郵政民営化法 - みる会図書館


検索対象: 大問題 2006
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1. 大問題 2006

一四人だった。テレビで見た が、なかなガスリルがあった。 だいたいが退屈な民主主義で は滅多に見られない面白い瞬 間だった。 参院本会議での採決はさら に見物だった。自民党ガらニ ニ人の反対票、棄権・欠席八 人が出て、予想外の大差で否 決された。大仁田厚議員のけ れん味たっふリな棄権が印象 に残った。 小泉首相は直ちに衆院を解 散、一気阿成の攻撃に出た。 反対議員はなんだかぼんやり している感じだった。否決に 精力を傾けすぎたのだろう。 そして郵政民営化法案は成 った。新しくできる日本郵政 株式会社の人事などを見てい ると、「天上り」という感し がしなくもない。 相がとりつかれたように連呼する「改革という言葉と同 期しているかのようにも見えたのだ。 選挙前のマス・メディアの予想は自民圧勝だった。そし てその予想をさらに超えて、小泉自民党は、何もそこまで というほど勝った。郵政民営化は、選挙の主要な争点では、 おそらくなかった。単なる政策論争では、こんな極端なこ とにならないだろうからだ。民営化したからといって、め ざましい結果があらわれると思っている選挙民はほとんど いなかったにちがいない。民営化には長一短があるとい えるのがせいぜいのところで、既得権益は減殺されるかも しれないが、その代わり新しい権益が生まれるというのは ありそうなことだった。 極端なことになった選挙結果を見て、選挙民は小泉とい う人が好きなんだなあ、と私はつくづく思った。行動的だ し、決断が早いし、非情だし。私なら軽率で、冷淡で、自 己中心的だと見るところだけれども。だが仕方がない。私 の嫌いなテレビタレントが、大変な売れっ子だというのは、 しばしばあることだから。

2. 大問題 2006

目次 大問題 2006 ・政治 郵政民営化 クールビズ ポスト小泉・ 官製談合 朝日対 : ・ 国勢調査 大間題 2006 ・経済 ホリエモン・ 景気の踊り場・ 中内功・ 耐震強度偽装 アスベスト 大間題 2006 ・国際 ロンドン同時テロ・ 1 15 1 12 1 10 18 98 92 120 68 66 56 54 40 38

3. 大問題 2006

・メモランダム 七月五日、郵政民営化法案 は衆院本会議を通過した。わ すか五票差のきわどい可決だ った。反対票を投じた自民党 議員は三セ人、棄権・欠席は 月八日、与党自民党からも反対者が出て、参議院は ーノを郵政民営化法案を否決した。否決したのは参院で、 衆院のほうでは、法案は通過していたのだったが、小泉首 相は、すみやかに衆議院を解散した。 その意味では妙な解散だといえたが、こういう理屈抜き なところも、小泉首相の大衆的人気の一つなのだった。解 散発表の記者会見で、小泉首相は気迫に満ちていた。けが を押して優勝した貴乃花に賜杯を渡しながら「感動し た ! , と絶叫したとき以来の迫力ではなかったかと思う。 衆院選の公示は八月三〇日で、それまでの期間を首相は 無駄にしなかった。衆院で法案に反対した議員に党の公認 を与えず、そればかりか、選挙区には「刺客」と呼ばれる 対立候補を送りこんだのだ ( この「刺客ーというのは、マ ス・メディアのセンスを刺激し、とりわけテレビは必要以 上に大騒ぎして、一種の流行現象に仕立てた ) 。 非情で露骨で報復的で、子どもつほくもある小泉首相の こうしたやりかたは、その一方では大変明央だった。それ は、従来の自民党の茫漠とした行きかたとは対照的で、首

4. 大問題 2006

9784488070557 丿一連の「ライブドア 4 フジテレビ」騒動、参院での郵政 ラ民営化法案否決による異例の衆院髏、続く衆院選での 自民の圧勝、福知山線の脱線事故、耐震強度偽装、プロ 一野球交流戦開催。景気もよくなりつつある中、相疋内・ 一相舜のさまざまなことが起こった年を、軽妙な漫画 怠と洒脱なコラムで読み解く、いしい版「現代用擘典 . 」。 1920179006584 ISBN4 ー 488 ー 07055 ー 8 C 0 1 7 9 \ 6 5 8 E 定価本体 638 円十税 ) リサイクル資料 ( 再活用図書 ) 除籍済

