障害 - みる会図書館


検索対象: 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号
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1. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

る すべての子どもを分け隔てなく受け入れてきたという意味 障害のある子どもだけでなく、小、 学校・中学校には、日本 語指導が必要な外国にルーツをもっ子ども、さまさまな理由では、学校図書館は学校のなかにあってこれまでもインクル ーシプな空間であったといえる。しかも、多様な知識と思想 から登校が難しい子ども ( 図書館登校も増えている ) 、見え ーシティな空間でもある。こうした空間性そ に満ちたダイバ ざる貧困に苦しんでいる子ども、 ( 性的少数者 ) の のもののもつ意味は、今後ますます重要になっていくだろう 子どもなど、さまざまなニーズをもっ子どもが多数学んでい る。このことは、高等学校においても当てはまるし、筆者か 3 ・すべての子どもに有効な「合理的配慮」 勤務する大学の現場においても同様である 学校において「合理的配慮ーの提供が義務化されるのは、 国際的にも、そして日本においても、インクルーシプ教育 ( インクルージョンともいう ) が指向されている。これは、「健法律では障害のある子どもに限定される。しかし、「合理的 常児」「障害児」というような区分けを前提にして教育をす配慮ーが必要な子どもは、障害のある子どもだけではない。 るのではなく、すべての子どもを分け隔てなく包み込み、そ日本語指導が必要な外国にルーツをもっ子どもなど、すでに の上で一人ひとりのニーズに寄り添って教育していこうとす述べたさまざまなニーズをもっ子どもたちにも当てはまる もっといえば、時と場合によっては、すべての子どもに「合 るものである。真のインクルージョンを実現するためには、 子どもも大人 ( 教職員はもちろん保護者も ) も一人ひとりの理的配慮」が必要となる。「合理的配慮」とは、決して「特 別な対応」なのではなく、すべての子ども一人ひとりのニー 違いを尊重し、認め合うことか欠かせない ( これをダイバー シティという ) 。学校という閉鎖空間においては、しばしばズに寄り添っていく手立ての 1 つに他ならない インクルーシプでダイハ 1 シティな空間性を包含する学校 同調圧力が働き、異質なものを排除しようとして、いじめや 体罰が起こる。その標的にされやすいのが、前述してきたよ図書館においては、学校司書などが子ども一人ひとりに寄り うな子どもたちである。いじめや体罰は、被害者の人権を踏添ってこれまで実践してきたことのなかに、「合理的配慮」 ヾ 1 シティの に相当するものがすでに多数含まれている。加えて、例えば、 みにじるのみならす、インクル 1 ジョンやダイノ 推進にとっても大きな障壁であり、徹底的な対策が求められディスレクシアのある子どもに対面朗読 ( 代読ともいう ) を る。

2. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

三十数年前、日本子どもの本研究会の文化講座は、「全ての子どもに読書の喜びを」というテーマ 「本 " ~ いハで開催された。講座が終わった後、私はガックリしてボヤいていた。「私の学校の生徒たちは、全て ~ 一のー「一の子どもの範疇に入れてもらえないんだわ」と。このころの私は、親に遺棄されたり、虐待されたり して家庭に居られず、施設で暮らさざるを得ない知的障害児たちの養護学校の教師をしていたのであ る。ボヤきながらも私は凝りもせず、彼らのことを一人でも多くの人に理解してもらいたくて、声を あげていた。 翌年の文化講座から「障害に関する分科会」が設けられた。更に、本会とは別に社会一般の人々と 共に学び合う「障害と本の研究会」を創設することもできた。この一一つの学ひの会は、呼称や所属を 、て】 ' 子 , 変えながらも、現在も継続している。毎年発行の『障害に関することを描いた子どもの本のリスト』 」、し〉 ~ 〈では、百十一一年間 ( 一九〇 = 了一一〇一五年 ) に書かれた千冊近くを紹介してきた。このリストを改め て振り返ると、過去の歴史書には見られなかった弱者の生活を視点とした歴史が見えてくる。戦争は 勿論、病気や医療や福祉に関する法律等が、庶民の生活を左右してきた歴史が見えるのである。 では障害を「機能の障害・能力の障害・社会的不利の障害」と定義しているが、これは、今 を生きる私たち自身の障害者理解こそが大切な課題なのだ。近年はユ一一バーサルデサインの絵本や障 ~ 様第【一 ( 害のことを子ども向けに書く人はプロ作家だけでなく、医師や教師や心理士や保護者などが多くなっ てきた。一一十一世紀に入ると、障害者自身の著作も急激に増えてきている。 障害のことを、次の世代を生きる子どもたちにどう伝えていくかということは、日本のノーマライ ゼーション社会の礎に関わる問題である。

3. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

子ども一人ひとりのニーズに寄り添う学校図書館必要とされるものであり、かっ、均衡を失した又は過度の負 担を課さないものをいう」 ( 第 2 条 ) と定義している。学校 「合理的配慮」という視点からのアプローチー という場面を例にして分かりやすくいうならば、一人ひとり 専修大学文学部教授野口武悟 のニーズをもとに状況に応じた変更や調整を校内体制や費用 などの負担がかかりすぎない範囲 ( Ⅱ合理的な範囲 ) におい て行、つことといえる 義務化される「合理的配慮」 2016 年 4 月に「障害を理由とする差別の解消の推進に 「合理的配慮」を的確に提供できるようにするためには、「基 関する法律ー ( 障害者差別解消法。以下、法律 ) が施行される。礎的環境整備」が欠かせない。法律では、「自ら設置する施 この法律は、 2006 年に国連総会で採択された「障害者の 設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その 権利に関する条約」 ( 以下、条約 ) の批准に向けた国内法整他の必要な環境の整備に努めなければならない」 ( 第 5 条 ) 備の一環として、 2013 年 6 月に制定されたものである ( 条としている。「合理的配慮」と「基礎的環境整備」はセット 約は 2014 年 1 月に批准済み ) 。 であり、学校図書館にあっては「基礎的環境整備」は間接サ この法律では、行政機関等に、障害者に対する差別的取扱 ービス、「合理的配慮ーは直接サービスと捉えると分かりや すいだろう いを禁じるとともに、「合理的配慮ーの提供を義務づけてい える ( 第 7 条 ) 。ここでいう行政機関等のなかには、役所の窓 こ びロだけでなく、公立学校や図書館なども含まれる。私立学校 2 ・多様化する子どものニーズと学校図書館 引や図書館にあっては、「合理的配慮」の提供は努力義務とさ 2014 年 5 月の時点で、義務教育 ( 小学校・中学校 ) 段 なれる ( 第 8 条 ) 。 階にある子どもは 1019 万人である。このうち、特別支援 多 では、「合理的配慮ーとは何であろうか。先に述べた条約教育を受けている障害のある子どもは引万人 ( 3 ・ 芻 % ) と の も では、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及なっている。引万人のうち・ 1 万人は特別支援学校ではな ど 子 び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するためのく月、 、学校・中学校 ( 特別支援学級や通級指導 ) に学んでおり、 特必要かっ適当な変更及び調整であって、特定の場合において いまや小学校・中学校が特別支援教育の主要な場となってい

4. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

子どもり 多様をもに こたえる 1 子どもの多様性を認めながら、一人ひとりの自立を支援していく。 そうした営みの中で、子どもの育ちに欠かせない本との出会いをどん なふうにつくっていくのか、私たちは日々求められている 9 2006 年に国連で採択された「障害者の権利に関する条約」がよう やく日本でも批准され、 2016 年 4 月からは「障害を理由とする差別 の解消の推進に関する法律」として施行される。その法律で示された 「合理的配慮」とは何かを明らかにし、子どもたちのさまさまな二 スにこたえながらこれまでも本を手渡してきた実践に学びたい。 本特集が、子どもの多様な育ちにこたえる読書のあり方を考え、実 践を深めていくきっかけになれば嬉しい。 ー 14 ー

5. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

子どもへのまなざしをあたたかくする近道大切だと感じたことがあります。それは、「その子の特性を 理解した上で、スル 1 するポイントと全力を尽くすタイミン 翻訳家畑中麻紀 グを見逃さないこと」です。なぜ ? と思うような行動や暴一言 には原因があり、環境設定が悪い場合にはそれらが特性とし くて顔を出すことが多く、焦って対処しようとするよりもスル 息子の自閉症スペクトラムが判明したこの十年で、数多 ーしながら待ち、「その時ーが来たら介入した方がよい結果 の発達障害関連書籍が刊行されました。当初は専門書めいた になります。ここで一番難しいのは「待っーことなのです。 本が主流でしたが、わかりやすく読みやすい本が増えていま す。大きく分けると「医師等による解説や対処に関する本ー「当更にこれには、待っ側の心の安定が必要になってきます。し 事者による体験談」そして「家族・支援者の手記や対処本ーかしながら、このことに言及している本は少ないのが現状で の三つになるかと思われますが、これは海外の書籍でもほほす。 『はじめての精神科援助者必携第 2 版』 ( 春日武彦著・ 同様です。自閉症に関する研究や教育システムがより進んで いるアメリカなら、また、福祉国家のスウェーデンなら、日医学書院刊 ) は発達障害に関しては殆ど触れられていません が、日常的に起きる軋轢をやり過ごすことについてこれほど 本とは格段に事情が違うのではないかと思いきや、画期的な 取り組みもあるものの、日本と同様に多くの当事者は学校で腑に落ちる本はなかなかありません。言いがかりややつあた りにしか思えない言動や行動にどう対処するか。発達障害児 えいじめに遭った経験を持ち、家族や支援者も奮闘していると こ の親なら誰もが こいうのが現状のようです。 引発達障害は特性の現れ方が個々人で異なるため、本に書い 「多分、こうすれ なてあることか目の前の本人にびったりとは当てはまらない場ばいいんじゃない 多合が多々あり、「定義はだいたいわかるけど、この子への実かな ? 」と試行錯 誤してきた数々が 際の対処がわからない」と頭を抱える親が少なくありません。 子 それでも、日々発生し続けるトラブルに待ったなしで取り組あちこちに言及さ 特まねばならないのが現実です。この嵐のような学齢期の中でれています。また、 ツまを物さえれは物第料はい、 ! カスガ先生、 これならやっていけそうです 『はじめての精神科 援助者必携第 2 版 舂日武彦著 / 医学書院 精神科 、誌 . . ツ目をケア ~ ネン第一 - 、豫′ る前とを」た後の二度効きます

6. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

特集子どもの多様な育ちにこたえる 行ったり、録音図書を製作するなどの個別対応をできる範囲注 から新たに取り組んでいきたい。 丿ー化を進めたり、さわる 同時に、施設・設備のバリアフ 1 絵本や布の絵本、拡大文字の本、ブック、マルチメディ アディジーなどを意識的に収集するなどの「基礎的環境整備」 一三卩 も進めたい。障害のある子どもなど、学校図書館の利用や売 書への困難が大きくなりがちな子どものニ 1 ズに適うように 環境整備を進めることは、学校図書館環境全体の底上げにも 資するものであり、ひいては誰もが利用しやすいユニバ 1 サ ルな学校図書館の実現につながるものである 以上のことは、学校図書館に限らず、公共図書館の児童サ ービスや各地の文庫活動などにおいても有効な視点である。 「合理的配慮ーという視点から、いま一度、各々の現状を見 つめ直してみたい。 野口気蜘第ー第 0 : 多様性と 出会う 学校図書館 一人ひとワの 0 立を支える 合的記慮への アプ 0 ーチ 「多様性と出会う学校図書館 一人ひとりの自立を支える 合理的配慮へのアプローチ』 野口武悟・成松一郎編著 読書工房 / 201 5 年 7 月 野口武悟・成松一郎編著『多様性と出会う学校図書館二人ひと りの自立を支える合理的配慮へのアプローチ』読書工房、 2015 年、 3 頁。 2 読み書き困難。学習障害の子どもの中心的な症状の 1 つである。 3 著作権法第条第 3 項の規定により、すべての学校図書館では、 特別支援教育を受けている子どもに対して、著作権者の許諾なく、 原本を音声化するなど「必要な方式」により複製または自動公衆 送信することができる。全国学校図書館協議会など図書館関係 5 団体によってガイドライン (http:.、、、、 www.jla.or.jp.、 portals 、、 0 、、 htmL 、 20100218. htm 一 ) も策定されているので、参照されたい。 4 —-Äブックの»-a とはスウェ 1 デン語の Lättläst ( やさしく読みや すい ) の略である。日本語を母語としない人や知的障害のある人 などのために、ピクトグラム ( 絵記号 ) などを交えながらやさし く分かりやすい日本語で書かれた本である。 5 ディジ 1 は、デジタル録音図書の国際標準規格である。音声だけ でなく、文字や画像も同時に再生できるようにしたものがマルチ メディアディジ 1 であり、電子書籍の一種といえる。ディスレク シアのある人、知的障害のある人などの読書に有効であることが 国際的に知られている

7. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

日本子どもの本研究会 2015 年 12 月 日 1 2 5 6 6 10 10 1 1 12 13 13 16 1 9 23 17 曜日 火 水 土 日 日 木 木 金 土 日 日 水 土 水 木 時 ①新刊研究 18 : 30 ~ 21 : 00 ☆絵本研究部会 内容 スケジュール 牛込箪笥地域センター 場所 ②課題本研究「ノックノックみらいをひらくドア」 ( ダニエル・ビー ティー文 / プライアン・コリアー絵 / さくまゆみこ訳 / 光村教育図書 ) 18 : 30 ~ 21 : 00 選定委員会 18 : 30 ~ 21 : 00 理事会 18 : 30 ~ 21 : 00 選定委員会 14 : 30 ~ 16 : 00 子どもの本の学校 事務所 多摩市立関戸図書館活動室 「未来を拓く力を育てる図書館活用教育 ~ 21 世紀型能力に注目 して ~ 」鎌田和宏 ( 帝京大学教授 ) 10 : 00 ~ 12 : 00 ☆障害と本の研究部会調布市文化会館たづくり 11 階 ①障害に関することを描いた子どもの本の紹介・検討 ②各自の状況報告 13 : 30 ~ 16 : 30 2016 全国大会実行委員会 豊玉リサイクルセンター 18 : 30 ~ 20 : 30 ☆児童文学研究部会 高田馬場・戸塚地域センター 『生きる一劉連仁の物語』 ( 森越智子作 / 谷口広樹絵 / 童心社 ) 18 : 30 ~ 20 : 30 ☆マンガ研究部会 未定 豊玉リサイクルセンター 事務所 10 : 00 ~ 12 : 00 ☆ノンフィクション研究部会 『生きる一劉連仁の物語』 ( 森越智子作 / 谷口広樹絵 / 童心社 ) 、 「紅玉』 ( 後藤竜二文 / 高田三郎絵 / 新日本出版社 ) 、その他戦時 中の強制労働についての関連本 10:00—12:00 *SL インクリングス 事務所 ー司書教諭養成のための指導内容と指導法の研究および情報収集の会一 13 : 00 ~ 15 : 00 公開編集会議 ( 詳細は本誌 8 頁をお読みください ) 事務所 事務所 18 : 00 ~ 21 : 00 ☆子どもの科学の本研究部会飯田橋ボランティアセンター ①新刊紹介②「アリのくらしに大接近』、「アリの巣のお客さ ん』 ( ともに丸山宗利文 / 島田拓・小松貴写真 / あかね書房 ) そ の他アリに関する本③科学あそび 18 : 30 ~ 21 : 00 ☆理論研究部会 事務所 武蔵野プレイス 3 階 18 : 30 ~ 20 : 30 学校図書館研究部会 学校図書館の課題・今後の研究部の課題を考える ☆印は、本誌購読者はどなたでも参加できます。はじめて参加される方は事務局へご連絡ください。 ー 37 ー 連絡先山梨子どもの本研究会事務局 librobambino@yahoo.co.jp ション・ノヾーー ニンガム作品研究 / 今森光彦作品実践研究 / ブックトーク読みの研究 ◆山梨 1 2 日 ( 土 ) 山梨子どもの本研究会例会 今月の研究会 ( 2015 年 12 月 )

8. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

このあたりから少し「おかしい」と思い始めました。 本が読めなくたって 一学期の終わりごろ、個人面談があり、当時の担任の先生 本を好きになることはできるー に「娘さんは読み書きがうまくできません。数字の逆唱 ( 川 調布ディジー代表牧野綾 から 1 まで一言う ) もできません。授業中に居眠りをしてしま います。睡眠はちゃんととっていますか ? 」と言われてしま いました。 私には子供が 3 人います。そのうち、現在中学校 3 年生の 娘三番目の子 ) がディスレクシアです。私が、娘の読み書 私も「できないな」と、うすうすは気づいていたのですが、 きの能力について疑問を持ち始めたのは、娘が小学校 1 年生「二番目だから」「女の子だからーと自分になにかしら理由を のときでした。 つけて自分から教育相談所などに相談には行っていませんで 毎日読み書きの宿題がでるようになり、字の形がうまくと した。認めたくないとい、つ気持ちもあって認めなかったのだ れない、音読がうまくできないなどの状態が続きました。「おと思います。 兄ちゃんのときより覚えるのが遅いな」とは思いましたが、 ところが、私から見たら教育のプロである先生に「できな 小学校が始まってすぐの時はそれほど疑問に思いませんでし い」とはっきり言われてしまい、子育てがちゃんとできてい ないんじゃないの ? とすべてを否定されているような気持に る 毎日毎日 2 時間以上かけて宿題を一緒にやりました。何度なりました。その後、当時の校長先生と、担任の先生に知能 え こ こも何度も同じところを音読していくうちに、だんだんすらす検査を受けてみたらどうか、といわれ、受けることにしまし 引ら読めるようになってきました。文字の書き取りも、一日に な何回もあいうえお表の書き取りをやらせました。そのうちに 知能検査の報告書を手渡されましたが、意外なことに、娘 多こちらも書けるよ、つになってきました。 の知能指数は平均でした。報告書には「 ( 娘は 2 月生まれな も ただ、教科書があたらしい章に進んでしまうと、また、ほ ので ) 今はまだ苦手なだけかもしれない。授業中の居眠りも、 ど 子 、。はっ」 , り・と つほっとしか読めなくなり、あいうえお表はすらすら書けま体力的にまだ発達していないだけかもしれなし と記されていまし 特すが、「じゃあ、〇〇と書いて」というとほとんど書けない。 した学習障害は検査からは読み取れない 」 0

9. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

学校教育における図書館活用では、司書教諭と学校司書の支 本との触れ合い 5 子どもと一緒に 5 えは欠かせません。なくてはならない存在の二人と、早いう 東京都狛江市立緑野小学校 彦坂菜穂子 えのき学級担任 ちに出会えたことが、幸せでした。 こんにちは。特別支援知的障害固定学級クえのき学級クで、 ・「もったいない ! 」、恵まれた環境 今は名の子どもたちと学んでいます。子どもたちと本との 本校は統合してできた学校で、赴任 2 年目に新校舎に移り 触れ合いの日々を振り返ってみました。 ました。新校舎の自漫の 1 つが、蔵書数およそ 18 ' 000 冊を誇る図書館です。本を読む読書センターと調べ学習を行 、きっかけ う情報活用センターとしての機能を備えています。広々とし 「やってみたい。」、図書への想い て明るい雰囲気、探しやすく並べられた本棚、ポッと明かり 世界が広がる、語彙や想像力が豊かになる、思考力が高ま がっき、一気にお話の世界に惹きこまれる『お話の部屋』な る : ・など、本に触れることのよさを、目にするたびに、「本ど、素敵な空間が広がります。「この恵まれた環境を使わな に触れあう機会を、子どもたちと一緒に増やしていきたい いのはもったいない ! 」ですよね。さらに足を運ぶようにな な。」そんなことを、常々考えていました。ここから、私のりました。 ( しかも、図書館とえのき学級教室が一番近いん 特別支援学級での読書活動が始まりました。 です。 ) 「いつでも来てね。ー、人との出会い 特別支援学級の担任として初めて本校に赴任しました。不 2 、人生を豊かに 安でいつばいだった時、当時の学校司書が声をかけてくれま ・公共図書館の利用 した。「いつでも図書館に来てね。学級の子どもたちが、も 特別支援学級の担任をしていて願うのは、子どもたちの将 っと本と触れあえることを、一緒に考えていこう。」それ以降、来がより豊かになることです。それは、心の豊かさ、余暇の 頻繁に図書館に行くようになりました。また、図書館を活用豊かさもあります。そのために、学校だけでなく公共施設の した授業の相談では、司書教諭がアドバイスをくれました。 利用もできると、 しいと考え、週に一度、市内の公共図書館に

10. 子どもの本棚―月刊書評誌 2015年12月号

が高まりつつあります。『ピーテイ』『わたしの心のなか』『白 すべての子どもにとって、 いイルカの浜辺』『ワンダー』『ありがとう、フォルカーせん 読むことは、世界に開かれた窓 せい』などなど、障がいに関わる子どもたちの思いが表現され 東京学芸大附属特別支援学校司書田恵美子 た児童書が出版され、子どもたちの多様性への理解のまなざ しが感じられます。やっとここまでの感はありますが、少数 公立の中学校の司書をしていたころ、周囲となじめすに孤の子どもたちへの理解が動きだしてきてはいると思います。 立している生徒たちに出会い、受け入れる経験を多くしてき 川月初旬、野口武悟氏に私の所属している「八王子市に学 ました。人との関係性を作るのが苦手な子どもたちが多かっ校図書館を育てる会」で講演していただきました。その講演 た中に、本が嫌いと言い、学力が低いことで自分を卑下しては、ダイバ シティとインクルージョンとい、つ一一一口葉の " 諟明か いる女子生徒がいました。人間関係ができていくうちに、放ら始まりました。 課後、毎日のように、司書の私にミステリーを読んでもらう 子ども ( もちろん、大人も含めてすべての人 ) 一人ひとり のを楽しみに顔を見せるようになりました。彼女は理解力が が異なる存在であることが普通に受け入れられる社会 ( 学校 ) 高く、決して知的能力が劣っていないことに気づかされましであるためには、すべての子どもたちに等しく権利 ( 子ども た。卒業するころ、お母さんと話す機会がありました。幼い の権利、特に教育の権利 ) が認められ、行使できることが大 ときからお母さんが読んであげたものはすべて覚えて、小学切であり、「子どもの権利に関する条約」 ( 1994 年批准 ) 校時代を過ごしたけれども、母子間の努力だけでは中学校でについて、また特に来年 4 月から施行される「合理的配慮」 は追いっかなくなったことを知りました。でもなせ字が読め について、わかりやすく教えていただきました。そして発達 ないのか、当時の私には全く理解できませんでした。学校全障がいの子どもたちは決して極端に少数派ではないことも改 8 年前 体が理解できなかったという印象を受けました。片、 めて知って、学校図書館で出会った子どもたちを思いだして います。 のことです。発達障がいについての自分の知識が乏しかった ことを痛切な反省と共に思い出します。 アメリカの児童図書館員協会の基準「幻世紀の学習者のた ここ数年、障がいのある子どもたちについての意識と理解めの基準」の冒頭に「読むことは世界に開かれた窓である」