日本子どもの本研究会編 新・どの本よもうかな ? 中学生版 新・どの本 新・どの本 よもうかな よもうかな ? 中学生、読書指導の先生、 司書教諭、学校司書、司書、 保護者の方々に役立つ 日本子どもの本研究金鳴 A5 判 / 各 254 ページ / 上製本 揃定価 ( 揃本体 5 , OOO 円 + 税 ) 旧 BN978-4 ー 323-9521 1 -6 読みたい本、読ませたい本がすぐ見つかる ブックガイドの決定版 ! ・中学生が読みたい本を探すときのブックガイド。あらすじ、テーマ、作 口をむときのポイントを各作品 1 ページでわかりやすく解説。 ロロし ・巻末には 2 巻共通の全巻索引を掲載。「書名索引」「著者名索引」、テー マから本を探すことができる「事項索引」の 3 種類 ! ・「本の各部の名前」「図書館活用術」「製本の種類」など、本に関するコ ラムも充実。両編合わせて 14 のコラムを収録しました。 『新・どの本よもうかな ? 中学生版日本編 物語 / 詩歌 / 伝記 / 科学・ノンフィクション / 絵本 / 調べ学習シリーズ 定価 ( 本体 2 , 500 円十税 ) 旧 BN978 ー 4-323-01597-2 『新・どの本よもうかな ? 中学生版海外編 物語 / ノンフィクション / 絵本 定価 ( 本体 2 , 500 円 + 税 ) 旧 BN978 ー 4-323- OI 598-9 〒 111 ー 0056 東京都台東区小島 1 ー 4 ー 3 ESTABLISHED IN 1919 電話 : 03 ー 3861 ー 1861 FAX : 03 ー 3861 ー 1507 http://www.kinnohoshi.co.jp 0 全 2 巻 海外編 日本編 ー」掲載図書 186 点 - 」掲載図書 183 点
心は等しく同じという、当た の子どもたちの寮でのおはなし文庫は、年続いています。 編 の 月 1 回の出会いです。絵本とかんたんな工作、手遊び、わら りまえのことに気づいてきま 砒修満社 監効郎 ムロ波欠 べ歌などを家庭で暮らせない子どもたちと一緒に楽しんでい した。子どもたちそれぞれが、 あ夋自 ます。子どもたちは絵本を読んでもら、つと、きそって絵本に 本との出合いで世界につなが し谷太太 あ る喜びを得ることができるよ 手をのばします。『きんぎよがにげた』『みんなうんち』など、 谷 とても嬉しそうに声をあげて参加します。『おにぎり』は最 うに、微力ながら、出会う子 後に「さあ、どうぞ」というと手をのばして、ロをあけて食どもたち一人ひとりを支えていきたいと思っています。 べるそぶりをしたり、『ごろごろにや 1 ん』はひっくりかえ 『ピーテイ』べン・マイケルセン作千葉茂樹訳鈴木出版 って喜び、何度も「もう一回読んで」という声が上がります。 『わたしの心のなか』シャロン・・ドレイガ 、、ー作横山和江訳 『もこもこもこ』も 3 回くらいくりかえして楽しみます。 鈴木出版 『あたしのああなたのア』には、言葉がでない子どもの 『白いイルカの浜辺』プル・ルイス作さくまゆみこ訳評論社 ハラシオ作中井はるの訳ほるぶ出版 発声のためのプログラムを、波瀬さんが試行錯誤して作り上 『ありがとう、フォルカーせんせい』 ハトリシア・ボラッコ作・絵 げていくことが書かれています。この本で私はたくさんの学 香咲弥須子訳岩崎書店 びをしました。『およぐ』の経験はそのささやかな実践でした。 『およぐ』なかのひろたかさく福音館書店 そしてこの本の中で、谷川氏が、鶴見俊輔氏の言葉としてナ 『それほんとう ? 』松岡京子さく長新太え福音館書店 『あめほったん』ひろかわさえこ著アリス館 ンセンスについて説明しています。