン数の多い方に客が流れます」 明日香は考え込んだ。

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都心にインド料理店がなぜ増える ? 東京に集まるインド人技術者の″力の源 「フー、暑いわ」。探偵、深津明日香が汗だくで帰ってきた。「 そんなに暑いの か」。先輩の加江田孝造が尋ねると、「いえ、近所にできたインド料理店のカレー が辛くて」と水を飲んだ。すると、所長がソフアからガバッと起きあがり、ニ人 に調査を命じた。「そういえば、都心でインド料理店が増えていると聞いた。き っと何かあるぞ」。 在留インド人技術者数は 2000 人を超える 孝造と明日香は、聞き込みで知ったインド料理店協会の理事長、サトバーグ・シン さん ( ) から情報を得た。 「インド料理店は東京だけで約三百五十店。十年前の二倍以上ですね」 都心での増加が目立つようだ。 「なるほど。カレーを食べて現場調査とするかあ」。うれしそうな孝造の一言で、二

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あ ラ ニセ札が関係 ? 明日香は友人に電話してみたが、「最近、見ない」「記念に一枚持 0 ているだけ」と 、 0 た返事ばかり。首をかしげる明日香を尻目に、孝造は「日銀に聞いてみる」と事 お 務所を出た。 。「確かに増えているぞ」。戻 0 た孝造が統計資料を差し出した。明日香は目を疑 0 た。 「この五カ月で、七五 % 超の伸び」 二千円札の流通高 ( 日銀の支払いから受け入れを引いた枚数 ) は、発行が始ま 0 た いま街に 2000 円札が増えてるって ? 銀行のコンビニでの顧客獲得競争で「特需」 「ニ千円札が急増しているらしい」。神田のご隠居、古石鉄之介さんが不思議な ウワサを聞いてきた。探偵、加江田孝造と深津明日香は顔を見合わせた。「ほん とうですかめったに見ませんよ」。所長の目が光った。「何か大きな変化が起き ている。すぐに調査だ ! 」。

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る」 孝造と落ち合った明日香が報告した。「ある欧州系メーカーの日本法人は、左ハン ドル車の盗難が増えたと証言してます」。孝造はひざを打った。 「そうか、欧州で盗みにくくなった分、日本が狙われた可能性がある。大変だ。対策 が遅れれば、被害が増える」 防犯の〃切り札〃の装着義務づけは「強制できない」 日本での対策を探ろうと、東京海上火災保険を訪ねた。個人商品業務部課長、木島 秀明さん ( ) が教えてくれた。 力「イモビライザー ( ィモビ ) という防犯装置の普及を促そうと、装着車の保険料を五 ぞ % ロり引くことにしました」 ィモビはキーとエンジンに認証データを組み込み、一致しないと始動しない仕組 お 、。「が義務づ み。盗んでキーを複製しても、データがないので、車を動かせなし 4 けたのもこの装置」と木島さん。孝造は納得した。 「防犯の切り札ですか。普及で被害が防げますね」 一一〇〇一年、警察庁や国土交通省など四省庁と損保・自動車業界による「官民合同

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抗があります。話が合いにくいのです」 フィットネスクラブや電子メールで友人を見つける 二人は事務所に戻った。孝造は会員減少の理由に元気な高齢者の増加を挙げなが ら、「石川さんは、クラブの役員になった時の雑用が敬遠されると嘆いていました」 と付け加えた。 神田のご隠居は「だから、世話好きのわしを誘ったのかな」と納得した。だが、所 長はかたい表情のままだ。「元気な高齢者の増加はいまに始まったことではない。何 か別の理由を見落としている気がするそ」と、探偵二人を再び街に送り出した。 孝造はヒントを求めて、神奈川県海老名市に向かった。 会員増に熱心な老人クラプ「東建ゅうゆう会」の会長、早津袈裟雄さん ( れ ) は 「スポーツや旅行などで親ばくを深めていますが、それなら入会しなくてもという人 もいます」と明かした。 孝造はハッとした。「発想を変えよう。高齢者がクラブに入らずどこに行ったかが カギだ」。そう思いながら、東京に帰ると、明日香が待ち構えていた。 「先輩、ついて来て ! 」