せん かんが 大気汚染の問題をいっしょに考えよう と たいきおせん たいきじようかほう なんど きました。このため、「大気浄化法」を何度 さんぎようかくめい きんだいてき かいせい はいき つよ 産業革命がおこり、近代的な工業が発達し、 も改正し、排気ガス規制を強めるようになり あっ せきたんたい せんしんこく ねんだいいこう ゆうどく 都市に人々が集まるようになると、石炭を大 ました。先進国では、 ] 970 年代以降、有毒 りよう も はんばい なまり しよう きんし 量に燃やすようになったため、大気が煙やス な鉛を含むガソリンの販売・使用を禁止し、 ひとびといのち おお なまりちゅうどく ぎせいしゃおお スで汚されるようになり、多くの人々の命と 鉛中毒の犠牲者を大きくへらすことができ けんこう にほん かんきようほ 健康がうばわれるようになりました。日本で るようになりました。アメリカの環境保護 じせかいたいせん せかいれい きよく まんにんいじよういのち は、第二次世界大戦後、これまでの世界に例 局は、そのことによって、 2 万人以上の命が こうぎようか すいてい をみないようなはやさで工業化と都市化が進 すくわれるようになった、と推定しています。 にほんぜんたい こうがいれっ み、それにともなって、日本全体が、「公害列 じようたい おせんかんし ロ「汚染の監視」 島」とよばれるような、ひどい状態になりま だいきば かいがんちたい せきゅかがく たいきおせん もんだい かいけつ した。海岸地帯に大規模な石油化学コンビ 大気汚染の問題を解決するためには、まず けんせつ みえけんよっかいち たいきおせんていど せいかく ナートが建設された三重県の四日市では、工 は、大気汚染の程度を正確につかまなくては えんとつ はいしゆっ ありゆうさん じどうしやどうろ えんどう にほん 場の煙突から排出される亜硫酸ガスのため なりません。日本では、自動車道路の沿道な ひとびと そくこうがい おお ちほうじちたい たいきおせんそくていきよくせっ に、多くの人々が「ぜん息公害」に苦しめら どに、国と地方自治体の大気汚染測定局が設 かず ありゆうさん れるようになりました。しかし、亜硫酸ガス 置されており、その数は 2000 か所を超えて いおうぶん ねんりようつか はいしゆっ たいきおせん なか こうかがく の排出は、硫黄分を含まない燃料を使ったり、 います。大気汚染の中でも、光化学スモッグ いおうぶん と だつりゅうそうち 硫黄分を取りのぞく脱硫装置をとりつければ、 は、命と健康をおびやかすので、一定の基準 よっかいち ばあい ふせ ちほうじちたい けいほうちゅういほう まちがいなく防ぐことができます。四日市で を超えた場合は、地方自治体が警報や注意報 こうがいさいばんはんけつ こうがいたいさく うなが は、公害裁判の判決を受けとめて、公害対策 を発令して、住民に注意を促すなどしていま こうかがく ちゅういほう はつれい せんこくかく す。光化学スモッグ注意報の発令は、全国各 が進められるようになり、 1975 年には、亜 のうど ぜんこくすいじゅん りゆうさん うけい かぞ ねん 硫酸ガスの濃度が「全国水準」にまで低下し 地を合計すると ] 89 日を数え ( 2004 年 ) 、 ざんねん 残念なことですが、増える傾向にあります。 ました。 いのちけんこう わたしたちの命と健康をどのようにまもるか、 かてい はな 0 「危機に立ちむかう」 家庭でも話しあってみましよう。 じけん 「ロンドン・スモッグ事件」は、煙やスス むえんたんせきゅ せきたん きんし ひ 0 「地球を冷やせ」 がでる石炭の使用を禁止して、無煙炭や石油、 にんげんいのちけんこう てんねん たいきおせん ひがい 大気汚染には、人間の命や健康に被害を与 天然ガスを使用させるようにしたため、 かいけつ ちきゅうかんきよう ねんだいいこう はかい ] 960 年代以降、なんとか解決できることに えるものと、地球環境を破壊することにより、 じどうしやたいこく にんげん あくえいきよう なりました。