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検索対象: 夜光街 : 真夜中の翼
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1. 夜光街 : 真夜中の翼

184 「まさか : : : お前が出てくるとはな。結局そういう事か。四堂の総長は息子かわいさに全部仕 組んでたって訳だ。全部そうだ ! 四堂のために体はってきた俺を馬鹿にしやがって , 吐き捨てるようにわめきちらし、桐谷は木佐を睨み付けた。しかし木佐に動揺は見られな おおかみ 「何が『黒狼』だ ! 狼が聞いて呆れるぜ。てめえは四堂の大だ。十六で人殺しだったやつも 四堂に飼われて腐りきったらしいな」 流の体を衝撃が駆け抜けた。 木佐がーーーー人を : : : ? 木佐の表情はまったく変わらない。冷たい双眸は桐谷を見据えたまま。 「言いたい事はそれだけですか」 しやり。 木佐が踏みだす。一一人の部下のうちひとりはのびたまま、もう一人も木佐の気迫に立ちつく はあく あわ したままだ。桐谷はようやく状況を把握し、慌ててべンツに走った。木佐も走りだす。 助手席に体をつつこんだ桐谷はダッシュポードをかき回し向き直った。 木佐は足を止めた。 にら

2. 夜光街 : 真夜中の翼

129 夜光街 一枚の紙を巻いたような形のその花に葉はなかった。 美貴はバランスを見ながら花を一本ずつ慎重にベネチアンガラスの花瓶に生けてゆく 流はカウンターの向かいから生けられてゆく花を見ていた。何本もの曲線を描く茎の隙間か ら美貴の指が行き来する。 けんばんすべ はしめて〈イビサ〉に連れてこられた日、美貴はピアノを弾いていた。あの時の鍵盤を滑る 指と同し、白くて細い・ 「何見てるの ? 流の鼓動は一気に早まった。 「あー、いや。それ、なんて花かと思って : ・ 顔が熱くなるのを感しながら、心にもない事を聞く。 「これ ? カラーっていうのよ」 聞いた手前、流は一応頷いてみたりする。 「そういえば、前に来た時も白い花、生けてたよな。種類は違うけど」 何気ない流の疑問に花を生ける美貴の手が一瞬、止まった。 「ーーーー白い花しか飾らないことにしてるの」 美貴の声はかすかに暗さを帯びた。 なんか、やばい事聞いたかな。

3. 夜光街 : 真夜中の翼

201 夜光街 市冒で振え つお如い 気前 づ返 でに つおがり な分 か流 て集 らあ どそ つは いに たす 尸ん つは かて ち高 てだがぜ 流な蹴けな と ん っ を た くず 頷要 てろ しだ ' 笑う 苦そげ 見 雀見ード . 客ろ のし 衆て 目もい 当をくた め 。て か ら 階 段 を 手 ヤ プ し て 着 地 し フ ェ ウ イ は の び り 力、 ら ・そ・ 。に の フ ェ が 道 橋 の 階 段 の 手 す り ら を 乗 出 て を い俺突与お本 は の る わ も て く な 見 を に た き 、か 、よ上けば かだがだは な フ た い焦じお て ・つ て ん・ ェ流ら ン降 い怖借 る 、流く あ か フ そ ぶ き つがも一 お な 月リ の の の井い気り ? 力、 ! なた い ど さ ど フ る はわを 姿け入 る一学る の也やカ て反な 動 を つ 、んけ貸 ′つ た ら の し て俺怒ど怖立は は鳴なそ っフ り れ よ と す る ′つ の 居 酒 屋 の ヤ ツ も 人 の 人 物 を め た 座 ん で た

