海外旅行 - みる会図書館


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1. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

「ここ数年、花粉症が深刻化する二月、三月に海外旅行者が際立って増えています」 特に、花粉の飛散量が多かった二〇〇〇年二月は、前年比一二・四 % と二ケタ増と なり、二〇〇〇年全体の海外旅行者の伸び ( 八・九 % 増 ) をかなり上回った。 「花粉症と海外旅行 ? 」 その足で東京・丸の内の e のオフィスを訪ねるとナゾが解けた。一階にある 「ロイヤル倶楽部」で中高年向け高額商品を扱う支配人、原田圭子さんがズバリ指摘 坊「花粉症の季節になると海外への〃脱出組〃が増えるんです」 花粉症の原因とされるスギやヒノキの花粉から逃れようと、アジアなどのリゾート ラ 力に行く人が増えているというのだ。利用者の平均年齢は六十歳で、必ずしも高額所得 者だけではない。一カ月単位でハワイのコンドミニアムに滞在する新型ツアー ( 三十 万円から ) も好評らしい お「消費支出が海外に流出しているとは : ・ : 」。昨年の海外旅行支出は前年比六・八 % 章 増えたが、 これには花粉症も「寄与」した格好だ 第

2. そうか、わかった!いまどき日本経済 : エコノ探偵団デフレの街を行く

130 旅客全体の動向を確かめようと、明日香は、財団法人日本交通公社 ( 東京・千代 田 ) に向かった。 観光マーケティング部主任研究員の種田守孝さん ( ) が示したグラフは、決定的 だった。法務省の出入国管理統計をもとに月別の海外旅行者の割合をみると、混雑月 を避ける六十歳以上は六十歳未満とは正反対の動きを示す。 「国内旅行も同じ傾向です」 種田さんらが、過去三年間に旅行した延べ四千七百人に旅行時期を聞いたところ、 中高年のグループ旅行では、全体の半数が「平日」と回答。小中高生の子供がいる比 較的若い世代は、六割弱が「夏休み、ゴールデンウィーク、年末年始」と答え、対照 的だった。 国内・海外旅行とも、六十歳以上の旅行者の割合が急増。海外は、八五年の八 % が 二〇〇五年には二〇 % 弱に、国内も九〇年の一八 % が、二〇一〇年には三〇 % を超え る見通しだという。 「混雑の緩和には、サラリーマンの休日分散以上に、高齢の旅行客が繁忙期を避ける という大きな動きが影響していたわけですね」。明日香が念を押すと、種田さんはう なずいた。

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嶋さん。明日香は「つまり、休みが増えることで成長する産業があるのね」と感心し こ 0 さらに、明日香は、日本旅行業協会で休暇と旅行の関係について聞いた。 「休みが増えれば、旅行も増えます」 広報副室長の松沢勇夫さん ( ) は、即答した。 国の調査では、三日以上の連休が増えたときに、しこ、 オしことの筆頭が宿泊旅行。祝 日三連休化法ができて初の三連休があった二〇〇〇年一月には、国内旅行が前年に比 べて五四 % も伸びたという。 「海外や自宅で過ごす人も多いですよ。ほんとうに国内消費に結びつくのですか」 明日香が聞くと、「長期休暇が増えれば、それも変わります」と松沢さん。今は休 みが短くて、移動日が集中するので、交通機関や観光地が混雑、国内旅行は伸びにく い。松沢さんは「しかし、旅行日が分散すれば、国内旅行はまだ伸びます」と説明す る。 「狙いが見えてきたぞ」。明日香の報告を聞いた孝造がつぶやいた。 「休みが増えれば、観光関連の消費が伸びる。ただ、細切れだと宿泊できないし、観 光地が混雑する。だから、連休化を進めたんだ」

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「ええつ、電車利用の繁忙期を打ち消すほどの分散効果がある。その担い手は、一体 だれだ ? 」 そのころ、探偵、深津明日香は、東京駅前の旅行会社ニッコウトラベルにいた。カ ウンターでは、欧州旅行を計画中の女性四人組がパンフレットを広げて、楽しそうに 打ち合わせ中だった。 「当社では、空港や飛行機が混雑する八、十二月の旅行者が最も少なく、五、六月と 九ー十一月がピークです」。顧客サービス統括担当取締役の田上哲さん ( 町 ) の話に、 キ シ明日香は身を乗り出した。 ジ 「分散してますね。その担い手は」 の 間「うちの顧客は、大部分が高齢者の方なのです。そちらのお客様もみな六十代です まよ」。田上さんは説明した。 旅行会社が航空会社から仕入れる国際線航空券の値段は、繁忙期になると、閑散期 れ の三倍から四倍にも跳ね上がる。時間が比較的自由な高齢者は、当然、繁忙期を避け 章 る。ここ数年、年間約一万三千人が同社の海外旅行に参加しており、そのうち七割が 第 9 リ。ヒ 1 ーターたとい , つ。 「混雑緩和のカラクリが見えてきた。高齢者が流れを変えた可能性があるわ」

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140 連れて行かれたのは、フィットネスクラブを展開する東急スポーツオアシスの多摩 川店 ( 東京・大田 ) 。孝造は仰天した。 「白髪の高齢者が大勢 ! 機器で体を鍛えているそ」 その中の一人、市原晴夫さん ( ) は、三年前から通っている。「ここでたくさん の友人ができました。夜一緒に飲みに行くこともあります。老人クラブに入る必要は ありませんね」。同社全店の会員のうち六十歳以上の割合は、九七年三月末で九 % だ ったが、今年は一三 % に高まった。 孝造はひざを打った。 「そうか。民間企業のサービスだな ! 真相に迫りつつあるそ」 明日香は旅行のことも探ろうと、系のシンクタンク、ツーリズム・マーケテ イング研究所 ( 東京・中央 ) の資料を調べた。六十歳以上の海外旅行者数は、一一〇〇 〇年延べ二百五十万人で、九五年より四二 % 増えた ( 同期間に二十代は一・五 % 減 ) 。 代表取締役の前田和久さん ( ) によると、高齢者は個人でバック旅行を申し込むこ とが多一い 「旅行中に友人をつくり、次も一緒に旅する人もいますよ」 孝造はその間、市原さんの名刺を眺めて、重要な点に気付いた。