「センス」とは「意味」、「ナ 『ふゅめがっしようだん』富成忠夫・茂木透写真長新太文 ンセンス」とは「意味を問い返すーということ。だから子ど 福音館書店 もたちはナンセンスな絵本にひかれるのかと思いあたりまし 『きんぎよがにげた』五味太郎作福音館書店 『みんなうんち』五味太郎さく福音館書店 た谷川氏の言葉遊びの絵本が子どもたちになぜあんなに受 『おにぎり』平山英三ぶん平山和子え福音館書店 け入れられるのか、今一つよく理解できていなかった大人の 『ごろごろにやーん』長新太作・画福音館書店 私でしたが、納得しました。 『もこもこもこ』谷川俊太郎作元永定正絵文研出版 特別に支援の必要な子どもたちの感性に出会って、感じる 『あたしのああなたのア』谷川俊太郎・波瀬満子編著太郎次郎社
⑨地域と読書 親子で楽しむワークショップ 1 2 子どもの多様な育ちにこたえる 子ども一人ひとりのニーズに寄り添う学校図書館 / 野口武悟 本との触れ合い ~ 子どもと一緒に ~ / 彦坂菜穂子 子どもへのまなざしをあたたかくする近道 / 畑中 麻紀 本が読めなくたって本を好きになることはできる ! / 牧野綾 すべての子どもにとって、読むことは、世界に開 わたしのブックガイド かれた窓 / 田沼恵美子 3 とびらをあけて一小学校高学年向けー / 小林真知子 へ ~ / 中村伸子 1 いろいろな生き方 ~ 未来に向けて輝きたいあなた 3 「カトリーヌと川し / 加藤純子 1 「希望の牧場」 / 小川範子 わたしのよむ 7 ナゾをとこう ! / 内川育子 まんカ塒間 1 ] 「わたしが外人だったころ」 / 市川幸子 8 「夏の朝」 / 杉田秀子 資料案内 8 「僕だけがいない街』縫沢りぐ / 清尾知栄子 4 「アンの世界地図」 / 中川裕子 3 「ドミトリーともきんす」 / 大江輝行 / 清尾知栄子 ] 仙賊ダイアリーリアル猟師奮闘記」絛殺教室」 9 1 1 2015 年項目別索引 No. 3 「アフガ二スタンぼくと山の学校」 / 藤本静香 「幻の「長くつ下のピッピ」」 / 宮澤朝子 「アンダンテ 2 」 / 大塚佳苗 仔ども文化の現代史」 / 横内弥生 「学校図書館はじめの一歩」 / 矢野潤子 襯地連がすすめる読みきかせ絵本 250 : 高学年 向・ 2004 ~ 2014 」 / 朝日仁美 「発信する学校図書館ディスプレイ使われる図書 「多様性と出会う学校図書館」 / 石井啓子 「古田足日さんからのバトン」 / 須長和子 館の実践事例集」 / 森充代 1 2 4 6 「学校図書館に司書がいたら中学生の豊かな学び を支えるために」 / 城野里江 「まど・みちおえてん」 ( 図録 ) / 中村眞理子 「読む力が未来をひらぐ / 川口弘美 仔どもと本をつなぐ橋」 / 足利結佳 『やまがた児童文学の系譜」 / 村島光子 「絵本を愉しむ ~ 自分のことが好きになる ~ 」 / 竹内直美 「読書教育の方法学校図書館の活用に向けて」 / 田揚江里 「日本子どもの本研究会福岡支部 40 年の歩み』 / 浅川玲子 第 19 回学校図書館のつどい報告 7 子どもの成長を支える学校図書館に / 木下通子 書とは / 羽原祐子 4 子どもの育ちと学びを支える学校図書館・学校司 2 「学校司書」専門職としての一歩を / 中西由香里 学校司書法制化にあたって 規の学校司書の配置を」 アピール「すべての学校図書館に専任・専門・正 問題提起学校司書の専門性とは何か / 永井悦重 館』 / 大橋道代 9 山口源治郎氏講演「現代教育改革の中の学校図書 びらこう ! 学校図書館報告 ワークショップ / 大久保のそみ他 忠美氏 ) を聞いて / 土屋文代 2 講演「学校図書館は学校教育のインフラ」 ( 高鷲 クビ廴 6 小川たっ子 4 齋藤英明・松尾初美・山村真由美 びとこと 6 2014 年度会員研修報告 会員研修会報告 ] 2 冨山純子さんを偲んで / 広瀬恒子ほか ] O 辛島泉さんをしのんで / 千竃八重子 追悼 1 2 私たちは安全保障関連法に断固抗議します ー 38 ー
