とかパソコンの汚れを拭くための特殊繊維構造のウェットシートなんですが、こ れは、デュポンと共同開発しました。 私どもの役割は、これだけではありません。売上げ結果をメーカーさんにフィ ードバックすることによって、さらなる商品改良につなげることができます。「カ ンタンオフィスのおそうじ」を例にとると、「厚手だし、大きさも十分なので、 両面を使うことができて経済的です」といったご意見をメ 1 カーさんにお返しす ンれば、メーカーさんの商品開発の次のヒントになるわけです。中間にバイヤーが 入らないことで、メーカーさんが真摯にお客さまと向き合うことができますし、 販売データをじかに一小すことによって、お客さまの動向を率直に伝えることがで きるんです。お客さまにとっても、メーカーさんにとってもハッピーな、つまり、 ネ 章ウインウインの関係がつくれるんです。 第 しい方をかえれば、アスクルが、新しいネットワーク時代のプラットホームと なることで、お客さまがそれだったら買うよとか、それじゃあ買わないよといっ
ー 48 メーカーとの共同開発は、その一例です。お客さまは、欲しいものを欲しい値 段で買いたいという思いを持っています。しかし、メーカーさんには、お客さま がほんとうは何を望んでいるのかが、なかなかみえにくい。だから、莫大なお金 を使ってリサーチをしたり、宣伝をしたりしているわけです。 ここに、私どもの役割があるんですね。電話での問い合わせの際、あるいは、 さきほどの「みんなの広場」への投稿などを通して、この商品がこうだったらい いのに、という情報がたくさん入ってくる。その声を、できるだけ率直にメーカ ーさんに伝える。ネットワーク時代の新しい商品開発の仕組みのカギがそこにあ るんです。 詰替用のインスタント・コーヒーを袋詰めにした商品があります。「インスタン ト・コーヒーの空き瓶が溜まって困っている」というお客さまの声を受けて、コ ーヒーメーカーのネスレと一緒に商品化し、アスクルで先行販売しています。「カ ンタンオフィスのおそうじ」も、お客さまの声から生まれた商品です。机の上
た意思決定のやりとりかストレートにできるようになるということです。マーケ ティングに敏感なメーカーさんは、この仕組みに賛同されて、従来のしがらみを 超えたモノづくりをしていこうとしてくださっていますし、すでに、一緒のプラ ットホームで動き始めています。 このほか、慶應ビジネススクールとの共同研究によって、データマイニング ( デ ータ採掘 ) やキャンペーン・マネジメントにも取り組んでいます。膨大な量の生 データとの対話を通して、どういう方にどういう情報を差し上げると、お客さま にとっても、メーカーにとっても効果的か、そこからどんなビジネスヒントが得 られるかを研究しているんです。データマイニングは、アメリカの大手流通業や クレジット会社で盛んに使われていて、新しい商品やサービスの開発につながっ ているようですか、私どもも、今後、データマイニングによって新しいことがで きたらと思っています。
Ⅲ「みんなの広場」に寄せられた、お客さまのひとことが新しい商品の開発に結び つくこともありますし、メーカーと一緒にネット上で商品開発をすることもあり ます。 ビジネスとは、お客さまに新しい価値を提供することだと思うんです。その意 味で、は、ネットワ 1 ク時代の新しい仕組みをつくり、新しい価値を生み出 す有効なツ 1 ルになっていくと考えています。 アスクルからキョウクルへ アスクルは、一九九三年三月、文具メーカーのプラスの新規事業部として発足、 九七年に分離独立し、ファックスやインターネットを通したオフィス用品のデリ 丿 1 サービス事業を手がけています。扱っている商品は、コピー用紙や文房具、 パソコン、飲料類など九千六百品目です。登録事業所数は、一一〇〇〇年三月現在、
198 腕につけて便利なモノをつくろう もともと、時計の可能性は非常に幅広いんですね。ですから、これまでも、時 計にできるだけ多くの情報を搭載したツ 1 ルをつくってきました。しかし、ここ にきて、腕時計という概念から離れてみようじゃないか、腕につけられるツ 1 ル という概念から、新しい市場をつくってみようじゃないか、と発想の転換をして みたんです。 もともと、体に装着するという意味では、腕というのは、もっとも使い置れて いる場所なんですね。だから、腕につけて便利で役立つものであれば、時計にこ だわる必要はないんじゃないかと考え、リスト情報機器という市場を発想したん です。 もちろん、うちは時計メーカ 1 ですから、時計で培った技術を生かすことは大
