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検索対象: ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)
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1. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

常に必ず : 交通係りのお巡りだって人の子である。彼の判断が常に必ず絶対に正しいとはかぎらない。だ がそれなのに、彼がっかまえる相手は、常に必ず絶対に、違反を犯しているのである。 色 下手くそな女ドライ・ ( ーが信号でもたついていた。赤が青に変り、青が黄色になり、また赤に なった。つかっかと近づいてきたお巡りが言った。 「奥さん、どうしたんだい ? 気に入った色が出るまで待とうっていうのかい ? 」 つらい仕事 およそ、あらゆる職業の中でもっとも厳しく辛いのが、交通係りのお巡りである。なにしろ、 四六時中、目を三角にして怒っていなければならないのだから。 1

2. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

ロードアイランドの海水浴場でのことだった。警官が見事な肢体を惜し気もなくさらけ出して いる若い女性に言った。 「見たところ、法に触れるところはないようだが、しかし、そんなちっぽけな布切れだけしか着 けないでいて、あんた自分が恥かしいとは思わないのかねー 人の下に : 万人は生れながらにして平等である。ああ、それなのに、人間の中には大人になって交通係り のお巡りになるやつがいるんだ。 お客さん 警官になってしあわせだという者もときにはいる。ある百貨店の売場主任が、転職してお巡り になった。その理由をきかれて彼は言った。 「給料や勤務時間はまあまあだけど、最高にいいのは、いつもお客さんのほうが悪いってことで すよ」

3. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

ニューヨークのお巡り 信号無視をした女に停車を命じ、切符を切ろうとした白バイの警官に、女が言った。 「ちょっと、そう言っちゃ何だけどさ、あたしがあんただったら、切符なんか切らないわよ」 「どうしてだい ? 」と警官はかまわず切符を切りながらたずねた。 「あたしはね、偉い人をたくさん知ってるんだ。上院議員のジャヴィッツや、市長のカッチやら みんな知ってんだよ」 「じゃ、あんたマイケル・ウオリンは知ってるかい ? 」と警官はたずねた。 「え ? だれ ? マイク・ウオリン ? 知らないね。そんな人」と女は言った。 え「そうかい、じゃ、だめだ。ほれ、あんたの切符だよ。ウオリンを知ってなくちゃな」 合 「その人だれなの ? 」と女は熱心にきいた。 た 「おれだよ、 ス 無 おしゃべリ おしゃべりはタダだ ただし、相手が交通係りのお巡りでなければだが。

4. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

222 欧米の社会が自由と平等の民主主義社会だというのは迷妄である。 欧米の社会は、圧倒的多数の一般民衆にとって、抑圧と差別の社会なのだ。 犯罪をテーマとするジョークには、そのような社会に生きる民衆の気持ちがよく表われている。 民衆の同情は、正義の味方のはずのお巡りにはなく、泥棒や詐欺師のほうにある。ジョークの世 界のお巡りは、マヌケなくせに欲張りの粗暴ないやな奴である。こういう警察に対する反感は、 ス、ーリ・ー 都会のものである。もっとっきつめるなら、都会の街頭の感覚である。 アメリカの大きな都会なら、そこにはかならす the Street と呼ばれる場所がある。 the Street ということばには、ー単なる″通り〃とか″街〃という訳ではカ・ハーしきれないあるニュアンスが いろどり ある。彩がある。 the Street には、地理的区分以上の精神的と言っていいなにかがあるのだ。 theStreet を生活の場にしているのは、どこの馬の骨ともわからない流れ者た。どこからとも なくいっかその都会に流れて来て ( hes ( ree ( で生活の糧を稼ぐようになった人々である。古参も いれば新参者もいる。金持もいればその日暮しの貧乏人もいる。人種も国籍もさまざまだ。彼ら あとがき

5. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

224 のほぼ三倍の財貨が、特権を持つ人々によって盗まれている、と結論しているのである。 ニ、ーヨーク生まれで、庶民の権益の擁護者だったセオドア・ルーズヴ = ルト第二十六代大統 領の言葉 ( 本文八四頁 ) は、その辺の事情を見事についている。学歴のない流れ者の泥棒は、せ いぜい列車の積み荷をくすねるだけだが、大学教育を受けたエリートは鉄道をそっくり盗んでし まうのである。 the street の住人たちは、 chuck には嫌われ、軽蔑され、怖がられ、お巡りには目の敵にされ ながら、泥棒や詐欺に血道をあげる。それなのに、彼らは犯罪においてすら、ワリを食っている のだ。「犯罪ですら引合わぬ」というのが、 theStreet の人々のひそかなる実感ではないたろう 、刀 訳者

6. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

慎重な男 ある男が、仕事のことを考えながら夜の通りを歩いていた。そのときひとりの男が駆け寄って きた。 「おい、大将、ここら辺でお巡りを見なかったかい , その男が尋ねた。 「いや」通行人が答えた。 「あんたはどのくらい歩いてるんだ」 「二十分くらいかな」通行人が答えた。 強 「オーケー、大将、おれはビストル強盗だ。手をあげな」男が言った。 「たった七十五セント。ほっちしか持ってないくせしやがって、いったいなんだっておめえはあん なにむきになって闘ったんだ ? 」 「うん」ふうふう言いながら男が答えた。 「おれは、ひょっとして靴の底にかくしてある千ドル札をお前にみつけられたら大変だと思った んだ」

7. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

194 自慢の息子 ある婦人が女友達をたずねた。 「ねえ、おくさん、うちの息子からたった今手紙が来たのよ」彼女はうれしそうに言った。「ま じめにお勤めしたんで、刑期が半年短くなったんですって」 「それはよかったわね」友達が言った。「あなたも、まじめなお子さんをおもちになって、さそ 鼻が高いわね」 クラブハウス 「うちの兄貴は、法律にとても関心を持っているんだ」何かと言えば家族自慢をしたがるディッ 、リーに一一 = ロった。 クが、友達の / ハリーがきいた。 「へえ、法律の勉強をしているの」 「いや、そうじゃないよ」ディックが答えた。「彼は、内幕をいろいろ知っているんだ。しよっ ちゅう警官と一緒に出かけていくんだ。せ。お巡りたちは、兄貴を自分たちのクラブの一員として 扱っているんだ。兄貴をとても可愛がっていて、それでよく兄貴を尋問するんだよ、 かわい

8. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

士気 か「きみ、目のまわりに黒いあざなんかこしらえてどうしたんだい ? 」、とテイムが色男のボブにた えずねた。 「これは警察の士気がたるんでるせいなんだ」とポプは言った。「公僕のくせにまるでなっちゃ といないよ、近頃のお巡りは」 ス 「強盗にでもやられたのかい ? 」 去「いや、ちがうんだ。知ってるだろう、例のむちむちの金髪ねえちゃん、亭主が巡査をやってる : 。、トロールの途中で家に寄ったんだ、勤務中だってのに」 あの女さ」とポプは説明した。「亭主力一 。ヒカソ描くといった容貌の娘だった。彼女は警察に駆け込んできて叫びたてた。 「お巡りさん、男が私をつけてきてるんです。そして私から何かをとるつもりなのですわ。きっ とひどく酔払っているのよ」 警官は、その娘の顔をちらっと見て言った。 「そうですな、お嬢さん、そいつはもう何もわからないほど酔ってますよ」

9. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

福祉国家 無免許運転でつかまった男が白・ハイのお巡りに言った。 「あっしが無免許で運転したといいますがね、そりゃあしようがなかったんです。あっしは州か ら盲人福祉年金をもらっているんで、免許を取ることができないんでさあ」 免許証 女性ドライバーが駐車場から車を出そうとしてした。 , 、 - 彼女の運転はひどいもので、前の車にぶ つつけ、あわてて後退してこんどは後の車に衝突するという始末。やっとのことで道路に出たが、 折りから通りかかった配送トラックに衝突してしまった。そこにその一部始終を見ていた警官が 寄ってきた。 「奥さん」警官が言った。《「免許証を拝見します」 「あなたってばかじゃないの」女性ドライ、、 ( ーが答えた。「いまのみんな見てたんでしよ。あれ で誰がわたしに免許をくれると思って ? 」

10. ポケット・ジョーク〈7〉おまわりと泥棒 (1981年) (角川文庫)

付いたんで、見とれていたんです。そしたらこのお巡りがやってきて、私が客待ちしていたなん て言いがかりをつけて」 「なるほど、それでどうなんだ」判事が言った。 「私はなにもしていません。絶対に無罪ですわ」女が答えた。 「ふーむ」判事が言った。「記録からみて有罪ははっきりしている。お前は今年になって法廷に 立つのはこれで六度目だ。百ドルの罰金と三十日の懲役に処する」 次に立ったのもやはり同じ売春の罪で連行された女性だった。そして彼女も同じように下手な 言訳をして無罪を申し立てた。判事は明らかに怒りをつのらせていた。彼はその女に罰金一一百五 十ドル、それに二か月の懲役を宣言した。 三番目の女性も売春婦だった。 , 彼女は前の二人とちがってすなおに有罪を認めた。「判事さま、 理私は現行犯で捕まりました。人を誘っていたんです。何もほかに言うことはありませんわ」 分「よろしい」判事が言った。「少なくともお前は正直ではある。罰金一一十五ドル払えば、釈放し にてやろう。もう一一度とするなよ」 盗その次が行商人の番だった。判事の前に連れ出されると判事がたずねた。 Ⅵ「何か言いたいことはあるか , 「判事さま」男は答えた。「あなたのような賢い判事さまには隠しごとなどできるもんではあり ません。あなたさまは何もかもお見通しです。私は有罪です。私は売春しました」