お話のふろくーーーカンガルー救出大作戦 オーストラリア大陸 めんせき まんへいほう オーストラリアは、面積が七六一万平方キロメートル。、 ノワイとアラスカを がっしゅうこく ひろ のぞいたアメリカ合衆国とおなじほどの広さで、大陸ぜんたいが、〈オーストラ し ひと れんぼう リア連邦〉という一つの国で占められています おおむかし オーストラリア大陸は、大昔にはほかの大陸とつなかっていましたが、その しんか どうしよくぶつ 後、海によって切りはなされたため、オ 1 ストラリアだけで進化した動植物が ははおや たくさんいます。カンガルー ウオンバット、ワラビ コアラなど、母親が そだ ゅうたいるい おなかの袋で子どもを育てる〈有袋類〉は、その代表です。オーストラリアに じんこうやくさんばい ごせんまんとう は、人口の約三倍にあたる、五千万頭のカンガルーがいると言われています。 にゆうるし せかいいちおお そのほか、 ほ乳類なのに卵をうむカモノハシ、世界一大きいワニもいます どうぶつ これらのユニークな動物のなかには、数がとても減っているものがあり、保護 レ」りよく のための努力がはらわれています 、つみ ふくろ たまご きゅうしゆったい 0 かす さくせん 0 だいひょう 0 156
しようねん ゆか かおむ 少年は、ひざを床についたまま、ジャックとアニ 1 に、顔を向けた。 かお ちゃいろめ そばかすだらけの顔、くりくりした茶色い目、子大のテディとおなじ、茶色 かみけ 、つえ の髪の毛。年は、ジャックよりすこし上の、十歳くらいに見える しようねん しん かお 少年が、信じられない、 とい、つ顔をして一一一口った。 亠まほ、つ にんげん 「魔法がとけたの ? ば く、ほんとうに、人間にもどれたの ? 「ええ。もどれたのですよ。さあ、お立ちなさい ! 」 しようねんた 少年は立ちあがると、モーガンにとびついて、言った。 「ありがとうございます ! ああ、ありかとうございます ! 」 あたら 「こんど、新しい魔法をためしたいときは、わたくしにそう一言うのですよ。あ の魔法の本は、吏、 イしかたをまちかえると、たいへんなことになりますからね」 しようねん 少年は、すなおにうなずき、恥すかしそうに笑ってこたえた。 やくそく 「は : し約東します」 それから、ジャックとアニーのほうを向いて、言った。 ほん つか じっさい わら 150
ちんもく 息づまるような沈黙をやぶって、アニ 1 がさけんだ。 「やったあ ! ああ、テディー よくやったわ凵」 カーとコ 1 も、手をたたいて、ピョンピョンとびはねている 「ワン、ワン ! 」 テディが、しつほをふりながら、ジャックとアニ 1 のほうへ走ってきた。 すがた み その姿は、どこから見ても、ふつうの小さな子大だった。 アニ 1 が、テディを抱きしめ、ほおずりして言った。 たす 「またあなたに助けてもらったわ ! テディ、ありかとう ! 」 あたま ジャックも、テディの頭をなでながら言った。 「テディ、すごいじゃないかー どうやってトラを追いはらったんだ ? 」 かお しかし、テディは、ふたりの顔をベロペロとなめるだけだった。 ジャックは、ずり落ちためがねをかけなおし、しげみのほうをふりかえった。 おくもの 「〈贈り物〉をくれるのは、あのトラじゃなさそうだね」 ちい
「へえ、これは、トラの爪あとなの ? 」 みき アニ 1 がもどってきて、幹のキズをしげしげと見つめた。 「ば、ばくが一言ったとおりだ。こ、このジャングルには、トラかいるんだ。そ とお れに、このキズはまだ新しい。ついさっき、ここを通ったヤツがいるんだよ ! 」 ほんお ジャックは、手がふるえて、本を落としそうになった。 木の上へ逃げろ ! きけんかん しかし、アニーは、すこしも危険を感じていないようだ。 ほんもの 「このへんに、本物のトラがいるの ? わたし、会ってみたい ! 」 どうぶつ ほしよくじゅう 「なに言ってんだよー トラは、ほかの動物をおそって食べる捕食獣なんだ ほん ぞ ! ほら、本にも書いてある : ・・ : 」 、つ、ん あたら つめ
かおみ しんばい ジャックは、アニ 1 のほうを見ないようにしていた。顔を見れば、心配して くち しることを口に出してしまいそ、つで、こわかった。 あたま すこしして、アニーが、ジョーイの頭をなでながら、言った。 「お兄ちゃんが考えてること、わかるわ。わたしも、おなじ気もちだもの : : : 」 「とにかく、もうすこし、もうすこしだけ待ってみよう。それでも来なかった ら、ジョ 1 イを、フロッグクリ 1 クへ連れてーー」 みみ ジャックが、そう言いかけたとき、テデイか、耳をピン ! とあげた。 おと なにか聞こえる。ほら、あの音 : ・ : 」と、アニ 1 みみ ジャックは、耳をすました。 たしかに聞こえる おと ピシャン、ピシャンとぬれた地面をたたいて、なにかがはねている音だ。 おと ちか かすかに聞こえていたその音は、どんどん大きくなって、近づいてきた。 おと それは、みんなが、なにより待ちこがれた音だったー かんか じめん み っ おお 134