しかし、「自動車大国」のアメリ 人間にさまざまな悪影響をおよぼすものがあ ねんだいい はいき にさんかたんそ たいきちゅうのう ります。たとえばニ酸化炭素は、大気中の濃 力では、 ] 960 年代以降、自動車の排気ガス たいきおせん しやかいもんだい にんげんいのちけんこう おお による大気汚染が、大きな社会問題になって 度がかなり高くなっても、人間の命や健康に ロ「大気汚染に取りくむ」 こうぎよう はったっ ひとびと けむり たいき ふく とう じよう くる ち ふく ん いのちけんこう いってい つ じゅうみんちゅうい はつれい ねん すす あ ち ていか けいこう た けむり しよう ちきゅう しよう ど
かんが ひがいあた じてんしゃ かつよう じてんしやせん 被害を与えることはない、と考えられていま のは、自転車の活用です日本も、自転車専 ちきゅう した。しかし、「地球をつつむ毛市」のよう 用道路を、オランダに見って、思いきって ちきゅうおんだんか うなが せいび な働きをすることによって、地球温暖化を促 整備したいものです。 かんが はいしゆっりよう すのではないかと考えられ、その排出量の削 げん せかい ロ「産業界の取りくみ」 減が急がれるようになりました。そこで世界 ひとびと きこうへんどうわくぐみじようやく こうどけいざいせいちょうき ねん の人々は、 1 992 年、「気候変動枠組条約」 高度経済成長期の日本では、四日市の「せ こくれんそうかい さいたく きこうへん そくこうがい さんぎようかつどう を国連総会で採択しました。そして、気候変 ん息公害」がそうであったように、産業活動 どうわくぐみじようやく ていやくこくかいぎ ていけつ げんいん ひら たいきおせん 動枠組条約を締結した国々が締約国会議を開 が大気汚染のおもな原因になっていました。 はな ねんきようと ちきゅうおんだんか いて話しあい、 ] 997 年に京都で開かれた第 そして、いまでも、地球温暖化の原因になっ かいていやくこくかいぎ きようとぎていしょ にさんかたんそ 3 回締約国会議で、「京都議定書」を採択しま ている二酸化炭素について調べてみると、「産 きようとぎていしょ にさんかたんそ たいりようはい ぎようぶもん そうはいしゆっりようやく した。京都議定書は、 二酸化炭をを大量に排 業部門」が総排出量の約 40 % を占めていま うんゆぶもん 出してきた先進国に対して、二酸化炭素など す。「運輸部門」が約 20 % を占めていますが、 おんしつこうか うんゆがいしゃ の温室効果ガスを、 201 2 年までに、 ] 990 その約 80 % を運輸会社が占めています。「ク さくげん どりよく かいはつ 年とくらべて、少なくとも、 5 % 削減するこ リーンな自動車」の開発も、「産業界の努力」 と とを義務づけました。 にまかされています。だから、「産業界の取 たいきおせん りくみ」を変えることなしには、大気汚染の もんだい かいけつ ロ「自動車をクリーンに」 問題を解決することはできません。しかし、 べんり もの ちきゅう さんぎようかい おお 自動車は、「便利な乗り物」ですが、地球 産業界は、より多くの利益をあげるために はげ おんだんか にさんかたんそ じんたい を温暖化させる二酸化炭素だけでなく、人体 おたがいに激しく争っています。このため、 ゆうがい いおうさんかぶっちっそさんかぶつはいしゆっ りえき に有害な硫黄酸化物や窒素酸化物を排出し、 「利益が少なくなる取りくみ」に対しては、 たいき おせん しようきよくてき ちほう 消極的になりがちです。そこで、国や地方 大気を汚染しています。その自動車が、日本 まんだいいじようはし きせい 自治体による、「きびしい法律による規制」が だけでも、 7000 万台以上も走っているので す。どうしたらいいでしようか。ーっは、自 求められています。 動車そのものを、クリーンにすることです。 