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検索対象: [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊
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1. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

と一一一口い、、、 ノヤベルをバケツに投げ入れた。それから、ポケットに手を入れ、 銭を数枚、取りだした。 きようちんぎん あした 「今日の賃金は、明日にならないともらえないんだ。だから、おまえたちには さき 先に払っとくよ。一回十五セントだから、ひとり五セントずつだな」 アニーがあわてて手をふった。 ちんぎん あす 「わたしたちは、いらないわ ! 明日もらう賃金は、ぜんぶ、ディッパ 1 カイ ってちょうだい」 とお 「そりゃあだめだよ。すじが通らない」 とお 「すじは通ってるよ」と、ジャック。 しごと 「だって、おまえたち、仕事をしたじゃないか仕事をしたら、金をもらうの とうせん は当然だ。それがすじってもんだろ」 しごと 「ばくたち、たいした仕事はしてないよそれより、ディッパ 1 の足手まとい しごと おも になったんじゃない ? こんなにたいへんな仕事だとは : : : 思わなかった」 せにすうまい いつ、力い しごと かね あしで 小こ つか ・・・・嵐の夜の幽霊海賊

2. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

フレンチ・クオーター ちく ろめんでんしゃ しばらくすると、路面電車はにぎやかな地区にはいってきた。 「ばうやたち、このあたりがフレンチ・クオーターだよ」 うんてんしゅ こ、ん か、ん 運転手がふり返って、ジャックたちに声をかけた。 ていりゅうじよ どお がわむ 「つぎの停留所でおりて、セント・ピーター通りをミシシッピ川に向かって歩 ひろば けば、じきにジャクソン広場だ」 「わかりました」 おんがく ジャックは、ニュ 1 オーリンズの音楽の本を袋の中にしまい、アニ 1 はトラ でんしゃていりゅうじよ ンペットを手に持って、電車か停留所に着くのを待った。 うんてんしゅ ろめんでんしゃ 路面電車が止まった。ふたりがおりるとき、運転手が、右手をあげて言った。 「嬢ちゃん、トランペットがんばってな ! 」 がんばるわ ! 」と、アニーがこたえた。 「ありかと、つー じよう ほんふくろなか みぎて ・・・・・嵐の夜の幽霊海賊

3. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

てつだ ジャックとアニーは、お客が食べ残した物をごみバケツに捨てる手伝いをし ほねやさい 、力し から さかなあたま た。魚の頭や、貝の殻、カニのあし、エビのしつほ、チキンの骨、野菜の切れ はしなどをバケツにあけ、ス 1 プの残りや、べっとりとついたソ 1 スもこすり りよう - り・ 1 にわたす。なかには、ほとんど料理に手かつけられてい 落として、ディッパ ない皿もあった〇 あぶら 気がつくと、手はべとべとになり、シャツやズボンにも、しみや油がついて いる 、つ かお ノヤックたちから皿を受け それでもディッパ 1 は、いやな顔ひとっしないヾ わら とるたびに、笑って「ありかと ! 」と言う さらて アニ 1 が皿を手わたしながら、たずねた。 「ねえ、ディッパ 1 おんがく 「ディッパーは、朝から晩まで働かなくちゃならなくて、大好きな音楽もがま あか んしているのに、どうしていつも、そんなに明るくしていられるの ? 」 わら しろ ディッパーは、白い歯を見せて笑った。 さら あさ ばん きやく はたら たのこ のこ もの さら ・・・・・嵐の夜の幽霊海賊

4. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

かねも 「だめだ。ばくたち、お金を持ってない」 こ、え うんてんしゅ ジャックたちがもたもたしていると、運転手か声をかけてきた。 わか 「そこの若いふたりは、乗るのかい、乗らないのかい ? 」 かねも 、乗りたいんですけど、ばくたちお金を持ってなくて : : : 」 「あ、あの : せいじやひ きようぜんせんむりよう 「今日は全線無料だよ。〈聖者の日〉のイプだからね、 「そ、そうなんですか ? ああよかった ! 」 うんてんしゅ 運転手はにこにこ笑って、ふたりが乗りこむのを待ってくれた。 ざせき とびらちかせき ジャックとアニ 1 は、扉に近い席にすわった。座席は木でできている うんてんしゅ アニ 1 が、身を乗りだして、運転手に言った。 ひろば 「あの、わたしたち、フレンチ・クオ 1 ターのジャクソン広場に行きたいんで ちかていりゅうじよ す。いちばん近い停留所に着いたら、教えてください」 しゆっぱっしんこ、つ 出発、進行 1 ! 」 「わかったよー なか どお ろめんでんしゃ 路面電車が、カナル通りのまん中を、ゴトゴトと走りだした。 わら おし ・・・・・嵐の夜の幽霊海賊

5. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

→アイツヾ ノ 1 か、アニ 1 に向かって言った。 しつか聴かせてくれよ。それから、テディとキャスリ 1 ンに、 「そのラッパ、、 おれからよろしく ある ディッパ 1 は、ふたりにウインクをすると、手をあげて歩いていった。 「あっ、待って、ディッパー ジャックが呼びとめると、ディッパーは肩ごしにふり返って言った。 「おれ、いそいでるから。じゃ、またいっか ! 」 ディッパ 1 は、もう一度手をあげると、こんどは走っていってしまった。 かおみあ ジャックとアニ 1 は、顔を見合わせた。 やつばりだめなのかな : : : 」と、ジャック。 「ど、ど、つ 1 ) よ、つ : かお するとアニーか、キッと顔をあげた。 「お兄ちゃん、あきらめちゃだめよ ! 追いかけましよう ! 」 そう一言、つと、アニ 1 は、ディッパ 1 のあとを追って走りだした。 いちどて かえ 8

6. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

「どうして ? 」 かん 「まだ、そういう感じじゃないの」 かお それを聞いて、ディッパーの顔が、ばっと明るくなった。 「ああ ! その気もち、よくわかるよ ! 」 せきたん それから、石炭でよごれた手をズボンでふくと、その手をさし出した。 レ」 , も 「よろしくテディとキャスリーンの友だちなら、おれの友だちだ」 あくしゅ 一ア ' ィッ。、 ーと握手しながら、ジャックはびつくりして聞いた。 「テディとキャスリ 1 ンを知ってるの」 「いいや」ディッパーはケロリとして言った。「はじめて聞いた名まえだけど、 を」よ、つ し」、も 今日からおれの友だちになった。おまえたちもだよ」 「ああ : そ、つね ! 」と、アニー とーも アイツヾ 1 に友だちと言われて、ジャックはわくわくした気もちになった。 ーしこ にぐるま しかし、ディッパ 1 は、背後の荷車をふり返って言った。 かえ あか AJ ーも ・・・・・嵐の夜の幽霊海賊

7. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

デあ ポい カゞ ン よ ん ン つ の 人ん と ッ とい ッ た ッ ッ が そ ク ) 日さ き ノヾ ノヾ ク の ク 取し ク ) 彡げ と 青持も 1 後ごと が が と カ い ち カゞ の た が デ炎あ つん 暖 部 ~ ァ そ イ 取し本児 炉 . 屋や が イ っ ツ フ 、後ごだ す に と ノヾ の ク ) ツ 壁殳 1 パ ち き 上 も ガ、 デ の マ 慎間まに あ が 火ひフ の イ 重風手て ッ 上 を カゞ ス ツ が を パ チ に つ カ つ や 吹 1 を た つ しナ ゆ ふの ノミ が す ら き ば ず ら た 1 っ な、 した い ん じ、ん と で カ す ゆ フ る を マ を 持も の ク の ッ 手て 近 の 取と ン 人 つ。 消き だんろ 、つ、ん 1 1 0

8. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

ひこ、つき ひ 車でも飛行機でも、白人も黒人も、みんないっしょにすわれる日が来るよ」 こくじん 「それに」アニ 1 がつけくわえる。「アメリカの黒人は、アフリカ系アメリカ人 よ じんだいとうりよう と呼ばれてーーーっいに、アフリカ系アメリカ人の大統領が生まれるのよ」 おおごえわら それを聞くと、ディッパーは、大声で笑いだした。 ゅめ ゅめみ 「ああ、やつばり、おれは夢を見てるんだ。 : でも、いい夢だ」 しん げんじっ これは、かならす現実になるわ」アニーは力をこめた。 「信じて どお どお こうさてんっ やがて三人は、セント・ピ 1 タ 1 通りとバ 1 ボン通りの交差点に着いた ノ 1 か一一一口った。 「ここまでだ」と、ディッヾ 「さよなら、ディッパ ていりゅうじよ ろめんでんしゃ ジャックとアニーは、停留所に止まった路面電車に乗りこんだ。 でんしやはし 電車が走りだした。 まど かおた 窓から顔を出して見ると、ディッヾ ノーか手をふっていた。 ジャックとアニ 1 も、ディッパ ーの姿が見えなくなるまで、手をふった。 さんにん 0 はくじんこくじん み と すかたみ て の ちから て じん 1 48

9. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

せきたん 「このシャベルを使って、石炭をバケツに入れたら、そこのーーー」と、ディッ かしや、つらぐち おお はこゅび せきたんい パーが、菓子屋の裏口にある、大きな石炭入れの箱を指さす。 せきたん せきたん 「ーー石炭入れにあけるんだ。石炭入れがいつばいになったら、おしまいだ」 「わかった ! 」 さんにん せきたん 三人は、荷台の上で、石炭をシャベルですくって、バケツに入れはじめた。 くちぶえ ディッパーは、ロ笛を吹きながら、軽々と仕事をこなしていく あくせんくとう たか、ジャックとアニーは、重いシャベルに悪戦苦闘した。うまくすくえた おも おも せきたんよこ と思うと、持ちあがらない。持ちあかったと思ったら、石炭が横からこばれ、 ハケツに一つもはいらない。 てせきたん ふたりはシャベルを放りだし、手で石炭をつかんでバケツに入れた。 ひるま たいよう せなかて あせ 昼間の太陽か、背中に照りつける。ンヤックは、だらだらと汗をかき、むせ しつけ か、ん いご / 、つ せきたんて 返るような湿気に息苦しくなってきた。石炭を手づかみしているので、手も足 くろ くろ せきたんこな もまっ黒だ。シャツやズボンも、石炭の粉で黒ずんでくる ひと 、つ、ん つか ふ おも かるカる しごと 0 0 てあし 8 5

10. [拡大写本]嵐の夜の幽霊海賊 第1分冊

うつ おと うしろで、よろい戸か、かくべつ大きな音をたてた。 フウウウウ かべ カンテラを持っジャックの手が、プルプルとふるえた。それにつれて、壁に さんにんか 映った三人の影も、ゆらゆらとゆれる。 フウウウウ ついにかまんができなくなって、ジャックかさけんだ。 魔法のトランペットだー いまこそ、それを吹くときだ ! 」 かん 「わたしも、そう感じる ! お兄ちゃん、歌って ! 」 おも アニーは、トランペットをかまえると、ほおをふくらませて、思いきり息を 吹きこんだ。 ねいろ す トランペットの、澄んだ美しい音色が、高らかにひびきわたった。 あ そのメロディ 1 に合わせて、ジャックか歌いだした。 ふ うつく て おお 1 1 2