こ、え ごえ あしおと かぜおとどうぶつ なん十年も、こ 「風の音、動物の鳴き声、ゾウの足音、トラがほえる声・ : おとひと みみ うして耳をかたむけていると、いっしか、すべての音が一つに聞こえてくる こ、ん おと すべての音が、このジャングルの〈声〉となって、聞こえてくるのじゃ」 トラがわなにかかったことも、おじいさんは知っていたの ? 」 「では、ゆうべ、 「ああ、知っていた」 「では、ばくたちが、そのトラを助けたことも ? 助けたあとで、ばくたちが、 おそわれそうになったことも ? 」 しす しつもん 老人は、ジャックの質問にはこたえず、静かにほほえんで言った。 しろはな ぬま 「あそこの沼に咲いている白い花を、一つ、取ってきてくれんかね」 ぬま アニ 1 が、立ちあがって、沼のほうへ走っていった。 はなひと すいめんて つばった。 アニ 1 は、水面に手をのばし、白い大きな花を一つ、引 なが みすう 水に浮いているように見えたその花には、長いくきがあって、その先には、 どろ 泥のついた根がついていた ろ、つじん たす しろおお ひと たす じゅうねん さ」 ・・・ジャングルの掟
みつ おく もの 「これで、三つの贈り物が、集まったわ」 ぎんどけい はねよこ アニーが、銀時計とワシの羽根の横に、インドの老人がくれたハスの花を、 そっとおいた。 そして、テディに向かって言った。 ひと ひと おく もの 「あと一つ ! あと一つ、贈り物をもらえば、あなたの魔法がとけるのよ」 あたま ぎもんうず しかし、ジャックの頭のなかには、たくさんの疑問が渦まいていた。 「アニ 1 。トラにおそわれそうになったとき、テディが『逃げろ』って言った って、たしか、そう言っただろう ? どうしてわかったんだい ? 」 くひ アニ 1 は、首をすくめた。 おも 「なんとなく、そう思ったの。テディの目が、そう言ってたのよ」 ごえ 「ふーん : それから、テデイかトラを追いはらったときのうなり ~ どう こ、んた して、あんな声が出せたんだ ? 」 ジャックは、テディをふりかえって、その目をじっと見つめた。 あっ ろ、つじん
「へえ ! 自動車とおなじくらいはやく、走れるんだね」 ジャックか、そう言ったとき、テディがリュックからとび出し、この風がわ とりむ りな鳥に向かってほえたてた。 、 : そのう エミューは、ばかにしたような目つきで、子大を見おろしてしたか、 ち、くるりと向きを変え、すましてたち去った。 ジャックは、ノ 1 トに圭日きこんだ。 走るのがはやい エミュー 飛べないが、 おすまし こ、ん アニーの呼ぶ声がした。 「お兄ちゃん、見て見て ! ここに、ぬいぐるみみたいな動物がいるわ ! 」 どうぶつ 木の枝がわかれたところに、クマに似た小さな動物が、すわっている ノ \ ろは亠な みみ まるくて大きな耳、まっ黒な鼻。からだには、ふさふさした毛がはえ、足に えだ おお じど、つしゃ どうぶつ ふう あし ・カンガルー救出作戦
えだ 「きっと、そうだよ。ああ、なんとかしなくちゃ : 、刀↓た そのとき、カーとコ 1 が、ジャックの肩をつついた。 「キー、コーコ 1 ! 「ごめんよ。きみたちの相手をしてるひまはないんだ。どうしたらいいか、一 刻も早く考えなくちゃ : ・・ : 」 そう言いながら、ジャックは、本のページをバサバサとめくった。 すると、サルたちは、たれさがったつるをつかみ、からだをのけぞらせると、 ノ、、っちゅう 枝をけって、ばっと空中にとび出した。 く、っちゅう ちゅう 二ひきは、まるで空中プランコに乗っているように、宙を飛んだ。しげみを ′、さ、つ、ん まちい せなか 越え、草の上をかすめて、その背中が、あっという間に小さくなっていく ちゃくち それから、すこしはなれた木の枝に、ストンと着地すると、こちらを向き、 キーキ 1 さけびながら手まねきしている 「わたしたちにも、わたっておいで、だってー はやかんが あいて ほん えた ・・ジャングルの掟
「 : : : ワン、ワン ご、ん とお たしかに、遠くのほうから、かすかに大の鳴き声か聞こえてくる おも えがお ジャックは、思わず笑顔になった。 「アニ 1 の一一一一口、つとおりだ。よおし、行こ、つ ! 」 ジャックは、リュックをつかんで、立ちあがった。 いえなかむ おおごえ アニ 1 がふりかえり、家の中に向かって大声で言った。 「ちょっと、出かけてきま 1 す ! 」 / 、ら こ、んき まえ かえ 」こ、帰るんだぞ ! 」 ノの声か聞こえた。 「暗くなる前。 ゅ、つ かえ タごはんまでには帰りまーす ! 」ジャックがこたえた。 「はーい はわ . り・ もりむ ふたりは、フロッグクリ 1 クの森に向かってかけだしたーーー・・森でいちばん高 いカシの木をめざして おも 思ったとおり、カシの木の上に、マジック・ツリ 1 ハウスがのっている こいぬくろちい 窓から、子大の黒い小さな鼻先がのぞいている はなさき うえ ・・カンガルー救出作戦