にほん 0 「クリーンな電力」 そこで、日本のトヨタとホンダは、エンジン ばあい にさんかたんそそうはいしゆっりようやく とモーターを組みあわせた、「ハイブリッド車」 日本の場合、二酸化炭素総排出量の約 7 % かりよくはつでんしょ てんかんぶもん かいはつ を開発しました。もうーっは、エネルギー効 を、火力発電所などの「エネルギー転換部門」 にほんでんりよく りつ はいき が占めています。それだけに、日本の電力を 率がよく、排気ガスを出さない「クリーンな こうつうきかん でんりよく か つよ もと か 「クリーンな電力」に変えることが、強く求 交通機関」に変えることです鉄道の輸送量 にさんかたんそはいしゆっりよう ちきゅうおん にほんせいふ あたりの二酸化炭素排出量は、自動車の ] O められています。日本の政府は、「地球を温 こうかてき げんしりよく だんか 分の 1 ぐらいになります。もっとも効果的な 暖化しないクリーンな電力」として、原子力 にほん 、り 0 な刃 み おも もうふ ようどうろ はたら さんぎようかい と よっかいち にほん げんいん さん さいたく ら し せんしんこく そ か 亠 0 しゆっ し ねん し ねん さんぎようかい さんぎようかい か の りえき あらそ と にほん っ と じ ひと でんりよく にほん く ひと し だ ゆそうりよう てつどう ぶん でんりよく
クリーンな電力 せきゅ てんねん かりよくはつでんしよ かせきねんりよう せきたん 央力発電所で石炭や石油、天然カスなどの化石燃料を燃やすことに よって、電力の大部分はつくりたされています。この央力発電所が、世 界中で、大気を汚染しています。とくに、石炭を燃やすタイプの旧式の 発電所が問題です。 でんりよく ぶん かりよくはつでんしょ たいき せきたん おせん かいじゅう きゅうしき もんだい はつでんしょ かせんみずうみ せきたんかりよくはつでんしよ △石炭央力発電所が、多くの河川や湖を さんせいう おせん 汚染する酸性雨を降らせます。 ロ発電所が汚染源 せきゅ てんねん はつでん はんぶんいじよう さんせい はつでん 石炭や石油、天然ガスを燃やして発電 の半分以上が発電によるものです。酸性 はいしゆっげん しゅよう することが、二酸化炭素の主要な排出源 雨は、ヨーロッパや北アメリカでは、 げんいん さんせいう ねんだい かせん しよう になっています。また、酸性雨の原因と ] 970 年代の初め頃から、河川や湖沼の にさんかいおう ぜんはいしゆっりよう さかな しんりん なる二酸化硫黄については、全排出量 魚を殺し、森林をむしばんできました。 おお おせんげん はつでんしよ せきたん にさんかたんそ
こうどうけいかく こうどうけいかく 行動計画を決めました。その行動計画による き てんねん わり と、「緑色五輪」までに、バスの 9 割、タク りよくしよくご つか わり ふたた りよう すす ふたた しよう も はいきぶつけむり りよくしよくご か りよくしや め、「廃棄物そのもの」をへらすことによって、 はいきぶつ イクル ( 資源として再び利用すること ) を進 しげん 裟品・部品として再び使用すること ) 、リサ せいひん ぷひん ス ( 廃棄物そのものをへらすこと ) 、リュース はいきぶつ ことによって解決するのではなく、リデュー かいけつ 恐れかあります。廃棄物の問題は、煙にする おそ けむり はいきぶつもんだい なく、ダイオキシンなどの POPs を排出する はいしゆっ 物を燃やすと、二酸化炭素を排出するだけで 小つ はいしゆっ にさんかたんそ も いった本も出版されています。しかし、廃棄 はいき ほんしゆっぱん 燃やせ』 ( 立石勝規著、光文社、 2003 年 ) と ねん こうぶんしや たていしまさのりちょ ( 武田邦彦著、青舂出版 2000 年 ) 、『こみは ねん たけだくにひこちよせいしゅんしゆっぱん 日本では、『リサイクルしてはいけない』 ほん 0 「廃棄物を煙にしない」 向けてみましよう。 