254 スルスルと下りていく幕の向こう。いくら演出とはいえ男同士のキスシーンはすごすぎると いす 大騒ぎの観客の中、椅子の上で硬直している男が一人。 「あ : ・あいっ : ・、友達なんて言っておいて、お : 俺の可愛い公平を 5 ! 」 と、怒りに震える芳の隣で、久住はケラケラ笑っている。 もちろん寛容な父だから、相手は女じゃなけりやダメだとか、孫を見せてくれなきやイヤだ とか、そんな無体な文句は言わない。 言うはずがない。 ( これでライ・ハルがいなくなった、 ) と、心底清々しているのだから。わっははははは。 舞台裏で進行を担当していた生徒会長は、白目を剥いて卒倒した。 そりゃあもちろん、物語のラストシーンはヒーローとヒロインのキスで締めと、相場は決ま っているものだから。 かわい
「指がイヤなら、アナル用の・ハイプとかあるから、使ってみたら ? 」 しんじゅく 「自分でやりたくなけりや、新宿二丁目あたりにいって相手捜すとかー」 「け : ・ケツを掘られるくらいなら、死んだ方がマシだ って、当然だけど怒鳴られてしまいましたよ。 「てめー、おちよくってやがるな : : : 」 ー怒りの息が止まらない。 瀬名は、ゼーハ 「ちゃんとホンキで考えてるよお。でもさ、一番効果的な方法だよ」 「クソが・ 「女相手に試すのはカッ , コ悪い。マスターベーションはみつともない。・ハイアグラは問題外な ら、男にやってもらうしかないじゃない」 「それ以上言ったら殺すぞ」 子「あんたの息子さんって、えり好みが激しーよ。悪い子だね。そんなこと言ってると、いつま でたっても元気になれないよ。めつ ! 」 ほんの何の気なしに、公平は瀬名のズボンの前をポンポンと叩いた。
まさか、まさかと思うが、マジ、 じゃあ「その花はなんだ ? ロの悪い女なんか山ほどいる。ペチャ。ハイ女だって掃いて捨てるほどいる。 だが、ピンクの花を髪に飾って歩く男は、やつばりそうそういないはず。 だから一瞬も疑わず、ブッチュとキスなんかしてしまった。しつかり舌まで絡ませて。 し : ・舌まで・ 「ゲ : ・ゲロオ、☆」 思わず吐いた。 ズモモモモモモモ 怒りメラメラ公平ちゃん、べッドから飛び下りるなり、椅子にかけてあったジャケットと紙 袋をひつつかむと、 「おっ勃ててんじゃねーよ、いつまでも、。さっさと目え醒ましやがれえっ ! 」 行きがけの駄賃とばかりに、男のアソコを・ハスタオルの上から思いっきり踏んづけた。 くさ 「こんの腐れホモ つぶ グシャッと、足の裏にめいつばい潰れた肉感が残るほど、全身のカ込めて 「うぐうううつ こかん そうして、股間を押さえて床を転げ回る男を残し、意気揚々と部屋を後にした。 だちん ようよう から
146 これがまたサイズがピッタリで、やつばり見事なガタイなのだと再認識して、自分もそうな のぞ りたかったと、ちょっと本音を覗かせてみたら、 『そりゃあ無理だろ。お前、手足ちーせーから』 と、言っちゃあならないことを言ったんだあああ 5 ! 悪気なんかないのはわかる。何の気なしに言ってしまっただけ。 でも、身体の成長なんて、努力とかでどうにかできるものじゃないことを、自慢されたよう な気がしてしまった。 公平が欲しかったものを、羨ましいと思うものを、当然のように持っている男。 その上、ホモ嫌いと豪語して、ビデオを見ている間も文句のロが止まらなかったくらいだか ら、まさか公平に迫られてぐらっくなんて、そんな男らしい以前に男にあるまじきこと、絶対 するはずがないよね。 と 0 怒りメラメラの公平の嫌がらせは、まだまだ続くのだった 0 ようやくシャワーを終えた瀬名は、これから長い夜のことを思うと、今すぐにでも飛んで帰 りたい気分。 だが、自分はホモじゃないと言った以上、ここで逃げては男がすたる。 こかん いまし よだれ たとえモロ出しの股間を目の前にさらされたって、涎の一つも流すもんかと自分を戒めなが からだ うらや