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242 よ、よ 孝造は、実際に分析に携わった昭和大学の川口毅教授 ( ) を前もって訪ねてい 「未公表のデータですが」。そう言って川口さんは、一枚の紙を取り出した。それは 仕事への影響を千三十一人の患者に尋ねた結果で、四三 % までが「能率が落ちた」と 答えている。 「能率低下は個人差があるため、試算に反映されていません。国内では原因が特定さ れないまま、『感染しない花粉症は病気というほどの病気ではない』といった無理解 から、経済面も含め実態解明が遅れています」 2 月、 3 月に海外への″脱出組〃が増える 「消費はどうかしら」。孝造の話を聞いた明日香は、奮起して、調査を再開したが、 思うように手がかりが得られない。企業や個人が消費について真っ先に思い浮かべる のは、所得や雇用の状況で、花粉症までは注意していないからだ。 それでも、突破口は開き始めた。自らも花粉症という財団法人日本交通公社の観光 マーケティング部長、小林英俊さん ( ) から海外旅行の″異変〃を聞いたからだ。

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127 第 2 章 これがいまの世間のジョーシキ 繁忙期 ( お盆、年末年始 ) の交通量 8 高速道交通量 4 前年度同期比 % JR6 社旅客合計 90 年度 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 ( 注 ) 各年度ともお盆、年末年始の順。出所は国土交通省、日本道路公団。 2000 年度の年末年始の JR 旅客合計は、前年の 2000 年問題による落ち込 みの反動で大幅に増加 海外旅行の月別出国者割合 60 歳以上 9 8 7 60 歳未満 6 2000 / 3 4 5 6 7 8 9 10 11 2 12 01 / 1 ( 注 ) 2000 年 3 月から 2001 年 2 月までの 12 カ月合計に占める割合。 法務省「出入国管理統計」をもとに財団法人日本交通公社まとめ

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お盆・お正月の交通混雑はなぜ緩和されたの ? 増える高齢の旅行者が繁忙期避ける 「おい、年末年始に行った温泉は、快適だったぞ。昔に比べて交通混雑がぐんと 緩和しているんだ。ちょっと不思議だよな」。探偵、加江田孝造は友人から自慢 話を聞かされた。どうやら盆正月の「民族大移動」に異変が起きているらしい キ 「不景気のせいか ? よし調べてみよう」。孝造は調査に乗り出した。 お盆とお正月だけ高速道路交通量の前年割れ続く 「盆正月などいわゆる繁忙期の交通量は、一九九七年のお盆休み以降、ほば一貫して 前年比で減少が続いています」 れ 孝造は、ます全国の高速道路を管理する日本道路公団を訪ねた。営業部によると、 章 東名や中央道など主要六高速道の料金所の一日平均出入り交通量は、一一〇〇〇年のお 第 盆休みに〇・六 % 増だった以外、すべてのお盆、年末年始期間で前年割れが続いてい る。

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166 観光客数が上映により七十万人近くに増えました。旅行・女性向け雑誌などでロケ地 ガイド特集が増えている効果もあるみたいです」 明日香の報告を受けて、孝造も聞き取りの結果を報告した。 「地元の名所、そう " 顔。の売り込みに成功すると、すごいな。ちなみに最近、外国 人も訪れるような国際的な顔を磨き始めたところはないのかな」 「やはり北海道です。アジアでも上映された日本映画。』の 舞台、小樽の街では、アジアの若い女性旅行者が増えて、韓国・台湾からの宿泊客数 が市内だけで、昨年四千人に達したそうです」 「そうか、アジアにも売れる顔なんだ」 孝造は、最後に映画評論家でæo の旗振り役の佐藤忠男さん ( ) を自宅に訪ね こ 0 「韓国、台湾、香港などでは、日本のテレビや映画を見て東京のお台場や原宿、渋谷 などに憧れる若者が増えています」と佐藤さん。そして、彼らの日本文化への憧れ は、日本で考える以上に強く、アジアの各国・地域の制作者の、日本でロケをしたい という思いも深いと話してくれた。 「映像文化の影響力を経済的に最大限活用する。それがロケ誘致の狙いだ ! 」

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197 第 4 章おかしいそ ! カラクリがあるはずだ 自動車盗難の発生状況 7 6 5 盗難牛数 4 3 検挙件数 還付数 2 万 件 1 92 年 93 97 96 95 94 98 庁増。二〇〇一年は約六万四千件にのばっ 警 。所 「そんなに」。驚く孝造に桑原さんは 。出 「暴力団員などが組織的に盗み始めたか らです」と指摘した。 従来は、乗り回して捨てる単独犯が多 かったが、販売目的の犯行が増えた。手 ロは巧妙で検挙率は落ちている。「他の 暴力団に売る例もあるようですが、中古 車を装った輸出が増えたのが最近の特徴 です」。 海外に ? 」 孝造は仰天した。「実際、盗難車が英 国、南アフリカなどで見つかっていま す」と桑原さん。車が国外に出てしまう と捜査が難しく、車が所有者に戻る率 っ ) 0