も行くようになりました。自分たちで貸し出しのカ 1 ドを作学年が 1 年生 56 年生までいて一人ひとりの実態も様々。し かも、進級するたびにその児童に応じて内容も変える必要が り、施設の方のお話を伺ったり、使い方を学んだりした後、 本の貸し出しを行いました。 あるため、その選書には、毎年苦労してきました。そこで、 比較的読みやすいものを集めた < コースから、少しすっ内容 学級の子どもの中には、電車の本・動物の本・お気に入りを変え、ちょっと難しい読み物が多いコースまで 1 コース の絵本・ : というように、借りる本が限られてしまう児童もい 幻 5 冊を設定した 7 段階の学級オリジナルを用意しまし ます。もちろん、大好きな本に親しむことも大切ですが、他 た。自分の読みたいコースを選び少しずつ読み進め、昨年度 にも好きな本を見つけてほしい、 選書の幅を広げたいと思い は完読者も出て、子ど ました。そこで、様々な方法を考えました。 もたちにとって大きな 一つ目は、図書ボランティアの方に来てもらうことです。自信になりました。 月に一度、語り、読み聞かせ、手遊びなどがあり、聞いて想 ・学習の幅を広げる。 像することを楽しむ様子が見られるようになりました。 ある時、司書教諭か 二つ目に、毎週の図書の貸し出しで借りる本 3 冊の内訳を、 ら「えのきさんも、サ 物語の本 1 冊、テーマの本 1 冊、好きな本 1 冊にしてある程ケを育ててみない ? とお話がありました。 え度テ 1 マを設定したことです。テ 1 マは、その時の読み聞か こ こせや季節、行事に関するものにします。 ( 発眼卵 ) から稚魚 引その他、毎朝の担任の読み聞かせ、図書委員の高学年児童まで育て、ある程度の なによる読書週間での読み聞かせなどをして、読書の幅を広げ時期になったら、多摩 多ようと試みています。 川に放流するという活 も 全校で取り組んでいる「緑野文庫」は、読書の質を高める動です。「何だか楽し ど 子 ため、通常学級用に設定されたもので、学級で取り組むにはそう ! やります凵」と 集 ードルが高く、意欲付けが難しいものでした。学級には、 即答すると、早速学級
た。それを見て、ほっとしたのも事実ですが、同時にこのまの音読のほうが、娘はより、暗記が早いようでした。また、 までは娘のためによくない 、とようやく自分でも動き出す気内容理解も早かったです。しばらくこの方法を続けました。 か起こりました。 相変わらず、文字は汚いし、読み方はたどたどしいですが、 報告書のなかに、折れ線グラフのように能力の値がわかり教科書の内容を早めに予習しておくことで、授業への参加は やすくなっているところがありましたが、娘の場合それがガできているようでした。 タガタで、つまり、能力にとても高いところと低いところか 図書館にも足繁く通い、たくさん本を借りました。自分で あることがわかりました。それを見て、字が苦手なところを読みたい本を選び、「私は本を読めない」ではなく、「お母さ 他のところでカバーしているのだな、という見当をつけましんに読んでもらえばいいや」と発想を転換できたことは親子 で誇れることだと思っています。 そして、最初は全く読めない国語のお話がだんだんすらす しかし、結局娘は特別支援学級に転級しました。