む たら、大気汚染対策の進みぐあいにも、目を め たいきおせんたいさく うことにしました。「緑色五輪」がはじまっ 会場周辺の街灯の 8 割を太陽光発電でまかな たいようこうはつでん わり かいじようしゅうへんがいとう オリンピック会場の電力の 2 割を風力発電、 わり ふうりよくはつでん かいじようでんりよく 力車」に変えることになっています。また、 シーの 7 割を、天然ガスを使う「クリーン動 かさい かいけつ ロ「火災と森林」 しんりん 解決すべきではないでしようか。 じゅもくせいちょう 森林は、樹木が成長するときに しんりん さんそ はいしゆっ 二酸化炭 じゅもくせい にさんかたん 素を吸収し、酸素を排出します。樹木の成 しんりん せいじゅく にさんかたん そ りよう きゅうしゅう 炭素を排出します。ですから、「成熟した森 はいしゆっ たんそ せいじゅく 素を吸収しますが、同じくらいの量の二酸化 おな にさんか 長が止まった「成熟した森林」も、二酸化炭 きゅうしゅう そ ちょう と 大気汚染の問題をいっしょに考えよう ちきゅう し、 ふせ きゅうしゅう あたら じゅもく せいちょう く、二酸化炭素も増えてしまうので、地球の にさんかたんそ しまうと、煙霧による災害をまねくだけでな えんむ さいがい す。それとは反対に、森林を火災で燃やして しんりん はんたい も 生かすと、地球の温暖化を防ぐことができま ちきゅうおんだんか になります。そのような森林の特色をうまく しんりんとくしよく うにすると、再び二酸化炭素を吸収するよう ふたたにさんかたんそ 林」を伐採して、新しく樹木を成長させるよ りん ばっさい ひ さいがい しやかいてき いま問題になっている、大気汚染は、人間 もんだい たいきおせん 「力をあわせてクリーンに」 温暖化を促すことになります。 うなが おんだんか にんげん 33 = ていしょ しちょうそん かんきようせいさく ひとり ちから うに、求めていかなくてはなりません。 もと にも、温室効果ガスの削減に力をあわせるよ おんしつこうか さくげんちから 定書に参加していないアメリカや発展途上国 さんか はってんとじようこく ません。そして、そのことによって、京都議 きようとぎ や議定書をもっといいものにしなくてはなり ぎていしょ なくてはならない問題については、国際条約 もんだい こくさいじようやく 球温暖化問題のように、地球規模で解決し かいけつ ちきゅうきほ きゅうおんだんかもんだい 画を、もっとよくすることです。さらに、地 ち 市町村・都道府県や国の環境政策や環境計 かんきようけい とどうふけんくに きることも限られています。大事なことは、 かぎ ができます。しかし、それだけでは、解決で かいけつ よっても、大気汚染問題の解決に役立っこと かいけつやくだ たいきおせんもんだい れている、「 4 つの行動」に参加することに さんか こうどう とりは、本文中の「行動をおこす」にあげら こうどう ほんぶんちゅう れば、かならず解決できる問題です。一人ひ もんだい かいけつ 社会の一員である一人ひとりが、力をあわせ しやかい ひとり いちいん が引きおこした社会的な災害です。ですから、
ロ汚染防止法 こうはん 2 0 世紀後半になると、多くの もんだい かいけつ たいきおせん 国々が、大気汚染の問題を解決する せいてい ほうりつ ために、さまざまな法律を制定する ようになりました。たとえば、アメ たいきじようか ねん リカでは、 ] 970 年に「大気浄化 せいてい 法」 ( マスキー法 ) を制定しました。 ほうりつ こうじよう はつでんしょ この法律は、工場や発電所などか たいきおせんぶっしつ はいしゆっ ら排出される、大気汚染物質の総 おせん 量を規制することによって、汚染 こうか 防止に大きな効果をあけました。 たいきじようかほう たいきおせん く「大気浄化法」がアメリカの大気汚染をおさえる しんこくたいきおせんもんだい ちから 力になりました。