95 第二章ネット・ショッピング ます。これまでの市場がこんなふうに膨らみました。新しいビジネス領域をつく りましたとなったとき、初めて評価してもらえる。既存のシェアを奪、つだけだっ たら、褒められるどころか、何をやっているんだと怒鳴られるのがオチです。 新しいビジネス領域をつくるポイントは、やはりお客さんとダイレクトにつな がることです。それが、これからのメ 1 カーの責務なんです。そこに、情報ネッ トワークを介したビジネスの無限の可能性が隠されていると思います。
158 に集中できるようになると思います。一一十一世紀に働く人たちが、アスクルを使 うことでビジネスに集中でき、従来の日本型組織じゃない、新しいカルチャーを つくっていけたらいいと。これが、成長の先の次世代のビジネスモデルだと考え ています。
2 まだ音楽配信のマ 1 ケットも小さかったし、日本のインタ 1 ネットのインフラは ぜんぜん整っていなかった。果たして、日本でビジネスモデルがつくれるだろう かと、正直、思いましたね。 携帯電話で音楽を聴く 米国のリキッドオ 1 ディオとの契約に二年かかったのも、日本でのビジネスモ デルが詰められなかったからです。米国のビジネスモデルは、サーハーを販売す ーの独占販売権を持っては ーバーは販売しない。サー るものですが、うちはサ いますが、リキッドシステムをベ 1 スに、音楽配信に関するト 1 タル・ソリュー ションを提供するのが、うちのビジネスモデルです。サ 1 ハーを売らずに、シス テム開発やサポート業務をしているのが、米国のモデルとの最も大きな違いです。 サポート業務には、日常的なオペレーションや課金システムの構築までふくまれ
てもダウンロ 1 ドはできません。実際にやってみればわかりますよ。この地域制 限は七段階くらいのいろいろなステップがあるのですが、これは企業秘密です こういったシステムは、すべて経験値と実際のビジネスに照らし合わせてつく っているので、自信があります。もともと、米国のリキッドオーディオのオーナ ーはインディーズ系のア 1 ティストでして、自分たちの音楽をプレスするん じゃなくて、幅広く、みんなに聞いてもらいたいというところからスタ 1 トした んですね。だから、他社の技術をどんどん取り入れて、音質をよくすることにこ フ イだわった。単なる技術屋さんがつくったシステムじゃないところに強みがあると ル思います・ →ン これらのシステムをまとめて、ビジネスモデルとして組み立てたのは、リキッ デ 章ドオーディオか世界でも初めてだといっていいと思います。一九九六年ごろだっ 第たと思いますが、リキッドオ 1 ディオが日本でのビジネスパートナーを探してい たんですね。それで、米国のユタ州までいき、話を聞いたんですが、そのころは
だといういい方はできるのですが、あくまでも、ソニースタイル流のネット通販 だとい、つことを亡 5 れてもらっては困る。砕いてい、んば、インター、不ットを使った 新しいライフスタイルの提案、プロダクツの提案をしていこうというのが、ソニ ースタイルドットコムのねらいであって、単なるネット通販より、もっと広い範 囲を考えています。 ですから、できるだけソニースタイルはこうであらねばならぬという規定をし ンないでいきたい。最初から規定してしまっては、新しいライフスタイルの提案な んてできませんからね。ビジネスのあり方やネットワ 1 ク環境は、今後、大 シ きく変化していきます。それに合わせて、ソニースタイルドットコムも変わって いけるようになりたい。成功のポイントばかりを追い求めて、ビジネスモデルを 章確定してしまっては成長の可能性が狭められてしまうからです。 第 私は、ここ数年間ビジネスに関わってきました。おもに、マ 1 ケティング をやってきたのですが、そこで学んだことは、信念というか志みたいなものは必