理由は「学 ら読めるようになっていったのは、 1 つずつを丸暗記して読校だから」でした。学校では、「苦手なことを人並みにでき んでいるからだということに気づきました。 るようにするーが、求められています。私は、「人と同じゃ だから、新しい章になると全く読めなくなってしまうのでり方で同じくらい理解しなければいけない」という見えない す。ただ、内容を理解していないということではなく、私が 鎖が娘をつらい状況に追い込んでいる、と折に触れ感じてい 読むお話の内容は理解できていました。 ました。特別支援学級に転級することで娘の心を守ってあげ 「字を読むことは苦手、でも読んであげれば内容は理解でたかったのです。結果、残りの小学校生活と、中学校生活は きる。ーそこから娘への支援は始まりました。 娘にとって、とても貴重な時間になりました。学校で、娘の そこでます、教科書をカセットテープに録音してそれを聞 心を守りたかったために、ある意味普通学級から逃げたわけ きながら内容を理解する。ということから始めました。どこですが、義務教育を終えると話が違ってきます。 を読んでいるかの見当もつけたいと思い、 ページをめくるタ 私は子どもが将来自立するために必要なのは「得意なこと イミングで、カスタネットの音も録音しました。「カチン をさらに得意にする」ことだと思っています。娘は手先が大 と音がしたら、次のペ 1 ジへ、という具合です。この方法で変器用です。指の爪の先ほどのサイズの折り紙で手裏剣を折
ニューヨーク・プルックリンの街が舞台の物語である。主 「アフマドは、川歳の男の子。・ : アラビア半島のドバイに住 人公のジョ 1 ジは父親が会社をクビになり、一家は引越しすんでいます。遊ぶときは、シャツにズボンですが、学校に ることになる。引っ越した先のマンションの地下に「今日は 行くときは、裾も袖も長い白いワンピースを着ます。」単刀 スパイ・クラブのミーティング」と書かれた張り紙を見つけ直入な子どもの目線にスッと引き込み、イスラ 1 ムのごく普 る。自称スパイを名乗るセイファーと偵察係の妹のキャンデ通の一家の平和な日常の、生活習慣や考え方を紹介していく。 イ、変わった兄妹と出会い、上の階に住む黒すくめの男、ミ 様々な国際交流の機会が増えている現代社会では、背景に ある宗教への理解が重要である。イスラーム教徒の数は日本 スター >•< の動向を探ることになる。ジョージは学校では辛い いじめにあい、マンションに戻ればスパイごっこに振り回さの人口の 2 倍以上だが、私たち日本人にはなじみの薄い宗教 だかってドバイで暮らしたことのある日本人著者が、イス れながらも、親を気遣ってか、そっなく毎日を過ごしていく 看護師の母親は失業中の父親の分まで働き詰め。ジョ 1 ジ ラームを理解する一助になればと、自身の体験や幼児向け解 とアルファベットのコマでコミュニケーションをとるシーン説書を基にその教えと人々の生活を客観的に記したのか本 書。おなじみの「コーランーを「クルアーンーと表記するほか、 は今の時代素敵だなと感じた。また、スパイのシーンでは、 手に汗にぎる場面もあり楽しめる。そんなスパイごっこにも「アラー」などの語も現地の発音に倣った表記になっている 大どんでん返しがあり、目が離せない。そして、セイファー 小学生にも読み易い物語部に加え、色分けした後半部は、 の本当の姿を知ることに。それを機にジョージは父親にいじ物語の各ページ毎の解説として中高生以上の調べものに役立 められていることを告白する っ確かな内容でありながら、通読しても楽しい。人物画はア ( 田中宗子 ) ニメ調。独特の紋様と渋い色使いも魅力的。 ( 近松久美子 ) 276P / 20x 14cm ウソつきとスパイ レベッカ・ステッド作 樋渡正人訳 小峰書店 2015 年 5 月 1 ー仄凵 OO 円 本体 小学上級から イスラームの 暮らし 絵本で学ふ 38P / 25X 19cm 絵本で学ぶ イスラームの暮らし※ 松原直美文 佐竹美保絵 あすなろ書房 20 ] 5 年 4 月 本体 1200 円 小学上級から