深刻な大気汚染が問題となって しゅう いた、テキサス州オースティンなどの都市も、以 ぜん まち 前のような住み心地の良いとなりました。 げんしよう いじよう べると、 90 % 以上も減少しています。 多くの国々の政府 りゆうし なまり ちっそさんかぶつ しかし、窒素酸化物やススなどの粒子 は、ガソリンに鉛を きんし じようぶっしつ たいきおせん 状物質による大気汚染は、アメリカや 入れることを、禁止 つづ たいきおせんぶっしつ にほん なまり 日本などでも続いており、その対策が しています。鉛は重大な大気汚染物質 げんざい 急がれています。 だからです。現在、ヨーロッパやアメ なまり リカなどの国々では、自動車は鉛の はい 入っていないガソリンで走ってい ます。これによって、大気中への ーなまり げんしよう げきてき はいしゆっ 鉛の排出が、劇的に減少しました。 さいあく アメリカでは、最悪の時期とくら 無鉛ガソリンは非常に高価なため、たとえばア むえん つか おお フリカの多くの都市では、無鉛ガソリンを使う しゅようとし ことができすに、ヨーロッパの主要都市とくら べて 10 倍も多くの鉛が放出されています。 三ッ おせんぼうしほう おお せいき きせい りよう 2AMHAfi 日 おお ′ヨメつ 0 ル くにぐに せい おお たいさく じゅうだい くにぐに はし たいきちゅう ひじよう むえん
しつない くうき ロ「室内をクリーンにする」 発電に大きな期待をかけています。しかし、 こくみん おせん せろんちょうさ 空気の汚染は、室内でも深刻です。日本で 政府の世論調査によると、国民の多くは、 たいようこうはつでんふうりよくはつでんたいようねつりよう ねん けん 「太陽光発電・風力発電・太陽熱利用のよう は、 2005 年になって、アスベストによる健 こうひがい しやかいもんだい もと 康被害が、大きな社会問題になりました。ア な新エネルギーの普及促進」を求めています。 にほんかくち やねうえたいようこうはつでん いしわた こうぶつひと スベストは「石綿」ともよばれる鉱物の一つ 日本の各地で「屋根上の太陽光発電」を見か でんきせいひんてんじようざいかべざい ほっかいどう とうほくちほう けるようになり、北海道や東北地方などでは、 であり、電気製品や天井材・壁材などに広く てんじようざい 「ウインド・ファーム」ともよばれる、「風力 使われてきました。そのアスベストを天井材 かべざい しつない はつでんき だんち つか おせん や壁材として使うと、室内の空気が汚染され 発電機の団地」が増えています。このような しばうりったかちゅうひしゅ かそく て、死亡率の高い中皮腫におかされる、とい 動きを、もっと加速させることができないか、 はってんとじようこく はな うことがわかってきました。発展途上国では、 クラスなどでも、話しあってみてください。 ちょうり しつない 室内でマキや炭を燃やし、調理や暖房に利用 でんとうてきねんりよう ねんしよう かがくぶっしつ ロ「化学物質をきびしく取りしまる」 しています。これらの伝統的燃料は、燃焼の ゆうがいかがくぶっしつ いっさんかたんそ かがくぶっしつ おせん さいに、大量の一酸化炭素や有害化学物質を 大気を汚染する化学物質には、 D D T 、 おくない どくせい せかいほけんきかん つよ 出します。世界保健機関 (WHO) は、屋内 PCB 、ダイオキシンのような毒性の強いもの ねんかんしぼうしやすう ざんりゆうせいゆうきおせんぶっしつ くうきおせん もあり、それらの「残留性有機汚染物質 空気汚染による年間死亡者数を、約 280 万人 しつない たいき かいよう なが み の と見つもっています。「室内をクリーンにする」 (POPs) 」が、大気や海洋の流れに乗って、 かだい ちきゅうぜんたい おせん 地球全体を汚染しています。このため、 ことは、世界の各地で、さしせまった課題に じようやく さいたく 2 0 0 1 年には「 P O P s 条約」が採択され、 なっています。 