それに、ユーザーにとって大切なのは、記述一一一一口語がど、つのこ、つのとか、世界標準 かどうのこうのではなく、コンテンツそのものですよね。僕も、コンテンツが命 だと思っていましたので、インターネット標準の「」にするしかないと 思ったんですね。 プレイクしたのは、九九年六月ごろですね。二〇〇〇年一月に入ると、週に十 五万台のペースで出るようになり、三月には月に百十万台を超えるまでになりま した。 売れるようになると、おもしろいもので端末の製造メーカーさんの態度もがら りと変わる。サービスを開始するまでは、みなさん、半信半疑ですから、なんで リスクを負ってまで、•- モードを生産しなくちゃいけないんだと考えるわけです。 社内で、チップの調達にも苦労していたみたいですよ。ところが、九九年六月あ たりから、がらりと様相が変わって、いまではモ 1 ドの電話機をつくる人は鼻 高々らしいですよ。
122 ・三倍の伸びを示しました。 二〇〇一年一月、ガズ 1 事業部は、いよいよ本格的な取り組みをスタートさせ ます。今日では、お客さまをディーラ 1 に誘導する手段としての役割をガズーは 立派に果たしていると思います。 トヨタかメーカーになる日 ガズーには、オートモール、ショッピングモール、メディアモール、ガズーク ラブがあります。会員数は五十三万人を超え、閲覧ページは、一か月で五千万ペ ・ビュー、月に百六十万人以上が訪れていることになります。顧客層 は、二十歳代以下が四三・三 % で、女性は二八 % です。 オートモールには、最新の新車や中古車情報、愛車の点検、整備、板金修理、 下取り参考価格、自動車保険などの情報が満載されています。たとえば、さきほ
つまり、お客さまの声に応えることによって、業界の枠だとか、企業の枠だとか を乗り越えることができましたし、お客さまのために変わっていくことが、すな わち、社会に受け入れられることにつなかる。そのことを身を持って体験したわ けです。そうした学習能力ともいうべき遺伝子を会社の中枢に置きたいと考えた ことから、経営理念が生まれました。 も、つ一つ、大切なことがあります。それよ、、 ( しまのアスクルに安住してはいけ ンないということです。世の中は変化し続けるのですから、つねに、お客さまのた めに創造的破壊をしながら、価値を創造し続けなければいけない。そのための学 習する組織でなければいけないと思うんです。 これまでは、メーカ 1 が商品情報や流通を支配し、価格決定権を握ってきまし ネ 章た。しかし、時代は誰もが時空間を超えて情報を共有し合えるため、消費者 第がプライスリーダ 1 になる可能性が出てきた。 *E-* を活用することによって、従 来の流通経路に風穴をあけ、消費者本位のビジネスができるということです。
カスタマイズカ 1 をガズ 1 で予約してもらって、その情報をボディーメーカーに 流すとともに、ディーラ 1 には商談を進めてもらい、内示が確定に変わると同時 に、生産をスタートすれば、ふつうのクルマと同じ納期で納品することができる ようになります。大量生産の部分は、これまでどおり、カンバン方式で行、つにし ても、組立の部分については、ラインの頭にインターネットからの予約情報を入 れてつくるという方法がとれるんです。それによって、大量生産品とは別の色を ン塗ったり、異なる部品をつけるということでは、ずいぶん楽になると思います。 現在、「アルテッツア」は、オーディオのカスタマイズを受け付けています。た シ とえば、ガズーに外国製の高級オーディオをつけたいという要望が入ると、ガズ ーは組立を受け持っ関東自動車に生産指示をとばします。関東自動車はその高級 章オーディオを調達し、取り付けるといった具合です。もちろん、調達には日数が 第 かかりますから、その点については、あらかじめ、ガズ 1 を通じて、お客さまに 情報開示をします。
には、自分らしさを求める心理がありますが、インタ 1 ネットは、それを実現す る手立てになる。それは、ソニ 1 がチャレンジすべき課題だし、その気持ちに応 えなけれよいナよい。 顧客一人ひとりのニーズを読みとり、最適な商品を提供したいと考えたとき、 真っ先にあがるのが、中抜きといわれる流通経路の圧縮です。問屋や卸を抜いて、 メーカーと消費者を直に結んで、アドバンテ 1 ジを得るといった考え方です。し かし、これは、マーケティング論からいうと、長くは持たないロジックだと思う んですね。ほかが追随できない圧倒的な手法を確立できれば別ですけれど、単な る直販だけでは、長くはアドバンテ 1 ジを発揮できない。ですから、ソニーは、 そうじゃないところで可能性を追求していきたい。 たとえば、ネットと店頭の連携で「バイオ」の新しいショッピング・スタイル を提供している「ピ 1 シ 1 ・イ 1 ・テ 1 ラ 1 」があります。コンピュ 1 タは今後、 ( 受注生産 ) や oeo ( 受注仕様生産 ) が拡大するだろうと考えているの