静か - みる会図書館


検索対象: ジャングルの掟
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1. ジャングルの掟

しんばい 「ああ、そうだったのね ! ジョーイ、心配しないで ! ママは無事に逃げて、 すぐにあなたをむかえにくるわ」 あか アニーは、赤ちゃんカンガル 1 のからだを、やさしくさすった。 「わあ、フワフワ ! お兄ちゃんもさわってみて ! 」 あか ジャックもひざまずいて、そっと、赤ちゃんカンガルーにふれてみた。 あか ちゃいろ 赤みがかった茶色の毛は、まるでビロードのようにやわらかかった。 ちゃいろめ あか 赤ちゃんカンガル 1 は、ふるえながら、くりくりした茶色い目で、じっとジ ャックを見つめている しず アニ 1 が、静かにカンガルーの背中をなでながら、言った。 あんしん 「ジョーイ、安心して。この人は、わたしのお兄ちゃんよ」 あか しかし、赤ちゃんカンガル 1 は、よろよろと立ちあがると、ジャックとアニ ーに背を向けて、ピョコン、ピョコンと、はねていくではないか。 「ジョ 1 イ、どこへ行くの ? あぶないわ ! 」 ひと せなか ・・・カンガルー救出作戦 1 13

2. ジャングルの掟

ひら まどべ ジャックは、窓辺をはなれ、ペンシルべニア州のガイドブックを開いた。そ もりしやしんゅび して、フロッグクリ 1 クの森の写真を指さして言った。 かえ 「うちへ、帰りたい ! 」 かぜま 風が巻きおこり、ツリーハウスがまわりはじめた かいてん かせ ハウスの回転は、どんどんはやくなる 風はどんどん強くなり、ツリー しす やがて、なにもかもが止まり、静かになった。 なにも聞こえない。 フロッグクリークの声 ジャックは、目を開けた。 ゅうひ ツリーハウスの中に、夕日がななめにさしこんでいる つよ なか こ、ん しゅう ・・・ジャングルの掟

3. ジャングルの掟

「ジャングルを案内してくれて、ありがとう。ほんとうに助かったよ」 それから、ふたりはテディを連れて、ツリ 1 ハウスのある木に向かった。 木の下に来ると、ジャックはテディをリュックに入れて、なわばしごをのば った。そのあとから、アニ 1 か、ハスの花を持ってつづいた。 まど ーも . り・ ツリーハウスの中にはいると、ジャックとアニ 1 は、窓からインドの森を、 もういちどなかめた。 とお なかま かわみずあ 遠くに、サバと仲間のゾウたちが、川で水浴びをしているのが見えた。 カ 1 とコ 1 は、つるにぶらさがって、木から木へ飛びうつっていた。 ノ、さ 小さなシカが草をはみ、色あざやかな鳥たちが、飛びかっていた。 しず しわ、つえ あの目の見えない老人が、静かな笑みを浮かべて、岩の上にすわっている姿 も見えた。 ひろ そして、この広いジャングルのどこかに、あのトラがいる。あたたかい日だ あしきす まりで、足の傷をなめているのかもしれない した あんない なか ろ、つじん いろ たす すがた

4. ジャングルの掟

ふた たいれっすす つきあ 月明かりのなかを、ゾウの隊列が進んでいく。 そのまわりを、たくさんのホタルが飛んでいる あたま しかし、ジャックは、さっきのトラのことが頭からはなれなかった。 お ( もしや、しげみにひそんで、あとを追ってくるのでは : み ジャックは、ぶるぶるっと身ぶるいした。 しかし、ゾウたちは、トラのことなど気にするようすもない。たれさがった すす しず つるをよけ、生いしげる草をふみしめながら、静かにゆっくりと進んでいく まえ つきひかりて その前を、カーとコ 1 が、ピョンピョンとはねていく。月の光に照らされて、 み 二つのかげが、おどっているように見える ふあん しばらくして、ジャックは、また不安になってきた。 かえ とお ハウスに帰れるかなあ : 「ずいぶん遠くまで来ちゃったよ。ツリー こ、ん アニ 1 が、眠そうな声でこたえた。 かえ : じよ、つぶよ。きっと : ・ : 帰れる : : : わ」 「だい : ねむ ・・・ジャングルの掟 4

5. ジャングルの掟

ていおう しまもようーーーまさしく〈ジャングルの帝王〉だ。 ちなが あし わなの歯がくいこんだ足からは、たくさんの血が流れたあとがある こうてっせい ジャックは、そっと鋼鉄製のレバ 1 に手をかけた。だが、レバ 1 はかたく、 おも りようて 、 0 ヾ シャックは、田 5 いきりカを入れた。 両手で押しても、びくともしなし : 目をさましてしま、つ : ・・ : 」 : ト一フ【か : 「、つ、つ、つ、早くしないと : ようやく、トラの足をはさみこんでいた歯が、足からはずれた。 トラは、まだ、ぐったりしている アニーが、そっと、トラの足をひき抜いた きず そして、傷ついた足をやさしくなでながら、ささやいた。 「もうだいじようぶ。きっと、すぐによくなるわ」 トラは、まだ、動かない。 さ医」 しず ジャックとアニ 1 は、静かに立ちあがり、トラに背を向けると、つま先だち あし ある で、歩きだしたーー、ぬき足、さし足 : はや あし あし あし あし あし ちから ・・・ジャングルの掟