せいさん POPs の生産や使用がきびしく規制されるよ かがくぶっしつ たいき おせん 0 「新たな試み」 うになりました。大気を汚染する化学物質に ちきゅうかん どくせい 世界人口の 5 分の 1 を占める中国では、こ は、それ自体は毒性をもたなくても、地球環 ふきゅうだいすう はかい 境を破壊するものがあります。たとえばオゾ のところ、自動車の普及台数がものすこく増 ちゅうごく はかい えています。しかも、中国の自動車 ] 台あた ン層を破壊しているフロンです。オゾン層が はいき はいき しがいせん たいよう ゆうがい はかい りの排気ガスの量は、排気ガス規制がゆるや 破壊されると、太陽からの有害な紫外線が、 せんしんこく だいぶん ちひょう かだったため、先進国の ] 1 5 台分にあた 地表まで大量にとどくようになり、「ひふガ ばい おせんのうど せんしんこく はくないしよう り、汚染濃度も先進国の 3 ~ 1 0 倍になる、と ン」や「白内障」を多発させます。そこで、 ちゅうごく ほ もいわれています。このため、中国では、北 1 9 8 7 年には「オゾン層の保護のための だいとし たいきおせん ねんねん 京や上海などの大都市の大気汚染が、年々、 ウィーン条約」に引きつづいて、「オゾン層 ちゅうごくせいふ はかい ぶっしつかん ひどくなっています。そこで、中国政府は、 を破壊する物質に関するモントリオール議定 ひら ねん せいさん きんし さいたく 2 0 0 8 年に開かれる北京オリンピックを、 書」が採択され、フロンの生産と使用が禁止 「緑色五輪」とよぶことにして、思いきった されることになりました。 おお はつでん にほん しつない おお せいふ ふきゅうそくしん おお み ひろ つか ふうりよく くうき だんほう も すみ りよう と たいりよう たいき まんにん かくち ねん ちゅうごく し せかいじんこう ぶん きよう ふ りよう たいりよう たはつ / ヾ ねん イ ン ャ シ ひ じようやく ベキン しよう おも りよくしよく = 32
五ロ じけん と さいたく ちきゅう せんしんこく ロンドン・スモッグ事件 おいて採択された取りきめ。先進国における、地球 たいきおせんげんいん へいきんきおんじようしよう おんしつこうか イギリスのロンドンでおこった、大気汚染が原因 の平均気温を上昇させる「温室効果ガス」の排出 の大惨事。 1 9 5 2 年 1 2 月 5 日から 9 日にかけて、 量を、 2008 年から 12 年の間に 1990 年のレベ 4000 人以上の死亡者を発生させました。もともと ルから平均 5 % 削減することを目標としています。 おんしつこうか ロンドンは霧の多発地帯として有名ですが、その霧 温室効果ガスの最大の排出国であるアメリカが参加 かせきねんりよう おんだんか に、石炭などの化石燃料を燃やすことで発生するニ しないことが問題となっていますが、温暖化を防ぐ さんかいおう じゅうよう 酸化硫黄などの成分が大量に含まれたことによって、 唯一の国際的な取りきめとして、重要な意味あいを この事故はおこりました。これがきっかけになり、 もちます。 たいきおせんもんだい せかいかくち 大気汚染の問題が、世界各地で考えられるようにな ライト・レール (LRT) りました。 Light RaiI Transit の略称で、ボストンやバリな 大気浄化法 ( マスキー法 ) どで運行されている最新鋭の路面電車。騒音や振動 はうりつ アメリカの大気汚染防止を目的とした法律。 といった周囲に与える悪影響が少なく、輸送効率も 1970 年に、デドムンド・マスキー上院議員の提案 よいことから、環境にやさしい乗り物として、近年 によってつくられました。制定当時は、排気ガスの 注目されています。 せかいいちきび きせいほう 規制法としては世界一厳しいものといわれ、日本を 緑の生産性 はじめとする世界各地の同種の法律の手本となりま 環境をまもりながら生産性を向上させようという たいへいようちいき かつどう 考え。