読み始めました。泳ぐのが苦手な男の子が洗面器に水をはっ として、「読むことは、学びや個人の成長や楽しみの基礎と て、「ぶくぶくばあっ」を繰り返す場面で、それまで無言で なるスキルである」と書かれていることを最近知りました。 聞いていたその男子生徒が、一所懸命「ぶつ、ぶつーと言い もって生まれた障がいに関わらす、「読むー楽しさを享受で きるように、環境整備と配慮をするということが、学校教育、たそうな感じで、ロをあけて、本を見ていて、次のページを めくろうとする私の手をおさえます。そして何度も「ぶつ、 そして学校図書館の課題であると思います。 現在、私は特別支援学校と、知的障がい者福祉施設の子どぶつ , というロの動きをしています。私は「ぶくぶくばあっ」 を繰り返しました。そのうち「ばっーと言う声が彼からでま もたちに本を手渡すことを続けてきています。そこでの子ど した。そのとき、ちょうど迎えにいらした担任の先生が、「や もたちと本との関わりの一部を紹介します。 あ、 いい声がでたねえ」。発声の苦手な人で、その日の体験 東京学芸大学附属特別支援学校の小学部・中学部・高等部 の図書館作りに関わって 6 年になります。小学部は第 2 学習と絵本が結びついてのいい出合いだったと、帰り際に先生か 室の一部、中学部はランチルーム、高等部は生徒会室にミ一一ら聞かされました。 また『それほんとう ? 』を小学生に読んでいたとき、自分 図書館ができて、家庭貸出も利用されています。この 3 年間、 中学部の総合学習の中で、ブックト 1 クをして、ほかの附属の言葉をずっと話し続けている自閉症の児童が、突然「あり 学校からの図書資料の応援を受け、学習への支援も少しできのありすさんが。と、本の言葉を自分の言葉の中にはさんで 繰り返し言い始めました。まったく聞いてないようでしつか えるよ、つになりました。 こ 今年の 7 月のプール開きの日、『およぐ』を小学部の書架りと聞いていたのです。この本の言葉の力を感じました。雨 こ の日、小学部の低学年の児童たちと『あめほったん』を読ん 引に展示をしたところ、中 2 の く でいると、自然に歌になり、音楽大好きの子どもたちは、身 な男子生徒が給食の時間の前 多に、司書の私のいる第 2 学習 か店体を動かして一緒に歌います。春の気配を感じる冬の日、『ふ : を第一くこ書 も よろ館ゅめがっしようだん』を歌って読むと喜んで声をあげます。 室にやってきて、その本を手 ど おひ音 子 『の福わらべ歌や手遊びのように、本を楽しむ子どもたちがいます。 にとりました。一緒にページ な 東京都七生福祉園の知的障がいのある幼児と小学校低学年 特をめくって、私が声にだして