ね。だから、ポールペン一本を届けて欲しいという発注に対して、どれだけお客 さまの思いを感じ取ることができるか、商品を出すときに、どれだけこちらの思 いをこめられるかが勝負であって、それを忘れてネットビジネスはないと思って います。 最後は、われわれのサービスは見えなくなるべきだと思っています。電気のス ィッチを入れたら電気がつくとか、水道の栓をひねれば水が出るような、そんな ン存在になるべきじゃないかと いまでは、セプン・イレプンで真夜中に買い物ができることも、宅急便が翌日、 シ ゴルフ場にバッグを届けてくれるということも、当たり前のことになってしまっ て、誰も感謝することはない。そんな会社になりたいんですね。いま、かりに、 章うちのやっていることがすごいとか、ありがたいとかって、思われているとした 第ら、まだまだなんだと思うんです。 アスクルが社会のインフラになれば、日本の会社は、もっとビジネスそのもの
そりや、やろうと思ったら、マイクロソフトのサ 1 1 を買ってきて、同じこと をやろ、つとすればできます。だけど、メジャ ーがコンテンツを出して / \ れるかど うかですよ。この商売って、変な話、字多田ヒカルが出たら、売上げなんてポー ンと上がっちゃうんです。そういう世界じゃないですか。芸能界って。 将来は、音楽だけじゃなくて、ジャケット写真を送るといったビジネス展開も 頭のなかにはあります。リキッドではやらないと思いますがでも、やろうと考 えれば、同じビジネスモデルのなかで、映像を配信することはできます。 フ うちはそうしたやり方はしないインフラか一つに統一されてくると、誰もが その企業のいうことを聞かないといけないんじゃないか、みたいなことになって タ ジしまうでしよう。だから、積極的に攻めていくことはない。いまのところ、音楽 章配信だけで十分なマーケットがありますから、手を広げる気持ちもないですしね 第
た意思決定のやりとりかストレートにできるようになるということです。マーケ ティングに敏感なメーカーさんは、この仕組みに賛同されて、従来のしがらみを 超えたモノづくりをしていこうとしてくださっていますし、すでに、一緒のプラ ットホームで動き始めています。 このほか、慶應ビジネススクールとの共同研究によって、データマイニング ( デ ータ採掘 ) やキャンペーン・マネジメントにも取り組んでいます。膨大な量の生 データとの対話を通して、どういう方にどういう情報を差し上げると、お客さま にとっても、メーカーにとっても効果的か、そこからどんなビジネスヒントが得 られるかを研究しているんです。データマイニングは、アメリカの大手流通業や クレジット会社で盛んに使われていて、新しい商品やサービスの開発につながっ ているようですか、私どもも、今後、データマイニングによって新しいことがで きたらと思っています。
194 ズやシスコシステムズと同じ戦略です。自分のところのクライアントと競合する ところに対しては、出資することはしません。 マザーズ上場第一号となりましたが、いい経験をしたと思っています。株価が 気になりませんかという質問をよくされるんですが、極端な話、株価が五万円に なろうが、一千万円になろうが会社はつぶれないんです。借入金があるわけじゃ ないし、キャッシュリッチだし。新しい調達を考えているのかといわれても、別 に考えてないから、焦る必要もないし。やれ、ネット株が暴落したのどうのとい われますが、そもそも、うちはネット銘柄じゃないですから。とはいっても、株 価は高いに越したことはありません。株価は毎日気にしていますし、高株価とな るように努力しています。株主の利益になるし、他社からの買収に対しても、他 社を買収するときにも有利ですから。 だいたい、僕らは技術オリエンテッドの会社じゃないビジネスモデル・オリ エンテッドだと思っています。ビジネスモデル上のコンペテイターはいないしね。
現在、アメリカでは、ネット企業の淘汰が始まっています。駆逐される企業の 多くが、高コスト構造に陥っています。大切なのは、損益分岐点を下げることな のですが、デリハリ 1 にしても、自前でセンターを持ち、自前でピッキングして 配送するといった状況で、どんどんコスト高が進んでいます。 その意味で、セプン・イレプン・ジャパンは、インターネットと店舗を連携さ せた日本型の新しいビジネスモデルを構築していく計画です。既存の物流や 第 5 次総合情報システムを使、つことによって、ネットビジネスのコストを下げて いく。この部分が、インターネットと店舗を結ぶカギとなり、セプン・イレプン の強みになっていくんですね。 ワンストップ・ショッピングの実現 二〇〇〇年一一月一日、本格的なサービスの展開に向けて、セプンドリーム