にならないよう、捜査指揮能力を高め、課長としての責任を果たしてほしいと思います」 こういった訓示等があって、県内各署では「逮捕者は必ず : とは「逮捕者全員 [ と受 け止め、割り当ての検挙目標に向かって、逮捕者全員の尿を採取しようと真剣に取り組みま した。しかし、採取を拒否する人もあって、統計上は任意の採取となっただけで、全員採尿 の指示に間違いありません。 県警本部長は着任以来、「信頼度日本一の長野県警を作る道は、検挙実績を高めることで ある」と言い、機会あるごとにハッパをかけてきました。それでみんな目の色を変えて実績 尿を上げようとしました。》 採 員 以上のような要旨の、 全 「令状なしのハダカ検査・全員採尿事件の元凶は本部長だ。「訓示』で指示しているではな 査 検 し・カ カ ダ とする怒りの「内部告発」が、八九年に入って山崎久雄・長野県議会議員 ( 共産党 ) 宛に し郵送されてきたのである。 な 状手紙の中には、一年前の八八年一月十九日に長野県下全警察署の防犯課長会議の席で配ら れたという問題の「県警本部長訓示』のコピ 1 が同封してあった。 長野県警長野南警察署の警察官や女性補導員たちが、道交法違反 ( バイクの無免許運転 )
「なぜですか . と、理由の説明を求めた。 しかし、その時も返された言葉は、 「決まりですー だけだった。 そして、トイレの戸を開け放った状況の中で結局、採尿を強制されている。 以上がわかっているところの e 子さんに対する「令状なしのハダカ検査・採尿事件」の様 尿子である。 採 員 全 コロコロと主張が変わる長野県警の「言い分」 査 検 カ ダ 子さんは、事件後一か月近く考えた末、長野県警本部長宛に謝罪と名誉回復処置を求め しる申し入れ書を送っている。しかし、警察当局の対応はまことにそっけなかった。 状長野南警察署署長名で、 「違法行為や人権侵害に当たることはなかった」 3 という回答をよこしただけだった。
きべん つまでもなく、詭弁であることは明らかだった。とはいえ、警察権力とは窮地に追い込まれ ると、常識はずれの理屈を平気で押しだしてくる危険性を持っていることを、ここでも実証 したことになる。 公判や県議会での質疑等が重ねられ、調査が進むに従って、現場の警察官や女性補導員が 「決まり、「規則。と言って、単なる道交法違反者に「ハダカ検査」「強制採尿、をしてしま ったナゾがだんだんと解けてきた。つまり、道交法違反者でも覚醒剤をやっている者と見な して取り調べる ( 採尿鑑定等 ) ように、といった指示が県警本部の方から各警察署、現場の 警察官に出ているらしいというのである。 同じ頃、長野県弁護士会人権擁護委員会が調査を行った。その調査の結果、覚取法と関係 ない容疑で逮捕された二十四人のうち、半数の十二人が覚取法にかかわる取り調べであると いう理由を告げられずに採尿されていたことが明らかにされた。しかも、採尿された十二人 中九人は、覚醒剤使用の前歴も注射痕もなかった。 この調査結果は、「ハダカ検査、の前段である「強制採尿 , が長野県警によって広く行わ れている可能性を強く示唆するところとなった。
〃 7 令状なしのハダカ検査、全員採尿 【補足】 長野県警による「八ダカ検査、採尿」の裁判は、九〇年十一月十五日長野地方 裁判所によって「八ダカ検査は違法、採尿は合法」との判決が下された。しかし、 この判決に対して、擎 = 察当局側、子さん側の双方が不服として控訴。九一一年九 月一一十四日、控訴審判決ではこれを棄却、その後五年にわたって最高裁まで争わ れてきたが、最高裁は高裁判決を追認し、長野地裁判決が確定した。 この判決について被害者 e 子さん側の宮森啓児・弁護士は「日本の裁判史上初 めて、「八ダカ検査が違法」だと認定された貴重な判決。ただ「採尿は合法」と いう判断は、論理的に一貫性がない」と語っている。