アジア太平洋地域の経済発展のために活動し せつきよくてき 光化学スモッグ ているアジア生産性機構 (APO) が積極的に提唱 けんしゅう 自動車の排気ガスや工場の煙に含まれる炭化水素 しており、同機構が率先して、研修やシンポジウム たいきおせん や窒素化合物などの化学物質がひきおこす大気汚染。 といった事業をおこなっています。 ぶっしったいよう あ 日本では、これらの物質が太陽の強い紫外線を浴び 残留性有機汚染物質 (POPS) ることによってできた「光化学オキシタント」など しちょうそん けん おせんぶっ の濃度が一定値を超すと、県や市町村の自治体など 人体や自然環境に悪影響をおよぼすような汚染物 こうかがく しぜんぶんかい から「光化学スモッグ注意報」が発令されます。風 質のなかで、自然分解されにくく、土や空気のなか よわ が弱く日差しの強い日などに多くおきるといわれて に成分が残ってしまうようなもの。焼却処分場な どで生みだされるダイオキシンなどが一例で、これ います。 らの物質が食物連鎖を通じ、長い年月をかけて人の 京都議定書 健康や生態系に大きなダメージを与えることが、近 1997 年 1 2 月に京都で開かれた「国連気候変動 年問題視されています。 じようやくだいかいていけっこくかいぎ きようとかいぎ 枠組み条約第 3 回締結国会議」、すなわち京都会議に はいしゆっ ねん がついつか ねんあいだ ねん りよう このか だいさんじ ねん にんいじよう さくげん しほうしや へいきん はっせい もくひょう たはっちたい さいだい ゆうめい はいしゆっこく さんか せきたん はっせい も もんだい ふせ こくさいてき たいりようふく と ゆいいつ せいぶん いみ じ かんが りやくしよう そうおん たいきじようかほう さいしんえい うんこう しんどう ろめんでんしゃ あくえいきようすく しゅうい もくてき たいきおせんほうし ゆそうこうりつ じよういんぎいんていあん もの かんきよう ねん きんねん の も せいていとうじ はいき みどりせいさんせい せかいかくち てほん かんきよう こうじよう せいさんせい けいざいはってん かんが こうかがく せいさんせいきこう ていしよう たんかすいそ こうじようけむり ふく はいき そっせん じぎよう ちっそかごうぶつ かがくぶっしつ しがいせん つよ にほん ざんりゅうせいゆうきおせんぶっしつ こうかがく しぜんかんきようあくえいきよう じんたい いっていち のうど っち ちゅういほう くうき しつ はつれい ひざ しようきやくしょぶんじよう せいぶんのこ おお つよ ひ いちれい う ながねんげつ つう ぶっしつしよくもつれんさ ひと きようとぎていしょ おお けんこうせいたいけい きん ねんもんだいし こくれんきこうへんどう ひら がつきようと ねん わくぐ ヨ 4
ロクリーンなエネルギー たいきおせん 発電所による大気汚染を へらすために、多くの努力 がはらわれています。ヨー きた ロッパと北アメリカでは、 ] 980 年代の中頃から、 さんかいおう 酸化硫黄の排出量を、 80% もへらしてきています。そ たいようこう れらの地域では、太陽光工 ネルギーを電気に変える ソーラーバネルをとりいれ さいせいか るなど、クリーンで再生可 能なエネルギーを生産する さいせいかのう △ソーラーパネルでつくるような再生可能エネルギーなら、 ほうほう 方法が、どんどん普及して大気を汚染せす、地球温化も進みません。 きています。 はつでんしょ どりよく おお なかごろ はいしゆっりよう ねんだい ちいき せいさん ふきゅう 行動をおこす かりよくはつでんしょ 火力発電所によ たいきおせん そうりよう る大気汚染の総量を さいりよう ほうほう へらす最良の方法は、 電気そのものの使用量をへらすことです。 