と、必死の勇気で声を振り絞った公平の横を、だが、身を切るようなよそよそしさで瀬名は 通り過ぎた。 胸がえぐられるような気がした。 瞬間、ギリッと 青白い炎のような無言の怒りを発散させている瀬名の横顔は、怖いくらいだ。 まゆ さんばくがん 鋭い三白眼、つり上がった眉、ムツツリと閉ざされた口元。 ドカッと、教室中に響き渡るような音を立てて、瀬名は椅子に腰掛けた。 「うわあ、、もうロット・ハルト人っちゃってるよ」 部員がヒソっと囁いた。 でも、それが演技なんかじゃないことを、公平はようく知っている。 ズキン、ズキン、ズキン : おろ どれほど胸が痛んでも、それは自分の愚かさのせい。 ( やつばり・ : 、ダメか : : : ) もしかしたら、最初から計略など立てず、心から望めば、心から信じれば、ずっとこの場所 猫 を、居心地のいい男の腕を、失わずにすんだかもしれなかったのに な ンでも、今さら気づいても、もう遅い。 変わらないものが欲しいと望みながら、変わっていく連中のことにばかり気をとられて、本 当に大事なものに気づかなかった。 ささや しぼ いす
さらに堅い先端が、公平の二つのまろみを背後から突き上げる。 「あっ : ・あっ : •—瀬名っ : ・、瀬名のが、俺を突っついてくるう、」 たか 喘ぐ公平の昂ぶりは、しつかりと瀬名の掌に包まれている。 「いいのか、え ? いいだろ、こーゅーのも」 い : ・いいっ : 「やっ : ・あっ : こす 前を激しくしごかれ、敏感な部分を擦り上げられ、よくないはずはない。 だが、それ以上に、心が歓喜に震えている。 「は・ : あんっ・ : ! 瀬名 : 、イツちゃう、イツちゃうよお 「クソッ : マジで可愛いぜ、お前 : : : 」 荒い息に乱れる声。 みもだ ひときわ ギシギシとべッドを激しく軋ませながら、一際激しく突き上げられて、公平も身悶える。 「いっか惚れさせてやる。お前の口から、抱いて欲しいって言わせてやる・ : ! 」 : これが瀬名。 奪うことよりも、同等であることを優先する男。 ひきよう 他人を見下すのが嫌いで、ウソが嫌いで、卑怯なマネが大嫌いで、身の内に怒りを溜め込ん こぶし でいても、それでも自ら拳を封印する強さを持った男。 誰よりも熱い身体を持ちながら、何より気持ちを欲しがる男。 あえ ひと からだ かわい てのひら
2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 ヒンクな子猫 も < じ 花咲ける美少年 留守番の夜 邪悪な影 田麩の甘い罠・・ てんぶ 再会の舂 あとがき ピンクなキス 奇跡の恋 創立祭の大騒動・・ 瀬名の怒り・・ いわれなき攻撃 ・ 33 ・ 284 ・ 90 ・・・ 64
コバルト文庫 く好評発売中〉 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ まあさきりタ ◆イラスト / あさぎりタ ◆高校時代犬猿の仲だっ ◆再会し親密に・・・。実は 学生時代から生島を想 っていた伊吹だが、願 いが叶ったにもかかわ らず失踪してしまい ! ? 御園高校シリーズ ! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 前編・後編
コバルト文庫 く好評発売中〉 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ . 高校を舞台に贈る、 まあさきりタ ◆イラスト / あさぎりタ ◆酔った勢いで見知らぬ v ◆男と一夜を過ごしてし ◆まった同性愛者の晶。 この恋は、その夜限り で終わる八ズだった。 ところが、晶か講師を することになった男子 高で男と再会し・・・ ! ? 卒業までの : 人 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
く好評発売中〉 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 物コバルト文庫 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ルな恋の行をゆ 猫かぶりの君 1 ~ 3 まあさきりタ イラスト / あさぎりタ 高校時代の初めての出 会いから、紆余曲折を 経て、一緒に暮らすこ とになった久住と芳。 だが、弟・芳を偏愛す る南部兄弟が、ふたり を別れさせるために ある卑怯な企みを・・・ ! ? ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