「信頼度日本一ーを目指した長野県警本部長の″誤算 ウワサされていた長野県警の「人権侵害」取り調べ事情 《警察内部のことを告発することは誠に不本意ですが、県警本部長の行動が余りにデタラメ 極まりないので、是非県議会で追及して下さるよう、お手紙を差し上げます。 まず第一は採尿問題です。果たして、県警本部長が全員採尿を指示したのか、ということ ですが、間違いありません。昨年 ( 一九八八年 ) 一月八日県下署長会議で逮捕者全員の採尿 を指示し、さらに、県下防犯課長会議の一月十九日にも本部長自ら次のように訓示していま す。 「諸君におかれては、覚醒剤事犯取り締まりの現場の責任者として、刑事課、交通課等とも 連携を図り、他部門で逮捕した被疑者であっても、必ず採尿鑑定を実施すること。あるいは 外勤警察官を中心とする職務質問を励行し、物や注射器を発見押収する等の警察活動を強力 に推進すること。 本年は特に警察署別の検挙目標を示してありますので、検挙者が全くなかったという結果 ブッ
% 告発」のコピーの内容とは重なっており、「訓示」自体は事実であることが確認されたので ある。 道交法違反女性に行った令状なし八ダカ検査・採尿事件 長野市に住む主婦・子さん ( スナック経営・三十五歳 ) の悪夢のような警察体験は、日 本が再び警察国家になりつつある片鱗を垣間見せるものだった。 子さんの証言。 「無免許の道交法違反なのに、どうしてハダカの検査をされたり採尿されなくてはいけない の力いくら考えてもわからない。それで、 『どうしてなんですか』 と、聞きました。 そしたら、 『決まりです』 『規則です』 と、一 = ロうだけ。
口調で飛び出した。 「屈伸するように というのだ。 拒否できるような雰囲気ではない。 e 子さんはそれに従うしかなかった。 そういった「ハダカ検査」が二、三十分あまり続いた。 なんとも猟奇的な風景だが、子さんにとっては一生忘れられない屈辱となった。 「ハダカにされただけでも恥ずかしさでいつばいなのに、生理用品を取り出し、そして屈伸 までするようにと言う。それを女性補導員が食い入るように睨んでいるんです。屈辱的とい う言葉でも言い表せないほどの屈辱でした」 と、子さんは前記日弁連主催の集会でその時の気持ちを告白している。 そうこうした後、留置となった。 留置場の中で一晩考えたものの、なぜハダカにされて屈辱的な姿勢を取らされたり、採尿 検査されたりしなくてはならないのか、子さんにはやはり納得がいかなかった。 そこで、翌日になって再び、 「採尿しなさい と、命令口調で言われた時子さんは、
第三章 令状なしのハダカ検査、全員採尿 ーー「内部告発」された長野県警本部長の不徳
認道交法違反 ( 無免許運転 ) 者について、違反事実について処理の終わった後、理由も告げ ずに留置し、ハダカにし、採尿することができるなどと、道交法のどこに定めてあるのだろ ゝ 0 また、「決まりだ」「規則だ」といったウソの誘導による「ハダカ検査」や「採尿、が「任 。ところが、法律の専門家である警察の手にかかると、それが 意」などと言えるはずもない 違法でも人権侵害でもないという解釈になるというのだ。 そういった経緯があって子さんは弁護士と相談のうえ、警察による人権侵害について長 野県を相手取って損害賠償を求める訴訟を長野地方裁判所に起こした ( 八八年三月七日 ) の だ。すでに留置場の検証や長野南警察署防犯課長の証人調べ等、公判が重ねられてきている。 公判で、初め警察当局は「ハダカ検査」をやった理由を、 「自殺のおそれがあり、何か持っているといけないと思ったから」 と、言い逃れしようとしていたという。 しかし、警察が子さんを不当な「監禁」 ( 留置 ) などせずに、道交法違反の処理が終わ った時点で帰宅させていれば自殺の心配などする必要はなかったはずだから、理由にはなら 力し e 子さんの弁護団の中の富森啓児・弁護士も、次のように警察側の苦し紛れの釈明につい
739 令状なしのハダカ検査、全員採尿 なんと最覊鮪には ホ千に實なすり つけ、 5 1 しま・ ) / , ので 亠 = ロ 亠 = 0 責任転物国宇の谷 蔀下が 人小