4. 夜光街 : 真夜中の翼

あさい いけぶくろ 池袋にシマを持っ浅井組組長、浅井健一一が口を開いた。 「そう、問題は田島だ。今日のこの幹部会にも出席してないんだ。明白だろう。あいつは晃を 認める気はさらさらない ぞうはん にきよくぶんかい 「悪くすりや造反もありうる。ここで一一極分解なんてことになってみろ。長年護ってきた四堂 だいもん の代紋に泥お塗る事になる。それだけはあっちゃならん」 くじゅう 居並ぶ面々のいすれもが苦渋に満ちた表情を浮かべていた。 えんえん 延々と続く議論を見ながら木佐の表情は険しかった。 たぬき 狸どもが。田島をダシにしてよくもぬけぬけと一一一一口えたもんだ。 四代目襲名にあたって片付けなければならない仕事は山ほどあった。多分晃の襲名が知られ ゆえ れば、彼の若さ故、数々の外部からの圧力ーー個人へも組へも、があるだろう。 その前に直系組長衆の気持ちだけでも束ねておかなければならない。 そう、この時期に。 木佐は自分の中に沸き上がってくる明確な怒りを感じた。 こんな時にこいつらは自身の保身しか考えていない。 拳を叩きつけたい。激しい怒りが体を駆けめぐった。 窓側のソフアに座った幹部が上着のポケットから煙草を取り出し口にくわえた。 木佐はゆっくり立ち上がると男のすぐ横に立ち彼を見下ろした。 たじま わ まも

5. 夜光街 : 真夜中の翼

244 らと文字で埋めはしめたのがはしまりでした。 し、しかし原稿用紙に向かうのなんて小学校の作文の時間以来で、最初は段落を一文字下げ る事すら忘れていたという。ああ、ばか。ちなみに作文、三枚以上書けた事がなかった : で、ずっと興味があった「やくざ」と「警官」が出てくる話を書きはじめたわけです。 本ははとんど持ってないけど警察関係と ハードボイルドは多かったりしたし。私の本棚は ごくどう あや 「極道」とか「ヒットマン」とか「黒社会」とかの文字がとびかっててかなり怪しい たて あこが 根本的にフラフラとした根無し草人間だから「縦社会」や「組織ーに昔からすごく憧れてい て、その最たるものが私にとって「極道」と「警察、でした。「階級 , とか「制服」 ( 極道の場 合、スーツは制服と言いきってしまおう ) なんてもっ絶対自分にはないものだし、本当にうつ こうしんしんじゅくしょ とりしてしまう。免許の更新は新宿署って決めてるし。 ( 笑 ) わいざっこんとん で、彼らが活躍する場も絶対新宿でしかあり得ないでしよう。猥雑で混沌とした無国籍な街。 きれいではないけど新宿が好き。家から川分で行ける場所で、小さい頃から親しんできたし。 ざっとう 静かなリゾートより新宿の殺人的な雑踏の方が落ちつけるっていうのはちょっと悲しいけど。 こんな新宿好き ( ・ : ・ : ) な私が作中に書いた場所はすべて実在します。 きようや ながれ 木佐と京也が逢った喫茶店〈マシェーズ〉は打ち合わせや待ち合わせに時々使うし、流が大 せたん ガードの所で見た大時計ももちろんあります。伊勢丹 1 階のロードウ・イッセイのプースはこ の前通りがかったら突然、ä<<O に変わってましたが。こういう事もありがちです、新宿で

6. 夜光街 : 真夜中の翼

220 びたりと閉まった。 男の手には、拳銃。 「桐谷 流の叫びに桐谷がこっちを向いた。その眼は狂気さえ宿している。銃口が向けられる寸前、 流は地に伏した。 ガシャアアアアアアン 派手な音を立ててガラスのドアが砕けちった。 「つつ 落ちてくるガラスの破片が皮膚を裂く。だが今そんな事に構っている暇はない。 桐谷は卩 ガラスの破片が舞い散る中、流は桐谷が階段を駆け登っていくのを見た。 「坊ちゃん " 】」 「桐谷だ ! 銃を持ってるリ」 島にそう怒鳴って、流はビルに走りこんだ。 上階から聞こえてくる階段を駆け登る音は確実に五階を目指している。 ひふさ