でんきせいひん みなさんの家庭でも、電気製品のスイツ でんきゅう チを切り、否エネ型の電球を使い、住ま つか だんばう だんねつ ひつよう いをしつかりと断熱すれば ( 暖房に必要 な電気の使用量をへらせるので ) 、大気汚 せん 染をへらすことにつながります。こうし へいきんてき せつでん た節電によって、平均的な家庭で、毎年、 はいしゆっ にさんかたんそ ひつよう でんとう でんき 約 2 トンの二酸化炭素の排出を、ヘらす △必要ないときに電灯のスイッチを切れば、電気の使 ようりよう たいきおせんすく 用量がヘり、大気汚染が少なくなり、光熱費の節約 ことができます。 にもなります。 しようりよう かてい たいきお しようりよう まいとし かてい こうねつひせつやく
大気をきれいにしよう たいきおせん かつどう 大気汚染をへらす活動が、世界中で、 じっし せかいじゅう たいき ぎむ 法で発電するようになっています。こう はつでん を取りいれ、できるだけ汚染の少ない方 おせん を義務づけ、大気を汚染しない交通手段 おせん こうつうしゆだん 大気を汚染している工場には排煙の浄化 はいえんじようか こうじよう おせん さまざまに実施されています。たとえば、 ぷぶん してうまくいっている部分もありますが、 たいきおせん いぜんとして、大気汚染はなくなってい ません。しかし、みんなで立ちむかって たいきおせん もんだい いけば、大気汚染の問題は、かならず解 けつ 決できます。 くうき く空気をきれいにする かつどう だれ さんか 活動なら誰でも参加 じてんしゃ できます。自転車を りよう じどうしゃ 利用すれば自動車と ちが おせん 違って大気を汚染し ません。 行動をおこす たいきおせん 大気汚染をへ かつどう らす活動には、 誰でも参加でき つうきん ます。通勤や通学に、バスなどの自動 じてんしや 車ではなく、徒歩か自転車を利用すれ おせん はいそれだけでもい汚染を少なくする さんか つうがく りよう とほ ことができます。普通の自動車は、毎 やく にさんかたんそ 年、約 ] ~ 2 トンの二酸化炭素を出し にさんかたんそ ちきゅうおんだん ています。二酸化炭素は、地球を温暖 かんが 化させていると考えられています。さ たいき ちっそ おせん らに、自動車は、大気を汚染する窒素 さんかぶつ 酸化物などの化学物質も出しています。 ふつつ とし かがくぶっしつ
地球を冷やせ あたた ちきゅう たいきおせん かんが かがくしゃ 大気汚染によって地球が温かくなる、と科学者は考えています。この 「地球温暖化」を防止することは、とてもむすかしい課題です。みんな ちきゅうおんだんか かいけつ きようりよく が協力しなければ、解決できません。 太陽光 たいようこう せんしんこく くにぐにおんしつこうか たいりようはっせい 大気を温める たいきあたた 熱の一部がとらえられて ねついちぷ かんが げんいん はたら おな とお ないぶ たいようひかり おんしつあたた 含んだ大気 たいき 温室効果ガスを おんしつこうか です。これを「地球温暖化」といいます。 ちきゅうおんだんか 温かくなっている、と考えられているの あたた なってきました。それが原因で、地球は ちきゅう よって、この温室効果ガスの濃度が高く とよばれています。近年の人間の活動に かつどう きんねん にんげん 働きをするので、よく「温室効果ガス」 おんしつこうか 素は、この温室のガラスとまったく同じ おんしつ 大気中の多くの気体、とくに二酸化炭 にさんかたん たいきちゅうおお のが、植物栽培用の温室です。 おんしつ しよくぶっさいばいよう ません。このことを利用してつくられた まで通しますが、室内の熱は外に逃がし しつないねっそと ビニールやガラスは、太陽の光は内部 温室を温めているようなもの れ、先進国における削減率が定められました。 せんしんこく さくげんりつさた 排出をへらすことをめざして京都会議が開か せています。 1997 年に、この効果ガスの ねん おんしつこうか く先進国の国々は温室効果ガスを大量に発生さ