6. ジャングルの掟

かお 「テディー いま、あがっていくわね ! 」 「ワン ! 」 アニ 1 が先に、そのあとからジャックが、なわばしごをのばった。 ゅうこくひ ゆか 、つ、んひ ツリーハウスの中には、夕刻の日ざしかさしこみ、床の上に日だまりかでき なか ている。テディは、そのまん中にすわっていた。ふたりを見ると、ちぎれんば かりにしつほをふった。 「やあ、テディ ! 」 こいぬだ ジャックとアニ 1 が、かわるがわる子大を抱きしめた。テディは、ふたりの 顔をベロペロとなめる ゅび アニ 1 が、床の上の紙きれを指さして言った。 「モーガンの手紙よ」 てがみ み ジャックは、その手紙のことばを、見なくても一言えるくらい、おばえてしま っていた。 さき ゆか てがみ うえかみ なか

7. ジャングルの掟

オック ! オック ! オックー ゅめ おも ( うるさいなあ : : : ) そう思いながら、ジャックは、まだ夢のなかにいた。 つぎのしゅんかん、はっと目がさめた。 あか いつの間にか朝になり、あたりはすっかり明るくなっている ( そうか : : : ゅうべは、あのまま、サバの背中で眠ってしまったんだ ) ねいき 背中のリュックから、テディの寝息か聞こえてきた。 、つ、ん ふねの ジャックは、暗いジャングルの上を、船に乗って飛んでいた ゅめ げんじっ それが、夢なのか現実なのか、ジャックにはわからなかった。 ねらわれる動物たち せなか あさ どうぶつ せなかねむ ・・・・ジャングルの掟

8. ジャングルの掟

あか ひかり せなか おも 明るい光のなかで見ると、ゾウの背中の上は、思いのほか高かった。 ふり向くと、アニーかいない。 ( ア、アニ 1 ? まさか、どこかで落っこちたんじゃ : ジャックは、あわてて、あたりを見まわした。 サバが立っているところは、川のほとりのぬかるみだった。 かわなか みすあ ほかのゾウたちは、川の中で、水浴びをしている かわぎし テディと二ひきのサルは、川岸の木の下にいた。 かわなが あさ おだやかな川の流れの上に、朝もやがただよっている 「お兄ちゃあん、おはよう ! 」 こ、ん しわう、ん 声のするほうを見ると、アニ 1 は、川のほとりの大きな岩の上にすわってい ここから、ど、つやっておりたんだ ? 」 あし 「足から、すべりおりたのよ」 うえ かわ かわ した 、つ、ん おお

9. ジャングルの掟

かわ 朝もやにけぶる川。その中に立っゾウの群れ げんそうてきふうけい おも なんて幻想的な風景だろう、とジャックは思った。 目にはいるもの、すべてが、美しかった。 いろみすどり つばさひろ あざやかな色の水鳥が、翼を広げている。緑色のつるが、そよ風にゆれてい 、つ しろたいりんはな る。水面には、白い大輪の花が、浮かんで咲いている : みすなか ふと見ると、水の中から、二つの耳と、角のようなものがのぞいている。 、カ診に みみ 片ほうの耳か、ハ タバタと動いて、ハエを追いはらった。 みずなか 「アニ 1 水の中に、なにかいるよ」 「えっ ? あっ、ほんと ! 」 みず でみみ アニ 1 は、水からっき出た耳のほうへ、近よっていった。 ほんしら 「どんな動物なのか、本で調べてみよう」 もりやせいどうぶつ ジャックは、リュックから『インドの森の野生動物たち』を取りだした。 みずなか せつめい 水の中から角が出ている絵を見つけると、そこにはこんな説明がついていた あさ すいめん どうぶつ つの なか 、つご ふた うつく みみ ちか つの みどりいろ かぜ

10. ジャングルの掟

アニーは、テディをジャックにあすけると、なわばしごをのばっていった。 ジャックも、リュックの中に子大を入れて、アニ 1 のあとにつづいた〇 ゆか ツリーハウスの中にはいり、リュックをおろしてやると、テディは、床の上 ある にある紙きれのところへ、トコトコと歩いていった。 てがみ 「モ 1 ガンのおき手紙だわ」 てがみて アニーは、手紙を手にとって、読みあげた。 て まほう あなたがたの手て、この子犬にかけられた魔法をといてください。 まほう 魔法をとくためには、 うしな ふね おくもの 失われた船からの贈り物 あおそうけん おくもの 青い草原からの贈り物 とお おくもの はるか遠くの森からの贈り物 おくもの カンガルーからの贈り物 かみ なか なか よ 、つ、ん 4