5. 大問題 2006

政民営化問題では、周知の通 りのハイテンシ rn ンぶりだっ た。しかもその一種の逆上は、 総理になるより遙か以前から 持続したものである。 耐震強度偽装題に関して は、明らかに興味がなさそう だった。ぶらさがりで記者に インタピュウされているとこ ろをテレビ一一ユースで見たが、 おざなりにしやべっていると いう感しがした。関心のない 質問に答えるときは声に張り がなくなり、不機嫌ではない にしても、なんだか疲れてい るなという感じになるのだ。 経済問題を竹中大臣に丸投 げしているように、」この問題 も国土交通大臣に丸投げして いるのかも知れないが、人命 に関わるだけに、郵政民営化 のときみたいに先頭に立って もらいたい気がする。 不況の建設業界では、ヒュ 1 ザ 1 みたいな施主が一番強い ということ。次が木村建設みたいになんとか仕事を取った ところだとい、つこと 「下請け業者は勝手に叩き合いをする。代わりはいくらで もいるのだよ、という状況だな」と彼は自嘲的にいった。 姉歯もその一つだろうというわけだ。 こんなケースは、業界では稀なんだろうか、それともわ りにしばしばあることなんだろうかときいてみた。私が一 番ききたかったのはそれだったのである。友人は電話の向 こうで一瞬黙り、そしてため息をつき、いった。 「いくら土建屋でも ( 彼は自分のことをそういっているの だが ) 、ふつう、そこまではやらないよ」。 私は、少し救われた気がした。町の至る所に建っている マンションの相当多くが、耐震強度を偽装されたものだと したら不安どころではないからである。 そのあと、私と彼はだらだらとらちもない話をえんえん とした。二人は互いに信頼はしていないが、気の置けない 仲ではあったのである

6. 大問題 2006

ズ」と決定した。「クール」 は、一沢しい A 」かっ→」いいをか けたもの。「ピズ」はビジネ スの略。 小池百合子環境大臣は、早 速「クールピズ」売り込みの 先頭に立ち、経済界トップに 呼びかけたほか、知人の漫画 家に主人公をノーネクタイで 登場させてと依頼したりした という。 クールビズが、とにかく名 前だけは評判を呼ぶにしたが って、小池大臣の人気も上昇 したのは、イメージの時代の 特徴だった。そのイメージを 活用して、夏の衆院選では、 選挙区を引っ越し、郵政民営 化に反対し自民党公認になれ なかった小林興起候補の刺客 となった。このあたりは、ク ールビズとは無縁の暑苦しい 事情があったわけだった。 たその暑苦しさが、ネクタイを除去するや、野放しになる からではなかろうかこの場合の例として公明党の冬柴幹 事長あたりをイメージしていただきたい。 小泉首相は、政治家としては珍しく涼しげな顔つきをし ているが、髪型が大げさなので、その頭とクールビズのバ ランスが悪いなと私なんかは思った。武部自民党幹事長は、 高利貸しのように見え、麻生総務相 ( 当時 ) は夏の日盛り に聞き込みに回っている下積みのべテラン刑事のように見 えた。この次期首相候補は、ク 1 ルビズにすると、なんだ か疲れ果てているように見えたのである 地方公務員をしている私の友人と夏に一杯やったとき、 話題は、やはりクールビズになった。いろいろ物いりだし、 第一、何を着ていいのか、基準に困るんだよと彼はいった。 そして私のアロハシャツを見ながら、そういうのはだめだ なとため息をついた。公務員の場合、ク 1 ルビズはいわば 強制のようになっていたようだ。一方でバッシングの対象 となりながら、その一方ではクールビズの、身をもっての 役を仰せつかっていたわけだ。うまいな小泉政権 4

7. 大問題 2006

・メモランダム 0 五年の「今年の漢字」の 一一位以下は改革の「改」、郵 政民営化の「郵」、そして 「株」だった。「愛」にくらべ ると、どうも世知辛い。もっ 五年の「今年の漢字」は「愛」だった。もちろんわ がプリンセスの結婚にちなんだものである。ハリケ ーン災害やパキスタン大地震の際に見られた世界的な援助 さ の広がりも、この漢字に結びつけられた。いずれにしても 愛があるのは何よりである。 一般人の結納に当たる納采の儀は、三月一九日におこな われた。こうした儀式のたびに、テレビは将来の夫君、東 京都職員の黒田慶樹氏を映し出した。じつにきまじめそう な青年で、だが同時にそこはかとないユーモアを漂わせて おり、たとえば明石家さんまが司会をするバラエティー ショーなどに出演したとしたら、大いにいじられそ、つなタ イプであった。 二人が結婚したのは一一月一五日。その朝、嫁ぐ娘を母 は抱き寄せ「大丈夫よ」と語りかけたという。たしかにそ れは「愛ーであった。 帝国ホテルでおこなわれた披露宴は、質実なものだった。 晴れて黒田清子さんとなった新婦は、母譲りの着物で祝宴 に臨んだ。乾杯の音頭を取ったのは、新郎の上司である石 188