7. 夜光街 : 真夜中の翼

89 夜 正木ど廊月廊 宗佐ん下明下 なにかに はを沈は がは 自 ロ立り面 か破 分か葉ちがし です灌かた に 視た 葉と意発 事時 線の つ信れん のは た のな だか木晃 でてそ木郭に 定の 佐だ あ しか ろ つら フ 葉 かで が 意闇 の晃 思を 上オ 晃 の そ れ と そな ん事 は 違 事関 でわ と を のて 名・し ) 使場 れし ゃな めだ かそ 光 し 言確あ し く いれ佐だ闇 たがはけに 。正しを沈 と 刀く の 小 を・ 冂 も も し ) 木 佐 は 退 室 た の 正沈そ 黙 晃同黙 の意が と た か 否悦そ 定にれ い なて晃 い る な ク ) 同 つなし 力、 と の 四 。代 目 と し 小 も 木き だ輪ん つ浮ん ひ、 り既 庭 いに今冷沈 フ い フ 実期を わ 流いさ がるず いかは だ瑣さオ ′つ る も し そ カゞ と も 蒔ま 種 を ′つ がや黙 どやを 力、 た ′つ は け て外学。 な見みが ら据すら 従えせ たて 。胸る は 苦髪 も の が 渦 ? て る お 采ミ 酉 試 し て る の か 父 親

8. 夜光街 : 真夜中の翼

118 「流様」 再度の呼びかけに流のまぶたがばんやりと持ち上がり焦点を結んだ。 「そうです。もう大丈夫です」 おだ 穏やかな顔を流に向ける。流は安心したように目を閉した。 流の全身に残る打撲の跡に、木佐は再び湧きあがる怒りを強く感じた。シャツの背中部分が 切り裂かれている。 これは ? それまでシャツで隠れていた肩に何かが見えた。 瞬間、視界が真っ赤に染まった。 流の、かすかに焼けた肌に黒くはっきり読み取れる文字。 「こっ、これ ! あいつら : : : 墨いれやがった 絶句するフェンウェイを押し退け、木佐は部屋を出ていった。 京也に監視されていた須藤は、部屋から出てきた木佐を見るや、ひっ、と声を上げた。

9. 夜光街 : 真夜中の翼

243 あとがき 自分の人生に「作曲と「小説執筆だけは絶対にないだろうーーと思っていたのに、人生 ってあなどれない 実はコバルト文庫はまったくのはしめてというわけではないんです。今までいくつかのシリ いしどう ーズにイラストをつける仕事をしてました。そう、私、石堂はイラストレーターです。 でも実は本業は「マンガ描き」なんです。最近、仕事してないけど。 文章とは無縁で、小説もほとんど読まない ( うちの本棚を見た人があまりの本の少なさに絶 句するほど : : : ) この私がなぜ小説を書いたか ふっと思いついて、半年間ポストンで暮らして 1 年前に帰国。帰ってきてからは仕事もせ ぼ、つよう す、昼起きて朝寝て、たまに友達のプティックでバイトするという茫洋とした日々を送ってい ました。 ( 基本的には今もあまり変わらないけどね ) そういう生活だから、とにかく時間だけはくさるほどあったので原稿用紙のマス目をつらっ 、あとか医、 しつびつ

10. 夜光街 : 真夜中の翼

おおくぼ すべこ 中央線大久保駅に下り電車が滑り込み、ドアが左右に開いた。 夕方のこの時刻、乗降客はそれほど多くはない。その疎らな人の流れの中に流はいた。 やつばり尾けてくる。 ナイロンバッグを背負い直すふりをして背後に視線を巡らせる。 やまのて 学校を出て山手線に乗り、新宿で中央線に乗り換えて、その間中すっと自分を尾ける人の気 街配に流は気づいていた。 光 一人、じゃない。二人かそれ以上 : ・ あきら 夜 複数の気配に、流はフェンウェイとの約束を諦めざるをえなかった。 このままこいつらを連れてくわけにはいかない。 「見んなよー 涙を見られた恥すかしさから、流は木佐を睨みつけた。 そうだ、あんなところを見られたから俺はあいつが苦手なんだ : にが たどり着いた記億は、流にとって苦いものでしかなかった。 っ 0