さカ ようやく、坂のなかほどまで来たときだった。 馬に乗った兵士か、ふたりの前にかけよってきて、さけんだ。 「いまから、ダイナマイトをしかけるぞ ! ここからはなれるんだ ! 」 み 「ダ、ダイナマイト ? 」ジャックは、おろおろとまわりを見まわした。 ひと しほ、つよっ、つ ある とお 通りを歩いていた人びとが、四方八方に散らばった。 み ジャックとアニ 1 も、あわてて、身をかくす場所をさがした。 「アニ 1 、あの路地に、かくれよう ! 」 ちか ふたりは、近くの路地にかけこみ、しやがみこんだ。 ほんと ジャックはリュックをさぐり、サンフランシスコの本を取りだした。 で 「さくいん」で、ダイナマイトということばが出てくるべージを見つけ、その ペ 1 ジを開いた。 あと 火災がおきた後、サンフランシスコ市長は、とちゅうの建物をこわして、 、つまの 力さい ひら しちょう たてもの み ・・夜明けの巨大地震 127
ばくはっ おと そのとき、ダイナマイトが爆発する音がひびいた A 」、つドレ ば / 、はっと と同時に、あたり一面に、煙とほこりかもうもうとあがった。爆発で飛ばさ れたコンクリ 1 トのかけらが、ふたりのいる路地にまでふりそそいだ。 いたむね うでかお ジャックは、板を胸にかかえ、もう片方の腕で顔をおおった。 い「い「 1 ン いちど ばくはつおん もう一度、爆発音が、地面をゆるがせた 火が、家から家に燃え、つつるのをふせごうと考えた。 まち めいれい 、刀し そこで、街のいくつかの建物を、ダイナマイトで破壊するよう命令した。 しかし、火のいきおいが強すぎて、この作戦は成功しなかった。 たてもの とお とお ほのお 燃えさかる炎は、建物から建物へ、通りから通りへと燃えひろがり、手の つけようかなかった。 しえも たてもの いちめん じめん たてもの つよ けむり 、かにほ、つ さくせんせいこう かんが 128
ダイナマイトか、またさくれっした。 こ、つ、んんしゅ きけん 「ここにいたら危険だわ。わたしたち、これから、ゴ 1 ルデンゲート公園へ取 さい オに行くの。あなたたちも、いっしょに行かない ? 」 べティが、ふたりをさそった。 し、んか、ん 「わたしたちは、家に帰るところなの」と、アニ 1 「そうなの ? じゃあ、気をつけてね。さあ、フレッド、行くわよ ! 」 フレッドが、カメラをかつぐと、ふたりは、またあわただしく立ち去った。 「べティは、わたしたちだと、気づかなかったみたいね」 おも 「ばくだって、これがばくだとは、とても思えないよ」 わら かおみ ふたりは、顔を見あわせて、笑った。 ノー、ちょう アニーが、立ちあがり、べティの口調をまねて言った。 「さあ、お兄ちゃん、行くわよ ! 」 ジャックは、アンドルーの板きれをリュックにしまって、立ちあかった。 ・・夜明けの巨大地震 131
なか がんばれ ! サンフランシスコ ばくはつおん ジャックとアニ 1 は、ダイナマイトの爆発音をうしろに聞きながら、ツリ 1 さかみち ハウスめざして、坂道をくだっていった。 たてもの ほのお 坂の下のほうでは、燃えさかる炎が、建物をつぎつぎとのみこんでいる おおごえ おと ジャックは、ご、つご、つとい、っ立日にかき消されないよ、つ、大亠で一一一口った。 、つみ かんせんひ どこまで行けるかな。すこしむこうは、完全に火の海だ ! 」 おおごえ アニーも、大声でさけびかえした。 「行けるところまで、行くしかないわ。マジック・ツリ 1 ハウスが、燃えてし まわないうちに ! 」 くろけむり ジャックとアニ 1 は、小さく、つなずきあ、つと、黒い煙が立ちこめるまっただ 中へ、飛びこんでいった。 ねっふう すさまじい熱風に、ジャックは、すぐに目を開けていられなくなった。 さかした 132
「いそかないと、ツリ 1 ハウスが焼けてしまう ! 」 ど、つろ しかし、道路には、レンガやコンクリ 1 トのかけらが散らばっている。そん ある おも なところを、くつもはかずに歩くのは、思った以上にたいへんだった。ふたり ある は、ガラスに気をつけながら、できるだけいそいで歩いた はこけいさつかん とちゅうで、けがをした人をタンカで運ぶ警察官とすれちがった。 ひなん おおごえしじ 兵士が、避難する人びとに、大声で指示を出している。 ろじよう ひと 路上を、ピアノを押していく人がいた。 とお 頭の上に、たくさんの帽子を積みあげた人が、通りすぎた。 ひっし 「みんな、だいじなものを、必死に守ろうとしているわね」と、アニ 1 ぎんこ、つひと かねとしよかんひと ほん 「うん。銀行の人はお金、図書館の人は本 : そして、ばくたちは、この板 あたま 、つえ ダイナマイト作戦 ひと ひと さくせん ひと じよう 126
〔第 2 話〕夜明けの巨大地震 あこがれのカリフォルニア・ サンフランシスコの朝 アニーが地割れの中にー 新聞記者のべティ : そっちへ行っちゃだめだー 板に書かれたことば タイナマイト作戦・ がんはれ ! サンフランシスコ・ キャメロットの図書館で・ 希望の詩・ お話のふろく しんぶんきしゃ きばう し しわ さくせん としよかん 8 7 あさ よあけのきょだいししん