冨山さんが逝って 2 か月近く : の言葉をキラリと光らせるんだと思が妙になっかしい。歯に衣着せぬ物 彼女がいまも愛してやまない風だつうにつけ、私も少しあやかりたいと。言いで誤解を招くこともあったと思 た「きいちのぬりえ」。きいちの描今月号の特集は、子どもの多様なうが、うわべのお世辞は言えない人 く少女の面差しは冨山さんにちょっ育ちにこたえる読書のあり方を問、つだった。追悼を読んで、誠実で愛情 と似ていたかもなあ、と思う今日こもの。書評 ( ー こよ心待ちにしていた『万深い人柄に惹かれる人が少なくなか の頃だ。楽しそうな笑顔も少し沈ん次郎地球を初めてめぐった日本ったことをあらためて感じた。心の だような表情も、声とともに鮮明に人』が並ぶ。読書を愛した冨山さんこもった文章を寄せて下さったみな 思い出される が、赤ペンを持ちながら、どんなふさまに感謝します。 並外れた読書量や記憶力とともうに読んだのか聞いてみたい。 ( 寺 ) に、人間味あふれる強烈な個性の持 己ち主として、冨山さんは私の交友関◆僕は本年一月号から編集に加わ き -0 係のなかで異彩を放っていた。早すり、その席で初めて冨山さんの謦咳 ぎる人生の幕引きだったけれど、現に接しました。それが : も久役のまま、多岐にわたる仕事や趣味会議室の扉を叩くとそこには必ず にかける情熱を携えて旅立ったとい冨山さんがいらして歓待して下さい うことだろう。テンボの速いしゃべました。他のメンバーが来られるま む り口さながらの、「冨山純子流人生での僅かな時、そして会議中、僕は 、で含 集 のしまいかた」だったのかもしれな冨山さんの語られるスピ 1 ド感溢れ はだ 2 を 2 い 6 料 2 さ いみ平く い。編集作業のなかで彼女の不在をる言葉の一言一句に、深く魅了され さ込劼入送 6 だ 言物感じては、しゅんと淋しい気持ちにました。何しろ、冨山さんは「感嘆だし = = 。己 - 分 7 く なっている。 く申電冊入 ( 若 ) 措く能わすの全身書評家」でした。 一三ロ 冨山さん、僕は今、つのる哀惜の 「筆まめね」と言ったら、「あら、中、少しでもあなたに応える言動を い」幵絡円 0 数 問棚石連 0 もうそれ死語よ」と言われて笑いあと、希求してます。合掌。 お本本す x 0 ったことが懐かしい。冨山さんから の葉書は電話より早く届くとよく思◆急遽、編集長代行となってあらた ったものだ。出先で手にし、渡しそめて冨山さんの存在が柱だったと認 ど舫ロ望 びれた葉書が積もる。なんとも遅す識した。編集委員会では気のおけな ぎるが、冨山さんに伝えたい。あのい仲間の一人として、憎まれ口をき 年 抜群の記憶力と読み込んだ本の数々いたりきかれたりしたことも一度や が、映画や演劇の鑑賞が、冨山さん二度ではない。いまとなってはそれ ◆ ◆ ( 輝 ) ( 福 ) 月刊書評誌 子どもの本棚 2015 年 12 月号 No. 566 編集・発行日本子どもの本研究会 (JASCL/ ジャスクル ) 〒 176-0012 東京都練馬区豊玉北 4 ー 4-18-105 TEL 03 ( 3992 ) 0362 / 03 ( 3994 ) 3961 発売元子どもの本棚社 〒 176-0012 東京都練馬区豊玉北 4-4-18-107 TEL ・連絡先 03 ( 3992 ) 0362 印刷所大村印刷株式会社 《編集委員》福田晴代 ( 編集長代行 ) 大江輝行 小寺美和若菜千佳子 吉田真知子 ( 選定委員 ) 《発行者》野口武悟 定価 : ( 本体 370 円 + 税 ) 年間購読料 : 4 , 800 円 ( 12 冊分・送料を含む ) 購読申込先 : 日本子どもの本研究会 http://homepage3.nifty.com/kodomonohonken/