8. 大問題 2006

公団」 ( 現・成田国際空港会社 ) が発注した電気設備工事で受 注調整、つまり談合があった ことが発覚した。 さらにそこから防衛施設庁 の大がかりな官製談合事件に 発展したのだった。その構造 は、道路公団の場合とまった く同じだった。つまり天下り とバーターで、発注調整する というわけである。ところで なんとなくわかっていながら、 まあそんなもんだろうとやり すこすというのは、堀田善衛 のいう「無常観の政治化」の 一種なのかもしれなかった。 一 0 月一日、道路公団は分 割民営化された。官製談合で 逮捕者まで出したが、近藤剛 総載は、中日本高速道路株式 会社の代表取締役会長に就任 した。これは天下りとはいわ ないのかしら。 常より高い価格を公団に支払わせることになったというわ けだった ( 公判では、被告はそれを否認している ) 。 この橋梁談合事件を通じて、官製談合の構図というのが 明らかになった。それは、公団は業者に受注の便宜を図る 代わりに、役人の天下りを引き受けさせるというものだっ た。こうして現役の役人と役人のとが、発注元と受注 先の双方に分かれて、要するに身内同士で甘い取引をやっ ていたのである この談合で中心的な働きをしたのは、公団の親睦団 体だったのだそうだ ( 七月一二日に逮捕された元理事は、 その団体の重要人物だった ) 。われわれの親睦グループな ら、酒を飲んで、カラオケをうなるくらいがせいぜいだカ こちらは、業者と公団のあいだを積極的に動き、受発注の 手前勝手な調整にいそしんでいたのである。 経団連会長の解説は、要するにそれなのだった。あの緩 やかな時間が流れる「村の寄りあい」とはまるで関係ない ばかりか、消費者にも労働者にも、なんの関係もない、あ つかましい既得権者の談合の話なのだった。

9. 大問題 2006

幡製鉄の合併、国鉄民営化な ど、財界にややこしいことが 起こると必すあらわれるので、 「財界の鞍馬天狗」と呼はれ た。いまでいうと「白馬の騎 士」みたいなところもあるの かもしれないが、なんだかそ れより志が高そうな気がする。 気がするだけかもしれないが。 一月八日には、「小森のお ばちゃま」こと映画評論家の 小森和子死去。新旧の東京都 庁をつくった建築家の円下健 三は九一歳で、三月ニ一一日に、 俳優の松村達雄は、九 0 歳で 六月一八日に亡くなっている。 若くして亡くなった人もい た。漫画家の中尊寺ゆっこ ( 四一 l) は一月三一日に、フ オーク歌手の高田渡 ( 五六 ) は四月一六日に、歌手の本田 美奈子・ ( 三八 ) は一一月六 白に亡くなった。合掌。 産したジャケットの洋服の処分セールをやった京橋 のダイエーに出かけたのである。サイズが合わなくて、結 局何も買わないで帰ったのだが。 その ><Z ジャケットの創業者の石津謙介が亡くなった のは、五月二四日だった。中内より一〇歳も年長の九三歳 だった。あえて比較すれば、中内とは対照的な生きかただ ったといえそうだが、 その一〇歳の年の差のあいだの日本 社会の変化も想像させるのである 中内叨と同じ日に、後藤田正晴も亡くなった。そのちょ っと前までテレビに出演し、かくしやくとして、たとえば 小泉首相の靖国参拝を諫めていたので、意外な感じがした。 だがもう九一歳だったのだ。 警察官僚から田中内閣の官房長官となり、「カミソリ」 の異名を取った。宮沢内閣では、法務大臣と副総理を歴任 した。政界引退後は「政界のご意見番として、積極的に 発言していた。何も怖いものがない小泉首相は、一向に耳 を貸す気配はなかったが。

10. 大問題 2006

・メモランダム 四月八日におこなわれたヨ ハネ・パウロニ世の葬儀には、 当然のことながら世界各国の 首脳やその代理が参列した。 アメリカからはブッシュ大 コンクラーベ 四 月二日、ロ 1 マ法王ヨハネ・パウロ二世が亡くなっ た。ローマ法王という存在の重さが、どれくらいな ものなのか、私みたいな者には、どうもびんと来ていない ( 白状すれば、わが天皇陛下についても、私はいま一つ実 感がもてないでいるのだ。両権威に対する感覚の鈍さは、 ひょっとしたら私が受けた戦後民主主義教育のせいなのか もしれない。責任転嫁するみたいだけども ) 。 それはともかく、非常に高齢であったとしても、人の死 は痛ましいものだが、 この世界最高級の宗教者の場合は、 そういう印象はちっとも受けなかった。死を超越している と、漠然と思いこんでいたのかもしれない。法王の死が告 げられたとき、サンピエトロ広場に集まった六万人の民衆 が一瞬静まったと新聞に書いてあった。そのあと期せずし て拍手が起こったのだという。その記事を読んだとき、私 は、なんだか心が温まった。人が死んで、温かい気持ちに なったのは、そのときが初めてだった。そしてそれが、そ しささか の重みになかなかびんと来ない私が、「法王」に、、 でも近づけた瞬間だったのかもしれなかった。 122