が高まりつつあります。『ピーテイ』『わたしの心のなか』『白 すべての子どもにとって、 いイルカの浜辺』『ワンダー』『ありがとう、フォルカーせん 読むことは、世界に開かれた窓 せい』などなど、障がいに関わる子どもたちの思いが表現され 東京学芸大附属特別支援学校司書田恵美子 た児童書が出版され、子どもたちの多様性への理解のまなざ しが感じられます。やっとここまでの感はありますが、少数 公立の中学校の司書をしていたころ、周囲となじめすに孤の子どもたちへの理解が動きだしてきてはいると思います。 立している生徒たちに出会い、受け入れる経験を多くしてき 川月初旬、野口武悟氏に私の所属している「八王子市に学 ました。人との関係性を作るのが苦手な子どもたちが多かっ校図書館を育てる会」で講演していただきました。その講演 た中に、本が嫌いと言い、学力が低いことで自分を卑下しては、ダイバ シティとインクルージョンとい、つ一一一口葉の " 諟明か いる女子生徒がいました。人間関係ができていくうちに、放ら始まりました。 課後、毎日のように、司書の私にミステリーを読んでもらう 子ども ( もちろん、大人も含めてすべての人 ) 一人ひとり のを楽しみに顔を見せるようになりました。彼女は理解力が が異なる存在であることが普通に受け入れられる社会 ( 学校 ) 高く、決して知的能力が劣っていないことに気づかされましであるためには、すべての子どもたちに等しく権利 ( 子ども た。卒業するころ、お母さんと話す機会がありました。幼い の権利、特に教育の権利 ) が認められ、行使できることが大 ときからお母さんが読んであげたものはすべて覚えて、小学切であり、「子どもの権利に関する条約」 ( 1994 年批准 ) 校時代を過ごしたけれども、母子間の努力だけでは中学校でについて、また特に来年 4 月から施行される「合理的配慮」 は追いっかなくなったことを知りました。でもなせ字が読め について、わかりやすく教えていただきました。そして発達 ないのか、当時の私には全く理解できませんでした。学校全障がいの子どもたちは決して極端に少数派ではないことも改 8 年前 体が理解できなかったという印象を受けました。片、 めて知って、学校図書館で出会った子どもたちを思いだして います。 のことです。発達障がいについての自分の知識が乏しかった ことを痛切な反省と共に思い出します。 アメリカの児童図書館員協会の基準「幻世紀の学習者のた ここ数年、障がいのある子どもたちについての意識と理解めの基準」の冒頭に「読むことは世界に開かれた窓である」
子どもの本棚 2015 年 12 月号 も く 1 2 7 8 14 1 5 1 8 21 23 26 29 32 33 34 36 37 38 41 48 子ともの多様な育ちを理解してこその「子どもの本研究」 / 菊地澄子 新刊紹介 こにとりあげている図書は、いずれもく日本子どもの本研究会選定図書〉に選ばれたも のです。但し、図書内容の評価については、それぞれの執筆者の責任において執筆されて いることをおことわりしておきます。なお※印は、ノンフィクションの本です。 選定付記 / 石井啓子 選定リスト 2015 年 10 月選定図書 / 選定委員会 今月の書評『万次郎地球を初めてめくった日本人』 / 戸村雅子 特集子どもの多様な育ちにこたえる 子ども一人ひとりのニーズに寄り添う学校図書館 / 野口武悟 本との触れ合い ~ 子どもと一緒に ~ / 彦坂菜穂子 子どもへのまなさしをあたたかくする近道 / 畑中麻紀 本が読めなくたって本を好きになることはできる ! / 牧野綾 すべての子どもにとって、読むことは、世界に開かれた窓 / 田沼恵美子 複眼書評『ガザ戦争しか知らないこどもたち』 / 田名洋子・金澤磨樹子 アピール「私たちは安全保障関連法に断固抗議します」 編集後記 書籍索引 2015 年 1 月号 ~ 12 月号 項目別索引 2015 年 1 月号 ~ 12 月号 スケジュール / 今月の研究会 事務局より / お知らせ 冨山純子さんを偲んで 情報コーナー 表紙絵 . 降矢ななイラスト : 福本舂子